エクストリーム<6033>は現在、今後の事業拡大のため、様々な職種で採用・育成面に力を入れている。
同社はクリエイターやエンジニアが、社内外を問わずさまざまなプロジェクトに参画し、プロジェクトを成功へと導くとともに独自の経験を深め、そのノウハウを共有することでクリエイターとしての価値を高めていく「デジタルクリエイタープロダクション宣言」を掲げている。
今回「Social Game Info」では、エクストリームに所属しながらいくつもの外部メーカーへと常駐し、ゲーム開発に携わるプランナー吉田氏にインタビューを実施。同社のプランナーという職業の在り方やこだわり、求めている人物像など、様々な視点から話を聞いてきた。
■前向きな姿勢と多量のインプット…エクストリームならではのプランナー職
――まずは吉田さんのプロフィールと、現在携わっている業務から教えてもらえますか。
私はプランナーとして主にコンシューマ向けアクションゲームや格闘ゲームなどの開発に携わっています。ここ数年はソーシャルゲームも増えてきましたね。ゲーム業界に入って12年ほどになりますが、それ以前は営業職として他業界に携わっていました。
――他業界からなぜゲーム業界に入ろうと考えたのでしょうか。
もともとゲームを作りたい思いが強くて、ゲームの専門学校も卒業していたんです。ただ私が学生のころは就職氷河期で、その時はゲーム会社に就職することはできませんでした。そこで、まずはコミュニケーションスキルを磨いて、ゲーム業界への転職を目指したのです。
最初に入ったゲーム会社では30歳近くまで働いたのですが、規模の大きな会社で、企画を通すのに常に苦労していました。人数や開発本数が多いので仕方がない部分もあるのですが、より自分の考えを出すチャレンジがしたいという意味も込めて、30歳のタイミングでエクストリームに転職しました。
――転職の際、エクストリーム以外の可能性もあったと思いますが、御社を選んだ決め手はなんだったのでしょう。
決め手として大きかったのは社長との距離がとても近いという点です。面接の場でも、すごく気さくに話してくれて、それでいてクリエイターとしても尊重してくれる。「自由に意見を言える環境だ」と感じたことが印象的でした。あとはゲームにこだわらず、面白いことにどんどんチャレンジする社風も魅力的でした。
――エクストリームに入社してからの業務内容について、具体的に教えてください。
最初に担当したのはアクションゲーム制作している会社の開発チームで、仕様を作っているうちにスクリプターが足りないことが判明し、それを上のスタッフに話していると、だんだんスケジュールを管理する立場になっていきましたね。エクストリームとは別会社でありながら、その中でもステップアップしていくという貴重な体験をしましたね。
――別の会社でステップアップというのは御社ならではの体験ですよね。
そうですね。その会社に足りないものを引き受けていったら、いつの間にか手広くフォローできるようになり、自身の経験も深まることになりました。
――貴重な体験であると同時に、最初は戸惑いもあったのではないでしょうか。
もちろん、会社ごと、プロジェクトごとで強みや方針も異なります。バトルに強かったり、ストーリー部分に強かったりと様々なので、現場が変わってすぐの頃はやはり戸惑いましたね。しかし私が入るということは、そのプロジェクトで自分に貢献できる部分があるということでもありますから、その役割を果たせるように積極的に発言して慣れていく努力をしました。
――プランナーという職種から見て、御社の特徴はなんだと思いますか。
他の会社だと特定のゲームにしか関われないケースもあり、ジャンルも限定されがちです。自分の能力に合ったゲームが作れるのもエクストリームの長所ですね。また、プランナーにとっては様々な知見が重要です。質の高いアウトプットには、多量のインプットが必要だと考えています。その点でも様々な会社で様々なゲーム開発に携わるのは、プランナーとしてはかなり大きいアドバンテージだと思います。
そして、プランナーに限った話ではないですが、いろいろな会社との繋がりがあるので、昔から好きだったゲームの最新作に関わる可能性も常にあります。それだけでもモチベーションが上がりますし、弊社の強みだと思います。ファンとして憧れていたゲームのスタッフロールに名前が出てくるのも、開発メンバーの一員としてファンの反響を見るのも嬉しいものがあります。
――これまでに関わってきたプロジェクトで、印象的だったエピソードはありますか?
とあるプロジェクトに参画しているうちに、スタッフの皆さんが私のことを信頼してくれて、ある日「吉田君の知っている人を連れてきて、一緒に働いてもらってもいいよ」と言われたことがあり、とても驚いたのを覚えています。ゲーム開発のスタッフィングまで任せられるというのは、それだけ信頼を頂けたのだと嬉しかったです。
今現在では、エクストリームからチームユニット単位でプロジェクトに参画するケースも増えてきました。私に限らず、エクストリームのクリエイターが信頼頂けていることにしみじみと喜びを感じることもあります。
――ちなみに、エクストリームのクリエイターが信頼される理由はなんだと思いますか?
