Live2Dは、6月26日、東京都内でゲーム開発者やコンテンツクリエイター向けの年次イベントとして「alive 2015」を開催した。
「Live2D」とは、2Dで描かれたイラストをアニメーションとして表現できるツールだ。「Live2D」は、ゲームアプリのリッチ化の一環として近年脚光を集めており、『ガールフレンド(仮)』や『バトルガールハイスクール』、『あんさんぶるスターズ』など有力タイトルで利用されるようになっている。
イベントでは、Live2Dの最新プロダクトの紹介が行われたのほか、同社の実施したコンテスト受賞者の発表、そして、実際に利用するディベロッパーによる事例紹介などが行われた。Social Game Infoでは、スマートフォンゲームやアプリに関連するセミナーを中心にイベントの模様をレポートしておきたい。
まず、Live2D代表取締役社長の中城哲也氏による基調講演「Live2Dの現在と未来」をレポートしておこう。中城氏は、昨年の開催した「alive」から現在までを振り返りつつ、今後の展望を語った。
昨年リリースされた「Cubism Editor 2.0」は、昨年リリースされた2Dモデリング・アニメーションソフトウェアだ。同社の設立以来、最高の増加率になったという。ダウンロード数やPRO版ライセンス購入は「1.0」に比べて300%と大きく伸びた。また海外ユーザーも急速に伸びており、1.0との比較で500%になったそうだ。
もともと世界中で利用されるツールになることを目指していたが、その目標の通り、海外での利用も順調に伸びているという。全ユーザーに占める海外ユーザーの比率はなんと35%にもなったとのこと。また、国内では教育機関での採用も進んでおり、現在、20校で使われているそうだ。
続いて「Cubism SDK 2.0」の状況だが、『バトルガールハイスクール』や『あんさんぶるスターズ』など有力なスマートフォンゲームアプリで使われるようになっている。国内だけでなく、中国や韓国、オランダなど海外でも複数タイトルで開発が進んでいる。国内では「タイトルは公開できないが、夏にリリースされる大きなタイトルでも使われている」とのこと。
現在β版が公開されている「Cubism SDK 2.1」も近日リリースする予定。現行の「2.0」から30を超える機能追加と改良が行われるだ。PSD元絵ファイルとの高い連携や、元絵を劣化させずにテクスチャ編集すること、ポリゴン頂点を選択して自在に変形すること...などクリッピングや編集を効率よくする機能が追加・強化されるという。「正式リリースは当初予定よりも延びているが、近々リリースできるように開発を進めている」。
さらに「Cubism Editor 3?」の情報も明らかになった。詳細は明らかにされなかったが、「より効率よくいいものを作れるものを目指して準備していきたい。特にアニメーターは、QuickTimeに縛られて、進化しづらかったが、新しいエンジンに変更して効率よく作れるように発展させたい」とのこと。
昨年末に発表して以来、主要顧客であったゲーム関係者だけでなく、国内外のアニメーション関係者からも注目を集めた「Live2D Euclid」についてもコメントがあった。「2次元のキャラクターを立ち絵として動かすのではなく、フル3Dのようにグリグリ動かせることが注目を集めた」という。
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Live2D、2Dキャラクター表現技術「Live2D」の次世代技術「Live2D Euclid」を開発 360度の立体表現が可能に
今回、初めてサービスロゴも公開された。「2Dの360度グルグル動かせる技術を飛躍的に発展させるという意味を込めた」もので、ソニー・ミュージックコミュニケーションがデザインを担当した。
「Live2D Euclid」は、開発はもちろん、特許取得も順調に進んでいるという。中城氏も当初は開発に関わっていたが、現在は若いスタッフに任せ、自身は「Cubism」に専念することにしたそうだ。「寂しいような嬉しいような話だが、私が入らなくなったことで順調に発展するのではないか」と述べた。言い換えれば、同社の開発スタッフの層が厚くなり、開発体制が充実していることを示すものでもある。
