クローバーラボ待望の新作アプリ『ワンダークラウン』開発秘話 奇想天外の世界観と徹底されたインフラ周りを取材【書籍『IDCFクラウド攻略』プレゼント】


関西に拠点を置くクローバーラボは、6月9日より、スマートフォン向けRPG『WANDER CROWN ~七つの大陸と忘れられた島国~』(以下、『ワンダークラウン』)を配信開始した。

本作は、『ゆるドラシル』や『マゼラニカ クロニクル』に続く、クローバーラボの最新作となるファンタジーRPG。世界から忘れられた島に住んでいた主人公が個性豊かなキャラクターたちとともに、7つの大陸を冒険し、世界を襲う災厄に立ち向かっていく。

そんな本作だが、10万人を超えるユーザーが事前登録を行い、リリースからわずか1日で15万ダウンロードを突破した(関連記事)。周知の通りゲームアプリには、リリースやイベント・キャンペーンのタイミングで、サーバにかかる負荷が増減する。例にもれず同作でも気を配っている要素のひとつで、ユーザーのプレイを妨げないように、快適な運用には必要不可欠な取り組みを行っている。そんな同作の「サーバ」を支えたのは、ゲームアプリの開発インフラとして数々の企業が導入しているIDCFクラウド(提供:IDCフロンティア)。

本稿では、クローバーラボの開発体制や経営思想を皮切りに、『クローバーラボ』の開発秘話や徹底されたインフラ周りを中心に、同社のキーマンたちに話を伺ってきた。

 

■ボトムアップ型の経営スタンスを貫く



クローバーラボ株式会社
代表取締役 CEO
小山 力也 氏(写真左)

取締役 CTO
鏑木 哲 氏(写真右)

『ワンダークラウン』プロデューサー
川本 浩三 氏(写真中央)


――:本日はよろしくお願いします。今回は『ワンダークラウン』の話題を中心に、開発を手掛けたクローバーラボ社のキーマンの皆さまにお集まりいただきました。設立から7年目を迎えた御社ですが、せっかくですので設立の頃からお話を伺ってもよろしいでしょうか。

小山力也氏(以下、小山):はい。もともと私は神戸のITベンチャーで役員として働き、その後29歳のころにクローバーラボを設立しました。当時の事業内容は、ゲームに関わらずECサイトやホームページの制作、システムの受託開発を中心に行っていました。
 


――:設立が2009年ですが、ちょうどmixiやMobageのオープン化が取り沙汰されていた、ソーシャルゲームバブルの時代かと思います。

小山:そうですね。一部ゲームの受託開発も行っていたのですが、もともとオリジナルタイトルを手掛けてきたいという思いがありましたので、当時から自社でもゲームの企画を作るように動いていきました。ですが、どうしても資本やコスト面で課題がありましたので、日中は通常業務となる受託開発を行い、夜など空いた時間を使っては自社タイトルを粛々と開発していました。


――:かなり大変な時期だったと思います。御社のターニングポイントとなったのはどういうタイミングでしょうか。

小山:大きく分けてふたつありました。

ひとつは設立3期目を終えたときに、受託をやめるという判断をしたことです。先ほども申し上げたように、会社を設立したのは何も受託開発だけを行いたいわけではなく、やはり自分たちのサービスを出したいという強い思いがありました。それで本気でご飯を食べていくのであれば、片手間には絶対できないと考え開発コストを自社サービスに完全に振り切ったのです。

そして、ふたつ目はネイティブシフトとなります。


――:御社のネイティブタイトルでは『アルカナの騎士』を皮切りに、『みんなでまおう』『ゆるドラシル』『ワンダークラウン』と複数ありますが、ネイティブシフトの際はスムーズだったのでしょうか。

小山:ネイティブ第一弾タイトルとなる『アルカナの騎士』はゲームエンジンを使わずに開発していましたが、『ゆるドラシル』で初めてゲームエンジンとなる「Cocos2d-x」を使いました。もともと弊社のスタッフにはエンジニアが多く、なおかつクライアント側のスキルに長けている人が多かったため、開発環境の変更などには大きなトラブルはありませんでした。

