ドリコム<3793>は、10月30日、東京都内で2015年3月期第2四半期決算説明会を開催した。同社の発表した第2四半期(7-9月期)の連結決算は、売上高18億9500万円(前四半期比4.3%減)、営業利益1億7300万円(同56.1%増)となり、4-6月期と比較(QonQ)して大幅な営業増益を達成した。営業利益を当初ゼロとしていたが、それを大きく上回る着地となった。
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決算説明会に臨んだ内藤裕紀社長(写真)は、「ネイティブゲームに人員を寄せた結果、安定した収益が出せるようになり、営業赤字から抜け出せた。ようやく勝負できる土俵に乗った」と取り組みの成果に自信を示した。そして「IPがあったからうまくいったと思われている部分もあるので、次のオリジナルゲームが分水嶺になる。そこでどれだけの結果が出せるかが勝負になる。」とさらなる成長にはオリジナルタイトルのヒットが不可欠との見方を示した。現在、新規で4タイトルのオリジナルタイトルの開発を行っており、新作を通じてさらなる飛躍を目指していく。
■他社配信タイトルが全体の5割超に
増収増益となった要因は、利益の殆どを稼ぐゲーム事業が好調だったことが主な要因。既存のソーシャルゲームの縮小傾向が続いたものの、バンダイナムコゲームスと共同配信中の『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストシューターズ』や『ONE PIECEトレジャークルーズ』といった大型IPタイトルが順調に推移した。とりわけ、5月にリリースされた『ONE PIECEトレジャークルーズ』が好調なユーザー獲得をドライバーに売り上げランキングも上昇トレンドに入ったという。
収益性の高いネイティブゲームの売り上げの伸びに加え、外注費や労務費などの削減を行い、運用合理化を行ったことも増益要因となった。収益性の高いネイティブゲームというと、少しわかりづらいが、当該アプリの決済金額を売上計上する「グロス」(総額)ではなく、売上のうち、ドリコムの取り分のみを計上する「ネット」としているためだ。このため、自社配信に比べて利益率が高くなる傾向にある。
タイトル別の売上推移をみると、他社配信タイトルの割合はさらに拡大し、事業全体の半分以上を占めるに至った。またブラウザゲームなど既存タイトルに関しては、『ちょこっとファーム』が堅調に推移したものの、他のタイトルは予想よりも緩やかだが引き続き低下傾向にあったとのこと。またサイバーコネクトツーとの共同タイトル『フルボッコヒーローズ』に関してはテコ入れを行った結果、増勢に転じつつあるという。
さらに、子会社で開発中の新規ゲームのリリースを第4四半期以降に延期したことに伴い、予定していた広告宣伝費が後ズレしたこともプラス要因になったという。
■第3四半期は谷間の最後、その後は上昇トレンド入り目指す
続く第3四半期(10~12月)の連結業績について、売上高17億円(前四半期比10.3%減)、営業利益0円(同1億7300万円の黒字)、経常利益0円(同1億6800万円の黒字)、四半期純利益0円(同9300万円の黒字)とし、減収・減益となる見通し。内藤氏は「以前、第2-3四半期が谷間になると話したが、今回の第3四半期が谷間の最後になる。その後、再度の成長トレンドに入りたい」とコメントした。では、第3四半期はどういった予想の前提になっているのか。
内藤氏は、「ネイティブゲームは引き続き増えているが、巡航水準とした。つまり、横バイで推移するとの前提だ。その一方、『Reign of Dragons』のサービスを終了するなど既存タイトルはマイナスが続くため、全体としては減収になる」とコメントした。また、リニューアルを行った『フルボッコヒーローズ』に関しては復調してきているため、第2四半期に比べて売り上げが若干の伸びることを前提にしたもよう。
これ以外にも新作ゲームの開発や広告宣伝費以外にも、「DropMusic」と「DropComics」の広告宣伝活動も行うとともに、体制強化に向けた人員増も行っていく方針。また楽天との合弁会社「株式会社ReDucate(リデュケート)」に関してもコスト先行となるため、利益面にはマイナスに働く。ゲーム以外の事業に関しては、収益のボラティリティを下げるための安定した収益源に育てていきたいという考えがあるようだ。
■新規4タイトルを開発中 『Color』は12月より事前登録
今後の業績を左右する新作に関しては、まず『Color』のティザーサイトを開設した。12月に事前登録を行うが、それに合わせて、ゲーム内容の情報公開を順次行うとともに、プロモーション活動も行う考え。子会社グリモアのタイトルは、第4四半期以降にリリース時期が変更された。「今期に出せるかどうかはわからないので、コストのみを予想に盛り込んだ。開発ラインは2本走っており、合計4本のラインが開発中である」という。
