グリー<3632>は、8月30日開催の「CEDEC2017」にて、「キャラクターモーション「薙ぎ払う爽快感」を支える四つの制作手法-モバイル3Dアクション『武器よさらば』の事例-」と題したセッションを実施。
同セッションに、Wright Flyer Studios事業本部の代一龍氏(NT Production部 Animationチーム シニアアニメーター)が登場。『武器よさらば』の事例から、モバイル3Dアクションゲームにおけるキャラクターモーション制作のノウハウや、連続攻撃・必殺技のモーション設計、キャラクターモーション制作におけるポージングや運動連鎖について語った。
同セッションに、Wright Flyer Studios事業本部の代一龍氏(NT Production部 Animationチーム シニアアニメーター)が登場。『武器よさらば』の事例から、モバイル3Dアクションゲームにおけるキャラクターモーション制作のノウハウや、連続攻撃・必殺技のモーション設計、キャラクターモーション制作におけるポージングや運動連鎖について語った。
▲代一龍氏。
今回の講演目的について、「自分の失敗と苦労の経験を共有して誰かの役に立ちたい。連続攻撃モーションに関する資料が欲しかった」と代氏。代氏が携わる『武器よさらば』は、大量の敵を一気に薙ぎ払う爽快感が魅力のアクションゲームであり、自身が理解する爽快感も「掃除するように、大量の敵を薙ぎ払って、ヒット数をどんどんあげていく」事。
その爽快感を生み出すためのポイントが、以下の4つだという。
1.プレイヤーが薙ぎ払う
2.リズム良く中断せず=どんどん
3.大量の敵がやられていく
4.ヒット範囲=掃除する場
逆に、爽快感がないということは、上記のポイントに対して様々な課題があるため。その課題を踏まえて、どうすれば爽快感のあるモーションに改善できるかを代氏が紹介した。
まず、開発開始時点で、カメラアングルが俯瞰、キャラ表示サイズが小さい、頭身が低いといった制作の制限があったと代氏。それら制限の中でカメラアングルや表示サイズを変化させることで視認性を良くするこをと考えた。連撃モーションについて、最初は3連撃のモーションを作成したが、「3連撃では寂しいと感じ、チームの意見を聞いて5連撃にした」(代氏)。また、チームの中にアクションへのこだわりが強い面がメンバーがいたそうで、その意見を参考に、キャラクターの骨盤の上下の動きや剣先の止めと流れといったモーションに統一と変化を付けた。
モーションが単調だった原因を、代氏は「ワンパターンだった」と振り返る。ワンパターンな連撃モーションを改善するため、タメのポージングや、重心を移動(上下移動、軸足に重心を寄せる等)させることでキャラクターの動きにメリハリを持たせたというわけだ。
また、キャラクターのスキルモーションについても触れた。スキルによる攻撃が敵にヒットする間隔の編集や、フレームを調整してヒットリズムに変化を付けたりポージングのタメを入れるなど、代氏は様々な工夫を凝らしたそうだ。
敵キャラが攻撃を受ける、いわゆる“やられモーション”にも様々な手法が。代氏は、目標として一画面に100体を表示したかったそうだが、エンジニアに相談したところ3Dモデリングでは無理との意見が。そこで2Dプレレンダリング手法を採用したが、画像数制限が課題として浮上した。そこで「フレームレートとカメラアングルを少なめにした」(代氏)とし、画像数を減らす対策をとったそうだ。そのほか、少ないモーション数でやられのバリエーションを作り、敵のモーションにもメリハリをつけた。
最後に、スキルを出したときのヒット範囲の整理について。攻撃が当たらないというのは、爽快感につながらない。代氏も「掃除機のように漏れなく敵を薙ぎ払う」ことが爽快感だと言い、当てにくいスキルヒット範囲を例に、各ヒットの範囲を重ねたとき、全体範囲はどういう形になるか、そして各ヒットにどういう関連性が持たされているかと注意点として挙げた。
「薙ぎ払う爽快感」を表現するため、代氏が紹介した四つの制作手法が『武器よさらば』の大きな武器になっているようだ。
会社情報
- 会社名
- グリー株式会社
- 設立
- 2004年12月
- 代表者
- 代表取締役会長兼社長 田中 良和
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3632
会社情報
- 会社名
- 株式会社WFS
- 設立
- 2014年2月
- 代表者
- 代表取締役社長 柳原 陽太