テクノクロノス山内社長『ソネット・オブ・ウィザード』インタビュー ガラケーRPGをスマホ向けにリバイバルした経緯と本作の魅力を語る




テクノクロノスは、本日(1月20日)、スマホ向けシミュレーションRPG『ソネット・オブ・ウィザード』を2月末にリリースすることを決定し、事前登録を開始したが、今回、テクノクロノス代表取締役の山内陽一郎さんへのインタビューを掲載する。氏は、本作の完成に足かけ10年を費やし、本作のプロデュース、企画、開発、音楽制作など多岐に渡って製作を続けてきたという。開発の経緯やゲームの注目ポイントなどを語った。

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●東日本大震災の影響を受けたシナリオ
――このゲームの製作を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

山内 このゲームの製作を開始したのは2010年だったと思います。ちょうどその頃はモバゲーやグリーのソシャゲが大ブームでいくつもの仕事を抱えていましたが、弊社の社員の一人がとある身内の不幸で仕事を続行することが出来なくなってしまったんですね。

彼は退社を申し出て来たのですが、「精神的に回復するまで好きな時間に会社に来て好きな時間に帰っていいからゆっくり作りたいゲームでも作ってみたらどう?」と言ったんです。それでこのゲームの製作が開始されました。


――ちゃんと企画や予算ありきでスタートしたわけではないんですね。

山内 そうですね。でも無から有は生まれないのでとりいそぎ企画書をささっと作成してゲームの方向性と世界観やキャラ、シナリオを僕が作成しました。とても適当なものです。ただ、それをこのようなゲームにしてくれるとは全く思ってもみませんでした。最初にクエストやバトルをプレイした時は今までに全くないゲームになったと思いました。

――シナリオは最初から作られていたのですか?

山内 大雑把なものはそうですね。ただ、その後製作が進んでいくにつれて手直しは相当しました。あとは製作中の2011年3月に東日本大震災がおきました。会社で仕事中にものすごい揺れに襲われて社員みんなで倒れそうな本棚やらを押さえつけていたのはまだ覚えています。その時に人間の科学の暴走というものをテーマに入れようと考え、シナリオを手直ししました。


●リリース、好評、そして挫折
――そうしてリリースを迎えるわけですが、評判はどうだったでしょう?

山内 一部のユーザーからはとても熱狂的に迎えられましたね。当時はポチゲーといってとにかくクエストやバトルは時間の無駄でいらないものだ、という考えが主流でしたのでそれに対する明確なアンチテーゼでした。ユーザーの中にはわざわざ弊社に電話で連絡してきて「こんな素晴らしいゲームは無いからぜひ頑張って欲しい」と激励してくれるような方もいました。当時の口が悪い2ちゃんねるでも評判がよくて悪口は無かったですね。

――それはすごいですね

山内 ですが、やはり一部の人だけでは売上が上がりませんでした。それでは運営も続きません。リリースを焦ってしまったのでシナリオもほぼ序盤の方しか出来てなかったのも痛かったと思います。半年ほどで新たなシナリオやイベントは製作できなくなってしまいました。会社の金も底を尽きてしまって他の仕事を入れざるをえなくなってしまったんです。

――それは残念ですね・・。

ですが、一時中断しても必ず最後までシナリオを完成させたいと思ってましたので運営停止してからは僕が一人で手が空いたらちょこちょこシナリオは更新を続けるようにしていました。そうこうしているうちにガラケーからスマホに変わり、すべて一から作り直しのようになり完成はどんどん遠ざかっていきましたね。当時はガラケーだから入れられなかったサウンドも製作が必要でした。

――全部シナリオが完成したのは結局いつごろになったのでしょうか?

山内 2018年ですね。長いことかかってしまいました。

――サウンドやテーマ曲の製作もご自分で製作されるんですね。

山内 そうですね。もともとはバンドやボカロPとか音楽ばかりやっていたので。ゲームに音楽はつきものですから、ほぼ音楽制作を仕事にしたいという思いで会社やってたふしもありますしwいいものができたと思うのでぜひ聞いてみて下さい。


●ソネットのシステムの長所はシナリオの表現力
――では、ソネットの魅力とは何でしょうか?

山内 ソネットのゲームのシステムの一番いい所と考えているのは「シナリオの表現力がものすごく高い」という所なんですよ。どんなギミックでも作れる柔軟性を持っているからどんな物語でも作れます。

――たしかにとにかくシナリオの表現力がすごいですね。マリーさんとか。

山内 ああ、「最凶女」マリーさんですね(笑)あれは完全にメンヘラですね(笑)ユーザーからも「何だこの女は」と反響がありました。

――あれは面白いと思いました(笑)

山内 まあそういったよくあるアドベンチャーゲームみたいな紙芝居ならざる「ゲーム性と一体化したシナリオ」というのが強みだと思ってます。そういうゲームが好きな層を開拓して、このシステムでいろんがゲームを作っていければいいなと思ってますね。アイデアだけでスケールしていくからコストも安いし。

――満を持して、という感じですが今度は売れそうでしょうか?

山内 いや、売れないでしょう(笑)10年経ってガラケーがスマホに変わって表現が飛躍的に増してもユーザーが基本的に携帯ゲームに求めてるものは手軽さと暇潰しという所は変わってません。そういうゲームもいいけどこういうゲームもありじゃないかという所は細々と訴え続けていけたらいいなと思ってます。

――最後に一言お願いします。

山内 えー、シナリオは完結しており、最後までプレイしてもらえれば大きな感動が待っていると思います。主人公とともに世界の秘密をぜひ解き明かしてみてください。よろしくお願いします。

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