またアプリの開発費・開発期間についても言及があった。内藤氏によれば、開発期間としてブラッシュアップを含めて10ヵ月、そして2億円の開発費用かかっているという。コスト抑制なども行っているが、業界全体としてもコストと開発期間の上昇トレンドは続いているそうだ。また広告宣伝費もオリジナルのゲームの場合、100万や200万ダウンロードだとネット広告だけで可能だが、300万~500万ダウンロードになるとテレビCMなどが必要になっているという。
競争環境が厳しくなる中、ドリコムでは、ゲームの企画をする際、新しいコミュニケーンションを生むなど既存タイトルで実現できていないユーザー体験をいかに提供するかを重視しているそうだ。『Color』については「広いユーザー層がターゲットだが、社内で試遊を始めた。『開発チームからこういう新しい体験を想定している』と説明を受けたが、悔しいが、開発者の思惑通りになってしまった(笑)。自信がある。」と述べた。 開発が順調に進んだ場合、広告宣伝は前倒しで行われる可能性もある。
このほか、ゲームの収益獲得は、課金収益がメインだったが、今後、広告も組み合わせた収益モデルも模索していくそうだ。海外市場でも、課金収益に加えて、広告収益が一定の割合を占めるようになっているという。ゲームを媒体とした広告収益に関しても実験を開始する。
■無料音楽ストリーミングアプリ『DropMusic』
スマートフォン向け音楽ストリーミングアプリ『DropMusic』は、現在、500万ユーザーを抱えるサービスに成長した。現在、レコード会社などと組んで、いかに新しい音楽の楽しみ方を提供するかを模索しているという。アプリ利用者のデータを検証したところ、通勤通学などのスキマ時間に利用されるため、ピークタイムがなく1日中、まんべんなく聞いていることがわかるそうだ。従来のCDでは寝る前などが多かったという。
また、音楽産業の状況については、itunesなどでの音楽配信や着うたなどの売り上げは下がり続けており、1曲あたりいくらというモデルから変化し始めている、との見方を示した。こうしたなか、今後、これまでのゲームの運用経験を活かして、音楽産業と共生を図りながら収益化につなげていくかが課題としているとのこと。
■無料漫画アプリ『DropComics』
同様に無料漫画アプリ『DropComics』については、1日30分まで無料読み放題とするモデルで、現在、人気名作マンガ「シュート!」、「シュート!~蒼きめぐり逢い~」、「THE MOMOTAROH」、「THE MOMOTAROH Part2」を配信しており、今後順次増やしていく計画。こちらもユーザーのデータから、従来のコミックスなどと比較して、利用シーンそして利用時間に変化が見られるという。
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決算説明会に臨んだ内藤裕紀社長(写真)は、「ネイティブゲームに人員を寄せた結果、安定した収益が出せるようになり、営業赤字から抜け出せた。ようやく勝負できる土俵に乗った」と取り組みの成果に自信を示した。そして「IPがあったからうまくいったと思われている部分もあるので、次のオリジナルゲームが分水嶺になる。そこでどれだけの結果が出せるかが勝負になる。」とさらなる成長にはオリジナルタイトルのヒットが不可欠との見方を示した。現在、新規で4タイトルのオリジナルタイトルの開発を行っており、新作を通じてさらなる飛躍を目指していく。
■他社配信タイトルが全体の5割超に
増収増益となった要因は、利益の殆どを稼ぐゲーム事業が好調だったことが主な要因。既存のソーシャルゲームの縮小傾向が続いたものの、バンダイナムコゲームスと共同配信中の『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストシューターズ』や『ONE PIECEトレジャークルーズ』といった大型IPタイトルが順調に推移した。とりわけ、5月にリリースされた『ONE PIECEトレジャークルーズ』が好調なユーザー獲得をドライバーに売り上げランキングも上昇トレンドに入ったという。
収益性の高いネイティブゲームの売り上げの伸びに加え、外注費や労務費などの削減を行い、運用合理化を行ったことも増益要因となった。収益性の高いネイティブゲームというと、少しわかりづらいが、当該アプリの決済金額を売上計上する「グロス」(総額)ではなく、売上のうち、ドリコムの取り分のみを計上する「ネット」としているためだ。このため、自社配信に比べて利益率が高くなる傾向にある。
タイトル別の売上推移をみると、他社配信タイトルの割合はさらに拡大し、事業全体の半分以上を占めるに至った。またブラウザゲームなど既存タイトルに関しては、『ちょこっとファーム』が堅調に推移したものの、他のタイトルは予想よりも緩やかだが引き続き低下傾向にあったとのこと。またサイバーコネクトツーとの共同タイトル『フルボッコヒーローズ』に関してはテコ入れを行った結果、増勢に転じつつあるという。
さらに、子会社で開発中の新規ゲームのリリースを第4四半期以降に延期したことに伴い、予定していた広告宣伝費が後ズレしたこともプラス要因になったという。
■第3四半期は谷間の最後、その後は上昇トレンド入り目指す
