【インタビュー】単純なIP農園ゲームに留まらない衝撃的な結末が…ワンオブゼム・武石社長に訊く『うさぎのモフィ そらとぶワタ農園のひみつ』



ワンオブゼムは、人気キャラクター『うさぎのモフィ』を題材にした“ものがたり農園ゲーム”『うさぎのモフィ そらとぶワタ農園のひみつ』のリリースを、2015年春に予定している。
 
『うさぎのモフィ』とは、リラックマの作者であるコンドウアキ氏とソニー・クリエイティブプロダクツ(SCP)が共同開発したキャラクター。世界初となるコットンで作ったコマ撮りアニメーションは世界25ヵ国で放送され、日本ではNHK Eテレで第2シリーズが放映されているほか、絵本やショートコミック、ウェブアニメーションが公開されており、女性を中心に人気が高まっている。
 
本稿では、アプリ版『うさぎのモフィ そらとぶワタ農園のひみつ』のプロデューサーを務める株式会社ワンオブゼムの代表取締役 武石幸之助氏にインタビューを実施し、開発経緯やゲームの魅力について伺ってきた。単純なIPを使った農園ゲームかと思いきや、本作は様々な仕掛けが施された意欲的なゲームアプリであった。

 

■ストーリー主体の農園ゲーム…「シナリオの結末は衝撃的な展開に」



株式会社ワンオブゼム 代表取締役
武石幸之助

――:本日はよろしくお願いします。今回『うさぎのモフィ』を題材にした農園ゲームを開発しているとのことですが、そもそもプロジェクトの発足経緯について教えてください。

もともと弊社ワンオブゼムは、『海の上のカメ農園』という農園系のソーシャルゲームの開発から始まったゲーム会社です。今回新しい作品を開発するうえで、私自身も久々にプロデューサーとして参画することになったとき、我々の強みでもある農園ゲームを今一度ネイティブの世界で再現できないかと思ったのがはじまりです。

もちろん、すでに先行しているタイトルが複数あり、なおかつ他社も大きなプロモーションをかけられているので、月並みな農園ゲームは作りたくありませんでした。そこで改めて「我々の強みって一体なんだろう」と原点に立ち返ったとき、『海の上のカメ農園』は農園ゲームの王道というよりかは、既存のスキームのなかに新しいゲーム性を取り入れた挑戦的なプロダクトであることに気付きました。

そして、今回作る農園ゲームにも新しいエッセンスを取り入れるため、様々なことを考えていった結果、きちんとキャラクターの世界観を作ることに加えて、そこに従来の作品には無いストーリー性を持たせることにしました。

 


――:なるほど。

たいがい農園ゲームは、単純なゲームサイクルのなかで進んでいき、言わば作業ゲーになることがほとんどです。もちろんそれは魅力でもありますが、『海の上のカメ農園』では作業ゲーだけに留まらず、きちんとユーザーさんが進んでいる感覚を意識的に取り入れたことで、多くの方々に楽しんでいただけたという実績がありました。そこで今回は、新たに農園ゲームにストーリー性を加味したタイトルというのをコンセプトにしました


――:そこですでに世界観やキャラクター性のあるIPを用いたタイトルにと考えられたのですね。
 

はい。ゼロからキャラクターを立ち上げる苦労は、実際に我々も幾度か経験しています。今回は決して工数的に大変だからという理由でIPタイトルを選んだわけではなく、あくまでもゲームの魅力を最大限広げてくれる“可能性のあるキャラクター”を題材にしたいと考えたのです。その矢先に、ちょうど2008年に出版された絵本『うさぎのモフィ』と出会ったのです。

一見、可愛らしい絵本ですが、その内容は女性目線から語れる心の本質や感情の抑揚が描かれていました。この絵本を見たときに自分のなかで「ピン」と来て、『うさぎのモフィ』のキャラクターたちと一緒にやりたいと思い、版権を持つソニー・クリエイティブプロダクツさんにお声がけしました。



