アカツキは、6月23日、スマートフォン向けRPG『サウザンドメモリーズ(千メモ)』のライトノベルを発売したが、売り上げだけでなく、作品としての評価も上々のようだ。前回、人気声優の柿原徹也氏に話を聞いたが(関連記事)、今回は作家である大泉貴氏と、書籍の編集を担当した宝島社の岡田氏にインタビューを行い、作品の魅力とゲームアプリの書籍化にあたってのポイントについて話してもらった。スマートフォンゲームのノベル化の事例は少ないので、これからノベライズを検討する会社にとっても参考になるところも多いのではないか。
■「サウザンドメモリーズ 〜転生の女神と約束の騎士たち〜」とは?
小説「サウザンドメモリーズ 〜転生の女神と約束の騎士たち〜」は、ゲーム本作のシナリオ執筆者であり、宝島社主催『このライトノベルがすごい!』第1回で大賞受賞作家である大泉貴氏が執筆した。ゲーム本編第1部から半年後の世界を舞台に、完全オリジナルのサイドストーリーを描くもので、本書を読むことでゲームの世界観やストーリーがより深く楽しめるようになっている。 なお、価格は972円(税込)と1000円を切る価格に設定されている。
―――:よろしくお願いいたします。まず、大泉さんの『サウザンドメモリーズ』への関わり方を教えていただけますか?
大泉氏:アカツキさんの別のプロジェクトでお仕事をさせていただいたのですが、昨年夏、『サウザンドメモリーズ』に参加することになりました。世界観設定やメインシナリオ、キャラクター設定を担当しています。現在は一部キャラクターの設定などは他のライターさんにお願いしていますが、私がほぼ全てを担当しています。
―――:今回、ノベライズに至った経緯を教えていただけますか?
大泉氏:私がラノベ作家としてデビューしたのが2010年頃になるのですが、それ以来、宝島社さんとお付き合いがあります。「『このライトノベルがすごい!』大賞」で受賞してデビュー以来、宝島社さんで作品を描かせていただいております。今回のノベライズのお話をいただいたのは、昨年末から今年の年始にかけてです。
岡田氏:コンシューマーゲームやアニメのノベライズは数多くありますが、ストーリー性のあるゲームアプリがでてきたこともあり、ノベライズの対象として面白いのではないかと考えていました。そうしたなか、弊社とつながりのある作家である大泉さんが『千メモ』に関わっておられるとのことで、まずアカツキさんにお話をしたところから始まりました。
―――:年始からとなると、比較的短い期間でつくられたんでしょうか。
大泉氏:執筆自体は1ヶ月です。修正も合わせると2~3ヶ月程度でしょうか。企画段階から数えると、5ヶ月ほどで完了しました。通常、私は企画の立ち上げは半年くらいかけますので、若干早いですね。もともとゲームの世界観がありますので、これまでの新作の立ち上げに比べるとすんなりとできたかなと思います。
―――:当初からサイドストーリーにすると決めていたのですか?
岡田氏:当初いくつか案がありました。1つ目の案は、ゲーム本編をベースにしたストーリーです。ゲームでは、プレイヤー自身が主人公になってプレイするわけですが、主人公のビジュアルがないので小説で登場させるというものでした。2つ目の案は、ゲーム本編とは全く違う、外伝ストーリーとして描くものでした。
大泉氏:あとは、第1章の第3ステージと第4ステージの間を埋めるストーリーにする案もありました。ただ、それだとゲームをそこまで遊ばないとわからないですし、小説としてやるのであれば、もう少し壮大な形でストーリーを展開させたかったので、外伝という形で自由に書いた方がいいと判断し、現在の形となりました。
―――:そうだったのですか。そのなかでサイドストーリーを選択したと。
大泉氏:そうです。ゲームの中でも第1部のメインキャラクター「アーサー」が主人公ですが、本書を読むと第1部の裏側や、アーサーの小さい頃から起こってきた出来事もわかるようになっています。執筆にあたって、ゲーム本編の第1章では拾いきれなかったエピソードがありましたので、小説を通じて回収しておきたいと思いました。
―――:執筆されていて、苦労した点や注目して欲しい点はありますか?