個人としての考えですが、「姿勢」になるでしょうか。エクストリームという会社は様々な職種やスキルのクリエイターが集まっています。経験の浅い者からベテランまでそれぞれ高いモチベーションで業務に臨んでいるという背景があります。
経験が浅い者はスキルアップに高い意欲を持っていますし、ベテランは今までの経験を活かしたり、新しいことにチャレンジすることでスキルの幅を広げます。常に上のステージを目指して様々な事を吸収していく、インプットしていくという会社全体の姿勢がエクストリームの評価につながっているのだと思います。
◼︎いずれはエクストリームのプロダクションをブランドに
――様々なプロジェクトでご活躍された吉田さんが考える、今後プランナーが働く際に求められるスキルは何でしょうか?
先ほどの話に重なる点はありますが、基本的には時代ごとで足りないものを見つけ出して、それを世に送り出すことですね。たくさんのことをインプットして、そこから足りないものを探すことが重要だと思います。
その意識を持った上で、ユーザーさんの気持ちに沿ってゲームの流れを作れるというスキルも求められていると思います。ユーザーさんが長く楽しめるロジックを作った上で新システムを実装しないと、その良さを理解してもらうことは難しいです。
――吉田さん自身も「なぜこのシステムになったのか」を考えながらゲームに触れているのでしょうか?
職業病とでも言いますか、いろいろなゲームに触れては「なんで売れたんだろう?」「なんで面白いんだろう?」と常に考えています。ゲームに限らずキャラクタービジネスなども「誰に対してヒットしているんだろう?」と考えることも多いです(笑)。
――吉田さんにとって、プランナーとはどんな仕事だと考えていますか?
プランナーという職種自体はどこのゲーム会社にもありますが、具体的にどんな仕事をするのかはその会社ごとで違ったりします。私にとってのプランナーは伝書鳩のようなもので、他のスタッフの発言をまとめて、できること、やりたいことを拾い上げて割り振ることが主な仕事です。すべての発言を文書化するのは難しく、自分なりに噛み砕くことも必要です。だからこそ、伝書鳩のように自分自身が伝えていかなければいけません。
――では、プランナーが社内や外部の方から信頼を勝ち取るためには、なにが重要だと思いますか?
抽象的な言い方になりますが、例えできていなくても努力を継続することに尽きます。上手くいっていないセクションに対して、とにかく積極的に提案し、弱そうなところをフォローするように心がけていれば、徐々に信頼してもらえ、成果はあがるのだと思います。
――御社ではプランナーのキャリアアップについてどのように支援しているのですか?
これは私個人のやり方も含まれますが、話を聞いていればその方が今どのフィールドにいるのか、どこで立ち止まっているのかは分かります。またその人がどういった人物か、どういったアドバイスが参考になるかも分かります。だから面談する機会はできるだけ多めに作り、評価につなげています。
――面談というのは評価の場だけでなく、例えばプランナー同士の情報交換なども行われているのですか?
例えばエクストリームではランチ会という取り組みもありまして、同じ現場のスタッフとご飯を食べて、ちょっとした情報共有は行っています。それに限らず社内には、困ったことが合ったら助け合う空気があります。
情報やスキルをインプットする場にもなりますし、一見どうでもいいような雑談も積極的に行うよう意識しています。他にもお酒好きが集まる会、ソーシャルゲームのイベントを一緒に遊ぶ会などもあって、プランナーにとっては特に大切な時間ですね。
――御社で働くとしたら、どんな人物が合っていると思いますか?
どんな個性を持った人物でも歓迎するのは大前提ですが、将来のキャリアプランがまだハッキリしていない、誰かと一緒に考えたいという人に来て頂けても、私たちは協力できると思います。多彩な会社とお付き合いがあるので、それぞれでまったく違う道を提示できると思います。今後は若い方も積極的に採用していく方針でして、私としても知識やチャンスを提供していきたいと考えています。将来に迷っている人にこそ来てもらいたいです。
――最後に、今後チャレンジしたいことがあれば教えてください。
プランナーの仕事は依然として分かりづらい点が多いので、独自の評価基準で「良いプランナー」が継続的に育つ環境にしたいです。もう一点、能力の高いスタッフが多く在籍しているので、協力しあってエクストリームが持つプロダクション機能を、ブランドとして確立していきたいです。
――ありがとうございました。
(撮影:SYN.product 吉村)
会社情報
- 会社名
- 株式会社エクストリーム
- 設立
- 2005年5月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 佐藤 昌平
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高102億1700万円、営業利益10億9700万円、経常利益14億4800万円、最終利益10億3400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 6033