――:先方のリアクションはいかがでしたか。

『うさぎのモフィ』は5~6年経つコンテンツですが、版権を持つソニーさん側も2015年は積極的に露出していきたいとおっしゃっていました。スマホ市場に参入経験のある弊社と組むことで、デジタルマーケットにチャレンジできる可能性を感じ取っていただけたのか、非常にスムーズに話は進んでいきました。


――:『海の上のカメ農園』で得たノウハウを、本作ではどのように活かしましたか。

やはり農園ゲームが持つ最低限のゲームループや魅力は、すでに体感値としてノウハウがあります。本作ではそこの要素をこぼさず、さらに今のスマホゲームで求められている内容を、どれだけ入れられるかということに時間をかけていきました。
 



――:本作ならではの特徴はありますか。
 
既存の農園ゲームの多くは、与えられた土地をアイテムを使って開拓していきますが、本作ではそこの障壁を一切無くしています。ここは『海の上のカメ農園』のスキームを踏襲して、ランクが上がると勝手に島が拡大していくようになっています。そのため、ユーザーさんからすると、既存の農園ゲームよりもはるかに自由度の高いデコレーションができるようになっています。

また、ゲーム進行としては、モフィを新たなエリアに導いていくワールドマップ形式を採用しています。つまりユーザーさんは、農園世界のなかで1個1個クエストを解決したり、ある条件を達成したりすると、徐々にワールドマップのエリアを解放させることができるのです。なおかつ、エリアが解放されるたびに隠された新しい素材やデコレーションが入手できます。

 

▲ワールドマップ
 

▲エリアマップ


――:ストーリー性も備えているとのことですが、モフィたちの会話劇もあるのですか。
 
そうですね。モフィとその友達たちとの掛け合いも用意しています。『海の上のカメ農園』の反省点として、進んでいく目標設定はあったものの、「進んだ結果何があるのか」…というものは明確にしていませんでした。

【ものがたり】
――あらすじ―—
空にふわふわ浮かぶ大きなワタがありました。
よく見ると、それは、上に農園がのっかった、ちょっとおかしな島のようなワタでした。
あてもなく、ふわふわと動いている島の上には、
ぽつんと、ふわふわの小さな白いうさぎの女の子が寝ていました。
そのうさぎの女の子の名前は「モフィ」
この物語は、そんなうさぎの女の子とあなたと、
このワタの島をめぐる、長い長い夢のようなお話です。
しかし、そのワタの島には、決して触れてはいけない「ひみつ」がありました。
「この島はどこへいこうとしているの?」
「この島の中には一体なにがあるの?」
「お友達は、みんなどうして、わたしにだけひみつを隠すの?」
そのひみつを知らないのは、モフィとあなただけ。
いつしか、あなたとモフィの旅は、そのひみつを解き明かす長い旅に変わるのでした。

 



――:そうしてストーリー性がゲームのなかで重要になってくるのですね。ちなみに、本作のシナリオはどなたが。

私が書いています(笑)。本作のジャンル表記は“ものがたり農園ゲーム”と銘打っており、まさにここは根幹とも言うべきところなので、非常にこだわっています。タイトルも『うさぎのモフィ そらとぶワタ農園のひみつ』とストーリー性が感じられる名称にしています。


――:シナリオの結末も考えられているのですか。
 
はい。かなり衝撃的な結末を迎えます(笑)
 


――:え、そうなんですね!? でも可愛らしい『うさぎのモフィ』で衝撃的って……想像つきません。
 
すでに原作者の許可も取れています。これまでの『うさぎのモフィ』の雰囲気とは、少し大人びた結末を考えています。ちなみに社内でも結末を知っているのは2、3人ですね(笑)。本当に秘密裏に進んでいます。
 
 
――:これは新しいです……。ですが、運営タイプのゲームアプリで結末が用意されているのは珍しいかと思います。正直な話、マネタイズの点においてもご苦労もあるかと思います。
 
