ディライトワークスは、8月30日の「CEDEC2017」で、「「ただ純粋に、面白いゲームを創り続ける」Fate/Grand Orderチームの全て」と題するセッションを行い、開発本部から芦田夏希氏、早坂貴志氏、増川浩介氏、田村祐樹氏が登壇した。
本セッションでは、「ただ純粋に、面白いゲームを創り続ける」ことを実践している「Fate/Grand Order」開発チームがどのように面白いゲームを創り続けているのか? PM、企画、デザイン、エンジニアの各セクションがどのような仕事を行っているかとともに実践的なノウハウについて実例を交えて聞くことができた。本稿では企画、デザイン、エンジニアのセクションをレポートしよう。
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・【CEDEC2017】PMの役割は連携、進捗管理、情報整理しPJを牽引すること…ディライトワークス「FGO」開発チームが明かす面白いゲームを創り続ける要諦とは
企画の紹介セクションではプランナーの早坂貴志氏が登壇し、ディライトワークスの企画において必要なことについて説明した。
▲早坂貴志氏
FGOを作るうえで企画が毎日常に考えていることは「分解して、みつけること」だという。FGOの場合は、「Fateらしさ」とディライトワークスの開発理念である「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう」を両立させるためにクオリティにこだわっている。そして、クオリティにこだわるために二つのことを重視していると明かした。ひとつめは得意なことを突き詰めること、ふたつめは作業を分解することであり、いずれもプランナーにとって必要なことだという。
▲例えばFGOにおいてプランナーが行っている作業を分解すると上記のようになる
また「プランナーあるある」のひとつとして「なんでもやる」があるが、大切なのは「なぜそれをやる必要があるのか」と考えることだという。つまり、作業の目的を分解し、手段、工程を分解して考える。そして個人も万能ではないことから役割も分解して考えることがプランナーには重要だという。分解するためのテクニックとして、目的から手段を考えるだけでなく、ときには手段から目的を考えるなど、ボトムアップ、チャンクダウンを紹介した。
次にデザインの紹介セクションではデザイナーの増川浩介氏が登壇し、ディライトワークスのデザイナーの仕事について説明した。
▲増川浩介氏
FGOにおけるデザイナーは「TYPE-MOON」の「こだわり」に応えるため、プレイヤーにより喜んでもらうため、そして、ただ純粋に面白いゲームを創り続けるために日々挑戦を続けていると語った。セッションでは、ゲームのリリースから2年間でどのようなことを行ったかについて、「バトルキャラ」「クエストマップ」「サーヴァント改修」の具体例を挙げて説明した。
▲リテイクを減らし制作期間を延ばさないためにも、TYPE-MOONと事前に作画打ち合わせを行い意識を合わせている。
▲リリース当初はバトルマップは1枚だったが、2017年の水着イベントでは広域・詳細を含めて10マップ制作となった。
▲初期の設定に沿った頭身では整合性がとれなくなり、モーションも流用では初期サーヴァントと差が出てしまうため、新規モーションと合わせてイラストの全リニューアルを行ったそうだ。
また挑戦し続けるにあたり、期間内にできることだけをやるのではなく、やりたいことをやるためにどのくらいの期間と人数が必要なのか?面白いゲームにするためにクオリティを重視した考え方を第一にすることも大切だと語った。
最後にエンジニアの紹介セクションでは田村祐樹氏が登壇し、ディライトワークスのエンジニアが大切にしていることについて説明した。
▲田村祐樹氏
技術者として大切にしていることは「最適な技術を追い求めること」だという。これはユーザーのために「面白い」を実現するために最適な技術を選択することを常に考えるということだ。具体的には開発・QA・本番反映を早く回していく必要があり、このサイクルを回すためにディライトワークスではどのように行っているかを紹介した。
田村氏はゲーム開発におけるポイントについて、「可視化、自動化、仕組化を進める」「意図やゴールの共有」「自らもゲームを楽しみ体験する」「発言し行動する」「問題の切り分けを行う」ことを挙げた。例えば、開発チームの人員数をただ増やしただけではスピードは遅くなるが、可視化、自動化、仕組化を同時に進めることで速度を高めることができるという。また遊び続けないと目の前のものがただのシステムに見えるようになるため、自らもゲームで楽しみ、体験することも重要だと強調した。
また、最適化については、「到達点がない」ことも付け加えた。市場における「面白いゲーム」の内容は、常に変化し続けている。そのため、現状を前提として最適化を突き詰めて「到達点」を設定すると、変化する環境(=面白いゲーム)に対応できず、陳腐化してしまうという。環境の変化を意識しながら最適化し続けることが大切ということだろう。
▲間違った最適化は組織の硬直化と組織に最適化した人材を生み出すという一例
