デジタルYouTuber事業は、モーションキャプチャー技術とUnityを駆使して生まれたデジタルキャラクターをYouTuberとしてYouTubeチャンネルで動画配信することで、新たなマーケティングや様々なビジネス展開を支援する事業となっている。
本稿では、TGS2017での発表内容とともに、Exys執行役員の野口真吾氏へのミニインタビューを紹介。デジタルYoTuber事業立ち上げ経緯や今後の展望について伺ってみた。
■人気コスプレイヤー「えなこ」さんも登場したデジタルYouTuber「YUA」発表会
会場では、デジタルYouTuber「YUA」の先行発表会としてデジタルYouTuber事業の発表が行われた。
本事業は、同社のゲーム制作にて培ったクリエイティブ事業、「Exvision」(関連記事)の動画事業それぞれの強みが掛け合わさった事業となる。
Exysでは、クリエイティブ制作の事業もあることから、キャラクターの設定、デザインから3Dモデリングまでを担うことが可能だ。デジタルキャラクターという特性から、ゲームやアニメのキャンペーンコンテンツや、AR/VRでの活用など幅広い活用ができる。
また、本事業の開始に伴い、各制作セクションでは著名な制作陣が携わることも発表された。3Dモデリングでは、「GANTZ:O」などを手がけた株式会社デジタル・フロンティア、衣裳デザインではAKBグループ衣裳を手がける株式会社オサレカンパニー茅野しのぶ氏、動画構成のスーパーバイザーとして株式会社アポロの高須光聖氏が参画する。
発表会では、YUAの衣裳を着用したコスプレイヤーえなこさんも登壇し、モーションキャプチャーにてYUAが動く模様も紹介された。
▲デジタルYouTuber「YUA」による動画配信は10月4日より開始される。
■ゲームキャラクターがYouTuberとなる新しい試み
今回の発表終了後、SoicalGameInfoでは野口氏にインタビューを実施。デジタルYouTuber事業立ち上げ経緯や今後の展望について伺ってみた。
ーーよろしくお願いします。今回の発表にて、立ち上げ経緯をお聞かせいただけますか。
我々は元々クリエイティブ事業としてゲームなどのキャラクターを制作しており、Exvisionにて動画制作や分析やコンサルティングもおこなっています。それぞれの良いところを生かした取り組みということで、今回デジタルYouTuber事業を立ち上げました。
背景の一つとしては、昨今はYouTuberさんが様々な所で活躍していますが、実は顔出しNGのYouTuberさんも数多くいらっしゃるんですよ。そこで、デジタルのキャラクターを押し出すことで、そういったYouTuberさんの可能性を広げ、マーケットとしてもさらなる拡大になると思った経緯があります。
また、元々ゲームを作っている側や好きな人間からすると、ゲームのキャラクターが動いて欲しい、そのゲームについて語って欲しいといった願望があると思うんですよ。そこで、Exysでは二つの事業をしていることもあり、今回立ち上げることにしました。
ーー御社が展開されることでの特徴や強みというのはどの点だとお考えでしょうか。
取り組みの一つ一つはこれまでにもありますが、キャラクター制作から動画制作、そして配信のノウハウとオールインワンの事業として行っているのは珍しいと思います。この点は、弊社がこれまで行ってきていた事業が生きてくると考えています。
そして、作品のキャラクターがYouTuberとして動画配信される、という事自体がこれまでにない新しい動画マーケティングや世界観構築の手法になると思います。
ーー発表された参画企業様とはどのように展開されるのでしょうか。
基本的には弊社にて設計、制作を行い提供しますが、より専門性やクオリティを上げたいというご要望もあると思います。その際には、それぞれの分野にてトップクラスのパートナー様と一緒に取り組ませていただきます。
ーー参画企業様に話をした際はどういった反響でしたか。
各社様に話をお持ちした際は、すごく前向きな答えをいただきましたね。皆様、同じような考えは持っていたようで、面白そうだからやってみようと。すぐに実現に向けて話が進みました。「デジタルのアイドル」というものに可能性も見出されていたりと、それぞれの見ている先が一致していたので、ご一緒させていただきました。
ーー今回は三社様の発表でしたが、今後は増えていくのでしょうか。
そうですね。企画内容や条件に適した形で取り組ませて頂きます。例えば、「男子キャラクターの制作が得意」など企業様それぞれで得意な分野があります。適した形で提供できるよう今後もパートナー様は増えていく予定です。
ーーどういった企業様にご相談いただきたいとお考えでしょうか。
まずは、これまでの事業にてお付き合いもあるゲーム企業様になりますね。他にも、エンタメコンテンツを手がけられている企業様は自社キャラクターやイメージキャラクターを持たれていることが多いので、チャンネル開設や番組制作をご一緒できるかなと思います。すでにキャラクターを保有されている企業様にはすごく相性が良いと思います。
具体的には、企業の公式チャンネルなどでご活用頂けるかと思います。「チャンネルを開設したものの、どう活用していいか分からない」という企業様も多いと思いますが、自社キャラクターを動かすことで動画配信を行うことができます。CG制作ではなく、モーションキャプチャーによるモデリングを用いるので、ちょっとしたコンテンツ番組を作ることも可能です。
他には、例えば2Dのイメージキャラクターを持たれている企業様や自治体もおりますが、そこから3Dや動画という形で新しい取り組みができると思います。
ーー今後の展望をお聞かせいただけますか。
まずはゲーム会社様に、リリースを控えているタイトルなどで活用いただきたいですね。そのゲームの良さを伝えるのは、そのゲームのキャラクターが伝えるのが一番良いと思うんです。新しい形でゲームへの期待感を高めることができるはずです。
今後で言うと、海外展開も考えています。デジタルYouTuberですと、適したモデリングと翻訳で展開が可能なので相性が良く、また海外の方々はゲームやアニメのキャラクターの受けも良いので、展開がしやすいと思います。
ーーゲーム作りを行っていたからこそ、ノウハウも生きるということですね。最後に、業界の方に向けてメッセージを頂けますか。
ゲームに登場するキャラクターがYouTuberになるというのは、ユーザーに熱量の高い情報を届けたいと思っている企業様にはお力にはなれるので、是非ご一緒できればと思います。
また昨今では「IP化」といわれるような、世界観やキャラクターの背景を深く描きたいという企業様は多いかと思います。そういった深掘りをしていく場合にもお力添えになれると思います。
「ライツ化」と「YouTubeマーケティング」を合わせて展開できるので、これまでにない面白いことができると思います。新しい取り組みであるので、是非ご一緒させていただき、業界全体を盛り上げていきたいです。
ーー本日はありがとうございました。
会社情報
- 会社名
- Exys株式会社
- 設立
- 2008年2月
- 代表者
- 稲冨 正博