モブキャスト決算説明会 QoQで売上横ばい、宣伝費投下のため減益。『モバノブ』は売上予想を下回る。『モバサカ』開発チームの新作を準備中
モブキャスト<3664>は11月7日、2014年12月期第3四半期累計(1-9月期)の連結業績を発表し、都内で決算説明会を開催した。売上高は29億4300万円(前年同期比24.7%減)と減収にとどまったものの、営業利益は2億2000万円(前年同期1億4400万円の赤字)、経常利益2億2100万円(同1億1000万円の赤字)、四半期純利益1億3400万円(同1億3500万円)と各利益項目は黒字転換を果たした。
説明会で藪考樹社長は、第3四半期(3Q、7-9月期)の営業利益が前四半期(2Q、4-6月期)比で大幅減益でありながらも、アプリストア対策のタイミングで一時的に広告宣伝費を投下したことを説明。先日発表した通期業績予想の売上高の下方修正に関しては、『モバノブ』の売上不振が原因であることを吐露した。そのほか新作ネイティブゲームの発表も相次いだ。(以下、かぎ括弧内は藪社長の発言)
3Qの業績は前年同期比で減収だが、四半期別で見ると売上高は9億1000万円と、前四半期比でほぼ横ばいとなった。9月に自社タイトルのアプリストアの最適化を目的としたリニューアルを実施し、プラットフォーム「mobcast」の会員数が増加したことが大きな要因となる。
営業利益は、前年同期比で黒字転換を果たしたが、前述したアプリストア対策に併せた積極的な広告展開のため、前四半期比で82%減の827万円と大幅減益だが、藪社長は「計画的なもの」とコメント。
▲売上高の推移(四半期)
▲営業利益の推移(四半期)
費用の推移は、当初の予定通り3Qで一時的な広告宣伝費を計上し、前四半期比の5900万円に対して、1億1700万円と倍近く増加している。
▲費用の推移(四半期)
また、上記の積極的なプロモーション施策が奏功し、プラットフォーム「mobcast」における日本国内の会員数が68万人増加し、累計600万を突破。「韓国の会員数は積極的な広告展開は行っていないため、会員数は横ばい」とのこと。
広告宣伝費の投下タイミングにもなった“アプリストア対策”とは、これまで同社が提供していたブラウザ版のゲームをアプリ化して、App StoreやGoogle Playなどのストア上でもダウンロード可能とする、言わば側ネイティブにすることだ。
これらの施策は、3Qの最終月となる9月に、『モバプロ』(9月5日)と『モバサカ』(9月17日)でそれぞれ施した。また、アプリマーケットのユーザーに対応すべく、一画面ですべての機能に飛べるようなUI(ユーザーインターフェイス)にも最適化。藪社長は、「このアプリストア対策を機に、『モバサカ』を中心に積極的なプロモーション施策を行った。これによりストアのランキングが上昇し、会員数も急激に増加した」と述べ、「既存のブラウザゲーム事業の売上を増加させる計画ではないが、売上を維持するという意味ではユニークユーザー・課金利用者を獲得できている」と続けた。
▲2014年8月から9月までの間で急激な伸びを見せる
先日同社は、新作アプリ『ドラゴン★スピンZ』において、当初10月29日リリース予定であったが、12月上旬に延期することを発表した。延期の理由は、クオリティ追求を重視した結果、土壇場(9月)で仕様追加や変更が多発し、結果的にタイトなスケジュールのなかで開発したことが原因という。具体的な仕様追加などは、大きなゲーム性の変更ではなく、ユーザーが長く遊んでもらえるように、素早いステージ追加やデザインのブラッシュアップが中心とのこと。
また、本作は企画・デザインを日本で担当しているが、実際の開発は韓国スタジオで行っているため、これによる日韓のコミュニケーションの難しさも挙げた。「今回自社でネイティブゲームを開発するのは初めてだったが、次回以降の開発はしっかりノウハウを組み込んで対応していく」と、延期を通して学んだ開発工程を次回作で生かしていくことにも触れた。
ちなみに『ドラゴン★スピンZ』は、事前登録者数5万人を突破しており、前評判としては好調に推移しているようだ。
そして、決算発表日で初公開した新作パズルゲーム『18(エイティーン)』。本作は、同社の「スマートフォンのネイティブアプリで世界を狙う」というプロジェクト(GGCプロジェクト:Global Game Challenge Project)の第2弾。第1弾『ドラゴン★スピンZ』と同じく、『スペースチャンネル5』や『ルミネス』などを手掛けた世界的ゲームクリエイター・水口哲也氏が開発。また、『ルミネス』を手掛けたクリエイターが再集結し、開発に参画しているという。
