ソニー、0.5型で1600×1200の有機ELを発表 240fps対応でVR HMD利用時には酔いの軽減も


ソニー<6758>は、0.5型で最高解像度となるUXGA(1600×1200)を実現した有機ELマイクロディスプレイ『ECX339A』を商品化する。本商品は、ソニー独自の有機ELディスプレイ技術と微細化プロセス技術により、世界最小の6.3μm画素ピッチを達成し、従来比(*1)約1.6倍の高解像度化を実現した。サンプル価格は5万円で、量産出荷時期2018年11月としている。

従来比(*1)2分の1の電圧で動作する新規設計の駆動回路を採用することにより、高解像度でありながら従来品と同等の低消費電力を実現している。また、独自の駆動方式(*2)を組み合わせることにより、従来比(*1)2倍の240fpsまでのフレームレートにも対応した。

有機ELマイクロディスプレイは、高コントラスト、広色域、高速応答性能の特長を活かし、デジタルカメラの電子ビューファインダー(EVF)として広く採用している。今回、高解像度や高フレームレートを実現したことで、よりリアルな映像表示と確実な被写体の捕捉が可能となり、画質への要求がきわめて高いハイエンドカメラへの搭載も可能になるという。

さらに、同社は高画質な有機ELマイクロディスプレイの用途について、今後AR(拡張現実)やVR(仮想現実)向けのヘッドマウントディスプレイ機器など、様々な市場での利用が期待をしているとのこと。
 
型名 サンプル出荷時期 量産出荷時期(予定) サンプル価格 (税抜き)
0.5型 有機ELマイクロディスプレイ『ECX339A』 2018年1月 2018年11月 50,000円


■主な特長

1. 0.5型で初の高解像度UXGAを実現

ソニー独自の有機ELディスプレイ技術と微細化プロセス技術により世界最小の6.3μm画素ピッチを達成し、従来比※1約1.6倍の高解像度化を実現した。一般的には、トランジスタの小型化により、特性のばらつきや耐圧の低下が起こる。本商品は、独自の補正回路に加え、個々のトランジスタのレイアウトやプロセスを最適化することによりそれらを低減した。

さらに、カラーフィルターをシリコン基板上に直接形成し発光層との距離を縮めるとともに、カラーフィルターの色配置を工夫することにより、視野角特性を確保し、高解像度化を実現している。


2. フレームレートの高速化に対応

新規設計の駆動回路により、従来比(*1)2倍の240fpsまでのフレームレートに対応(*2)した。すばやく動く被写体をファインダーでより正確に捉えることが可能となり、重要なシャッターチャンスを逃さず、快適に撮影が楽しめる。また、ヘッドマウントディスプレイ機器向けとしても、ARにおける現実世界に重畳する仮想映像のずれの改善、またはVR酔いを軽減することに役立つとのこと。


3. 低消費電力の実現

従来比(*1)2分の1の電圧で動作する新設計の周辺回路を採用することにより、画素数が約1.6倍に増加したにも関わらず、同一のフレームレートにおいて、従来品と同等の低消費電力を実現している。
 
型名
ECX339A
画角 0.5型(対角12.6mm)
解像度(ドット数) UXGA(1600×RGB×1200)
画素ピッチ 6.3μm
最大フレームレート数 120fps(プログレッシブ)/240fps(デュアルラインプログレッシブ)
消費電力(200cd/㎡) 310mW@60fps(プログレッシブ)/120fps(デュアルラインプログレッシブ)
ビデオインターフェース LVDS/Sub-LVDS
最大輝度 1,000cd/㎡
コントラスト 100,000:1以上
色域(u’v’) sRGB比 : 110%
 
※1 同社の有機ELマイクロディスプレイ『ECX337A』(0.5型QVGA(1280×960)との比較。
※2 垂直方向2ライン同信号の同時書き込み(デュアルラインプログレッシブ)駆動