2015年4月に、スマホ向けネイティブアプリ『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』(以下、『ゴ魔乙』)をリリースしたケイブ<3760>。今回、同社が『ゴ魔乙』に次ぐタイトルを開発中であるという情報を独占入手!
そこで、新タイトルについてのお話を、ケイブ副社長で『ゴ魔乙』の制作総指揮を務める池田恒基氏に伺ってきた。
■ケイブが新ジャンルのスマホアプリを2017年にリリース
▲「井上淳哉氏デザイン、コンセプトヴィジュアル1」
――:早速ではありますが、こちらの新タイトルにおけるコンセプトビジュアル、非常に目をひきますね。一体どのような作品を制作されているのでしょうか。
ジャンルはまだ明かせませんが、本作は多人数参加型の”MMOタイトル”になります。
日本を舞台に、それぞれの正義を持つ少年少女たちが互いに兵器を使って戦うというところが大きなテーマとなっております。あるタイミングで日本に技術的な変化が訪れ、その技術を巡って、日本の支配権を得るための戦いが始まります。その中で、戦闘の前面に立たされるのが、少年少女たちです。
本作では、大きく3つの陣営に分かれて戦うことになるのですが、各陣営のキャラは自身が所属する陣営のリーダーの指示を受けて戦いを繰り広げることになります。それぞれに持っている思想・正義が相容れないため、武器を取り世界を変えるべく戦うことになると。
――:メインキャラを大人ではなく少年少女にした理由を教えてください。
“正義”って、大人になると何かを求めて生きることが少なくなるのに対して、少年少女の時代は、どこか明確に自分が正しいと思って生きていることがあると思うんです。周囲が戦火に包まれる状況では、限界状態の中で様々なことが生まれてくるので、そういったところで、ストーリーとして描けるものはがあるのではないかなと。彼らが本質的に持っているドラマ性が見えるのではないかと考えたことが、少年少女を主人公にしたきっかけです。
純粋すぎる熱意を前面に押し出して、ユーザーの共感ポイントを作りたい。作中、その陣営で生きていくことに没入して欲しい、という想いがあります。
――:制作陣としては、今回、シナリオに芝村裕吏氏、グラフィックには井上淳哉氏を起用されていますが、この辺りの経緯についてもお聞かせ願えますでしょうか。
まず、参加するメンバーが得意なジャンルで「こういったものを作りたい」という想いがあり、その中でベストな世界観・イラストを表現できるのが、シナリオ・グラフィックを依頼した両名になります。制作陣としては、本ジャンルにおいて弊社で最強の布陣を組めたと自負しております。
今回、大きな仕掛けとして、ユーザーの活躍度合いによってストーリーに大きな変化を持たせるギミックを用意しようと考えております。その表現のためにも、より分岐を持ったストーリーというところに強みを持った方にお願いしたいという話の上で、芝村氏の名前が挙がりました。また、ミリタリーという世界観も豊かに表現していただけると考え、シナリオをお願いするに至りました。
ビジュアルについては、キャラクターデザインの方向性として、少年少女の両方を織り交ぜた戦争にしたいという想いから井上氏が最適ではないかとの話になりました。かつて私自身、彼と何度も仕事を共にした経験から、今回のテーマで大きく活躍していただけそうなイメージが湧きましたので、話を進めさせていただきました。
――:両氏×新タイトルが叶うことで、注目ポイントがありましたら、お聞かせ願えますでしょうか。
シナリオについては、芝村氏の作品を既にご存知の方にはお馴染みですが、予想を裏切る展開、世界の裏側に存在する真実に近付いていく緊張感などは健在で、戦争、少年少女、ミリタリーといったテーマである本作と融合することでおこりうる、衝撃的な展開にご期待いただければと思っております。
キャラクターデザインを担当いただいている井上氏にもまた、氏の得意とする少年少女のもつ危うさやドラマ性などを、世界観に合わせ存分に発揮いただいています。コンセプトビジュアルとしてメカニックなものも描かれていますが、こちらに関しては井上氏も新たな試みということですので、ご期待いただけるのではないかと考えております。
▲「井上淳哉氏デザイン、コンセプトヴィジュアル2」
――:本作では、どういった遊びが楽しめるのでしょうか?
