【アクセルマーク決算説明会】第2四半期は減収・赤字幅拡大 新作やブロックチェーン関連への投資先行 新作3本は「十分なポテンシャル」と期待寄せる
アクセルマーク<3624>は、5月8日、第2四半期累計(17年10月~18年3月)の連結を発表するとともに、東京都内でアナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催した。発表した決算は、売上高11億7700万円(前年同期比39.8%減)、営業損益1億8500万円の赤字(前年同期2000万円の赤字)、経常損益1億8900万円の赤字(同2300万円の赤字)、最終損益1億9100万円の赤字億万円(同3100万円の赤字)と大幅減収・赤字幅拡大となった。
第2四半期(1~3月)の数字を見ると、売上高が前四半期比(QonQ)で7.9%減の5億6400万円、営業損益が1億1600万円(前四半期6900万円の赤字)、経常損益1億1900万円の赤字(同7000万円の赤字)、最終損益が1億2000万円の赤字(同7100万円の赤字)だった。こちらもQonQで減収・赤字幅拡大となった。
広告事業は伸長したものの、ゲーム事業の不振が響いた。また新作や新規事業への先行投資も負担となった。決算説明会に臨んだ尾下順治氏(写真)は「苦しい時期だが、新規のタイトルを出すことで収益構造が変わっていくだろう。有力IPやパブリッシャーを迎えた『幽☆遊☆白書 100%本気(マジ)バトル』、『終幕彼女(エンドロール)』、初のグローバルローンチとなる『PP』はいずれも十分な収益化へのポテンシャルを持つものと考えている」と、開発中の新作に大きな期待を寄せた。
■ゲーム事業は苦戦続く 新規タイトルの開発に注力
ゲーム事業は、売上高が1億4400万円(同31.1%減)、セグメント損益5600万円の赤字(同2900万円の赤字)だった。『ワールドクロスサーガ -時と少女と鏡の扉-』や『キングダム -英雄の系譜-』などの運営を行ったものの、売上の低下が続いた。この四半期は、『終幕彼女(エンドロール)』のAnimeJapan2018へのブース出展や、KLabとの共同開発タイトル『幽☆遊☆白書 100%本気(マジ)バトル』、さらに『PP』の開発に注力したとのことなお、『ディアホライゾン』については、5月31日にサービスを終了する。
また、ブロックチェーン技術を活用したゲームについても複数本を開発しており、1本目を「夏頃に出したい」と述べた。「イーサリアム」とスマートコントラクト、分散データベースを使ったもので、主流のモバイルゲームと異なり、中央集権的な管理やストアの決済システムを使わない点に特徴がある。ゲームとしてはこれまでのアプリに比べて機能的にも絞ったものとなるため、開発期間や費用についてはアプリに比べて少なくなるそうだ。ブロックチェーンゲームへの認知度が低く、仮想通貨に関する規制も不透明なため、状況を見極めてリリースする考え。
■初のグローバルローンチタイトル
新作アプリのプロジェクト『PP』について、開発フェーズがα版(世界観に作り込み・主軸制作)からβ版(要素の作り込み)に移行したと発表した。同時に、同社初のグローバルローンチタイトルとして開発を行っていることも明らかにした。
日本などではローンチが見えてきた段階でティザーサイト開設や事前登録開始などのプロセスを踏むことが多いが、一般的に海外でアプリをローンチする際は以下の手順を踏んでいるという。
1)ユーザーテスト:2カ国でユーザー向けにβテストを実施。ユーザーの動きやKPIを見ながら改善ポイントを探る。
2)課金テスト:エリア限定で課金テストを実施する。
3)パブリッシャーの決定:自社配信もしくはパートナーからの配信の双方を検討中
4)ソフトローンチ:エリア限定で正式サービス
5)グローバルローンチ:配信エリアを拡大。
2)課金テスト:エリア限定で課金テストを実施する。
3)パブリッシャーの決定:自社配信もしくはパートナーからの配信の双方を検討中
4)ソフトローンチ:エリア限定で正式サービス
5)グローバルローンチ:配信エリアを拡大。
同社では、この手順に則ってアプリを配信する予定で、現在、海外でのユーザーテストを実施しているとのこと。またパブリッシャー数社と協議も行う一方、自社で配信もできるように準備を進めているそうだ。
■広告事業は過去最高の売上高を記録
主力事業となった広告事業は、売上高が4億0200万円(同6.3%増)、セグメント利益1800万円(同14.1%減)だった。広告需要期を迎え3月単月及び四半期売上が過去最高記録を更新した。
そのけん引役となったのは、広告運用代行サービス「トレーディングデスク」だ。昨今、スマートフォン広告では「運用型」が主流になりつつあり、それには一定のノウハウが必要だが、アドネットワーク「ADroute」で培ったノウハウを活かせているという。
尾下社長は「極めて高い継続受注をいただいている。営業効率も極めて高い。本格的な収益化は先になるかもしれないが、引き続き運用体制を強化して、トップライン(売上高)を伸ばしてマーケットシェアを確保していきたい」と述べ、引き続き攻勢をかける考えを示した。
ただ、人材の投入などの体制強化を進めサービスの拡充に努めたことでQonQでは減益となった。スマートフォン向けアドネット ワークサービス「ADroute」について、安定的な運用や広告効果の向上に向けたシステムの改修や機能の拡充を行ったという。
■財務体質が改善
トピックスとしては、キャッシュポジションの改善があげられる。第2四半期までの業績不振と先行投資負担により、前期末に比べて現預金が9億6900万円から4億5400万円に大きく減らしたものの、4月において、KLabを割当先とする第三者割当増資で3億5000万円、ドイツ銀行を割当先とする第16回新株予約権の一部行使に伴い1億0900万円、合計で4億5900万円の調達を行ったとのこと。今後、調達した資金を活用し、新作ゲームアプリやブロックチェーンゲームなどの開発を行っていく考えだ。
■第3四半期は赤字幅拡大の見通し
続く9月通期の予想は非開示。第3四半期(4~6月)の業績予想は、売上高4億8400万円(QonQ14.1%減)、営業損益1億5300万円の赤字(前四半期1億1600万円の赤字)、経常損益1億5700万円の赤字(同1億1900万円の赤字)、最終損益1億5800万円の赤字(同1億2000万円の赤字)と減収・赤字幅拡大を見込む。
同社では、ブロックチェーン関連事業や新規ゲームタイトルのサービス開始に向けてさらなる投資を行う、としている。また見通しは保守的に立てたもので、新規ゲームタイトルやブロックチェーン関連事業の売上は想定していないとのこと。この部分だけを見ると、第3四半期中に新作をリリースする計画があるようにもとれるが、この四半期に新作を必ずリリースする、というわけではないとのこと。「リリース時期は明言できない」。
「昨今のゲームアプリ市場の状況を鑑み、リリース時期を遅らせる可能性もある」とし、しっかりと作り込んでからリリースさせていく考えを示した。ブロックチェーンゲームに関しても同様で、「仮想通貨を取り巻く環境やルールが日々刻々と変わっていく。また、急ぎすぎたリリースは市場が育つ芽をつぶしてしまう可能性もある」と述べ、マーケット環境が整ってからリリースする考えを示した。
会社情報
- 会社名
- アクセルマーク株式会社
- 設立
- 1994年3月
- 代表者
- 代表取締役社長 松川 裕史
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高21億4400万円、営業損益9800万円の赤字、経常損益1億円の赤字、最終損益1億200万円の赤字(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3624