WFSは、5月26日に、新作『AFTERLOST - 消滅都市』をリリースした(関連記事)。『消滅都市』の5周年記念作品でもある本作は、現在サービス中の『消滅都市0.』における、1度目の消滅のストーリーを、新たな視点で体験できるフルリメイク作品となっている。本稿では、『消滅都市0.』プレイ経験のある私が、『AFTERLOST - 消滅都市』のプレイレビューをお送りする。
『AFTERLOST - 消滅都市』は、前述した通り新作ではあるが、ゲームシステムを一新したリメイク作品である。より多くのユーザーに『消滅都市』の世界観を楽しんでもらうことを目的としており、『消滅都市0.』よりもカジュアルなシステムに変化しているので、誰でも遊びやすくなっている。
ゲームを開始すると、まずはプロローグのデモシーンから始まるが、ここではふんだんにアニメーションが盛り込まれている。これは、2019年よりテレビ放映された、テレビアニメ版『消滅都市』で使われたシーンが使用されている。
▲『消滅都市0.』とは異なるリッチな演出の連続。出だしから新しい物語体験が溢れており、思わず目が離せなくなってしまう。アニメから『消滅都市』に触れたユーザーは物語冒頭、アニメ第1話の追体験となるのでアニメを視聴していたときに近い感覚で物語に触れられるだろう。
各種グラフィックにリデザインが施されるにあたり、キャラクターイラストもアニメに寄せたものに変更されている。会話シーンでリップシンクするだけでなく、スクーター搭乗時のタクヤとユキは、髪や服が風になびいていたりと、シーンに合わせたアニメーションも搭載されている。
▲従来通りの左右にキャラクターの立ち絵が表示されるパターン以外にも、キャラクターが向き合って会話しているようなアングルを追加するなど、会話シーンの見せ方にもバリエーションが増えている。こうして画角が変化するだけでも、臨場感を保ったまま物語を読み進めていくことができる。
タクヤとユキがロストを目指して旅をしていくという大筋は変わらないが、視点はユキに寄っている。今まで明かされなかったユキの心情が語られるようになり、より没入感も増している。
▲特に、序盤は大きな秘密を抱えていることから、態度も言葉も意味深なことが多いユキ。彼女の心の機微が見えてくることで、同じセリフでも印象が変わってくる。段々とタクヤに惹かれていく様子もわかりやすく、照れ隠しの憎まれ口もより可愛く見えてくる。
そして、何よりも大きく変わったのがバトルパートだ。ランゲーム形式だった『消滅都市0.』は、アクション性の強いシステムだったが、『AFTERLOST - 消滅都市』は自動進行のRPG形式となっているため、必要な操作は少なくなった。
▲『AFTERLOST - 消滅都市』におけるバトル画面。味方のタマシイ全員の攻撃が終わると、敵のターンになり、敵の攻撃が終われば再びこちらのタマシイが攻撃するという、ターン制のオートバトルになった。
基本的な操作は、ターゲットの指定と、スキル使用のふたつ。敵をタップすると、その敵にターゲットが移り、タマシイがターゲットした敵を攻撃するようになる。画面下部に並んでいるタマシイのアイコンをタップすれば、そのタマシイのスキルが発動する。スキル発動にはアイコン左下の数字によって表されるスキルターンを減らす必要がありタマシイによる通常攻撃や特定のスキルによって減らすことができる。これが0になるとスキルを発動可能になり、使用した後はまたスキルターンを減らす必要がある。
▲レア度の高いタマシイは、スキル使用時にアニメーションのカットインもついているので、見た目でもしっかりと楽しませてくれる。スキル発動中は、敵味方ともに通常攻撃は停止しており、この間に次のタマシイアイコンをタップしておけば、続けてスキルを発動していける。
プレイヤーの仲間となるタマシイは、最初こそ"凄腕SP アキラ"しかいないが、それでも問題なく勝てるようになっている。その後、ストーリーを進めていくなかで新たなタマシイが追加されていく。タマシイが加わったあとのバトルでは、新しいタマシイがどんなスキルを持っていて、どんな局面で使っていくと効果的なのかも教えてくれる親切設計だ。
▲全体攻撃スキルを持つ"夢見る少女 ウェンディ"、回復スキル持ちの"花の乙女 アヤノ"、火属性強化スキルでアキラのダメージアップができる"お祭り好きのエミ"、連続ヒットする連撃スキルを持つ"必中の狙撃手 ユイ"といった順でタマシイが増えていく。かなりバランスの良いパーティーになっており、この編成のままでもかなり先まで進める。
▲特に、レア度の高い"花の乙女 アヤノ"はレベル上限が高く、レベル70まで育てられるうえに、ストーリーを進めていく過程でスキルの回復量が跳ね上がる。非常に頼りになるタマシイだ。
