コーエーテクモHD、9月中間決算は予想上回る着地 世界TOP10のゲーム会社を目指すビジョンや開発体制の拡充、成長戦略を説明(書き起こし)
コーエーテクモホールディングス<3635>は、2025年3月期第2四半期の決算説明会を開催した。浅野CFOは決算概要を説明し、営業利益が期初予想を上回ったことを報告した。襟川社長は中長期の経営方針について説明し、世界トップ10のゲーム会社を目指すビジョンを示した。鯉沼副社長は事業ハイライトと今後の戦略について説明し、IPの創造と開発力の増強に注力する方針を述べた。コンソールPC分野とオンラインモバイル分野での成長戦略、グローバル展開の方針、開発体制の拡充などが主な話題となった。
【決算概要】
・売上高:351億9700万円(11.4%減)
・営業利益:106億5100万円(23.1%減)
・経常利益:210億円(9.5%減)
・最終利益:159億7500万円(4.9%減)
【主な内容】
■決算概要
■中長期 経営方針
■事業ハイライト
■戦略・課題
■決算概要
コーエーテクモホールディングス取締役専務執行役員CFOの浅野でございます。本日はお忙しい中、決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。私から2025年3月期第2四半期の決算概要についてご説明を申し上げます。
第2四半期累計の連結決算概況はご記載の通りです。主な動きとして、コンソール・PC分野、オンライン・モバイル分野ともに既存タイトルが中心となりました。営業外収支については、債券中心のポートフォリオを維持し、機動的な対応が取れたことで前年度を上回りました。
期初業績予想との差異についてご説明をいたします。モバイル分野において、2023年に配信開始した自社タイトルの売り上げが期初の計画には届かなかったものの、営業利益には貢献する結果となりました。また、コンソール・PC分野におけるバックカタログやリピート販売が計画を上回ったことや外注加工費、広告宣伝費などの費用が削減したこと等から、営業利益が期初業績予想を上回りました。
主な費用人員数についてご説明します。人材への投資についてのトレンドに大きな変化はなく、継続して積極的な採用とベースアップを行っております。人件費は業績賞与の影響により前年比で同水準となりました。外注加工費は将来発売するタイトルの開発費、サーバー費用、デバッグ費用等を計上しております。また、広告宣伝費はオンラインモバイルの運営タイトルの広告費を計上しております。前年度と比較し、協業タイトルにかかる一過性の費用や新作タイトルの配信に伴う広告費等が発生しなかったことで、コストが圧縮され、収益に対してプラスに寄与いたしました。
セグメント別の売上高営業利益はご覧の通りです。エンタテインメントセグメントは、連結業績にてご説明したとおりです。アミューズメントセグメントは、SP事業の開発受託売上が前年同期比では減少したものの、アミューズメント施設事業において、7月にオープンした新店が貢献したほか、既存店売上高が前年を上回ったことにより売上高は増加となりました。不動産セグメントは、既存物件における維持管理費用の減少等により増益となりました。その他、セグメントはベンチャーキャピタル事業で出資先ファンドの管理費用を計上しております。
地域別の売上高です。日本国内と海外の売上高比率は前年同期と比較して同様の割合となっております。
エンタテインメントセグメントの売上高の内訳はご覧の通りです。前年度はコンソールPC分野、オンライン・モバイル分野ともに新作タイトルがありましたが、今年度は既存タイトルが中心となったことから、前年比での売り上げは伸び悩んだものの、前年度発売タイトルおよび定番タイトルの貢献、モバイルタイトルの収益性の向上により、期初想定を上回って推移しました。
コンソールPC分野におけるグローバルでの販売本数は全体で266万本となりました。販売本数における海外比率は66.2%となりました。
オンライン・モバイル分野の売上推移です。第1、第2四半期はおおむね横ばいとなりました。既存タイトルは底堅い動きとなったことで、前四半期対比で売り上げが回復しました。
業績予想についてご説明します。2024年度の通期業績予想は据え置きとしています。第2四半期末時点では期初の予想を上回る結果となったものの、コンソールPC分野の新作が第3四半期以降に集中していることや世界経済や金融市場の動向を考慮し、修正はございません。また、その他の前提は期初地点から変更はなく、突発的な費用計上などのリスクは想定しておりません。以上で、2024年度第2四半期の決算概要に関する説明を終わらせていただきます。引き続き社長の襟川より、中長期の経営方針についてご説明いたします。
■中長期 経営方針
