【2015年1~3月のゲーム関連株動向】提携の任天堂・DeNAはともに上昇率上位に 任天堂は時価総額が約7000億円増加 3月にバッドニュースが相次いだgumiは下落率3位に
2015年も4月に入り、四半期(1~3月)を経過した。そこで今回はその四半期期間におけるゲーム関連株の動きを振り返ってみたい。
下の表は、現在上場しているゲーム関連株の主だったものをピックアップし、年初(1月5日)の始値から3月31日の終値までの騰落率をまとめたものになる(2月23日上場のシリコンスタジオ<3907>は上場初値からの騰落率。3月25日に上場したAiming<3911>、同26日に上場したモバイルファクトリー<3912>は期間が短いため表に含まず)。
■上昇率が大きかったのはアクロディア、メディア工房、DeNAなど
期間中の上昇率が最大となったのは、アクロディア<3823>だ。アクロディアは、エイタロウソフトと共同タイトルである『対戦パズル バトルブレイブ』(Android版が2月16日配信開始、関連記事)が材料視された格好だ。ただ、期間中の高値は2月9日の2292円で、その時点では1月5日から495.3%の上昇となっていただけに、足元は下落トレンドから800円台で値固めができるかどうかという難しい局面に置かれている。
続いて2位にはメディア工房<3815>、3位にはディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>が続いた。メディア工房は、1月下旬に発表した新ゲームブランド「OBOK AIDEM」を始動(関連記事)、そしてその第1弾タイトル『BOOST BEAST』が主な株価材料となっている。ただ、同社も月次売上高の低迷(関連記事)を背景に足元は下落トレンドの渦中にある。
それに対し、DeNAは、3月後半に入ってから急騰局面にある。そのきっかけはやはり任天堂<7974>との業務・資本提携の発表(関連記事)だ。株価はそれまでの1000円台半ばでの推移から一気に2000円台へとポジションを変えてきた。ちなみに提携相手の任天堂も6位となるなど大幅な上昇を演じている。また、両社の提携発表を契機にゲーム業界の再編への思惑もくすぶっている。
ほか、第1四半期決算の好調ぶりが際立ったサイバーエージェント<4751>が4位、スクウェア・エニックスの『ファイナルファンタジーXI』の派生タイトル『ファイナルファンタジーグランドマスターズ』の開発を担うクルーズ<2138>が5位、トライエースを子会社化したネプロジャパン<9421>が7位に入っている。
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■下落率が大きかったのはブロッコリー、エクストリーム、gumiなど
一方、期間中の下落率が最も大きかったのは、ブロッコリー<2706>だ。ブロッコリーは1月上旬に大幅な下落を演じてるが、これは『うた☆プリアイランド』のサービス再開(関連記事)をにらんで、昨年末にかけて大きく買われてきた反動の部分が大きい。ちなみに現在の株価水準は『うた☆プリアイランド』の配信発表前とほぼ同水準まで戻ってきたところになる。
続いて2番目に下落率が大きいのがエクストリーム<6033>、3番目がgumi<3903>と昨年12月のIPO銘柄が並んでいる。エクストリームについては、上場初値が公開価格比3.9倍の5550円というスタートを切った上、そこから年末年始にかけて1万円に迫る9670円まで買われた反動という面が大きいだろう。なお、3月末の終値3520円は公開価格1400円から見ると2.5倍に位置する。
一方、gumiは1~2月は2000円台半ばでのもみ合い推移が続いていたものの、3月に入って大きく急落した。これは3月5日に発表した2015年4月期の業績予想を大幅下方修正(関連記事)を皮切りに、韓国子会社での横領の疑い(関連記事)、ブラウザゲーム系の開発者を中心とした100名程度の希望退職者を募集(関連記事)とバッドニュースが相次いだ結果と言える。ちなみにgumiの上場時の公開価格は3300円(初値も同値)で、3月末時点での同社の株価1467円はこの半値以下の水準になる。gumiの一連のニュースは3月31日に日本取引所グループが「最近の新規公開を巡る問題と対応について」というリリースを出すなど、今後のIPO市場全体にも影響を与えることになりそうだ。
■任天堂の時価総額が7000億円超増加、gumiは約350億円目減り
なお、下の表は主なゲーム関連株を3月31日現在の時価総額で並べ、その上位20社を抽出したものになる。目立つのはやはりサイバーエージェントが10位から6位まで順位を上げたことだろう。ちなみに時価総額はこの四半期で約1500億円膨らんだ。なお、トップの任天堂は時価総額が7000億円超増加している。逆にgumiは、この四半期で約350億円時価総額が目減りした形になる。
(編集部:柴田正之)
会社情報
- 会社名
- 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
- 設立
- 1999年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 2432
会社情報
- 会社名
- 株式会社gumi
- 設立
- 2007年6月
- 代表者
- 川本 寛之
- 決算期
- 4月
- 直近業績
- 売上高120億6600万、営業損益50億4000万円の赤字、経常損益45億1400万円の赤字、最終損益59億3400万円の赤字(2024年4月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3903
会社情報
- 会社名
- 任天堂株式会社
- 設立
- 1947年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 古川 俊太郎/代表取締役 フェロー 宮本 茂
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1兆6718億6500万円、営業利益5289億4100万円、経常利益6804億9700万円、最終利益4906億0200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 7974