【連載企画:f4samuraiマガジン⑧】非ゲームコンテンツへの挑戦!テクノロジー×リアルアトラクションの実現に込められた想い

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「世界に、“一番のワクワク”を届ける」をミッションとし、スマートフォン向けゲームの企画・開発・運営を行っているゲーム会社、f4samurai。

秋葉原に拠点を構える同社は、世界観の構築に強みを持ち、『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』(『オルサガ』)をはじめ、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(『マギレコ』)、『コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ』などを手掛け、いずれもヒット作として覚えている人も多いだろう。

そんなf4samuraiのゲーム開発はどのようにして行われているか。今回、gamebizでは、そんなf4samuraiの開発環境を、同社マスコットであるエフフォーくんと探る「f4samuraiマガジン」を特集掲載していく。同社がヒット作を輩出するその秘密について探ってみた。






皆さん、こんにちは! f4samurai・エフフォーくんです。

東急歌舞伎町タワーで好評運営中の新宿ダンジョン攻略体験施設「THE TOKYO MATRIX(以下、TTM)」。
株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ様をはじめとする複数の企業がタッグを組み実現した当アトラクションおよびポータルサイトの開発に、f4samuraiも参加いたしました!

f4samuraiから本プロジェクトに参画したのは、これまで数々のタイトルの立ち上げに関わってきたベテランのゲームプランナー・N。

会社としてもこれまでにない挑戦。どのように開発を進めていったのか、またその過程においてどのような苦労や発見があったのかについて熱く語ってもらいました!

企画の“立ち上げ屋”としての活躍

ーー:入社後の経歴と、現在の仕事内容を教えてください。

2014年にプランナーとして中途入社してから、『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』や『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』の立ち上げに携わりました。

主に設計担当として、バトル部分を作ることが多かったです。

僕は社内で企画の”立ち上げ屋”のような役割を担っていて、プロジェクト発足直後の、馬力のいる場面で投入されることが多いほうだと思います。最近ではゲーム以外の新規事業を担当することも増えていて、今回お話させていただく『TTM』もその1つでした。

「エクスペリエンスデザイン事業部」という社長直下の小規模な組織で、これまでゲーム開発で培ってきた設設力、デザイン力、開発力などというf4samuraiの強みを活かし、非ゲーム分野のコンテンツ開発を行っています。

ーー:プロジェクトの立ち上げ業務というのは、具体的にどんなことをするのでしょうか?

初期はコンセプトを作るための話し合いから始まります。立ち上げメンバーで該当プロジェクトに関するキーワードを集めて、「こんな案はどう?」「こういうのは?」とアイデアを出し合い、集めたピースを少しずつ形にしていきます。

実業務としてはひたすらプロットや資料、画面イメージなどを作ってチームに提案して……という感じですね。

『TTM』とは?
f4samuraiが開発に携わったリアル施設 × テクノロジー企画

ーー:『TTM』は“新宿ダンジョン攻略体験施設”とのことですが、どのようなアトラクションなのか、詳しく教えてください。

2~3人でパーティを組んで、モンスターを倒したりアイテムを探したりしながらダンジョンクリアを目指す体験型アトラクションです。
パズルゲームに加えて、「戦う」「投げる」など実際に身体を使ったアクションを起こしながら進めていくので、頭脳、フィジカル、そして運やチームワークも必要となってきます。

クエストは複数用意されているのですが、進むごとに難易度が上がっていく“超・ハードモード”がコンセプトになっています。

また、リアル施設×テクノロジーの融合として、専用サイトでプレイヤー登録やエントリーが行えたり、スマホゲームのようなガチャを引くことで攻略を有利に進められるアイテムを手に入れられたりと、現実にいながらスマートフォン向けゲーム遊んでいるような感覚も味わえるというのが特徴です。僕は、主にデジタル部分の企画を担当しました。

ーー: ソニー・ミュージックソリューションズ様をはじめ、多くの企業さまとタッグを組んでのプロジェクトだったと思いますが、そこにf4samuraiが参加することになった経緯を教えてください。

以前からエクスペリエンスデザイン事業部では、新たな事業を作るためにさまざまなプロジェクトを模索していました。その中で他社さんと協業してプロジェクトを作ることも検討していたので、ご一緒することが多い企業さまのご紹介で、ソニー・ミュージックソリューションズ様とご縁があり、プロジェクトに参加させていただくことになったんです。

そのタイミングですでに東急歌舞伎町タワーにリアルアトラクションを作ることは決まっていて、そこにデジタルのエンタメ要素を加えたいというニーズがf4samuraiの得意分野とちょうど合致した形でした。

ほかにも施工やアトラクション企画を行う企業さま、運営やIP管理を行う企業さまなど、多くの企業で協力して完成まで駆け抜けました。

ーー:入退場を管理するエントリーシステムやガチャなどを担当したのがデジタル開発チームということですね。ほかにはどんなものを企画・制作したのでしょうか?

