それは、遡ること約1年半前、「東京ゲームショウ2015」での出来事である。「KMS Project(仮)」と銘打たれていた、現『アナザーエデン 時空を超える猫』(以下、『アナザーエデン』)は、プロデューサー兼ディレクターを務める高大輔氏より、「ソーシャルゲームをやめてみた」というコンセプトを持って発表され、大きな話題を呼んだ。
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▲高氏より「“冒険している”スマホRPGが本当に少ない」と語られる場面も。
また、制作陣に関しても、『ぷよぷよ!!クエスト』(提供:セガゲームス)の元プロデューサーである高氏をはじめ、『クロノ・トリガー』や『クロノ・クロス』、『ゼノギアス』などのシナリオを手掛けた加藤正人氏、同作品で音楽を手掛けた光田康典氏が参画していることが、さらに期待感に拍車を掛けた。当時、ステージで発表を見ていた筆者は「おぉ!これは楽しみなタイトルが出てきた!」と感じる一方、まだまだ同タイトルの詳細がベールに包まれていたこともあり、「ソシャゲをやめるなんて本当にできるの?」という疑念を拭い切れなかったというのが正直な気持ちだ。
そんな本作が、3月7日より、満を持してクローズドβテストをスタートしている。そこで本稿では、過去に発表された内容を踏まえながら、同タイトルのプレイレポートをお届けしていく。果たして『アナザーエデン』は本当にソーシャルゲームをやめているのか? 冒険感は出ているのか? 本リリースを前にじっくりとチェックしていきたい。
■「時空を超える」メインシナリオは加藤節が炸裂!
本作のストーリーの大まかな流れとしては、これまでにも発表されていた通り、主人公の青年・アルドが「古代」「現代」「未来」の3つの時代を駆け巡りながら冒険する壮大な物語である。このようなテーマで加藤氏がシナリオを担当すると聞けば、早くもワクワクせざるを得ないというものだ。特に、20代後半~30代のゲームユーザーにとっては、それだけでも手に取って余りあるほどのプレイ理由になるのではないだろうか。
▲冒頭には、「殺された未来を救けに行こう」という台詞が入っているのだが、CBTを最後までプレイすることで、この一文の意味が深く頷けるものになっていることが分かる。
物語は、16年前に少年のアルドと赤ん坊のフィーネが、森の中で村長に拾われたところから始まる。村長の手によって実の子のように育てられ、すっかり成長しバルオキーで平穏に暮らす二人の生活に、ある日、異変が訪れる……。
▲バルオキー警備隊に所属するアルドは、警護やトラブル解決といった仕事で村を駆け回ることに。
▲目的地には緑のアイコンが表示されている。画面右上のミニマップにも表示されている。
▲鍵がかかっていては入れない家や、男の子とのかくれんぼ勝負など、つい寄り道をしてしまいたくなるようなギミックがたっぷり。"井戸に入るとBGMが少し遠くなる"など、繊細な部分にもこだわりが感じられる。
▲タンスを調べてアイテムGETという古き良き時代のRPGのお約束も。
なお、今回のCBT版では、クリアするだけなら2~3時間ほどで可能なボリュームとなっており、第1章~第5章まで、「現代」と「未来」で起きる物語の一部が楽しめる。村でちょっとした頼まれごとや初めての戦闘に夢中になっていたら、メインシナリオが進行して本作の世界観にぐいぐいと引き込まれ、止め時を見失ってしまう。
▲とある事件をきっかけに、「未来」の世界へとたどり着いたアルド。元いた世界に帰る方法も分からないため、エアポートで出会った「エイミ」を手伝うことに。
▲シナリオを進めていると、登場キャラが仲間になることも。仲間は、物語を進めるほか、後ほど紹介する「星の夢見館」でクロノスの石を使用して出逢うことができる。
▲また、ミニマップはタップすると拡大表示できるため迷うこともない。
▲また、街では住人たちの物語である「街クエスト」や、仲間たちの物語である「仲間クエスト」を受注することができる。オレンジ色のアイコンが、クエストに関するイベントの発生・進行の目印となっている。
アルドやフィーネに何が起きたのか、どのような物語が展開されるのかについての詳細は、本作が配信されてから、是非、プレイして自身の目で確かめてほしい。
■ホーム画面の排除により溢れ出る”冒険感”
続いて本作の大きな特徴となっているのが、現在のスマホゲームではほぼ100%導入されていると言っても過言ではない”ホーム画面”を取り入れていないという点だ。2Dのキャラクターが常にフィールドに出ている状態となっているため、スーパーファミコン時代のRPGを遊んでいるときのような懐かしさを感じられる。
▲街とフィールドをシームレスに移動できる箇所もある。
▲宝箱やキラキラ光る場所をタップすることでアイテムを入手可能。
また、本作には奥行きの概念が取り入れられているため、ダンジョン探索の充実感もバッチリ。移動時の操作感が非常に滑らかで思い通りにキャラが動くのも印象的だった
▲バトルは基本、ランダムエンカウントとなっているが、「FEAR(フィアー)」と呼ばれる大型モンスターはフィールド上を徘徊しており、プレイヤーを見つけると追ってくる。