株式会社コーエーテクモホールディングス代表取締役社長の襟川でございます。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。私からはコーエーテクモグループの中長期の経営方針についてご説明申し上げます。
今年度は第三次中期経営計画における最終年度ですが、現状の重点目標の進捗はご覧の通りです。期間中に目標としたタイトルはすべて発売できる見通しです。販売本数や月商は達成できたものと未達となったものがございました。営業利益400億円、AAAクラスのタイトル創出といった目標についてはチャレンジを続けてまいります。
中長期の方向性についてご説明します。ビジョンに向けた長期マイルストーンとして、ゲーム会社のデジタルエンタテインメント事業における営業利益で、世界トップテンに入ることを目指します。2023年度末時点で当社は世界14位です。現在開発やパブリッシング体制は成長の途上にあると認識しておりまして、積極的に体制拡充を進めていく方針です。こういった体制構築を進める中でも、年率10%ペースで営業利益を伸ばすことを目標に成長性と収益性の両立を図ります。トップテン入りを果たすには、多様なタイトルを創出する、毎年大型タイトルを発売することが重要となると考えております。このマイルストーンに向け第四次中期経営計画の策定を進めています。
当社のビジョンは世界ナンバーワンのデジタルエンターテイメントカンパニーです。デジタルエンターテイメント分野の営業利益額で世界ナンバーワンは高い目標ではありますが、実力を磨きながら一歩ずつ成長していきたいと考えています。第三次中期経営計画においては、世界17位から14位にランクアップしました。長期的にトップテン入りすることを旗頭に全社員一丸となって取り組んでまいります。
ビジョンの実現に向けた当社の基本理念についてお話しします。コーエーテクモの精神として、創造と貢献を掲げています。新しい価値を創造することで社会に貢献する――これを実践していく企業でありたいという思いを込めています。
創造とは、新しい面白さを生み出していくことです。独創性あふれる素晴らしいコンテンツをはじめとした、今までにない面白さを生み出すこと、安定した面白さに新しい価値を加えていくことが大切であると考えています。
貢献とは、新しい面白さを生み出し、それがお客様に最高の感動を提供し、喜びと活力を生むことが社会への貢献につながると考えています。また、お客様の満足はクリエイターにとっても喜びであり、働く上でのやりがいや生きがいにつながるものと捉えています。
最高のコンテンツを生み出すためには、クリエイティブとビジネスを両立することが大切です。当社においてこの両者を実現するのはプロデューサーです。新しい面白さを生む企画を立てて品質・納期・予算が一定の範囲に収まるようにプロジェクトをマネジメントします。これをどれだけ高いレベルで実現できたか、その結果が利益となります。また、利益はお客様からの「面白かったよ」「続編に期待しているよ」という応援の声そのものです。応援の声がプロデューサーやクリエイターの励みとなり、コーエーテクモグループが成長していく原動力となります。このスピードを全社員と共有しながら、世界のコンテンツ作りに励み、世界ナンバーワンを目指してまいります。これからも変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
■事業ハイライト
株式会社コーエーテクモホールディングス代表取締役副社長 兼 株式会社コーエーテクモ代表取締役社長の鯉沼でございます。私からはまず上半期の事業ハイライトをご説明いたします。上期の主なタイトルはご覧の通りです。コンソールPC分野では、前年度末に発売した『Rise of the Ronin』のリピート販売やバックカタログの定番タイトルが貢献しました。オンラインモバイル分野では、覇道シリーズが息長く貢献しています。2023年配信タイトルは期待には届いていないものの、今年度に入ってからは売り上げが安定してきており、長いスパンでの収益貢献を目指しています。
下期のパイプラインは記載のとおりです。2024年度の旗艦タイトルである『真・三國無双 ORIGINS』を25年1月に発売します。初動でミリオンクラスのヒットを目指し開発を進めています。また、複数の未発表タイトルを年度内に発売する予定です。なお、10月24日に発売した『三國志8 REMAKE』は、発売初日に日本、台湾、韓国等でSteam売り上げランキング1位を獲得するなど好調なスタートとなりました。
中期的なパイプラインの方針についてご説明いたします。第四次中計に向け、すでに多くのタイトルの開発が進行しています。開発タイトルの本数や規模は、大枠として第三次中計と同等を想定していますが、四つの収益層でバランスの良い内容を目指します。第三次中計の反省を踏まえ、業績をチャレンジタイトルに依存しないようリスクバランスを再考したラインナップ編成を行っています。
