「自分の可能性を狭めない」「職種問わず様々な分野を経験できる」…『ゆるドラシル』『ワンダークラウン』を手掛けるクローバーラボの開発現場【とな会】


採用面に力を入れている企業にスポットをあてた、メールインタビュー企画「となりの会社の中の人」、略して「とな会(トナカイ)」。第6回はクローバーラボの中の人をピックアップ。

関西に拠点を置く同社は、代表作にネタ×シリアスな物語が特徴的なスマホ向けRPG『ゆるドラシル』をはじめ、ファッションレンタルサービス『leeap - リープ』など多種多様なアプリを手掛けている。最新作はデッキ戦略型RPG『ワンダークラウン』。

今回、「Social Game Info」では、クローバーラボのグラフィックデザイン部 部長の西田詩織氏にメールインタビューを実施し、同社が求めている人物像や社内の開発環境などについて訊いてみた。

 
 


 

■「自分の可能性を狭めない」…職種問わず様々な分野を経験できる開発現場



クローバーラボ株式会社
グラフィックデザイン部 部長
西田詩織


――:本日はよろしくお願いいたします。はじめに西田さんのご経歴を簡単に教えてください。

美術系の大学で広告関係の勉強をしていましたが、卒業後、同級生から誘われたのがきっかけでゲームデザインの仕事に携わることになりました。はじめは画面のデザインや、デコメールの制作、海外向けに英訳された画像の制作等を行っていました。

その後、2010年に当社に参画し、キャラクターイラスト、UI、背景やモーションなどゲームに関わるデザインを全般的に担当してきました。現在は2016年6月にリリースした『ワンダークラウン』のメインデザイナー兼アートディレクションを行いながら、グラフィックデザイン部の部長としてクローバーラボのデザイナーの統括をしています。


――:「デザイナー」と一括りにしても様々な職種があるかと思いますが、制作環境・体制としての、御社ならではの特徴はございますか。
 
デザイナーの業務の細分化はしていません。今のプロジェクトでキャラクターデザインを担当している人が、次のプロジェクトではモーションを担当することもあります。もちろん、デザイナーの得手不得手や、本人の希望を考慮してプロジェクトにアサインしますが、「面白いゲームを作る」目的でチームは動いているので、決められた事だけをするのではなく様々な業務に挑戦することができます。

デザイナーはプロジェクトに配属されると同時に、グラフィックデザイン部にも所属し、部内ではお互いのクオリティチェックやノウハウの共有を行いながら各デザイナーのスキルアップに取り組んでいます。

当社では、自分の可能性を狭めず、様々な分野を経験し、デザイナーとしての自分の可能性を広げていくことができます。また、その過程で、自分の専門性を高めていくこともできると思っています。
 


――:デザイナーにおいて御社の中でどのようなこだわりをお持ちですか。

「ユーザーに楽しんでもらえるものを作る!」というのを何よりも大事にしていますが、そのためにはデザイナー自身も楽しんで開発をすることが大事だと思っています。実際に楽しんで開発に取り組んだ方が、作業効率も上がりますし、クオリティの追及にも磨きがかかります(笑)。キャラクター、UI、エフェクト、モーション等、喜んでもらえるものを作りたいのなら、自分自身が納得したもの作ることが大事だと思っています。
 

――:昨今ではモバイルゲームではデザインといったものは重要になっております。御社タイトルのデザインを携わるうえで、大切にしていることはありますか。

守りに入らないことでしょうか。人気タイトルのデザインを追いかけるのではなく、クローバーラボ特有の面白くて親しみやすい世界観が伝わるようにしています。実際に『ゆるドラシル』では北欧の神々を、ムキムキマッチョの海パンおじさんに描いてみたり、「おでん」という文字がかかれたタンクトップを着せてみたり。
 

▲『ゆるドラシル』に登場するキャラクター

『ワンダークラウン』では、頭がカジキマグロの執事がメインキャラクターの一人になっています。有り難いことに反響も沢山いただいています。ふざけたデザインをするという意味ではなく、真剣に「これだ!」と思えるアイディアを積極的に取り入れています。

また、スマホゲームではリアルタイムでユーザーの要望や意見を聞くことができます。継続的に楽しんでいただくためにも、「フットワークは軽く!」を大事にして、素早く対応するようにしています。
 

