ネクソン決算説明会 マホニー社長「高品質モバイルゲームへのニーズは強い」 MMORPG『Legion of Heroes』は月商3億円、『FIFAオンライン』とともにモバイルの拡大をけん引
ネクソン<3659>は、8月14日、2014年の第2四半期の決算を発表し、東京都内で決算説明会を開催した。第2四半期(4~6月期)の決算は、売上高(売上収益)は前年同期比1%増の368億円、営業利益は同26%減の100億円、四半期利益は64%減の41億円となり、微増収・減益となった。売上高と営業利益は予想レンジを上回る一方で、最終利益が予想レンジを下回った。
『Legion of Heroes』や『EA SPORTS FIFAオンライン3』を中心とするモバイルゲームの売り上げが韓国で伸びたものの、採算性が高く利益面でのけん引役となっていた中国での売り上げが低下したことに加え、『FIFA』など外部IPに係るロイヤリティ費用や人件費の増加が減益要因となった。さらに為替差損も発生したとのことだった。ジャンル別の売り上げをみると、PCオンラインゲームが前年同期比3%減の284億円だったのに対し、モバイルゲームは同16%増の84億円と好調に推移した。
決算説明会に臨んだオーウェン・マホニー氏(写真)は、「事業戦略上の課題として、事業の成長をけん引する分野に集中しており、面白くて新奇性のあるゲームを作るため、開発タイトルを絞り込んでいる。既存タイトルについては、ゲーム内のアイテム販売はゲームバランスを考慮し、無課金のユーザーにも楽しんでもらえるものとし、長期的な運用を目指した」と振り返った。
そうした取り組みの成果として、スマートフォン向け3DMMORPG『Legion of Heroes』と『EA SPORTS FIFAオンライン3』をあげた。『Legion of Heroes』は、リリース後、DAU(Daily Active Users)は高水準で安定し、韓国Google Playの売上ランキングでも10位近辺で安定的に推移しているという。後述するように月商も3億円を超えている。また、『EA SPORTS FIFAオンライン3』も、ワールドカップ開催中だけでなく、以後も好調に推移しており、韓国Google Play売上ランキングで10位圏内で安定的に推移しているとのこと。
マホニー氏は、「Kakaoと連携していないタイトルで、上位に入っているのは当社の2タイトルのみ。モバイルゲーム業界では、現在、カジュアルゲームアプリでないと成功できないという見方が依然として強いが、両タイトルの成功は、こうした常識を覆すものだ。モバイルゲームであっても、高品質ゲームへのニーズは強く、面白いゲームであれば長く遊んでもらえる。」と語った。
続く下半期では、大ヒットオンラインゲームの続編『メイプルストーリー2』(PC)や、モバイルゲーム『三剣豪』、開発パートナーであるShiver EntertainmentやRobotokiの新作タイトル、そして、gloopsが3本以上のネイティブゲームを提供する予定だ。マホニー氏は、『メイプルストーリー2』、『三剣豪』、『Durango』を注目タイトルとしてムービーも交えて紹介し、「私個人としても遊んでみたいタイトルばかりだ」と自信を見せた。
■地域別の業績動向…韓国が大きく伸長
(韓国)
モバイルゲームが大きく伸びたのは韓国市場で、売上収益が前年同期比56%増の134億円だった。『Legion of Heroes』と『EA SPORTS FIFAオンライン3』が大ヒットとなった。この2タイトルだけでなく、『アラド戦記』や『サドンアタック』、『メイプルストーリー』も前年同期比で成長したことも増収要因となった。月商だが、『EA SPORTS FIFAオンライン3』は非開示だったが、自社開発・運営である『Legion of Heroes』は月商3億円となっているそうだ。
(中国)
減益となった最大の要因である中国は、売上収益が同22%減の135億円となった。旧正月があった第1四半期からの反動で前四半期比でも大きなマイナスとなった。しかし、『アラド戦記』は、2013年の第4四半期に大きく売上を落とした状況からは復調しつつあるという。