「集団」対「集団」で行う”戦争”を、1番のキーポイントとしており、全ユーザーを巻き込んだ争いというところが、これまでのタイトルと一線を画しております。作中では、集団同士の連携を表現したいと考えております。
ストーリーはユーザーの活躍度合いと連動しており、結果によってそれぞれの登場キャラに新たなストーリーが訪れます。作中の時間がリアルタイムに進行するイメージで、各キャラにさまざまな出来事が起きていく仕掛けを取り入れていきたいなと。ユーザー自身がキャラを育成すると共に、シナリオではキャラの内面的な成長を感じられるので、より作品への没入感が得られるのではないかと考えております。その中で、戦争では駆け引きやぶつかり合いを戦略的に体験できるようなシステムにしたいですね。
また、弊社の強みでもある“破壊・爽快”というテーマにつきましては本作でも健在です。
▲「井上淳哉氏デザイン、コンセプトヴィジュアル3」
――:“破壊・爽快” やはりケイブさんといえば、シューティングですよね。池田さんが制作総指揮を務められている『ゴ魔乙』(『ゴシックは魔法乙女』)についても、改めて振り返りをお願いできますでしょうか。
『ゴ魔乙』を発表した当時、弊社としては、スマホ市場にネイティブアプリを配信するということが非常に重要なポイントでした。『ゴ魔乙』では、シューティングゲームとソーシャルゲームで、それまでに貯蓄していたノウハウを活かしたものにチャレンジした形となります。この2つを融合させ、新たに必要となる要素についても試行錯誤しながらリリースに至りました。リリース後の反響としては、我々の想像以上に好評だったと捉えております。
アーケードやコンシューマーでは、ターゲットをシューティングユーザー向けに開発していたのですが、スマホ向けのネイティブアプリではそれだけではいけません。より幅広くのユーザーに楽しんでいただけるよう、難易度や遊びやすさ、キャラの魅力を引き出すことに徹底して取り組みました。
『ゴ魔乙』がシューティングゲームというジャンルである以上、お客様自身の技術がある程度反映されないと技量の高い方々にご満足いただけない部分があります。ただ、技術介入の要素のみにフォーカスを当ててしまうと、これまでアーケードやコンシューマーで開発してきたものの範囲に留まってしまいます。
幅広いユーザー様に遊んでいただくためには、技術は追いつかないけどキャラやゲームが好きで続けている方々が、熟練者とある程度対等に争えるようフォローしていくことが命題でした。そうした問題点を解消するために生まれたのが「使い魔」システムです。
『ゴ魔乙』に関しては、4月の2周年に向けてこの先にも様々なアップデートを準備中ですので、現状に満足せず、さらに新しい要素を追加していきたいと思っております。
――:最後に、読者の方々に一言お願いします。
”破壊と爽快”は、弊社が配信するタイトル全てに共通するテーマとしてございますので、今後も、やはり我々の一番の強みとなる部分で勝負したいという想いがあります。私自身、CDO(チーフ・弾幕・オフィサー)として『ゴ魔乙』の制作そのものにも深く携わっておりますので、新タイトルでは副社長として、監修を行う総監督的な立ち位置で参加しています。新タイトルの規模感としては『ゴ魔乙』と対をなす大きな柱にと考えております。また、サウンドの面でもいろいろと仕掛けていきたいなと。
これまでにない新しい遊びが体験できるようなものにしていきたいと考えておりますので、リリースを楽しみにお待ちいただければと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
【プロフィール】
芝村裕吏氏
ゲームデザイナーとして「高機動幻想ガンパレード・マーチ」「式神の城」に携わり、現在は「刀剣乱舞」の世界観監修を務める。小説家としても活動し「マージナル・オペレーション」シリーズなど多くの著作を執筆している。
井上淳哉氏
株式会社ケイブの社員時代にグラフィックディレクターを担当。退社後、漫画家として活動する他、「デススマイルズ」シリーズのディレクションを担当。現在月刊コミック@バンチにて「BTOOOM!」連載中。
会社情報
- 会社名
- 株式会社ケイブ
- 設立
- 1994年6月
- 代表者
- 代表取締役社長 秋田 英好/代表取締役CFO 伊藤 裕章
- 決算期
- 5月
- 直近業績
- 売上高122億7400万円、営業利益18億7000万円、経常利益19億4300万円、最終利益14億4100万円(2024年5月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 3760