そもそもクローバーラボは完全なボトムアップ型の経営スタンスを貫いています。会社からエンジンや言語の指定も一切なく、スタッフそれぞれが万能に対応しています。もちろん根底には“自分たちが作りたいものを作る”という思いがありますが、職種問わず積極的に提案してくれる特徴があります。

 

■奇想天外の世界観 親和性の高いシステムへ


――:ここからは新作アプリ『ワンダークラウン』に関してお聞きしていきたいと思います。月並みな質問ですが、まずは開発経緯から教えてください。


川本浩三氏(以下、川本):もともと私は『ゆるドラシル』のシナリオや世界観設計を担当していたのですが、そのリリース・運用が一段落したタイミングにて、そろそろ新作を作ろうとなりプロジェクトが立ち上がりました。当時は4人ぐらいのチームでした。また、開発環境も『ゆるドラシル』は「Cocos2d-x」でしたが、『ワンダークラウン』からはメインプログラマーが「Unity」で組みたいと言ったので、開発環境を変更することにしました(笑)。


――:先ほどの小山さんの話じゃないですが、結構すぐに変わるものなのですね(笑)。ゲームを開発するうえで、何かコンセプトはあったのでしょうか。

川本:当初はゲームシステムにこだわりを持って、ユーザーに新しい体験を提供しようと試行錯誤していました。ですが、『ゆるドラシル』を運用していくなかで、ユーザーさんからはキャラクターや世界観を評価されていることに気付き、そこから『ワンダークラウン』も世界観と親和性のあるシステムに変えていこうと考え、コマンドRPGへと大きくシフトチェンジしていきました。そのなかでもキャラクターごとに特徴を持たせて、ユーザーさん自身に遊び方を考えてもらえるような作りにしました。


――:たしかに世界観は特徴的ですよね。『ゆるドラシル』から続くノリと勢いの奇想天外な設定は魅力的です。

川本:『ゆるドラシル』は北欧神話をベースにしているのですが、馬の被りものを付けたスレイプニルやサンダルを履いたオーディンなど、ありえないデザインのキャラクターがたくさん出てきます。

『ワンダークラウン』も同様に、何故かナビゲーションキャラクターがカジキマグロです。キャラクターボイスの選定も私のほうで担当したのですが、どうしてもカジキは渋い声が特徴の若本規夫さんにお願いしたいとオファーしました(笑)。


――:かなりユニークですよね(笑)。PVとかもそのいい加減さが逆に味でした。

川本:ここは関西企業ならではの、ノリと勢いだけで作っているので(笑)。じつは半分くらいアドリブになっています。
 


――:リリースから1ヵ月以上経過していましたが、ユーザーからの反響はいかがですか。

川本:『ゆるドラシル』ファンの方にも遊んでいただき、おかげさまでユーザー数は増えてきています。入口は世界観ベースで始めていますが、これからユーザーさんがどういう遊びを求めているかなどを把握し、運営側で新しい機能などを逐次提供していこうと思っています。


 

■待望の新作アプリを支えたクラウドサービスの評価とは


――:『ワンダークラウン』についてさらに詳しくお聞きしたいと思います。リリースからわずか1日で15万ダウンロードを突破するなど、初速の勢いが凄かったです。それらを支えているのは「IDCFクラウド」ですが、採用した理由を教えてください。
 

鏑木哲氏(以下、鏑木):じつは、弊社ではこれまで『ゆるドラシル』をはじめ他社のクラウドサービスを使用していました。安くてスペックも出ておりましたので、そこまで困ってはいなかったのですが、ディスクのレイテンシーが気になっていたところ、ほかも検討していた際にIDCFクラウドを拝見しました。ディスクもオールフラッシュ(フルSSD)で早いことをお聞きしていましたので、何回か試してベンチマークを取ったのですが、性能に特化した内容で採用を決めました。 