「アノマリークエストポータル」という、プレイヤー専用サイトを開発しました。

開発にあたり意識したことは2つで「スムーズに遊べるようにすること」と、「プレイヤー同士が繋がれるシステムを作ること」です。

具体的には、チケットやアイテムは事前に購入して2~3人のパーティ編成を行えるようにして、入場をスムーズに済ませる仕組みを作りました。また、ランキング機能を開発し、他のプレーヤーの方の実績を見れたり、エールやポイントを送れるようにしてプレイヤーの方々が繋がれる仕組みを作りました。

その他、会場のロビーにモニターがあるのですが、エントリー後にスタートするまでの順番・待ち時間を表示するシステムなどを作りました。

あとは、“超・ハードモード”がコンセプトなため、後半クエストまで進むお客さまは限られてきます。ですので進んだお客さまがいた時にはロビーにもアナウンスが流れる仕様にして、クエスト挑戦中ではないお客さまにも楽しんでいただけるように工夫しました。

企画時に出ていた様々なアイデアの中から、プレイヤーの方が成長するために必要な要素となり得るものやガチャとの融合など、f4samuraiが得意とする分野の企画案を多く採用いただけたと感じています。

ーー:スマホゲーム以外の開発でも、これまでの知見や経験が生きた部分が多くあったのですね。

そう思います。ガチャの仕組みもそうですし、レベルアップすると称号がもらえたり、アバターの変更ができたりするような仕様もあって、ゲームバランスを考える上でのシミュレーションや思考は、普段行っているゲーム開発と同じ感覚ですることができたと思います。

レベルデザインに関しても、「どのくらいプレイすればレベルはどのくらいになるか?」「その頃にはどんな楽しみ方ができそうか?」という考え方はまさにゲーム開発と同じでしたね。

『TTM』は繰り返し遊んでクリアを目指していくことも開発側としてのコンセプトにしていて、日々プレイすることでユーザーさまが成長し、様々な付加価値が生まれ、コミュニティが出来上がっていくというのがスマートフォン向けゲームの開発と共通していると思います。

ーー:逆に、ゲーム開発との違いを感じた部分はどんなところでしたか?

「繰り返し遊んでクリアを目指していく」という開発側のコンセプト以外は違うことだらけだったかもしれないです(笑)。

スケジュールひとつとっても、施工管理や工事日程を考慮して組み立てる必要がありましたし、防災点検で1ヵ月施設に入れないタイミングなどもあったので制作過程では勝手が違うことに色々と直面しました。

ただ、それでもやはり考え方の根幹はゲーム開発と通じるものがありましたね。突き詰めれば僕たちのやっていたことは「アトラクション自体をインゲームとし、それ以外のアウトゲーム部分を作る」ことなので……スマートフォン向けゲームの開発でよく出てくる言葉なのですが、インゲームはバトルやパズルなど実際に遊ぶ部分で、アウトゲームはストーリーや育成システムなど、継続していく遊びのことです。
このアウトゲーム部分を開発していると考えれば、いつもの業務と近しい感覚で進められるかもと考えていました。


すべてゼロからのスタート
開発にあたって苦労したこと

ーー:今回の開発で特に苦労したことは何でしたか?

一番大変だったのは、やはり関わった企業すべてにとって新しいチャレンジとなる企画だったため、正解が分からない中模索していく要素が多かった点です。とにかく沢山アイデアを出しながら、徐々にコンセプトやゴールを固めていき、1年くらいの期間を経てようやく形になったのが現在の『TTM』の原型ですね。

ーー:ゴールが見えない状態でアイデアを出し続けるのは容易ではないですよね。

そうですね。とはいえ、もうビルの竣工は始まっていたのでそこには間に合わせなければ……というプレッシャーもありました。

ですが結果として、各企業の皆さまと協力してひとつのエンターテイメントとして胸を張ることのできるコンテンツを創りあげることができてよかったと思っています。

あとシンプルに大変だったのはデバッグですかね。スマートフォン向けゲームと違って自分の身体を使って体験・検証しなくてはいけないので、片手にパソコンを持ちながらフィジカル的にも追い込まれました(笑)。

ーー:今回プロジェクトに携わったことで、今後のゲーム開発に活かせそうな発見や学びは何かありましたか?