最高財務責任者 (CFO)の植村 士朗氏(写真)は「『アラド戦記』は運用を開始して6年になることを考えると、今後、著しく成長していくことは考えづらい。ハイクオリティなアップデートと運用することで長く安定的に運用したい」とコメントした。
また、韓国でヒットしているスマートフォン向けMMORPG『Legion of Heroes』を第4四半期以降、中国でも展開する予定。先に開催された「ChinaJoy 2014」で中国で配信することを明らかにした。現地でのパブリッシングは、Chukongが担当する。
(日本)
日本は、売上高が同19%減の76億5600万円だった。モバイルが同15.5%減の59億円、PCが同27.6%減の16億円だった。モバイルとPCが大きなヒットタイトルがでなかったことが響いたという。こうしたなか、gloopsの新作『スカイロック』が大規模なプロモーション活動を展開し、6月の売上高が前月比で倍増となるなど明るい兆しも出てきたようだ。モバイルゲームのスマートフォンシフトが進むなか、gloopsが下半期では少なくとも3タイトル以上のネイティブゲームアプリ、そしてネクソンが韓国のゲーム会社の開発したネイティブゲームも提供する予定だ。
(北米・欧州)
北米は、売上収益が同22%減の11億3100万円、欧州及びその他の地域が同33%減の11億4400万円だった。『Dirty Bomb』や『Legion of Heroes』などの新規タイトルを下半期にかけてリリースする予定だ。その一方で、ネクソンでは月1社ペースでゲームデベロッパーとのパートナーシップ契約もしくは出資を行った旨を発表しているが、今後も引き続き欧米の有力ゲームデベロッパーとのパートナーシップ構築に取り組むという。欧米市場の嗜好に合ったゲームを提供することで新しい収益源として育てていく考えのようだ。
なお、モバイルを除くネクソン全体のKPI(評価指標)をみると、MAU(月次アクティブユーザー数)が26.9%減の5190万人だった。2013年10~12月期に中国を中心にMAUが大きく減少したが、「ボットやチートへの対策を施した結果であり、原因がはっきりしている。運営の質を重視したものであり、それ以降、旧正月の影響などの影響はあるが、安定している」(植村氏)。課金率は10.2%で横ばい。またARPPU(課金ユーザーあたりの平均売上)は同27.5%増の2781円と伸びた。
■第3四半期は引き続きモバイルが伸びる見通し
第3四半期の業績予想は、売上収益399~428億円(前年同期比0~7%増)、営業利益107~130億円(同34~20%減)、四半期純利益73~90億円(同9%減~12%増)を見込む。売上収益の内訳を見ると、PCゲームが同4%減~3%増の329億円、モバイルゲームが同19%~30%増となっており、引き続きモバイルゲームが伸びる見通しだ。
利益面では、『EA SPORTS FIFAオンライン3』などの外部IPタイトルに関連したロイヤルティ費用の増加や、給与と従業員数の増加などに伴う人件費の増加、利益率の高い中国の売り上げが相対的に低下することなどにより、営業利益は前年比でマイナスとなる見通し。また韓国、北米、欧州などでの新規ゲームリリースに伴うマーケティング費用も収益を圧迫する。
なお、売上収益と営業利益は予想レンジを上振れる状況が続いている。会場から業績予想の考え方について変化の有無を確認する質問があった。これに対し、植村氏は「実績は結果として上振れた。予測可能な限りで材料を揃えて業績予想を作ったもので、ガイダンスの出し方は変えていない。ただ、業界全体が変動しているため、正確な予測が難しい部分もある」と回答した。
各国・地域別の業績見通しは以下のとおり。
・韓国:前年同期比2ケタ%台の増加を予想。
・中国:前年同期比1ケタ%台半ばから1ケタ%台後半の減少を予想。
・日本:前年同期比10%台後半から2ケタ%台の減少を予想