大泉氏:ゲームアプリをオリジナルストーリーでノベライズする例はなかったので、ユーザー様はもちろん、『千メモ』で遊んだことのない方にも、どういうものを描けば、『千メモ』らしさが伝わるのか、どういったエッセンスを盛り込むか、ずっと悩んでいました。結局、小説でやるからには一冊の小説として面白いものを書くのがベストだと思い、ファンタジー小説としての完成度を追求しました。
岡田氏:あとは映像的な表現を駆使している点を注目して欲しいですね。第1章をお読みいただくと、空を飛んでいる鷹の視点から始まって、だんだん飛行艇に近づいていくという、映像的なイメージで描かれています。
大泉氏:ゲームのシナリオを書く際、ゲームで演出を担当している方からビジュアルを意識した表現にしてほしいという要望を受けていましたので、『千メモ』の小説を書くときも通常の小説に比べてビジュアルとして映えるものにしました。ファンタジーって見たことのない世界を旅することが醍醐味だと思いますので、見たことのない風景をイメージできるようにするよう、かなり意識しました。
―――:ランスロットなどのキャラクターも出てきますが、設定上気をつけたところは。
大泉氏:ランスロットは、主人公アーサーの影ともいえる存在ですので、ライバルキャラクターとして立てるところを意識しました。あとは「ワンピース」などTVシリーズのアニメの劇場版も意識しましたね。主人公がいてオリジナルのヒロイン、オリジナルの敵キャラがいて、オリジナルストーリーが展開されます。
―――:小説を読んだのですが、ゲームを良く知らない人でも楽しめるようになっていると思いました。このあたりはだいぶ意識されたのですか?
岡田氏:それは強く意識してもらいました。ゲームで遊んでいないスタッフ2、3人に原稿を読んでもらい、わかりづらい点を1つずつ潰していきました。書く側も編集側もゲームを遊んで内容を知っていますから、気をつけていても知らず知らずのうちにゲームで遊んでいないとわからないことを書いてしまいます。
―――:ゲームのシナリオは短い文で構成されると思いますが、小説では少し長めの文章にする必要がありますよね。切り替えは大変じゃないですか?
大泉氏:はい。ゲームシナリオの文章のリズムと小説の文章のリズムってかなり違っています。ゲームですとグラフィックや音楽による演出もありますので短い言葉でつなげていくわけですが、文章だけを取り上げると単調になりがちです。『千メモ』のシナリオを書く時間が長かったので、小説の序盤で無意識にゲームシナリオの書き方がでてしまい、場面がイメージできないという指摘をいただきました。他の部分は小説の文章になっていたのですが、書いた後で編集さんから指摘を受けて気づきました。ですから序章に関しては、締切のぎりぎりに全部書き直しています。
―――:そんなことがあったのですか。
大泉氏:もちろん違いはわかっていますから、頭を切り替えたつもりだったんです。が、ゲームシナリオの表現に馴染んでいたみたいで、書いている途中で「これはなかなか大変だな」と思いました(笑)
―――:初歩的な質問で恐縮なんですが、挿絵の入れ方はどうされたのですか?
大泉氏:担当編集者の方と相談して、挿絵を入れる場所を決めて、イラストレーターさんに発注する形です。今回は、ライトユーザー向けですので、あんまりラノベであることを意識せずに挿絵をいれました。ラノベとして作るのなら、アーサーが水浴びするシーンなどを入れるのですが、映画やアニメなど映像にした時に映えるようなシーンやキャラクターをクローズアップするシーンを挿絵にしました。
―――:そうやって作られていったわけですね。発売後の読者さんの反響はいかがですか?
岡田氏:おかげさまで良い評価をいただいており、嬉しいですね。まず、特典キャラ「ランスロット」がほしいという方が購入して、ソーシャルメディアなどで入手したよと書いていただき、その後、小説に関する感想が少しずつ出てきました。
大泉氏:ライトノベルの感想を読めるサイトがあり、いつもならそこをチェックすれば事足りたのですが、今回はTwitterなどソーシャルメディア上で感想を書かれる方が多いですね。これまでのノベルを購入していただいている方とは違う方に購入いただいているようで、すごく嬉しいですね。
岡田氏:弊社で取り扱っているライトノベルの読者層とは少し違います。ライトノベルを読む方は特定のサイトにアクセスして感想を書き込んだり、他の感想を読んだりして楽しむ方が多いのですが、今回はTwitterなどで感想を書く方が多いです。ただ、反響を知るのが大変ですね。特定のサイトを見ていればよかったのですが、「千メモ」「小説」などと検索して調べないといけないですから。
―――:価格設定ですが、1000円以下ですよね。特典の性能も良いですし、かなりお得になっていると感じました。どういった意図があったのでしょうか?
