【インタビュー】オンライン化とともに高まるチート対策ニーズ サイファー・テックが手掛けるスマホゲーム向けチート対策SDKとは?


ゲームのオンライン化が進むとともに、大きな課題として浮上しているのが、チート行為に対する対策だ。コンシューマゲームの時代からチート行為は少なからず存在したが、オンライン化が進んだ現在においては、一人のユーザーのチート行為が他のユーザーのプレイにも大きな影響を与える形になってきているほか、ゲーム事業者に大きな損害を与えるケースも生じてきている。

サイファー・テックは、そんなチート行為の対策となる、スマートフォンゲームのチート対策SDK「CypherGuard AppTrusty」を手掛けている。今回は、取締役兼事業開発部長の井上直人氏に「CypherGuard AppTrusty」の特徴や、今後の展望について話をうかがってきた。

――よろしくお願いします。まずは「CypherGuard AppTrusty」が一体どういうものなのか、お教えいただけますでしょうか。

「CypherGuard AppTrusty」はスマートフォンゲームのチート対策SDKです。プログラムファイルやメモリ内容の改変防止といったアプリ一般の保護機能に加えて、暗号処理によってネットワーク通信やデータファイルを保護することでスマートフォンゲームに対する種々のチート行為を強力に防止します。
 
――御社はこれまでもセキュリティまわりのサービスを展開していますが。

従来は電子書籍や動画などのデジタル著作権管理のソフトウェアを提供して得たセキュリティの知見を活かし、スマートフォンゲームの脆弱性を診断するコンサルティングサービスを展開しておりました。そこで、お客様から相談される機会を多くいただいていたのですが、「脆弱性の診断だけではなく、具体的な解決策を提供してもらいたい」「チート行為を防止するソフトウェア保護ツールは存在するが、ゲームのチート行為への対策を主眼としたものではないため、ゲームプレイへの影響の懸念、コスト負担が大きい」などの課題を認識するに至り、スマホゲームのチート対策SDK「CypherGuard AppTrusty」を提供することにいたしました。
 
――以前にもチート問題についてご説明頂いたことがございますが。

依然として、売り上げ上位のスマートフォンゲームを中心に多くのタイトルが被害に遭っています。各ゲームメーカーの方でもチート対策は進めているものの、イタチごっこになっているという印象です。最近でも11月22日に17歳の高校生が著作権法違反で逮捕されるといったチート関連の事件が起こっています。
 
――この様な問題は大手企業のゲームタイトルでも出回っているのでしょうか。

大手企業でも例外なく被害に遭っています。チートツールというソフトが出回っており、知識が無くてもチートできてしまうような状況にあります。大手企業でもタイトルごとに対策は行っているものの、こういったチートツールの全てに対応するのは難しく、チートの被害に悩んでいるという印象です。
 
――チート問題に関するビジネスリスク、損害についてはいかほどなのでしょうか。

企業にもよりますが、対策コスト(ツールの費用や人件費)だけで月間数百万円のコストが発生する場合があるようです。また、チートを野放しにしておくと、アイテム課金という収益のモデルに直接的な被害を受けることに加えて、迷惑行為の被害や不公平感からユーザー離れが生じることによる中長期的な被害も看過できないものとなります。
 
――今回「CypherGuard AppTrusty」の特徴や他との違いはどのようなものなのでしょうか。

「CypherGuard AppTrusty」の大きな特徴は2つあります。

1つ目は、ゲームプレイを最優先にした設計です。「できるだけ停止させない」設計方針により、脱獄やroot化がされていてもプレイを拒否せずにチート行為を防止します。チート行為の疑いがあるものの断定はできないケースでは、プレイは拒否せずにゲームサーバーに状況を報告してサーバー側の情報も合わせた判断を行うモードも選択可能です。