・北米及び欧州:前年同期比1ケタ%台から10%台半ばの減少を予想
『Legion of Heroes』や『EA SPORTS FIFAオンライン3』を中心とするモバイルゲームの売り上げが韓国で伸びたものの、採算性が高く利益面でのけん引役となっていた中国での売り上げが低下したことに加え、『FIFA』など外部IPに係るロイヤリティ費用や人件費の増加が減益要因となった。さらに為替差損も発生したとのことだった。ジャンル別の売り上げをみると、PCオンラインゲームが前年同期比3%減の284億円だったのに対し、モバイルゲームは同16%増の84億円と好調に推移した。
決算説明会に臨んだオーウェン・マホニー氏(写真)は、「事業戦略上の課題として、事業の成長をけん引する分野に集中しており、面白くて新奇性のあるゲームを作るため、開発タイトルを絞り込んでいる。既存タイトルについては、ゲーム内のアイテム販売はゲームバランスを考慮し、無課金のユーザーにも楽しんでもらえるものとし、長期的な運用を目指した」と振り返った。
そうした取り組みの成果として、スマートフォン向け3DMMORPG『Legion of Heroes』と『EA SPORTS FIFAオンライン3』をあげた。『Legion of Heroes』は、リリース後、DAU(Daily Active Users)は高水準で安定し、韓国Google Playの売上ランキングでも10位近辺で安定的に推移しているという。後述するように月商も3億円を超えている。また、『EA SPORTS FIFAオンライン3』も、ワールドカップ開催中だけでなく、以後も好調に推移しており、韓国Google Play売上ランキングで10位圏内で安定的に推移しているとのこと。
マホニー氏は、「Kakaoと連携していないタイトルで、上位に入っているのは当社の2タイトルのみ。モバイルゲーム業界では、現在、カジュアルゲームアプリでないと成功できないという見方が依然として強いが、両タイトルの成功は、こうした常識を覆すものだ。モバイルゲームであっても、高品質ゲームへのニーズは強く、面白いゲームであれば長く遊んでもらえる。」と語った。
続く下半期では、大ヒットオンラインゲームの続編『メイプルストーリー2』(PC)や、モバイルゲーム『三剣豪』、開発パートナーであるShiver EntertainmentやRobotokiの新作タイトル、そして、gloopsが3本以上のネイティブゲームを提供する予定だ。マホニー氏は、『メイプルストーリー2』、『三剣豪』、『Durango』を注目タイトルとしてムービーも交えて紹介し、「私個人としても遊んでみたいタイトルばかりだ」と自信を見せた。
■地域別の業績動向…韓国が大きく伸長
(韓国)
モバイルゲームが大きく伸びたのは韓国市場で、売上収益が前年同期比56%増の134億円だった。『Legion of Heroes』と『EA SPORTS FIFAオンライン3』が大ヒットとなった。この2タイトルだけでなく、『アラド戦記』や『サドンアタック』、『メイプルストーリー』も前年同期比で成長したことも増収要因となった。月商だが、『EA SPORTS FIFAオンライン3』は非開示だったが、自社開発・運営である『Legion of Heroes』は月商3億円となっているそうだ。
(中国)
減益となった最大の要因である中国は、売上収益が同22%減の135億円となった。旧正月があった第1四半期からの反動で前四半期比でも大きなマイナスとなった。しかし、『アラド戦記』は、2013年の第4四半期に大きく売上を落とした状況からは復調しつつあるという。
最高財務責任者 (CFO)の植村 士朗氏(写真)は「『アラド戦記』は運用を開始して6年になることを考えると、今後、著しく成長していくことは考えづらい。ハイクオリティなアップデートと運用することで長く安定的に運用したい」とコメントした。
また、韓国でヒットしているスマートフォン向けMMORPG『Legion of Heroes』を第4四半期以降、中国でも展開する予定。先に開催された「ChinaJoy 2014」で中国で配信することを明らかにした。現地でのパブリッシングは、Chukongが担当する。