■戦略・課題
今後の戦略課題についてご説明します。長いスパンで成長を実現していくためには、IPの創造と開発力の増強に取り組むことが欠かせません。経営方針として、グローバルIPの創造と展開を掲げてまいりましたが、IPの創造は重要な課題と位置づけています。新しいIPが生まれれば、シリーズやコラボレーション等の収益機会を生むことができます。大型タイトルに限らず、さまざまな分野でチャレンジを続けていく方針です。また、開発体制の増強に積極的に投資をしてまいります。開発リソースを増やすという意味での縦方向、タイトルの数や種類の幅を広げるという意味での横方向の両方向に拡充します。特に大型タイトルにおいては、丁寧にコンテンツを作り、細部までしっかりと仕上げきることが一つの要件と捉えています。これを実現できるよう、開発の基礎体力向上を進めています。
当社の特徴は、バラエティーに富んだタイトルを高い品質で開発できることにあると考えています。これを実現しているのは、個性豊かな七つの開発部門です。コーエーテクモゲームスにおいては6ブランド、1スタジオによる開発体制をとっており、各部門でPLや成長に対する責任を持ち、自律的な成長を図っています。開発体制の増強により、各ブランドの強みをさらに伸ばすことによって、中長期的な成長を目指します。
戦略についてご説明します。当社は、コンソールPC、オンライン・モバイルの両分野で成長を実現していきたいと考えています。その中でコンソールPC分野は高い成長を牽引していくものと位置づけています。開発力の増強によって発売できるタイトルの数と発売本数を伸ばすことを基本としながら、二軸での成長を図ります。第一に安定収益です。シリーズ作など収益性の高いタイトルを毎期発売することで着実な成長を目指します。第二にチャレンジです。安定収益で得た資金をチャレンジタイトルに投資します。新しいIPやジャンルへ挑戦することで、中長期的な収益機会の創出を狙います。
オンラインモバイル分野の戦略です。オンラインモバイル分野では、安定した収益源として開発サイトの先行投資を賄い、業績を下支えすることを期待しています。長く貢献するタイトルを生み出すことを基本として、新作を積み上げることで分野全体の売り上げを拡大させる方針です。特に国内モバイル市場は競争が激しい環境ですが、覇道シリーズのように独自性のあるポジショニングを築くことが勝ち筋であると認識しています。このような方針に基づき、コンソールPCとオンラインモバイルの両分野で成長性と収益性を両立してまいります。
地域別の戦略です。コンソールPC分野は北米、欧州、中国、アジア地域に成長余地があると認識しています。 特に大型タイトルでグローバル市場において大きな販売本数を実現することが重要です。そのために、マーケティング体制の強化を進めてまいります。オンライン・モバイル分野は、自社およびIP許諾タイトルともに、国内および中国をはじめとするアジア近隣諸国が重要地域です。さらに、北米などのグローバルな市場にもチャレンジしてまいります。また、将来を見据えて、コーエーテクモシンガポールを中心としてインド、東南アジアをはじめとする新たな市場の開拓を進めていきたいと考えています。
期初にご説明した開発の課題4点について、現在の取り組みをご紹介します。開発体制の拡充については、新卒採用を中心とした積極的な採用を継続しています。タイトルの品質向上については、KATANA ENGINEのグラフィック技術向上を進めています。汎用エンジンを活用したタイトル開発にも取り組んでいます。より一層の品質やコストの改善を図ってまいります。コスト削減については、自動政策技術の開発、AIによる一部工程の自動化を実施しています。予算管理についてもさらに強固な体制づくりを進めています。マーケティングについては長期的な体制構築に向け検討を開始しました。また、外部から高い評価を得られるよう、調査やノウハウの蓄積を進めています。いずれの課題についても、短期的な対処ではなく、中長期的に当社がグローバルで戦える競争力を獲得するための過程として引き続き尽力してまいります。
会社情報
- 会社名
- コーエーテクモホールディングス株式会社
- 設立
- 2009年4月
- 代表者
- 代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高845億8400万円、営業利益284億9400万円、経常利益457億4100万円、最終利益337億9200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3635