さらに、「CypherGuard AppTrusty」はスマートフォンゲーム特有のゲームサーバーとの通信の保護にも重点を置いています。通信内容が改ざんできてしまうと獲得したスコアやアイテムを実際よりも多く書き換えるような悪質なチート行為が行われてしまうため、通信内容は暗号化して保護しなければなりません。「CypherGuard AppTrusty」ではこれをさらに進めて、個別の通信内容ではなく通信経路の全体で暗号化を施す「トンネル化」を行うため、SQLインジェクションなどの脆弱性が万一あったとしても攻撃を受けることはなくなります。

 
 
 

2つ目は、低コストでの提供です。1アプリ年間120万円からという低コストでご利用いただけます。年額固定料金でのご契約のほかにゲームの売り上げに応じたロイヤリティでのご契約も可能ですので、チャレンジングなタイトルについてもリリース当初から確実にチート対策を行っていただけます。売り上げが一定水準に満たないタイトルについては、ロイヤリティは発生しません。
 
――なるほど。それでは、実際に利用するにあたっての流れを教えてもらえますか。

製品をお申し込み後、弊社が提供する「CypherGuard AppTrusty」のライブラリをゲームアプリに組み込んでいただきます。その後、完成したゲームアプリの情報を専用のツールで弊社サーバーにご登録いただき、発行されるアプリ保護情報定義ファイルをゲームアプリに組み込んでいただき、そのままアプリストアへアップロードいただくという流れです。

そうすることで、アプリ上でチート行為 (またはその疑い) を検知すると「CypherGuard AppTrusty」がゲームサーバーにその情報を通知します。

 
 
――(導入にあたって)専門的な知識や技術は必要なのでしょうか。

ご利用にあたっては利用方法を案内するドキュメントを提供します。特に専門的な知識や技術は必要なく導入いただけます。
 
――ゲーム内容に影響はあるのでしょうか。

保護処理を可能なかぎりバックグラウンドに回すことでゲームの応答性への影響を最小限に抑えることに注意しています。巨大なリソースデータに改変がないかを検証し終えるまでゲームがプレイできなくなるといったことはありません。評価・検証を目的とした導入も承っておりますので、ゲーム本来のプレイ体験が損なわれることがないかを事前にご確認いただけます。

また、ゲームのプレイ時に当社のサーバーと通信する必要はないため、当社サーバーが万が一ダウンしてもゲームがプレイできなくなることはありません。

 
――ゲームのジャンルによっての違いはございますか。

ジャンルによっての違いは特にありません。
 
――昨今では、海外のゲームを国内企業が展開する事や、その逆の展開もありますが、そういったケースでも活用できるのでしょうか。

「CypherGuard AppTrusty」の仕様上、問題なくアプリの海外リリースも可能です。弊社でも「CypherGuard AppTrusty」の海外展開を視野に入れています。
 
――導入までのフローやサービスについてはこれまで御社がセキュリティ製品の開発で培ってきたノウハウが生かされる訳ですね。

はい。「CypherGuard AppTrusty」の保護技術の核となるデジタル著作権管理システムは2003年から現在までで500万台近くのデバイスに導入されています。また、スマートフォンゲームの脆弱性を診断するコンサルティングサービスも有名タイトルを中心にご利用いただいており、ゲームのチート対策の知見も十分に生かすことができているかと思います。
 
――こちらβ版の配布もされていたようですが、感触としてはいかがでしょうか。

導入に際しての手間や使い勝手の面などご評価いただいております。β版の検証でいただいているご意見をくみ取り、製品版に生かしていく予定です。
 
――最後に読者に対して一言頂けますでしょうか。

サイファーテックでは、チート対策の製品開発だけではなく、メディアを通したチートの啓発活動に力を入れています。「CypherGuard AppTrusty」はスマートフォンゲームのチート対策におけるスタンダードを目指すとともに、全てのユーザーが安心してゲームの面白さを享受できるよう引き続き活動を続けていきます。

――ありがとうございました。

 

「CypherGuard AppTrusty」



 
サイファー・テック株式会社
https://www.cyphertec.co.jp/

会社情報

会社名
サイファー・テック株式会社
設立
2003年2月
代表者
代表取締役CEO 吉田 基晴/代表取締役COO 勝間 美継
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