続く第3四半期(10~12月)の連結業績について、売上高17億円(前四半期比10.3%減)、営業利益0円(同1億7300万円の黒字)、経常利益0円(同1億6800万円の黒字)、四半期純利益0円(同9300万円の黒字)とし、減収・減益となる見通し。内藤氏は「以前、第2-3四半期が谷間になると話したが、今回の第3四半期が谷間の最後になる。その後、再度の成長トレンドに入りたい」とコメントした。では、第3四半期はどういった予想の前提になっているのか。
内藤氏は、「ネイティブゲームは引き続き増えているが、巡航水準とした。つまり、横バイで推移するとの前提だ。その一方、『Reign of Dragons』のサービスを終了するなど既存タイトルはマイナスが続くため、全体としては減収になる」とコメントした。また、リニューアルを行った『フルボッコヒーローズ』に関しては復調してきているため、第2四半期に比べて売り上げが若干の伸びることを前提にしたもよう。
これ以外にも新作ゲームの開発や広告宣伝費以外にも、「DropMusic」と「DropComics」の広告宣伝活動も行うとともに、体制強化に向けた人員増も行っていく方針。また楽天との合弁会社「株式会社ReDucate(リデュケート)」に関してもコスト先行となるため、利益面にはマイナスに働く。ゲーム以外の事業に関しては、収益のボラティリティを下げるための安定した収益源に育てていきたいという考えがあるようだ。
■新規4タイトルを開発中 『Color』は12月より事前登録
今後の業績を左右する新作に関しては、まず『Color』のティザーサイトを開設した。12月に事前登録を行うが、それに合わせて、ゲーム内容の情報公開を順次行うとともに、プロモーション活動も行う考え。子会社グリモアのタイトルは、第4四半期以降にリリース時期が変更された。「今期に出せるかどうかはわからないので、コストのみを予想に盛り込んだ。開発ラインは2本走っており、合計4本のラインが開発中である」という。
またアプリの開発費・開発期間についても言及があった。内藤氏によれば、開発期間としてブラッシュアップを含めて10ヵ月、そして2億円の開発費用かかっているという。コスト抑制なども行っているが、業界全体としてもコストと開発期間の上昇トレンドは続いているそうだ。また広告宣伝費もオリジナルのゲームの場合、100万や200万ダウンロードだとネット広告だけで可能だが、300万~500万ダウンロードになるとテレビCMなどが必要になっているという。
競争環境が厳しくなる中、ドリコムでは、ゲームの企画をする際、新しいコミュニケーンションを生むなど既存タイトルで実現できていないユーザー体験をいかに提供するかを重視しているそうだ。『Color』については「広いユーザー層がターゲットだが、社内で試遊を始めた。『開発チームからこういう新しい体験を想定している』と説明を受けたが、悔しいが、開発者の思惑通りになってしまった(笑)。自信がある。」と述べた。 開発が順調に進んだ場合、広告宣伝は前倒しで行われる可能性もある。
このほか、ゲームの収益獲得は、課金収益がメインだったが、今後、広告も組み合わせた収益モデルも模索していくそうだ。海外市場でも、課金収益に加えて、広告収益が一定の割合を占めるようになっているという。ゲームを媒体とした広告収益に関しても実験を開始する。
■無料音楽ストリーミングアプリ『DropMusic』
スマートフォン向け音楽ストリーミングアプリ『DropMusic』は、現在、500万ユーザーを抱えるサービスに成長した。現在、レコード会社などと組んで、いかに新しい音楽の楽しみ方を提供するかを模索しているという。アプリ利用者のデータを検証したところ、通勤通学などのスキマ時間に利用されるため、ピークタイムがなく1日中、まんべんなく聞いていることがわかるそうだ。従来のCDでは寝る前などが多かったという。
また、音楽産業の状況については、itunesなどでの音楽配信や着うたなどの売り上げは下がり続けており、1曲あたりいくらというモデルから変化し始めている、との見方を示した。こうしたなか、今後、これまでのゲームの運用経験を活かして、音楽産業と共生を図りながら収益化につなげていくかが課題としているとのこと。
■無料漫画アプリ『DropComics』
同様に無料漫画アプリ『DropComics』については、1日30分まで無料読み放題とするモデルで、現在、人気名作マンガ「シュート!」、「シュート!~蒼きめぐり逢い~」、「THE MOMOTAROH」、「THE MOMOTAROH Part2」を配信しており、今後順次増やしていく計画。こちらもユーザーのデータから、従来のコミックスなどと比較して、利用シーンそして利用時間に変化が見られるという。
会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高97億7900万円、営業利益9億300万円、経常利益7億9300万円、最終利益1億400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793