岡田氏:そうですね。私個人としては1200円くらいがいいかもと思っていたのですが(笑)、宝島社で1000円を割る設定にしました。『サウザンドメモリーズ』は、中高生など若い方が多く遊んでいる印象がありますので、普段、あまりゲームにお金を使えない人や課金制限のある人でも手に取れるようにしたいと考えました。
―――:宝島社さんとしては今後もアプリのノベライズには力を入れていくのですか?
岡田氏:そうですね。宝島社としてはソーシャルゲームやスマートフォンゲームアプリの攻略本を出していますし、ノベライズにも力を入れていきます。おかげさまで『千メモ』の書籍も調子がいいので、第2弾もやりたいよね、という話が出ています。まだ形としては出してしませんが、「次もできるでしょ」という認識はあります。なので、大泉さんには考えておいてもらえると…(笑)
大泉氏:はい、ぜひ(笑)
―――:早くも第2弾ですか。楽しみですね。Amazonのランキングでも「SF・ホラー・ファンタジー」などでTOP3に入りましたね。
大泉氏:自分の書いた小説がAmazonのランキングで上位に入るのは初めてですので、「なんだこれ?」と思って、しばらく自分の作品じゃないような気がしました(笑)
―――:宝島さんでもこういった売れ行きになると予想はされていたのですか?
岡田氏:色々なプロモーションは実施していたので、そうなってほしい、そうならないといけない、とは考えていました。待ち望んでくれていた人がいたので、いけるだろうとは思いましたけど。とはいえ、ソーシャルゲームやスマートフォンゲームで楽しんでいる方が果たしてストーリーを望んでいるのか、小説を出して本当に読んでくれるのか、正直、不安な部分がありました。
―――:良好な結果のようでよかったですね。最後にメッセージをいただけますか?
大泉氏:これから第2弾を出せそうな感じですので、第2弾、第3弾と続けていきたいと思います。あと、ゲームは第2部の前半がでており、その後、後半、そして第3部と続きます。『千メモ』も大きな転換点を迎えますので、楽しみにしていただければと思います。
―――:ありがとうございました。
■『サウザンドメモリーズ』
© Akatsuki Inc.
■「サウザンドメモリーズ 〜転生の女神と約束の騎士たち〜」とは?
小説「サウザンドメモリーズ 〜転生の女神と約束の騎士たち〜」は、ゲーム本作のシナリオ執筆者であり、宝島社主催『このライトノベルがすごい!』第1回で大賞受賞作家である大泉貴氏が執筆した。ゲーム本編第1部から半年後の世界を舞台に、完全オリジナルのサイドストーリーを描くもので、本書を読むことでゲームの世界観やストーリーがより深く楽しめるようになっている。 なお、価格は972円(税込)と1000円を切る価格に設定されている。
―――:よろしくお願いいたします。まず、大泉さんの『サウザンドメモリーズ』への関わり方を教えていただけますか?
大泉氏:アカツキさんの別のプロジェクトでお仕事をさせていただいたのですが、昨年夏、『サウザンドメモリーズ』に参加することになりました。世界観設定やメインシナリオ、キャラクター設定を担当しています。現在は一部キャラクターの設定などは他のライターさんにお願いしていますが、私がほぼ全てを担当しています。
―――:今回、ノベライズに至った経緯を教えていただけますか?
大泉氏:私がラノベ作家としてデビューしたのが2010年頃になるのですが、それ以来、宝島社さんとお付き合いがあります。「『このライトノベルがすごい!』大賞」で受賞してデビュー以来、宝島社さんで作品を描かせていただいております。今回のノベライズのお話をいただいたのは、昨年末から今年の年始にかけてです。
岡田氏:コンシューマーゲームやアニメのノベライズは数多くありますが、ストーリー性のあるゲームアプリがでてきたこともあり、ノベライズの対象として面白いのではないかと考えていました。そうしたなか、弊社とつながりのある作家である大泉さんが『千メモ』に関わっておられるとのことで、まずアカツキさんにお話をしたところから始まりました。
■当初からサイドストーリーで
―――:年始からとなると、比較的短い期間でつくられたんでしょうか。
大泉氏:執筆自体は1ヶ月です。修正も合わせると2~3ヶ月程度でしょうか。企画段階から数えると、5ヶ月ほどで完了しました。通常、私は企画の立ち上げは半年くらいかけますので、若干早いですね。もともとゲームの世界観がありますので、これまでの新作の立ち上げに比べるとすんなりとできたかなと思います。
―――:当初からサイドストーリーにすると決めていたのですか?