ゲーム開発会社に加え、アニメーション制作会社での利用促進を目指しているという。最近注目を集めているVRコンテンツでも利用できることから、こちらでの利用促進も図っていく。会場では、プロトタイプとなるが、デモ版も展示されていた。「すでに取得したVRでの特許を組み込んでおらず、突っ込みどころも多いが、2Dの世界が立体的に表現することが体感できるのではないか」。
最後に、Live2Dの会社紹介が行われた。同社は、創業から10年を経過したが、この間、「Live2D」の開発のみを行い、本業に関係のない受託は全く行わなかったという。一時倒産しかける局面もあったが、もちこたえて発展していった。また開発に携わっているスタッフ数が驚くほど少なかったそうだ。中城氏は「ドン引きされるかもしれないが」と前置きしつつ、2014年の開発は中城氏含めて正社員3名だけで、グラフィックも含めるとわずか10名程度だった。
「Cubism」の認知度向上と競争力強化に伴い、同社の規模も大きくなり、この1年で、開発だけで10名、全体で30名以上のスタッフが在籍するようになったという。新たに加わった開発スタッフのなかには、スタジオジブリの開発者や、C++の有名なライブラリの開発者、アメリカで3Dグラフィッカー、昨年の「alive 2014」で優勝したインドネシアのクリエイターといった実力者もおり、開発者の質量とも充実し、事業展開の幅が広がりつつあるという。
今後の展開については、様々な手段で資金調達を行いつつ、人員の拡充を行い、来年には40名、再来年には70名の体制を目指す考え。現在、開発者やグラフィッカーを募集しているとのことで、「会社から仕事でイベントに参加している方は耳をふさいで欲しいが、現在、フリーで仕事を探している方はよかったらぜひ応募してほしい。」と呼びかけた。興味のある方は下記リンク先からLive2Dのサイトを訪れてみてほしい。
「Live2D」とは、2Dで描かれたイラストをアニメーションとして表現できるツールだ。「Live2D」は、ゲームアプリのリッチ化の一環として近年脚光を集めており、『ガールフレンド(仮)』や『バトルガールハイスクール』、『あんさんぶるスターズ』など有力タイトルで利用されるようになっている。
イベントでは、Live2Dの最新プロダクトの紹介が行われたのほか、同社の実施したコンテスト受賞者の発表、そして、実際に利用するディベロッパーによる事例紹介などが行われた。Social Game Infoでは、スマートフォンゲームやアプリに関連するセミナーを中心にイベントの模様をレポートしておきたい。
まず、Live2D代表取締役社長の中城哲也氏による基調講演「Live2Dの現在と未来」をレポートしておこう。中城氏は、昨年の開催した「alive」から現在までを振り返りつつ、今後の展望を語った。
■「Cubism Editor 2.0」は国内300%、海外500%に 海外での利用が進む
昨年リリースされた「Cubism Editor 2.0」は、昨年リリースされた2Dモデリング・アニメーションソフトウェアだ。同社の設立以来、最高の増加率になったという。ダウンロード数やPRO版ライセンス購入は「1.0」に比べて300%と大きく伸びた。また海外ユーザーも急速に伸びており、1.0との比較で500%になったそうだ。
もともと世界中で利用されるツールになることを目指していたが、その目標の通り、海外での利用も順調に伸びているという。全ユーザーに占める海外ユーザーの比率はなんと35%にもなったとのこと。また、国内では教育機関での採用も進んでおり、現在、20校で使われているそうだ。
■「Cubism SDK 2.0」は国内外のメジャータイトルで採用進む 3?を開発中との情報も
続いて「Cubism SDK 2.0」の状況だが、『バトルガールハイスクール』や『あんさんぶるスターズ』など有力なスマートフォンゲームアプリで使われるようになっている。国内だけでなく、中国や韓国、オランダなど海外でも複数タイトルで開発が進んでいる。国内では「タイトルは公開できないが、夏にリリースされる大きなタイトルでも使われている」とのこと。
