エイチーム<3662>は、6月10日、東京都内で2016年7月期の第3四半期(8~4月)の決算説明会を開催した。説明会に先駆けて発表された第3四半期累計(8~4月)の連結決算は、売上高162億1000万円(前年同期比43.9%増)、営業利益14億6400万円(同10.9%減)、経常利益13億5800万円(同20.6%減)、四半期純利益7億8800万円(同27.2%減)と増収ながら現役での着地となった。
説明会では、同社の林高生社長(写真)が第3四半期の業績概要や、第4四半期の展望などの説明を行い、その後に質疑応答が行われた。今回はその質疑応答の内容も踏まえつつ、その内容をまとめてみた。
■QonQで利益率が急回復、オフィス移転に伴う二重賃料の解消などで
まずは、第3四半期期間(2~4月)の業績を四半期推移(QonQ)で見ると、売上高は前四半期比14.0%増の61億7800万円、営業利益は同5.5倍の7億9800万円、経常利益は同6.6倍の7億5100万円、四半期純利益は同28.0倍の4億7900万円となった。この利益率の大きな変化は、第2四半期期間(11~1月)に本社移転に伴う一過性の費用を計上したことによる影響が大きい。
その費用について分かりやすいデータが以下の経営指標の推移だ。オフィス賃料が第2四半期のみ突出した数字となっている。これは、「移転に伴う二重賃料が発生していたが、第3四半期はそれが解消した」(林社長)ことによるものだ。
なお、広告宣伝費は、エンタメ事業で第2四半期期間に『三国大戦スマッシュ!』の大型プロモーションを実施したことで急増していたが、この第3四半期は費用対効果の精査により、エンタメ事業は広告宣伝費は微減した。一方で、繁忙期を迎えるライフスタイル事業の広告宣伝費が増加し、トータルでは微増という形になっている。なお、このライフ事業の広告宣伝費は第4四半期は「第1四半期、第2四半期並みになる」(同)という。
■エンタメ事業の売上高はほぼ横ばいの推移に
続いてエンタメ事業の状況を見てみたい。エンタメ事業の第3四半期期間の売上高は前四半期比0.7%増の31億9600万円となった。『三国大戦スマッシュ!』が3ヵ月フル寄与し、けん引役となったが、『ユニゾンリーグ』や『ダービーインパクト』は年末年始イベントの反動を受ける形となった。
なお、第4四半期はこれに「新作(『ヴァルキリーコネクト』)の売上が乗っかってくる」(同)ことになる。なお、『ヴァルキリーコネクト』は今週から課金要素が実装される予定であり、その後どのような売上推移を見せるのか注目されるところだ。
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■引越し関連や自転車Eコマースの繁忙期でライフスタイル事業は売上高32%増
一方、ライフスタイル事業は、引越し関連や自転車Eコマース、自動車関連が繁忙期ということもあり、QonQで32.7%の増収となる売上高29億8200万円での着地となった。それにより、両事業の売上構成比はエンタメ事業が51.7%、ライフスタイル事業は48.3%となっている。
■通期予想は据え置き 「『ヴァルキリーコネクト』の動きを見極めて判断」(林社長)
なお、2016年7月期通期の予想については、従来予想から変更なく、売上高200億円(前期比26.4%増)、営業利益21億円(同0.6%増)、経常利益21億円(同3.0%減)、当期純利益14億円(同2.8%増)の見込み。売上高は第3四半期までの進捗率で81.1%に達するなど想定上回る推移となっているが、業績予想の修正については、「今後1か月半くらいの『ヴァルキリーコネクト』の動きを見極めてから判断したい」(林社長)としていた。
続く新作は、『放課後ガールズトライブ』が事前登録を実施中だが、「『ガールズトライブ』は進捗的にやや遅れ気味」(同)とのことで、第4四半期中のリリースとなるのか微妙な状況と言えそうだ。
(編集部:柴田正之)
会社情報
- 会社名
- 株式会社エイチーム
- 設立
- 2000年2月
- 代表者
- 代表取締役社長 林 高生
- 決算期
- 7月
- 直近業績
- 売上高239億1700万円、営業利益5億6200万円、経常利益6億900万円、最終利益9億5300万円(2024年7月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3662