岡田氏:当初いくつか案がありました。1つ目の案は、ゲーム本編をベースにしたストーリーです。ゲームでは、プレイヤー自身が主人公になってプレイするわけですが、主人公のビジュアルがないので小説で登場させるというものでした。2つ目の案は、ゲーム本編とは全く違う、外伝ストーリーとして描くものでした。
大泉氏:あとは、第1章の第3ステージと第4ステージの間を埋めるストーリーにする案もありました。ただ、それだとゲームをそこまで遊ばないとわからないですし、小説としてやるのであれば、もう少し壮大な形でストーリーを展開させたかったので、外伝という形で自由に書いた方がいいと判断し、現在の形となりました。
―――:そうだったのですか。そのなかでサイドストーリーを選択したと。
大泉氏:そうです。ゲームの中でも第1部のメインキャラクター「アーサー」が主人公ですが、本書を読むと第1部の裏側や、アーサーの小さい頃から起こってきた出来事もわかるようになっています。執筆にあたって、ゲーム本編の第1章では拾いきれなかったエピソードがありましたので、小説を通じて回収しておきたいと思いました。
―――:執筆されていて、苦労した点や注目して欲しい点はありますか?
大泉氏:ゲームアプリをオリジナルストーリーでノベライズする例はなかったので、ユーザー様はもちろん、『千メモ』で遊んだことのない方にも、どういうものを描けば、『千メモ』らしさが伝わるのか、どういったエッセンスを盛り込むか、ずっと悩んでいました。結局、小説でやるからには一冊の小説として面白いものを書くのがベストだと思い、ファンタジー小説としての完成度を追求しました。
岡田氏:あとは映像的な表現を駆使している点を注目して欲しいですね。第1章をお読みいただくと、空を飛んでいる鷹の視点から始まって、だんだん飛行艇に近づいていくという、映像的なイメージで描かれています。
大泉氏:ゲームのシナリオを書く際、ゲームで演出を担当している方からビジュアルを意識した表現にしてほしいという要望を受けていましたので、『千メモ』の小説を書くときも通常の小説に比べてビジュアルとして映えるものにしました。ファンタジーって見たことのない世界を旅することが醍醐味だと思いますので、見たことのない風景をイメージできるようにするよう、かなり意識しました。
―――:ランスロットなどのキャラクターも出てきますが、設定上気をつけたところは。
大泉氏:ランスロットは、主人公アーサーの影ともいえる存在ですので、ライバルキャラクターとして立てるところを意識しました。あとは「ワンピース」などTVシリーズのアニメの劇場版も意識しましたね。主人公がいてオリジナルのヒロイン、オリジナルの敵キャラがいて、オリジナルストーリーが展開されます。
■ゲームを知らない人でも読めるように
―――:小説を読んだのですが、ゲームを良く知らない人でも楽しめるようになっていると思いました。このあたりはだいぶ意識されたのですか?
岡田氏:それは強く意識してもらいました。ゲームで遊んでいないスタッフ2、3人に原稿を読んでもらい、わかりづらい点を1つずつ潰していきました。書く側も編集側もゲームを遊んで内容を知っていますから、気をつけていても知らず知らずのうちにゲームで遊んでいないとわからないことを書いてしまいます。
―――:ゲームのシナリオは短い文で構成されると思いますが、小説では少し長めの文章にする必要がありますよね。切り替えは大変じゃないですか?
大泉氏:はい。ゲームシナリオの文章のリズムと小説の文章のリズムってかなり違っています。ゲームですとグラフィックや音楽による演出もありますので短い言葉でつなげていくわけですが、文章だけを取り上げると単調になりがちです。『千メモ』のシナリオを書く時間が長かったので、小説の序盤で無意識にゲームシナリオの書き方がでてしまい、場面がイメージできないという指摘をいただきました。他の部分は小説の文章になっていたのですが、書いた後で編集さんから指摘を受けて気づきました。ですから序章に関しては、締切のぎりぎりに全部書き直しています。
―――:そんなことがあったのですか。
大泉氏:もちろん違いはわかっていますから、頭を切り替えたつもりだったんです。が、ゲームシナリオの表現に馴染んでいたみたいで、書いている途中で「これはなかなか大変だな」と思いました(笑)
―――:初歩的な質問で恐縮なんですが、挿絵の入れ方はどうされたのですか?
