【決算まとめ】プラットフォームの10~12月…売上は全体で減少、DeNAがガンホーを下回る グリーとDeNAの営業利益率も逆転

2013年10~12月期までのプラットフォーム5社の決算をまとめた。四半期の売上高を見たところ、10~12月期はグリー<3632>とディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>の減収基調が続き、サイバーエージェント(CA)<4751>のAmeba事業も減収に転じた。一方、LINEの成長は続いた。
 

▲前四半期と比較(QonQ)した増減率で、%表示のないものは実績

10~12月期は、2つの逆転現象に注目したい。四半期売上高でガンホー<3765>がDeNAを上回った。利益面ではコスト削減を進めたグリーの営業利益率がDeNAを上回った。DeNAの売上と利益の絶対額は依然、5社の最上位に位置しているものの、前四半期比での減少ペースが際立つ。
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■売上高:DeNAとガンホーが逆転…LINEの成長は続く

ソーシャルゲームの2大プラットフォームであるDeNAとグリーの売上高と、ガンホーの売上高について四半期推移をグラフにした。ガンホーの売上高がついにDeNAを上回ったことがわかる。ネイティブアプリで大ヒット作を出した企業が、ブラウザゲームのプラットフォーム企業よりも多くの売上をたたき出している状況だ。
 

次に、CAの「Ameba」事業と、LINEの「LINE」事業、「mixi」を運営するミクシィ<2121>の四半期売上高をそれぞれグラフとした。

LINEはネット売上高(GoogleやAppleなどのストアに支払う30%の決済手数料を除いた金額のうち、開発会社との契約に基づいてLINEが受け取る金額だけを計上)が、前四半期比19.6%増の122億円と高成長を続けている。一方、Amebaは、1年ぶりに前四半期比で減収に転じた。同事業は、コストの見直しで黒字に転じているが、売上を増加基調に戻せるかに注目したい。

ミクシィはゲームのプラットフォーム事業というよりは、ネイティブアプリゲーム『モンスターストライク』や結婚支援事業の好調で増収に転じている。
 

これまで見てきたプラットフォーム5社の売上高(LINEはネット)を積み上げると、以下のようなグラフとなる。全体では前四半期比6%減の969億円と、2四半期連続で減少し、2012年7~9月期以来の1000億円割れとなった。LINEは成長しているものの、グリーとDeNAの落ち込みを補えなかった。
 
 
なお、LINEを除いた4社の合計売上高は同81億円(9%)減の847億円と、2011年7~9月期(737億円)以来、約2年ぶりの低水準に落ち込んだ。
 

■営業利益:DeNAとグリーの営業利益率が逆転

DeNAとグリー、ガンホーの営業利益推移が以下のグラフとなる。DeNAの営業利益は前四半期比37億円(25%)減の114億円と減益基調が続いた。グリーも減益に転じたが、同6億円(6%)減でとどまった。10~12月はガンホー1社で、2社の合計値を20億円程度上回る営業利益を稼ぎだしている。
 

DeNAとグリーの2社合計の営業利益は206億円と、前四半期比で17%減り、2010年7~9月期(198億円)以来の低水準に落ち込んだ。昨年7~9月に下げ止まりを示した2社の合計利益だが、10~12月はDeNAの大幅減益が響き、再び減少に転じた。Ameba事業は前段で述べたとおり、10~12月にわずかながら黒字化を達成している。
 

本業の収益性を示す売上高営業利益率(営業利益÷売上高)はDeNAが前四半期比5ポイント減の27%、グリーが横ばいの28%と、昨年7~9月以来、約1年ぶりに逆転した。グリーのコスト削減が進展した成果だろう。
 

■DeNAの業績悪化ペースが加速

2012年4~6月ごろから先行して業績が悪化したグリーに比べると、DeNAの業績は軽微な減少にとどまってきた。だが、昨年7~9月、10~12月と、DeNAの業績がグリーを追いかけるように急速に悪化し始めた印象がある。

DeNAの売上高について、前四半期比の増減率をみると、昨年4~6月までプラス、あるいは横ばいで推移してきたが、7~9月に9%の減少に転じ、10~12月に12%減と減少ペースが加速した。営業利益も7~9月は11%減、10~12月は25%減と下げが加速している。
 

DeNA、グリーともに、ネイティブアプリを含めた新作でヒットを生み出せるか、あるいは利益増加に寄与するような海外事業や新規事業の拡大を実現できるか。今後、一層の注目が集まりそうだ。
 
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
https://dena.com/jp/

会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2432
企業データを見る
株式会社MIXI
https://mixi.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社MIXI
設立
1997年11月
代表者
代表取締役社長 木村 弘毅
決算期
3月
直近業績
売上高1468億6800万円、営業利益:191億7700万円、経常利益156億6900万円、最終利益70億8200万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2121
企業データを見る
グリー株式会社
http://www.gree.co.jp/

会社情報

会社名
グリー株式会社
設立
2004年12月
代表者
代表取締役会長兼社長 田中 良和
決算期
6月
直近業績
売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3632
企業データを見る
株式会社サイバーエージェント
http://www.cyberagent.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社サイバーエージェント
設立
1998年3月
代表者
代表取締役 藤田 晋
決算期
9月
直近業績
売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
4751
企業データを見る
LINE株式会社
http://linecorp.com/

会社情報

会社名
LINE株式会社
設立
2019年12月
代表者
代表取締役社長 出澤 剛/代表取締役 慎 ジュンホ
企業データを見る