【メディア工房決算説明会】第2四半期はゲームや新規事業への投資で営業益36%減 飛躍に向けた体制整備はほぼ完了、年内5タイトルを配信する計画


占いコンテンツの配信を行うメディア工房<3815>は、4月27日、東京都内で2015年8月期の第2四半期(14年9月~15年2月期)の決算説明会を開催した。発表された決算は、売上高12億0900万円(前年同期比2.9%減)、営業利益2億1600万円(同35.8%減)、経常利益1億9000万円(同42.6%減)、最終利益8900万円(同49.6%減)となった。

減収減益となったが、占いコンテンツで大ヒット作が出なかったことに加え、ゲームやO2Oなどへの参入と連結範囲の拡大に伴う先行コストが影響した。説明会に臨んだ長沢一男社長は「前期と今期を"第2の創業期"と位置づけて取り組んできたが、その体制がほぼ整った。下期と来期以降、飛躍的な向上を狙いたい」と述べ、先行投資が終了し、これから回収期に入ることを示唆した。



■ゲーム事業と新規事業の先行費用が収益圧迫
 
まず発表された決算を見ていくと、売上高は前年同期比2.9%減の12億0900万円だった。主力の占いで大ヒットコンテンツに恵まれなかったことによるもの。前の期は、琉球ユタはるさん監修のコンテンツが大ヒットしたが、この期はこれに匹敵するヒットがなかったとのことだった。ただ、いわゆる"中ヒット"コンテンツは複数出ており、売上高は前年同期比で微減にとどまった。

営業利益は35.8%減の3億3600万円だった。ゲーム事業と新規事業に関連する先行投資が収益を圧迫した。また、連結対象に、MKコミュニケーションズとMKアソシエイツ(両社は3月に合併)のほか、ゲーム事業のブルークエスト、O2O事業のギフトカムジャパンの2社が新たに加わった。この結果、外注費や採用費、広告宣伝費、のれんの償却、支払手数料などが増加したという。
 




■ゲーム事業は順調な立ち上がり、16年8月期中の黒字化を目指す

決算説明会では、各事業の足元の状況と戦略を説明した。全体的な方針として、主力の占いのコンテンツという安定した収益基盤を維持・拡大につとめつつ、そのうえに、スマートフォンゲームアプリの世界配信、そして、新規事業としてARアプリとO2O事業に取り組むことで、さらに収益を伸ばしていく考えといえそうだ。決算説明会では、ゲーム事業の展開に説明に多くの時間が割かれた。
 

まず、自社ゲームブランド「OBOKAIDEM(オボカイドイーエム)」を立ち上げ、先にパズルゲーム『BOOST BEAST(ブーストビースト)』を140カ国・7ヶ国語でリリースした。App StoreとGoogle Playからフィーチャーを受け、ノンプロモーションながら、5月1日現在で15万ダウンロードを突破した。ゲーム事業に新規参入し、リリース1本目からApp StoreとGoogle Playからフィーチャーを受けたのは、国内ではメディア工房が2番目になる快挙となった。

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第2弾タイトルの準備も進めており、夏頃をメドにノベル型ステルスアドベンチャー『2016 WORLD CRISIS(ワールドクライシス)』をリリースする。こちらはティザーサイトが公開されている。この2タイトルを含めて、メディア工房では、年内5タイトルのゲームアプリをリリースする予定。収益への寄与に関しては、5月から徐々に売り上げを積み上げていき、2016年8月期中の黒字を目指すという。

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このほか、アイテムなどによる課金収入だけでなく、広告収益にも取り組む考え。『BOOST BEAST』と『2016 WORLD CRISIS』は課金収益がメインとなるが、今後、広告収益をメインにするタイトルも出していくそうだ。広告収益に関しては、グローバルで展開されているアプリとの協業スキームを最終調整中で、近日中に何らかの発表がある予定だという。
 

なお、メディア工房のゲームアプリの海外展開は独特で、他社のようにあらかじめ現地法人や支店、支社を設けて展開するのではなく、まずアプリの世界同時配信を行い、良好な国があれば、そこで現地のゲーム会社などと組むやり方となる。プロモーションだけでなく、ゲーム内イベントなどでも協力したいという。『BOOST BEAST』のリリース後、タイやベトナムなどのゲーム会社からの引き合いがあるとのことで、まず日本製コンテンツと親和性の高いアジア圏からとなりそうだ。

また、ゲーム事業のもう一つの柱となるのが、ゲームアプリのパブリッシング事業を手がける子会社ブルークエストだ。昨年10月にメディア工房に買収された会社だが、海外のゲームアプリなどを日本国内向けにローカライズ・カルチャライズして配信する。『怪人ランブルZ ~近未来征服プロジェクト~』のAndroid版を4月に配信したばかりだが、近日中にiOS版も配信する予定だ。

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このほかのトピックスとして、韓国子会社MKB KOREAが韓国ベンチャーキャピタルからの出資を受けることを検討中であることも明らかにされた。MKB KOREAは、今後、出資を受けるベンチャーキャピタルの力を借りて、ゲームや占いなどのコンテンツをKakaoなど韓国の大手プラットフォームに配信していくとともに、数年以内にコスダックへの上場を目指している。
 
 
(編集部 木村英彦)


■関連サイト
 

決算説明会資料

株式会社メディア工房
https://www.mkb.ne.jp/

会社情報

会社名
株式会社メディア工房
設立
1997年10月
代表者
代表取締役社長 長沢 一男
決算期
8月
上場区分
東証グロース
証券コード
3815
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