【インタビュー】Aimingが新作MMORPG『Project Caravan』で描きたいもの ―― プロデューサー高屋敷哲氏が語る作品の未来


Aiming<3911>は、8月19日の生放送で実施した「AimingFES2016」において、完全新作のモバイル向けMMORPG『Project Caravan』を発表した。
 

 
本作は、かつて『幻塔戦記グリフォン』も手がけた高屋敷哲氏の最新作だ。番組では本作の映像も早速公開され、美しいグラフィックに驚いた人も多いと思う。
 
今回Social Game Infoでは高屋敷氏にインタビューを行い、『Project Caravan』をどのような考えで作っているのか、そしてどこまで完成しているのかを伺ってきた。高屋敷氏の中にはゲームの方向性や世界観、目指すものがしっかりと構成されており、そのうえで新しいスタッフの獲得も目指しているようなので、ぜひ読み進めてほしい。

 

■Aimingが次のステップへいける作品に



株式会社Aiming
『Project Caravan』プロデューサー
高屋敷 哲 氏


――:まずは今回発表された『Project Caravan』について、どんな作品なのかを改めて教えてもらえますか。
 
システムとしてはかなりオーソドックスなMMORPGで、PC向けの作品と遜色ないクオリティをスマートフォンで再現しています。僕は元々MMORPGの開発に携わっていて、フィールドを歩き回ることの価値を認識していました。しかしスマートフォンでのオンラインゲームを見てみると、フィールドを歩くことはほとんどなく、クエスト一覧から選択してバトルを始めるシステムが主流です。それを改めて壊して、リッチな体験をスマートフォンユーザーにもしてもらいたいと考え企画しました。





――:まだ発表されたばかりですが、システム面は固まってきているのでしょうか。
 
メインストーリーを攻略していく中で仲間を集め、パーティを編成していく流れになっています。通常のMMORPGですと分身であるアバターを作成し、装備品で個性を出していくスタイルがメインだったと思います。それが本作ではパーティの編成で個性付けができるのです。
 

――:キャラクタークリエイトは、他の作品とは違った仕様になるのでしょうか?
 
ドワーフ、オーク、人間など6種族がいて、それぞれ性別も選択できます。あとは表情や髪型などを決められるといった他作品でも採用されている仕様ですが、それぞれの種族には専用のストーリーも用意されており、世界観やゲーム性は深くしていけるように工夫をしています。
 


――:ゲームのバランスとしては、やはり仲間との協力を意識しているのですか? それともソロプレイで問題ないのでしょうか。
 
少なくともゲーム開始直後から仲間との協力が必要になることはありません。まずはソロでじっくりとプレイして、慣れたタイミングで仲間を増やしていってもらうバランスです。操作性も極力観点にする予定で、目的地まで自動で移動するシステムももちろん搭載します。戦闘も同様に基本的に自動で行われ、プレイヤーさんの操作としてはスキルを使用するタイミングでタップを行うといった、本作の楽しさに専念できるように設計しています。


――:パーティには最大で何人組み込めますか?
 
6人です。本作で特徴的なのが仲間となるキャラクター約150人はすべてストーリーの過程で手に入り、ここには課金が一切必要ないのです。これに加えてフォールド上に登場する約200体のモンスターも、すべて仲間にすることが可能です。
 


――:そうなるとかなりパーティ編成の幅は広がりそうですね。しかしそれだと、今度は他プレイヤーとどう関わっていくのかが気になります。
 
ソロプレイではAIが勝手に行動するところを、他プレイヤーが介入するようになるイメージです。あとは当然ギルドやフレンド機能を備え、レイドボスといったエンドコンテンツも用意します。
 


――:MMORPGでは定番の要素もすべて揃っていると。
 
そうですね。あとは面白い機能として、仮タイトルの元にもなっている「キャラバン」があります。これはキャラクターの後ろを付いてくる馬車のようなもので、中ではさまざまな施設を建設して、アイテムを作成したり、倉庫を拡張したりといった恩恵が得られます。さらに外装には大砲などの武器を装着でき、対戦コンテンツではこのキャラバンを防衛することを目的にしようと考えています。防衛するためには自身のキャラクターだけでなく、キャラバンも強化しなければいけないバランスに調整するつもりです。
 



――:映像を見ていると、グラフィックもかなりリッチな印象を受けますね。
 
そこが今回特に力を入れているポイントで、椎葉(椎葉忠志氏)からも「次のステップへいけるような作品を」と要望を受けていました。その一方でスマートフォンへのこだわりだけで収めないで欲しいとも言われていたのです。そこで本作ではスマートフォン版に加えてPCでもリリースを行う予定です。外ではスマートフォン、家ではPCというプレイスタイルは他作品でもありますが、それを最低ラインに位置づけ、PCモニターでも遜色ないレベルのクオリティを示すことを目標にしています。
 


――:まだ開発初期の段階ということですが、今後はどのようなスケジュールで進行していく予定ですか。
 
本作の開発は4つのセグメントに分けていて、その第一段階といったところです。全体で言えば10%程度で、年内に来る次のセグメントで40%くらいまで引き上げたいと考えています。通常のコンテンツと比較するとかなり早いタイミングでの露出となりましたが、これは本作に興味を持ち、一緒に作りたいと思ってくれる人を探すためでもあります。


 

■ハイエンドゲーム開発の経験を活かせる環境


――:ここからは採用面に関する話もお聞かせください。現在の開発チームの雰囲気はいかがですか。

どのスタッフも普段からゲームを遊んでいます。それは研究という意味でも趣味の延長という意味でもあり、暇さえあればみんなで集まってゲームを楽しんでいます。時には新人のスタッフがゲーム大会を主催することもあるんです。それと僕のチームだと、自分のコンテンツに対するこだわりの強さも特徴的です。上下関係を気にせず誰もが仲が良く、それでいてしっかり議論も交わせる関係を築いています。