たしかに、きちんと結末が用意されているタイトルは他社でも少ないかと思います。とはいえ、もしこのスキームが今後受け入れられるのであれば、実際に第2部や第3部など物語を新たに追加して、続けていけるタイプも想定していきます。マネタイズは、基本的に時短と特別なデコレーションアイテムの購入などが中心です。従来の農園ゲームと同様ですが、そこに加えて本作には「物語の続きを読みたい」という欲求も重なるなど、継続率が高くなるような設計となっています。
 

▲レアガチャ
 

――:原作『うさぎのモフィ』のターゲット層はどこにあるのでしょうか。
 
子供に読み聞かせるのはもちろんですが、じつはOLや主婦層など女性向けから始まった作品となっています。現在はTVアニメも放送されていて、幅広い層から支持を集めています。
 
 
――:TVアニメはコットンで作ったコマ撮りアニメーションとして人気ですが、モフィをゲーム上で表現する際に、何かこだわった部分はありますか。
 
そうですね……すべてにおいてこだわったというのが正しいですね。原作者のコンドウさんや版権元のソニーさん含め、みなさん本当に『うさぎのモフィ』に対しては並々ならぬポリシーを持っているため、それらを出来るだけ反映できるように努めていきました。以前公開したプロモーション動画も私が監修したのですが、そこでもキャラクターの形状や綿の雰囲気ひとつとっても細かく調整し、何度もチェックにも出してブラッシュアップしていきました。
 
 
 
――:今回の作品を手掛ける際に、武石さんご自身でも『うさぎのモフィ』についてかなり勉強されたかと思います。武石さんが思う『うさぎのモフィ』の魅力とはなんでしょう。
 
私とモフィとの出会いは、先ほども話したように原作の絵本がはじまりでした。絵本では、モフィが「大切なものとは何か」を探しに旅に出るのですが、そこで出会ったカエルのケリーとの交流をもとに、「自分は強がらなくても大丈夫」、「ありのままを受け入れよう」という答えに行き着きます。そんな一見子供向けかと思いきや、大人の心も包み込むメッセージ性溢れる物語が魅力ですね。ひとつひとつのセリフも「新しい明日はアタシのため息を消してくれるのかしら」など、とても心に残る印象的なものになっています。
 

――:海外展開はいかがでしょうか。御社のタイトルは『ガチャウォリアーズ』などタブレットファーストで考えているようにも見受けられます。

もちろん海外展開は視野に入れています。すでに『うさぎのモフィ』のテレビアニメは世界25ヵ国で放送されており、実際にアプリをリリースする際には、各国のターゲット・戦略に併せて作り変える必要が出てくるかもしれません。また、弊社は特段タブレットファーストではないのですが、意識的にタブレットにおける操作性も考えながら開発に臨んでいます。


――:リリース後は、どのような運営方針を考えられていますか。

基本的に本作は3種類のゲームの楽しみ方があると思っています。ひとつ目は本作独自の要素となるストーリー性、ふたつ目はその自由度の高さからできる各ユーザーの個性的な農園レイアウト、みっつ目はユーザー間でのコミュニケーション。我々としてもデコレーション配置などを楽しみながら遊んでいただきたいと考えているので、それに付随したイベントも企画していきたいです。


――:それでは、最後に「Social Game Info」読者にメッセージをお願いします。

『ガチャウォリアーズ』をリリースしたときもそうでしたが、弊社が手掛ける作品について毎回「こう来たか…」と言っていただいています。私自身がゲーム作りで大切にしていることは、既存のスキームに対して新しいアイデアを取り入れ、より良い作品が作れないかということです。ワンオブゼムは、何かしらの「THE ONE」なエッセンスを入れる物作りをすることがポリシーなので、そうした楽しみが本作でも味わえると思っています。


――:本日はありがとうございました。
 
(取材・文:編集部 原孝則)
 

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■『うさぎのモフィ そらとぶワタ農園のひみつ』
 


■ワンオブゼム
 


© ONE of THEM/aki kondo/SCP
株式会社ワンオブゼム
http://oneofthem.jp/

会社情報

会社名
株式会社ワンオブゼム
設立
2011年1月
代表者
代表取締役 武石 幸之助
決算期
12月
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