――:これまで使用していたクラウドサービスと比較して採用後はいかがでしたか。

鏑木:やはりスペックの高さは印象的です。また、これまではインフラリソースを自社で管理し、アプリ上で操作するものでしたので、基本的には私を中心に専門性のある方でなければ触ることは出来ませんでした。ですが、IDCFクラウドはブラウザベースで閲覧・調整ができるため、ほかのスタッフでも対応できるようになったのは工数の削減にも繋がりました。

『ワンダークラウン』の場合ですと、社内で初めて私以外の人が調整しました。実際にほかのエンジニアが状況に応じてサーバを増減させたり、スペックを変えたりと臨機応変に対応しているところをよく目にするようになりました。
 


――:とくにゲームアプリでは、イベント・キャンペーンの前後で負荷も前後することが多々あるため、素早いインフラの設定が求められると思います。

IDCフロンティア・井上貴博氏(以下、井上):IDCFクラウドには、秒間6万リクエスト実施可能な負荷テストサービス(1ヵ月無料)がございます。

『ワンダークラウン』では、こちらの負荷テストサービスをご提案させていただいて、リリース時のアクセス集中に耐えられるインフラ構成になっているかを確認しました。本番を見越したテストを実施し、トラブルを未然に防ぐことができるのは弊社の強みです。

鏑木:そうですね。事前に把握できるのは助かりました。どうしても自前で用意するのは大変ですので、設計・構築の手間いらずでコストが抑えられたのは良かったです。


――:実際のリリース時はいかがでしたか。

鏑木:じつは、想定以上にユーザーさんに訪れていただき、急遽サーバを増加することになりました。ただ、そういう思わぬトラブルでも迅速に対応できたのはIDCFクラウドならではだと思います。サーバ管理・監視ツールの「Mackerel」と連携していることもあり、現場スタッフのほうで視覚的に分かりやすくなったのもメリットですね。

ちなみに、サーバを切り替えようと決めたのは『ワンダークラウン』リリースの1ヵ月前でした。


――:なんと。これまた急でしたね。

鏑木:新しい環境にチャレンジすることを検討していましたが、なかなか決めかねておりました。最終的な採用理由は、Yahoo! JAPANグループという信頼性の高さと実績です。また、井上さんには以前から情報提供を頂いていたので、採用決定後はスムーズに利用できました。

井上:IDCFクラウドは、多くのゲーム事業者での採用実績があり、弊社では共通する課題解決ノウハウを持っています。そのため、例えば「トップセールス100位以内のゲームでRPGならこういう構成」「このタイミングでここがボトルネックになるケースが多い」など、企業・タイトルに合わせた成長プランを描ける体制を整えています。


――:分かりました。ちなみに、新作アプリについてはいかがでしょうか。

小山:詳しくは申し上げられないですが、すでに走っています。こちらもご期待ください。


――:御社のほうでは、積極的に求人も募集されていると思います。求めている人物像について教えてください。

小山:現在はデザイナーさんを積極的に募集しています。2Dイラストレーターをはじめ、アニメーションすることも多いため、モーションエンジニアなどそうした知見のある方も募集中です。エンジニアではUnityの案件が増えてきておりますので、それらのスキルを持っている方がいれば幸いです。


――:それでは、最後にクローバーラボ会社全体の展望について教えてください。

小山:まずは自分たちが作りたいものを作り、そしてユーザーさんに喜んでもらえるようなサービスを安定して提供していきたいと思います。大阪を拠点して事業を行っている企業ですので、独自の会社組織で成長していきたいと思います。


――:本日はありがとうございました。
 
(取材・文:編集部  原孝則)
 

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※西日本エリアにご勤務の担当者様の場合に限らせていただきます。

著者 株式会社IDCフロンティア
編集 池田成樹
出版社 カットシステム(ISBN 978-4-87783-405-0)
定価 3,456円(税込み)


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© Clover Lab.,inc.
クローバーラボ株式会社
http://cloverlab.jp/

会社情報

会社名
クローバーラボ株式会社
設立
2009年7月
代表者
小山力也
決算期
6月
直近業績
2012年6月期の売上高2.53億円
上場区分
非上場
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