なお、ジャンルは思考型ミステリアスパズルゲーム。パズルの気持ちよさや楽しさに加え、同社が掲げる独自のSVS(Social Victory Space)の概念を取り入れ、対戦の楽しさを引き出す、水口哲也氏ならではのゲームデザインが発揮されているとのことだ。イメージを見る限り、ジュエルを繋げて敵を倒すパズルRPG要素に加えて、キャラクター同士の掛け合いなどストーリー要素も充実していそうだ。配信予定は2014年12月末から2015年1月上旬を予定。
同社は10月15日に2014年12月期通期業績予想として、売上高が39億~41億円(修正前:53億円)、営業利益が2億5000万~3億円(修正前:1億円)、経常利益が2億5000万~3億円(修正前:1億円)、純利益が1億3000万~1億6000万円(修正前:1億円)と、幅を持たせた売上高の下方修正及び利益の上方修正を発表した。
おもな減収要因では、「期待していた新規ブラウザゲーム『モバノブ』が、売上予想を下回ったのが大きな原因である」と明かした。また、それ以外のブラウザゲームも予定より微減したほか、『ドラゴン★スピンZ』投入の遅れも原因となる。
対して増益要因では、広告効果が高く見込まれるタイトルにのみ広告宣伝費を投下する方針により、コストを適切にコントロールしてきた結果、増益の見込みとなったという。幅を持たせた数字としているのは、「新作がどれほど寄与するのかが見えないため」としている。また、『18』に関しては業績予想に含まず、「売上最大化を目指した時期を最優先に考えたいと思う」と藪社長は述べた。
ブラウザゲーム事業を中心としてきた同社だったが、この一年間で固定費を増やさずに、ネイティブ開発の環境を着々と整えてきた。「ブラウザゲームの売上を落とさないことを目標に、開発メンバーをネイティブゲーム開発に移しながら大きくしてきた。現在は4ライン動いているが、このほか来年度以降は世界市場に向けたタイトルの開発に注力できるのかと思う」と、今後の展開に向けてコメントした。
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説明会で藪考樹社長は、第3四半期(3Q、7-9月期)の営業利益が前四半期(2Q、4-6月期)比で大幅減益でありながらも、アプリストア対策のタイミングで一時的に広告宣伝費を投下したことを説明。先日発表した通期業績予想の売上高の下方修正に関しては、『モバノブ』の売上不振が原因であることを吐露した。そのほか新作ネイティブゲームの発表も相次いだ。(以下、かぎ括弧内は藪社長の発言)
■アプリストア対策を機に広告宣伝費を投下…QoQで減益だが「計画的なもの」
3Qの業績は前年同期比で減収だが、四半期別で見ると売上高は9億1000万円と、前四半期比でほぼ横ばいとなった。9月に自社タイトルのアプリストアの最適化を目的としたリニューアルを実施し、プラットフォーム「mobcast」の会員数が増加したことが大きな要因となる。
営業利益は、前年同期比で黒字転換を果たしたが、前述したアプリストア対策に併せた積極的な広告展開のため、前四半期比で82%減の827万円と大幅減益だが、藪社長は「計画的なもの」とコメント。
▲売上高の推移(四半期)
▲営業利益の推移(四半期)
費用の推移は、当初の予定通り3Qで一時的な広告宣伝費を計上し、前四半期比の5900万円に対して、1億1700万円と倍近く増加している。
▲費用の推移(四半期)
また、上記の積極的なプロモーション施策が奏功し、プラットフォーム「mobcast」における日本国内の会員数が68万人増加し、累計600万を突破。「韓国の会員数は積極的な広告展開は行っていないため、会員数は横ばい」とのこと。
広告宣伝費の投下タイミングにもなった“アプリストア対策”とは、これまで同社が提供していたブラウザ版のゲームをアプリ化して、App StoreやGoogle Playなどのストア上でもダウンロード可能とする、言わば側ネイティブにすることだ。
これらの施策は、3Qの最終月となる9月に、『モバプロ』(9月5日)と『モバサカ』(9月17日)でそれぞれ施した。また、アプリマーケットのユーザーに対応すべく、一画面ですべての機能に飛べるようなUI(ユーザーインターフェイス)にも最適化。藪社長は、「このアプリストア対策を機に、『モバサカ』を中心に積極的なプロモーション施策を行った。これによりストアのランキングが上昇し、会員数も急激に増加した」と述べ、「既存のブラウザゲーム事業の売上を増加させる計画ではないが、売上を維持するという意味ではユニークユーザー・課金利用者を獲得できている」と続けた。
▲2014年8月から9月までの間で急激な伸びを見せる
■新作の発表が相次ぐ…『モバサカ』開発チームの新作も2015年リリース予定