田村氏は、FGOは今のFGOを超え続ける必要があり、強く意識しているという。今のFGOの面白さを超え続けることをエンジニアにとっても命題と考えて、開発を進めるうえで最適な技術を選択していると語り、セッションを締めくくった。
本セッションでは、「ただ純粋に、面白いゲームを創り続ける」ことを実践している「Fate/Grand Order」開発チームがどのように面白いゲームを創り続けているのか? PM、企画、デザイン、エンジニアの各セクションがどのような仕事を行っているかとともに実践的なノウハウについて実例を交えて聞くことができた。本稿では企画、デザイン、エンジニアのセクションをレポートしよう。
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企画の紹介セクションではプランナーの早坂貴志氏が登壇し、ディライトワークスの企画において必要なことについて説明した。
▲早坂貴志氏
FGOを作るうえで企画が毎日常に考えていることは「分解して、みつけること」だという。FGOの場合は、「Fateらしさ」とディライトワークスの開発理念である「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう」を両立させるためにクオリティにこだわっている。そして、クオリティにこだわるために二つのことを重視していると明かした。ひとつめは得意なことを突き詰めること、ふたつめは作業を分解することであり、いずれもプランナーにとって必要なことだという。
▲例えばFGOにおいてプランナーが行っている作業を分解すると上記のようになる
また「プランナーあるある」のひとつとして「なんでもやる」があるが、大切なのは「なぜそれをやる必要があるのか」と考えることだという。つまり、作業の目的を分解し、手段、工程を分解して考える。そして個人も万能ではないことから役割も分解して考えることがプランナーには重要だという。分解するためのテクニックとして、目的から手段を考えるだけでなく、ときには手段から目的を考えるなど、ボトムアップ、チャンクダウンを紹介した。
次にデザインの紹介セクションではデザイナーの増川浩介氏が登壇し、ディライトワークスのデザイナーの仕事について説明した。
▲増川浩介氏
FGOにおけるデザイナーは「TYPE-MOON」の「こだわり」に応えるため、プレイヤーにより喜んでもらうため、そして、ただ純粋に面白いゲームを創り続けるために日々挑戦を続けていると語った。セッションでは、ゲームのリリースから2年間でどのようなことを行ったかについて、「バトルキャラ」「クエストマップ」「サーヴァント改修」の具体例を挙げて説明した。
▲リテイクを減らし制作期間を延ばさないためにも、TYPE-MOONと事前に作画打ち合わせを行い意識を合わせている。
▲リリース当初はバトルマップは1枚だったが、2017年の水着イベントでは広域・詳細を含めて10マップ制作となった。
▲初期の設定に沿った頭身では整合性がとれなくなり、モーションも流用では初期サーヴァントと差が出てしまうため、新規モーションと合わせてイラストの全リニューアルを行ったそうだ。
また挑戦し続けるにあたり、期間内にできることだけをやるのではなく、やりたいことをやるためにどのくらいの期間と人数が必要なのか?面白いゲームにするためにクオリティを重視した考え方を第一にすることも大切だと語った。
最後にエンジニアの紹介セクションでは田村祐樹氏が登壇し、ディライトワークスのエンジニアが大切にしていることについて説明した。
▲田村祐樹氏
技術者として大切にしていることは「最適な技術を追い求めること」だという。これはユーザーのために「面白い」を実現するために最適な技術を選択することを常に考えるということだ。具体的には開発・QA・本番反映を早く回していく必要があり、このサイクルを回すためにディライトワークスではどのように行っているかを紹介した。
田村氏はゲーム開発におけるポイントについて、「可視化、自動化、仕組化を進める」「意図やゴールの共有」「自らもゲームを楽しみ体験する」「発言し行動する」「問題の切り分けを行う」ことを挙げた。例えば、開発チームの人員数をただ増やしただけではスピードは遅くなるが、可視化、自動化、仕組化を同時に進めることで速度を高めることができるという。また遊び続けないと目の前のものがただのシステムに見えるようになるため、自らもゲームで楽しみ、体験することも重要だと強調した。
また、最適化については、「到達点がない」ことも付け加えた。市場における「面白いゲーム」の内容は、常に変化し続けている。そのため、現状を前提として最適化を突き詰めて「到達点」を設定すると、変化する環境(=面白いゲーム)に対応できず、陳腐化してしまうという。環境の変化を意識しながら最適化し続けることが大切ということだろう。
▲間違った最適化は組織の硬直化と組織に最適化した人材を生み出すという一例
田村氏は、FGOは今のFGOを超え続ける必要があり、強く意識しているという。今のFGOの面白さを超え続けることをエンジニアにとっても命題と考えて、開発を進めるうえで最適な技術を選択していると語り、セッションを締めくくった。
会社情報
- 会社名
- ディライトワークス株式会社
- 設立
- 2014年1月
- 代表者
- 代表取締役 庄司 顕仁