【ネクソン決算説明会】「素晴らしい1年だった」 欧米売上伸長、韓国モバイルゲーム躍進 マホニー改革の成果着々


オンラインゲーム大手のネクソン<3659>は、2月10日、2015年12月通期(IFRS)の連結決算を発表するとともに、東京都内で証券アナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催した。発表した決算は、売上収益1902億円(前々期比10.0%増)、営業利益622億円(同36.9%増)、最終利益551億円(同88.1%増)と大幅な増益を達成した。
 

また、第4四半期(15年10~12月期)の業績は、売上収益458億円(前年同期比7%増)、営業利益103億円(前年同期は7億円の赤字)、最終利益43億円(同44億円の赤字)となり、前年同期比でも大きく収益が改善した(会計基準ベース)。ちなみに、前四半期との比較(QonQ)ではないのは、季節要因が大きいためだ。

決算説明会に臨んだオーウェン・マホニー社長は、終わった決算期について、「素晴らしい1年だった」と振り返った。中国における『アラド戦記』、韓国における『アラド戦記』、『サドンアタック』、『メイプルストーリー』などのPCタイトルがプラス成長となったほか、これまで続けてきた自社開発やパートナーシップの構築も徐々に成果が出つつある。

特に自社開発とパートナーシップの構築に関しては、その先駆けともいえるモバイルゲーム『HIT』と『DomiNations』が大ヒットとなった。今後、『FINAL FANTASY XIモバイル』や『TERATMモバイル』『TitanfallTMモバイル』『LEGOモバイル』など、話題の新作が続々とリリースとなる予定だ。一連のマホニー改革が成果として現れつつある。
 





 
■第4四半期の状況

第4四半期の状況を見ていこう。売上収益は前年同期比7%増の458億円だった。大きな割合を占める中国が前年並みとなったほか、日本が低迷したものの、韓国におけるモバイルゲームが大きく伸びたことが主な要因だった。モバイルゲーム『DomiNations』のヒットを受けて、北米と欧州の売上高もそれぞれ49%増、78%増と伸び、収益を押し上げる要因となった。

また、利益面では、営業利益が103億円となり、前年同期の7億円の赤字から黒字転換に成功した。子会社のgloopsに係る"のれん"の減損損失として110億円が前年同期に計上されたが、この四半期はそれに匹敵する規模の費用は計上されなかった。加えて、モバイルゲームを中心に売上収益が伸びたことも増益要因となったという。
 

地域別の状況は以下のとおり。

中国…売上収益が前年同期比で変わらずの164億円だった。『アラド戦記』は、冬期アップデートを実施し、ユーザーから好評だったという。11月と12月のアイテム販売が好調だったという。新作として、中国テンセントと『メイプルストーリー2』の中国配信に向けて契約を締結した。
 

韓国…売上収益は、前年同期比20%増の200億円だった。PCオンラインゲーム『サドンアタック』と『アラド戦記』がプラス成長となったほか、モバイルゲームが前年同期比136.0%増の76億円と大きく伸びた。NEXON Korea の手掛けるモバイル向け大型RPG『HIT』の大ヒットしたほか、『DomiNations』が好スタートとなったことが主な要因。

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日本…売上収益は前年同期比32%減の47億円だった。特にモバイルが33.6%減の35億円と大きく落ち込んだ。モバイルについては、ネイティブゲームアプリ、ブラウザゲームともに減少しているという。また、昨年12月にgloopsの新作モバイルゲーム『ラプラスリンク』のオープンβテストを実施し、フィードバックを受けて4月にリリースする予定。
 

北米、欧州…北米の売上収益は前年同期比49%増の24億円、欧州は同78%増の21億円だった。モバイル向けストラテジーゲーム『DomiNations』が寄与した。このほか、オンラインFPS『攻殻機動隊 S.A.C. – First Assault Online』のEarly Access ProgramをSteamとネクソン・ローンチャー上で開始した。
 


 
■第1四半期の業績見通し

第1四半期(2016年1~3月期)の業績は、売上収益489億6300万円~525億3200万円(前年同期比5.8%減~1.1%増)、営業利益186億3600万円~222億200万円(同16.1~0.1%減)、最終利益162億8000万円~193億400万円(同12.2%減~4.1%増)を見込む。

想定為替レートは、100韓国ウォン/日本円が9.86円、中国元/日本円が18.01円、米ドル/日本円が118.34円となっている。為替に関しては円高は、マイナスの影響があるという。前年同期に比べて想定為替レートが円高に設定しているが、これが減収減益の要因となる。
 

また、費用面では、『アラド戦記』の償却が完了したことによる償却費の減少が増益要因となる一方で、広告宣伝費や人件費の増加、モバイルの売上増加に伴い、アプリストアへの支払手数料の増加が見込まれるため、全体としては減益となる見通しだ。
 


地域別の見通しは以下のとおり。

中国…前年同期比で10%台前半からひとケタ%台前半の減少を見込む。『アラド戦記』は「女鬼剣士 二次覚醒」アップデートと旧正月アップデートを実施するほか、『メイプルストーリー2』(PC)と、『アラド戦記モバイル』のリリースに向けた準備を行う。いずれもパブリッシャーは、中国Tencentが担当する。

韓国…前年同期比で一桁%台前半から一桁%台後半の増加を見込む。主力PCタイトルのTier 1コンテンツアップデートを行うほか、人気MMORPG『TERA』のサービスを引き継いだ。また、モバイルについては、前四半期で1.5カ月稼働した『HIT』がフル寄与する。新作については、モバイルの予定はないという。

日本…前年同期比で30~20%台の減少を見込む。『DomiNations』のテレビCMを1月より開始した。また、『ツリーオブセイヴァー』をリリースするほか、子会社gloopsが『ラプラスリンク』を4月よりネイティブゲームとブラウザゲームでリリースする予定。

会場より、gloopsの再度ののれんの減損の可能性について質問が出た。代表取締役最高財務責任者の植村士朗氏は「計画通りに推移しているため、減損は行わなかった。ブラウザは減少しているが、計画から大きくかい離していない。ただ、新作『ラプラスリンク』が期待値からかい離するようだと減損の可能性も出てくる」とコメントした。

北米・欧州…北米は前年同期比20%台から40%台の増加、欧州は70%台から80%台の増加を増加を見込む。北米において『Riders of Icarus』のCBTを実施した。前年同期になかった『DomiNations』が収益に寄与する見通し。
 
 
(編集部 木村英彦)
株式会社ネクソン
http://www.nexon.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ネクソン
設立
2002年12月
代表者
代表取締役社長 イ・ジョンホン(李 政憲)/代表取締役CFO 植村 士朗
決算期
12月
直近業績
売上収益4233億5600万円、営業利益1347億4500万円、最終利益706億0900万円(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3659
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