▲最新作『ワンダークラウン』


――:会社全体、またはチーム内の雰囲気はいかがですか。

職種や役職、キャリアを意識せずに、フラットにコミュニケーションがとれる環境です。社内には飲み放題のバーや、和室の会議室があったりして、一緒にゲームを遊んだりしながら気軽にコミュニケーションを取っています。休憩していたはずが、時には真剣な会話に発展しています。他の職種の人とも意見交換を頻繁にするので、新鮮な意見を取り入れるきっかけにもなっています。
 




――:目標や課題としてどういったことがありますか。

今後も基本的には、企画から開発・運営まですべて内製していきたいと思っています。内製することによって、スピード感をもって取り組むことができますし、誰もが自由に意見を出し合えると思っています。ですので、デザイナーに限らず、内製環境を整えるためにも人材の確保は大きな課題です。また、新しい人が入ってくることで新陳代謝も起こりますし、固定観念に囚われず新たなアイディアもどんどん取り入れられると思っています。実際に「ゆるドラシル」の奇抜なキャラ設定も、新人のデザイン案が元になり採用されました。
 
技術力向上にも勿論取り組んでいます。ただ、「ゲームビジュアル」をデザインすることだけに注力するのではなく、企画の段階からコンテンツの本質や常に変化するユーザーの動向を見極め、デザインを判断していく力を養うことは、永遠の課題だと思っています。当社のデザイナーには日々研究し、いろんなことに挑戦していってほしいと思っています。


――:そちらを実現していくにあたり、どういった人物と働きたいといった考えはございますか。

基本的なことですが、感覚的に物事をとらえるだけではなく、コンテンツの良し悪しを決めるポイントや理由を理解することに努め、他者にアウトプット(説明)できる方と働きたいと思っています。特に当社では、チームでアイディアを出し合い開発を進めるので、他者に理解してもらう努力することはとても大事です。また、その上で自分の考えを持ち、納得するまで議論できる人がいいですね。また、変化が激しい市場でもあるので、新しい情報に敏感であることも大事です。


――:スキルの他にも、共にゲームを作っていく上でどのような点を大事にしていますか。

あくまでゲームを開発する目的は「ユーザーにとって面白いものをつくる」ということです。なので、理由もなく自身の好みや考えだけを優先される方には、当社でゲーム開発をするには難しいと思っています。また、様々な職種や年齢の人が所属するチームで開発を進めますので、自分自身の意見も言えると同時に、仲間の意見も尊重し、フォローできる事が大事だと思っています。


――:仕事をしていて印象的だったことがあれば教えてください。

ユーザーの方のクリエイティブ活動に、当社のキャラクターを使用いただいたことです。キャラクターのイラストを描いてtwitterに投稿してくださったり、衣装を提案していただいたり、また3Dフィギュアを制作していただき、プレゼントしていただいたこともありました。凄くうれしくて、当社の玄関に飾っています(笑)。ゲーム内だけではなく、枠を超えて楽しんでいただけることは、ユーザーの方とのつながりを強く感じることができて、とても感動しましたし、もっと楽しんでいただけるために頑張ろう!と活力になります。


――:今後どのような事にチャレンジしていきたいですか。
 

デザイナーの積極採用をしていきます! コンテンツ内の一つの機能をとっても隅々まで吟味したいと思っているので、より多くのデザイナーの意見をぶつけ合いたいですね。価値のあるコンテンツ開発を追及するためにも採用の役割を担い、人員強化を行っていきます!

他には、デザイナーの教育制度や環境改善に力をいれて、後継者やマネジメント層の育成を強化したいです。積極採用もしていますし、当社に入社いただいたからには、立派に成長してほしいという親心もあります(笑)。またLive2D等、新しい技術にもどんどん挑戦していきたいですし、デザイナーがやりたい!と思うことを実現していきたいです。
 

――:ありがとうございました。

 
クローバーラボ株式会社
http://cloverlab.jp/

会社情報

会社名
クローバーラボ株式会社
設立
2009年7月
代表者
小山力也
決算期
6月
直近業績
2012年6月期の売上高2.53億円
上場区分
非上場
企業データを見る