やはり他社の方々とタッグを組めたことは大きかったと思います。

例えば、ガチャシステムやスキルを考えるためにはバトルの仕組みを知っている必要があります。そのためにアトラクション班の企業さまとかなり綿密なコミュニケーションをとり、一緒に仮施設でアトラクションの設計や調整をおこないました。

僕たちは普段「面白いものを作る」ということを一番大事にしていますが、アトラクション担当企業さまにとっては「安全であること」も重要な指標となります。会社や立場が違えばミッションや重要視するものが違うので、そのすり合わせをする経験や、純粋な面白さ以外のことにも考えを巡らせて開発をするという経験は貴重だったと思います。

あとは体制の話になりますが、今回のプロジェクトはf4samurai側の担当が基本的に僕一人だったんです。普通ゲーム開発はチームで行うものですが、たとえ社内リソースが一人だったとしても、社外の方と協力して一つのコンテンツを作り上げることができたというのは会社として新たな実績になったのではないかと思います。

今後このような新しい形でのコンテンツ開発がもっとできるようになったり、今回僕が担った役割と同じことができるメンバーが増えていくと、f4samuraiが生み出せるコンテンツの幅もより広がっていくと思います。

余談ですが、先日f4samuraiの2024年新卒の内定者メンバーと一緒にプレイしてきました。彼らも非常に楽しんでくれましたし、会社の未来を担う世代に「ゲームクリエイターの仕事はモニターの中だけじゃない、どんどん広がっているんだ」と伝えられたことも良かったのではないかと思います。

「みんなでがんばる、温かい会社」
f4samuraiの魅力と今後の目標

ーー: Nさんから見て、f4samuraiはどんな会社ですか?

体温を感じると言いますか、温かい会社だなと思います。

業界の前線で、本気でゲーム開発に取り組んでいるけど、ノルマなどのプレッシャーが強い組織ではない。でも「みんなでやろうぜ」という雰囲気はあって……厳しさではなく励まし合うことでチーム感が生まれている会社だと思います。

それもやはり役員陣とメンバーとの距離が近いことから来ているのではないかと思います。僕もよく社長の金さんと話しているのですが、f4samuraiの役員陣は人との関係性を非常に大切にしていて、役員と社員ではなく、人対人として関係を築こうとしてくれるので居心地がいいと感じています。

もちろんトップダウンで成功している会社さんもたくさんありますが、うちはちょっと違っていて、「支えたくなるようなリーダーシップ」という言葉のほうが合っている気がします。

トップダウンではなく、背中で見せながら真剣に向き合ってくれるので、「この人たちのために頑張ろう」という想いにさせてくれるといいますか。役員陣との関係性が、僕のモチベーションの源泉と言えるかもしれません。

僕の場合、入社の経緯も社長の金さんに誘っていただいたことがきっかけなんです。転職を検討していた時期に飲みの場で金さんと出会って、そのときから親身に話を聞いてくれて感謝もしていますし、その恩を仕事で返したいという想いで日々精進しています。

ただそれは僕だけじゃなく、f4samuraiのリーダー層や社員は、少なからず同じ想いの人も多いんじゃないかなと。……改めて話すと恥ずかしいですけど(笑)。

ーー:最後に、今後の目標や展望を教えてください。

まずは『TTM』をもっと盛り上げるべく、あらゆる施策を考えていきます。『TTM』は今後も進化しながら最新のエンタメを追求していきますので、ぜひ今後の展開にもご期待ください。

また、引き続きゲーム開発側でも、自分の武器である「立ち上げの段階でグイッと企画や設計を前に進めること」を活かしながら先頭きってプロジェクトを引っ張っていきたいと思います。

さらにもう一つ、それらと同じくらいの熱量で非ゲーム分野のコンテンツ開発に挑戦していきたいです。売り上げの面ではまだまだゲーム分野には届きませんが、最小限のリソースでf4samuraiの新たな可能性や事業の幅を広げるという面でバリューを出していけたらと思っています。

「来た仕事は全部全力で、楽しくやり抜く!」というスタンスで引き続きがんばっていきたいです。



他にも、f4samuraiではnoteおいても開発環境について発信している。気になる人は以下のnoteでチェックしてみよう。





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