▲討伐は困難だが、強大な敵を乗り越えたときに得られる達成感はRPGの醍醐味と言える。倒した先に貴重なアイテムが置かれていることもあるので、腕に磨いてから挑みたい。
▲そのほか、一度訪れたことのある街やダンジョンへは、MAPからワンタップで移動できるようになる。
■フロント・サブを入れ替えて戦う戦略的なターン制バトル
当初はリアルタイム制でバトルシステムが開発されていた本作だが、2016年1月の「闘会議2016」のステージで行われたユーザーアンケートの結果を受け、思い切って「ターン制」にスイッチ。
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▲当時、制作中だったバトルイメージ。
パーティには最大6キャラまで編成することができ、主に4人のフロントメンバーが戦闘に参加することになる。
▲コマンドを選択して「攻撃」をタップすると、「速度」の高いキャラから順に行動していく。また、敵をタップしてターゲットを変更することができる。
2人のサブメンバーとは「チェンジ」コマンドでいつでも入れ替えが可能で、サブメンバーがフロントに出ることで1ターン消費して、攻撃力や防御力アップといった味方の支援、または敵の弱体化といった恩恵が受けられる。また、サブメンバーとして待機させれば、僅かながら毎ターンHPを回復できる。
▲どのような支援効果が発動するかはキャラによって異なる。
バトルは、全フロントメンバーのHPが0になると敗北となり、クロノスの石を使用してコンティニューするか、リタイアして近くの街の安全なフィールドに戻るかを選べる。このとき、サブメンバーが残っていてもフロントに出ていないとゲームオーバーとなってしまうので注意が必要だ。フロントメンバーが倒れても、オートでサブメンバーがフロントに出てくるわけではない点が戦闘の肝となっている。
▲戦闘で倒れたキャラがいるままバトルが終了すると、倒れたキャラには経験値が入らないうえ、次回からHP1の状態でバトルスタートすることになる。
そのほか、各キャラが使用するスキルは、レベルが上がった際に得られる「AP」を消費してアビリティボードを解放することで覚えられる。取得したスキルは3つまでセットして戦闘で使用可能。
各キャラクターには、それぞれクラス(職業)が備わっており、装備できる武器・防具、覚えるスキルが異なる。「書」と呼ばれるアイテムを所持していれば、上位のクラスにクラスチェンジして強力なスキルの取得や、レベル上限を解放することができる。
こうした仲間キャラは、先述した通りシナリオを進めることでパーティに加わる者もいれば、「星の夢見館」でクロノスの石を使用して出逢える者もいる。CBT版では、クロノスの石100個で1人と、1000個で10人と出逢うことができた。序盤のうちは頭数を揃えたいので「ひとたびの出逢い」で仲間を増やしたいところだが、「十の出逢い」では、10人のうち1人は必ずクラス4以上の仲間が出現するとのことなので、確実に戦力を強化したい場合はクロノスの石を溜めてから一気に仲間をパーティに迎えるのも良さそうだ。
また、筆者はゲームを始めて既に20人近くのキャラと出逢っているが、★3と★4のキャラしか出現していないため、当たり外れの差が非常に優しく感じた(★1や★2のキャラが出現するかは不明)。今回のCBT版に関しては、クラスチェンジまで至るのに中々骨が折れそうだが、製品版リリース時には、将来的な目で見れば★4にクラスチェンジできるキャラであれば充分に戦力として数えられる。
▲ソロ専用の作品ということで、自分のペースでキャラを集められそうなのも嬉しいポイント。
▲TGS2016で公開された「シュゼット」や、バトルシステムと同じくのユーザーアンケートで名前が決定した「シオン」の姿も確認できた。
▲「シュゼット」は、TGS2016にて生放送中にCVの配役や他声優さんのオファーを行うという異色の企画を実施した際に初お目見え。「闘会議2016」のときに公開された「シオン」は、ユーザーからコメントでの公募と、アンケートによりキャラ名が決定した。
今回のCBT版では、シナリオクリア後、さらなる強敵が待ち構える「アナザーダンジョン」をはじめとしたやり込み要素が解放される。鍛冶屋では、売却した素材によってより強力な武具が購入できるようになるため、難易度の高いダンジョンで貴重な素材を手に入れることで、よりキャラを強化することができる。CBT用に最強のボスも用意されているとのことなので、プレイ可能な方は、是非、完全クリアを目指してみよう。
と、ここまで『アナザーエデン』CBT版のプレイレポートをお届けしてきたが、本作は発表時からブレることなく、そして紛れもなく「ソシャゲをやめ、ワクワクするような冒険をスマホ楽しめる」仕上がりとなっていた。SNS各所では、早くも他のテスターから好評の声が目立つ形となっており、ますますリリースを楽しみに待つユーザーも増えていることだろう。まずは今回、明らかとなったゲーム内容をチェックし、来るべきリリース日に備えて、『アナザーエデン』の世界に飛び込むための準備をしておこう!
(文 編集部:山岡広樹)
■『アナザーエデン 時空を超える猫』
(c) Wright Flyer Studios
会社情報
- 会社名
- 株式会社WFS
- 設立
- 2014年2月
- 代表者
- 代表取締役社長 柳原 陽太