現在β版が公開されている「Cubism SDK 2.1」も近日リリースする予定。現行の「2.0」から30を超える機能追加と改良が行われるだ。PSD元絵ファイルとの高い連携や、元絵を劣化させずにテクスチャ編集すること、ポリゴン頂点を選択して自在に変形すること...などクリッピングや編集を効率よくする機能が追加・強化されるという。「正式リリースは当初予定よりも延びているが、近々リリースできるように開発を進めている」。
さらに「Cubism Editor 3?」の情報も明らかになった。詳細は明らかにされなかったが、「より効率よくいいものを作れるものを目指して準備していきたい。特にアニメーターは、QuickTimeに縛られて、進化しづらかったが、新しいエンジンに変更して効率よく作れるように発展させたい」とのこと。
■「Live2D Euclid」は秋頃を目処にクローズドβ予定
昨年末に発表して以来、主要顧客であったゲーム関係者だけでなく、国内外のアニメーション関係者からも注目を集めた「Live2D Euclid」についてもコメントがあった。「2次元のキャラクターを立ち絵として動かすのではなく、フル3Dのようにグリグリ動かせることが注目を集めた」という。
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Live2D、2Dキャラクター表現技術「Live2D」の次世代技術「Live2D Euclid」を開発 360度の立体表現が可能に
今回、初めてサービスロゴも公開された。「2Dの360度グルグル動かせる技術を飛躍的に発展させるという意味を込めた」もので、ソニー・ミュージックコミュニケーションがデザインを担当した。
「Live2D Euclid」は、開発はもちろん、特許取得も順調に進んでいるという。中城氏も当初は開発に関わっていたが、現在は若いスタッフに任せ、自身は「Cubism」に専念することにしたそうだ。「寂しいような嬉しいような話だが、私が入らなくなったことで順調に発展するのではないか」と述べた。言い換えれば、同社の開発スタッフの層が厚くなり、開発体制が充実していることを示すものでもある。
ゲーム開発会社に加え、アニメーション制作会社での利用促進を目指しているという。最近注目を集めているVRコンテンツでも利用できることから、こちらでの利用促進も図っていく。会場では、プロトタイプとなるが、デモ版も展示されていた。「すでに取得したVRでの特許を組み込んでおらず、突っ込みどころも多いが、2Dの世界が立体的に表現することが体感できるのではないか」。
■Live2Dは再来年には3.5倍の70名体制に 人材募集中!
最後に、Live2Dの会社紹介が行われた。同社は、創業から10年を経過したが、この間、「Live2D」の開発のみを行い、本業に関係のない受託は全く行わなかったという。一時倒産しかける局面もあったが、もちこたえて発展していった。また開発に携わっているスタッフ数が驚くほど少なかったそうだ。中城氏は「ドン引きされるかもしれないが」と前置きしつつ、2014年の開発は中城氏含めて正社員3名だけで、グラフィックも含めるとわずか10名程度だった。
「Cubism」の認知度向上と競争力強化に伴い、同社の規模も大きくなり、この1年で、開発だけで10名、全体で30名以上のスタッフが在籍するようになったという。新たに加わった開発スタッフのなかには、スタジオジブリの開発者や、C++の有名なライブラリの開発者、アメリカで3Dグラフィッカー、昨年の「alive 2014」で優勝したインドネシアのクリエイターといった実力者もおり、開発者の質量とも充実し、事業展開の幅が広がりつつあるという。
今後の展開については、様々な手段で資金調達を行いつつ、人員の拡充を行い、来年には40名、再来年には70名の体制を目指す考え。現在、開発者やグラフィッカーを募集しているとのことで、「会社から仕事でイベントに参加している方は耳をふさいで欲しいが、現在、フリーで仕事を探している方はよかったらぜひ応募してほしい。」と呼びかけた。興味のある方は下記リンク先からLive2Dのサイトを訪れてみてほしい。
(編集部 木村英彦)
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