(日本)
日本は、売上高が同19%減の76億5600万円だった。モバイルが同15.5%減の59億円、PCが同27.6%減の16億円だった。モバイルとPCが大きなヒットタイトルがでなかったことが響いたという。こうしたなか、gloopsの新作『スカイロック』が大規模なプロモーション活動を展開し、6月の売上高が前月比で倍増となるなど明るい兆しも出てきたようだ。モバイルゲームのスマートフォンシフトが進むなか、gloopsが下半期では少なくとも3タイトル以上のネイティブゲームアプリ、そしてネクソンが韓国のゲーム会社の開発したネイティブゲームも提供する予定だ。
(北米・欧州)
北米は、売上収益が同22%減の11億3100万円、欧州及びその他の地域が同33%減の11億4400万円だった。『Dirty Bomb』や『Legion of Heroes』などの新規タイトルを下半期にかけてリリースする予定だ。その一方で、ネクソンでは月1社ペースでゲームデベロッパーとのパートナーシップ契約もしくは出資を行った旨を発表しているが、今後も引き続き欧米の有力ゲームデベロッパーとのパートナーシップ構築に取り組むという。欧米市場の嗜好に合ったゲームを提供することで新しい収益源として育てていく考えのようだ。
なお、モバイルを除くネクソン全体のKPI(評価指標)をみると、MAU(月次アクティブユーザー数)が26.9%減の5190万人だった。2013年10~12月期に中国を中心にMAUが大きく減少したが、「ボットやチートへの対策を施した結果であり、原因がはっきりしている。運営の質を重視したものであり、それ以降、旧正月の影響などの影響はあるが、安定している」(植村氏)。課金率は10.2%で横ばい。またARPPU(課金ユーザーあたりの平均売上)は同27.5%増の2781円と伸びた。
■第3四半期は引き続きモバイルが伸びる見通し
第3四半期の業績予想は、売上収益399~428億円(前年同期比0~7%増)、営業利益107~130億円(同34~20%減)、四半期純利益73~90億円(同9%減~12%増)を見込む。売上収益の内訳を見ると、PCゲームが同4%減~3%増の329億円、モバイルゲームが同19%~30%増となっており、引き続きモバイルゲームが伸びる見通しだ。
利益面では、『EA SPORTS FIFAオンライン3』などの外部IPタイトルに関連したロイヤルティ費用の増加や、給与と従業員数の増加などに伴う人件費の増加、利益率の高い中国の売り上げが相対的に低下することなどにより、営業利益は前年比でマイナスとなる見通し。また韓国、北米、欧州などでの新規ゲームリリースに伴うマーケティング費用も収益を圧迫する。
なお、売上収益と営業利益は予想レンジを上振れる状況が続いている。会場から業績予想の考え方について変化の有無を確認する質問があった。これに対し、植村氏は「実績は結果として上振れた。予測可能な限りで材料を揃えて業績予想を作ったもので、ガイダンスの出し方は変えていない。ただ、業界全体が変動しているため、正確な予測が難しい部分もある」と回答した。
各国・地域別の業績見通しは以下のとおり。
・韓国:前年同期比2ケタ%台の増加を予想。
・中国:前年同期比1ケタ%台半ばから1ケタ%台後半の減少を予想。
・日本:前年同期比10%台後半から2ケタ%台の減少を予想
・北米及び欧州:前年同期比1ケタ%台から10%台半ばの減少を予想
会社情報
- 会社名
- 株式会社ネクソン
- 設立
- 2002年12月
- 代表者
- 代表取締役社長 イ・ジョンホン(李 政憲)/代表取締役CFO 植村 士朗
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上収益4233億5600万円、営業利益1347億4500万円、最終利益706億0900万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3659