大泉氏:担当編集者の方と相談して、挿絵を入れる場所を決めて、イラストレーターさんに発注する形です。今回は、ライトユーザー向けですので、あんまりラノベであることを意識せずに挿絵をいれました。ラノベとして作るのなら、アーサーが水浴びするシーンなどを入れるのですが、映画やアニメなど映像にした時に映えるようなシーンやキャラクターをクローズアップするシーンを挿絵にしました。
―――:そうやって作られていったわけですね。発売後の読者さんの反響はいかがですか?
岡田氏:おかげさまで良い評価をいただいており、嬉しいですね。まず、特典キャラ「ランスロット」がほしいという方が購入して、ソーシャルメディアなどで入手したよと書いていただき、その後、小説に関する感想が少しずつ出てきました。
▼書籍特典の「ランスロット」▼
高性能キャラで特に始めたばかりの人には心強い戦力となる
高性能キャラで特に始めたばかりの人には心強い戦力となる
大泉氏:ライトノベルの感想を読めるサイトがあり、いつもならそこをチェックすれば事足りたのですが、今回はTwitterなどソーシャルメディア上で感想を書かれる方が多いですね。これまでのノベルを購入していただいている方とは違う方に購入いただいているようで、すごく嬉しいですね。
岡田氏:弊社で取り扱っているライトノベルの読者層とは少し違います。ライトノベルを読む方は特定のサイトにアクセスして感想を書き込んだり、他の感想を読んだりして楽しむ方が多いのですが、今回はTwitterなどで感想を書く方が多いです。ただ、反響を知るのが大変ですね。特定のサイトを見ていればよかったのですが、「千メモ」「小説」などと検索して調べないといけないですから。
―――:価格設定ですが、1000円以下ですよね。特典の性能も良いですし、かなりお得になっていると感じました。どういった意図があったのでしょうか?
岡田氏:そうですね。私個人としては1200円くらいがいいかもと思っていたのですが(笑)、宝島社で1000円を割る設定にしました。『サウザンドメモリーズ』は、中高生など若い方が多く遊んでいる印象がありますので、普段、あまりゲームにお金を使えない人や課金制限のある人でも手に取れるようにしたいと考えました。
■早くもノベライズ第2弾の話も
―――:宝島社さんとしては今後もアプリのノベライズには力を入れていくのですか?
岡田氏:そうですね。宝島社としてはソーシャルゲームやスマートフォンゲームアプリの攻略本を出していますし、ノベライズにも力を入れていきます。おかげさまで『千メモ』の書籍も調子がいいので、第2弾もやりたいよね、という話が出ています。まだ形としては出してしませんが、「次もできるでしょ」という認識はあります。なので、大泉さんには考えておいてもらえると…(笑)
大泉氏:はい、ぜひ(笑)
―――:早くも第2弾ですか。楽しみですね。Amazonのランキングでも「SF・ホラー・ファンタジー」などでTOP3に入りましたね。
大泉氏:自分の書いた小説がAmazonのランキングで上位に入るのは初めてですので、「なんだこれ?」と思って、しばらく自分の作品じゃないような気がしました(笑)
―――:宝島さんでもこういった売れ行きになると予想はされていたのですか?
岡田氏:色々なプロモーションは実施していたので、そうなってほしい、そうならないといけない、とは考えていました。待ち望んでくれていた人がいたので、いけるだろうとは思いましたけど。とはいえ、ソーシャルゲームやスマートフォンゲームで楽しんでいる方が果たしてストーリーを望んでいるのか、小説を出して本当に読んでくれるのか、正直、不安な部分がありました。
―――:良好な結果のようでよかったですね。最後にメッセージをいただけますか?
大泉氏:これから第2弾を出せそうな感じですので、第2弾、第3弾と続けていきたいと思います。あと、ゲームは第2部の前半がでており、その後、後半、そして第3部と続きます。『千メモ』も大きな転換点を迎えますので、楽しみにしていただければと思います。
―――:ありがとうございました。
■『サウザンドメモリーズ』
© Akatsuki Inc.
会社情報
- 会社名
- 株式会社アカツキ
- 設立
- 2010年6月
- 代表者
- 代表取締役CEO 香田 哲朗
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高239億7200万円、営業利益26億7600万円、経常利益28億3400万円、最終利益12億8800万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3932