先日同社は、新作アプリ『ドラゴン★スピンZ』において、当初10月29日リリース予定であったが、12月上旬に延期することを発表した。延期の理由は、クオリティ追求を重視した結果、土壇場(9月)で仕様追加や変更が多発し、結果的にタイトなスケジュールのなかで開発したことが原因という。具体的な仕様追加などは、大きなゲーム性の変更ではなく、ユーザーが長く遊んでもらえるように、素早いステージ追加やデザインのブラッシュアップが中心とのこと。
また、本作は企画・デザインを日本で担当しているが、実際の開発は韓国スタジオで行っているため、これによる日韓のコミュニケーションの難しさも挙げた。「今回自社でネイティブゲームを開発するのは初めてだったが、次回以降の開発はしっかりノウハウを組み込んで対応していく」と、延期を通して学んだ開発工程を次回作で生かしていくことにも触れた。
ちなみに『ドラゴン★スピンZ』は、事前登録者数5万人を突破しており、前評判としては好調に推移しているようだ。
そして、決算発表日で初公開した新作パズルゲーム『18(エイティーン)』。本作は、同社の「スマートフォンのネイティブアプリで世界を狙う」というプロジェクト(GGCプロジェクト:Global Game Challenge Project)の第2弾。第1弾『ドラゴン★スピンZ』と同じく、『スペースチャンネル5』や『ルミネス』などを手掛けた世界的ゲームクリエイター・水口哲也氏が開発。また、『ルミネス』を手掛けたクリエイターが再集結し、開発に参画しているという。
なお、ジャンルは思考型ミステリアスパズルゲーム。パズルの気持ちよさや楽しさに加え、同社が掲げる独自のSVS(Social Victory Space)の概念を取り入れ、対戦の楽しさを引き出す、水口哲也氏ならではのゲームデザインが発揮されているとのことだ。イメージを見る限り、ジュエルを繋げて敵を倒すパズルRPG要素に加えて、キャラクター同士の掛け合いなどストーリー要素も充実していそうだ。配信予定は2014年12月末から2015年1月上旬を予定。
上記の『ドラゴン★スピン』と『18』に加えて、コードネーム「プロジェクトMD」と「プロジェクトコーテル」の2タイトルも開発中。「プロジェクトMD」は、『モバプロ』や『モバサカ』を手掛けた開発チームの新作として、2015年1Q~2Qリリースを目標に進行している。「プロジェクトコーテル」は、2015年下期に向けた大型タイトルとして現在は開発準備中とのこと。
■『モバノブ』は売上予想を下回る。同社のネイティブ開発環境が着々と整う
同社は10月15日に2014年12月期通期業績予想として、売上高が39億~41億円(修正前:53億円)、営業利益が2億5000万~3億円(修正前:1億円)、経常利益が2億5000万~3億円(修正前:1億円)、純利益が1億3000万~1億6000万円(修正前:1億円)と、幅を持たせた売上高の下方修正及び利益の上方修正を発表した。
おもな減収要因では、「期待していた新規ブラウザゲーム『モバノブ』が、売上予想を下回ったのが大きな原因である」と明かした。また、それ以外のブラウザゲームも予定より微減したほか、『ドラゴン★スピンZ』投入の遅れも原因となる。
対して増益要因では、広告効果が高く見込まれるタイトルにのみ広告宣伝費を投下する方針により、コストを適切にコントロールしてきた結果、増益の見込みとなったという。幅を持たせた数字としているのは、「新作がどれほど寄与するのかが見えないため」としている。また、『18』に関しては業績予想に含まず、「売上最大化を目指した時期を最優先に考えたいと思う」と藪社長は述べた。
ブラウザゲーム事業を中心としてきた同社だったが、この一年間で固定費を増やさずに、ネイティブ開発の環境を着々と整えてきた。「ブラウザゲームの売上を落とさないことを目標に、開発メンバーをネイティブゲーム開発に移しながら大きくしてきた。現在は4ライン動いているが、このほか来年度以降は世界市場に向けたタイトルの開発に注力できるのかと思う」と、今後の展開に向けてコメントした。
© 2014 mobcast inc. All Rights Reserved
会社情報
- 会社名
- 株式会社モブキャストホールディングス
- 設立
- 2004年3月
- 代表者
- 代表取締役CEO 藪 考樹
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高33億7100万円、営業損益4億2800万円の赤字、経常損益4億3600万円の赤字、最終損益3億8000万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3664