――:人材採用に向けて、Aimingの中で何か取り組みは行うのですか。

このプロジェクト単独での採用セミナーを9月3日に渋谷dots.にて実施予定で、そこでは作品がどこまでできているのかをすべてお見せしつつ、興味を持ってもらえればと考えています。Aimingはスマートフォンアプリを中心に開発しており、志望する方もそれを把握したうえで来る傾向があります。しかし僕個人としては、既存のスマートフォンタイトルにとらわれないリッチなコンテンツを作りたいと考えているんです。セミナーでは「Project Caravan」がどれほどのポテンシャルを持っているのかを確認してもらい、コアゲーマー向けの作品を作りたい人にも参加してもらおうという狙いがあります。セミナー後は懇親会もありますので、Aimingのスタッフを知って頂いたり、情報交換の機会としてもご参加頂きたいですね。
 


▲渋谷dots.にて開催されるセミナーでは開発裏側やAiming社のゲームの作り方も公開予定だ


――:ハイエンドのゲームを作りたい業界経験者も積極採用されると。
 
Aiming全体としては新卒を積極的に採用し、育てることが目標になっていますが、最初から育てるとなるとハイエンドのゲームを作るまでに時間が掛かるデメリットもあります。スマートフォンのスペックも上がり、元来僕たちが持っている技術も活かしやすい環境になってきたのですが、肝心のスタッフがそれを活かせないのです。だから今回のセミナーを通して、ハイエンドゲームへの知見がある人を採用し、一段階高いレベルのゲームを作りたいと考えています。
 

――:今回は『Project Caravan』向けの採用ですが、これからも同じクオリティのゲームを開発していくのですか?

『Project Caravan』はたまたま最初に発表したというだけで、他のラインでも同じように、あるいはこれ以上のクオリティを持った作品を開発中です。ハイエンドゲームを作る土壌は整っているので、あとはそれに見合ったスタッフを迎え入れたいですね。


――プロジェクトにはどのくらいに人数が参加しているのでしょう?
 
社内だけで見れば少人数ですが協力会社もかなり多く、さらにAiming台湾のスタッフも大勢います。延べ人数で言うと80人以上になると思います。年明けのβバージョンが走るころには、規模感もさらに巨大なものになっていくでしょう。
 

――今の段階でスタッフとして入社するとなると、ゲームのコアな部分の開発にも携われそうですね。
 
映像だけだと一見出来上がっているように思うかもしれませんが、その裏側はまだまだこれからです。言われた作業をこなすだけではなく、積極的に自分の個性を表現できるはずです。
 

――新卒採用に積極的というお話でしたが、年齢層を見るとやはり若いスタッフが多いのですか?
 
確かに若いスタッフがメインになっていますね。椎葉としても決定権を若手に任せていて、年齢に関係なく責任を持っています。僕個人としても、若手に重要な仕事を任せることは多々あります。
 

――それでは今後採用を行っていくにあたり、ほしい人物像についても教えてもらえますか?
 
ここまでもお話したとおり、『Project Caravan』の映像を見て「関わりたい」と思ったことが絶対条件になります。役職としてもさまざまなタイプの人材がほしいと思っていて、ディレクターやプロデューサー職を希望する方にも来てもらいたいです。僕一人で牛耳ってしまうのは決して良いことでもないので、各セクションでリーダーとなれる人を採用するつもりです。
 

――リーダーシップを特に重視していると。
 
そうですね。それでいて任せた仕事に対して脇目もふらず向き合ってくれる人、いろいろな意見を吸収してくれる人もご活躍できるはずです。
 

――セグメントごとのスケジュールもある程度決まっているとなると、業務に対するスピード感も重要になってきそうです。
 
それもありますね。スピード感に対する意識、考え方は人それぞれかと思いますが、スケジュールを守り、期日までにしっかり終わらせられる意識が持てる人に来てもらいたいですね。
 

――分かりました。ではスキルや経験の面で求めることはありますか?
 
絶対ではありませんが、ハイエンドゲームを開発してきた人に興味を持ってもらいたいです。『Project Caravan』は現在の時点でPS3の初期くらいのクオリティを出せていると考えていますし、今後もブラッシュアップをかけていきます。その過程でハイエンドゲームの経験を活かせると思います。

 


 
――今後はテストを通してユーザーが触れる機会もあると思います。そうなるとユーザーからの意見をどう取り入れるかも大切ですよね。
 
年末から年明けのタイミングで情報公開も大きく展開できればと考えています。その中でユーザーさんからの声を聞く機会も作りますし、それを開発に反映できるよう僕自身も、新しく入るスタッフにも徹底していきたいです。
 

――それでは最後に今後の意気込みなどがあればお願いします。
 
まずはスピーディーな開発を心がけます。サービス開始等時期に関するお話は現段階では控えさせていただきたいのですが、『Project Caravan』が忘れ去れれることがないように、適度に情報も公開していく予定です。情報の公開に関してはも新しい取り組みもできないか考えていますし。考えること、伴う作業は尽きません。そのためにも多くのスタッフを揃えていきたいと考えておりますし、期待しているユーザーの皆さんには是非楽しみにして頂きたいですね。
 

――ありがとうございました。

 
(取材・構成:ライター ユマ)
 
 

『Project Caravan』採用セミナー


■日程
2016年9月3日(土)16:30(入場受付開始)17:00-20:00

■会場: 
渋谷dots.

■スケジュール: 

16:30 会場
17:00 セミナー開始
18:30 セミナー終了
18:45 懇親会開始
20:00 懇親会終了


■参加費: 
無料
 

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