不利な局面もひっくり返せる一発逆転の要素となるのが、『消滅都市0.』でもお馴染みの"フィーバー"だ。『AFTERLOST - 消滅都市』では、味方タマシイが敵にダメージを与えるとフィーバーのゲージが溜まっていき、ゲージが100%以上になれば発動可能になる。フィーバー中は、味方タマシイが一方的に攻撃できる。もちろん、攻撃した分だけスキルターンも減っていくので、スキルで一気に畳みかけたいときにも役に立つ。
▲フィーバーゲージを貯めるのに役立つのが、"必中の狙撃手 ユイ"のような連撃タイプのスキルを持つタマシイだ。攻撃が多くヒットする分、ゲージの貯まり方も大きくなる。ちなみに、フィーバー中もタマシイの攻撃でゲージは増えるので、フィーバー中にスキルを使っていけばフィーバーを少し長持ちさせられる。
ここまで色々と説明してきたが、自動で進行するバトルを見つつ、要所でスキルはフィーバーを使うだけでバトルが楽しめるようになったということだ。スキルの使用タイミングも、とりあえず溜まったら使っておくぐらいの感覚で戦っていけば、1章から2章前半ぐらいまではさほど困ることはない。
▲気を付けるとすれば、敵タマシイが一度に複数体出現する『AFTERLOST - 消滅都市』の独自要素となる、ターゲットの変更だ。ステージ最後に出現するボスの中には、複数体で登場するものもいる。まずは、ボス以外の敵から先に倒し、敵の手数を減らしておくといった工夫は必要になってくる。
タマシイの入手方法は、ストーリー進行の報酬以外だと、主にガチャとなる。1章の電気街までクリアすれば、引き直しできる10連ガチャチケットがもらえるので、これで欲しいタマシイが手に入るまで粘ってみるといい。
▲排出されたタマシイのなかには、『消滅都市0.』では、毎日ラインナップが変わる"降臨・転生クエスト"でしか手に入らなかったタマシイの姿もあった。ここで最高レアである★6、もしくはその進化前である★5のタマシイを手に入れられれば、後のクエストを進めやすくなる。
タマシイは、バトルに勝利することでレベルアップに必要な経験値を獲得できるが、"シズク"という素材を使って"強化"する方法もある。また、レベルが最大になったタマシイは"進化"させることで最大レベルが引き上げられ、さらに強化できるようになる。
『消滅都市0.』のように、強化や進化にタマシイを消費する必要がなくなったので、強化用や進化用として素材用タマシイを保持しておかなくていいので、タマシイ管理は非常に楽になった。また、同一のタマシイを入手した際には"限界突破"でタマシイのアビリティレベルの上限が上がる。こちらは入手した段階で自動で行われるため、同一タマシイが大量に並ぶこともなく、タマシイ一覧が非常にすっきりしている。
▲進化のチュートリアルとして、"凄腕SP アキラ"は必ず進化させることになる。
強化や進化に必要な素材は、マップから"EXTRA"を選択すると挑戦できる"シズククエスト"と"素材クエスト"各種で入手可能だ。EXTRAは1章をクリアすれば選択できるようになる。
▲中級以降の難易度は、毎日クリア回数が5回までに制限されている。これはEXTRA中の全クエストで共有されるので、シズククエストを5回クリアした日は、0:00のリセットまで、中級の素材クエストにも挑戦できなくなるので注意してほしい。中級は難易度もそこそこ高い。まずは初級のシズククエストで強化用のシズクをたくさん集めていくといいだろう。
素材クエストで手に入る素材は、進化だけでなくアビリティの覚醒にも使用する。アビリティは1度覚醒させてしまえば常に効果を発揮してくれる。アビリティにもレベルがあり、レベルを上げるためにも素材が必要なので、かなりの数の素材が必要になってくる。EXTRAのクエストはなるべくクリアしておくようにした方がいい。
▲一部のアビリティは、ストーリーをクリアしていくことで手に入る特殊な素材を要求されることもある。詳細を見れば、何話で手に入るかもわかるので、気になる素材はチェックしておこう。
2章の中盤から敵がだんだんと強くなってくるが、上記で紹介した強化や進化をしっかりと行っていけば十分に対応可能ではある。クエスト初クリア報酬として、進化用の素材ももらえるので、強化を怠らず進化可能なタマシイはどんどん進化させておこう。
▲有利属性のみでの編成などを意識していない場合、体感的に3章以降はレベル上限が20のタマシイだと厳しい。3章に進むまでに、ある程度タマシイの進化を済ませておきたい。さらに、ゲーム内でも注意を喚起されるが、フィーバーが重要になってくるので、ガチャで連撃スキルを使えるタマシイを入手したら、優先的に強化を進めておいてもいいだろう。
ちなみに、2章の11エリア"地下鉄~湾岸地帯"をクリアすると、"サイドストーリー"が解放される。ここでは本編とは別に、様々なタマシイたちの物語をフィーチャーした内容のストーリーが楽しめる。『消滅都市0.』の"降臨・転生クエスト"に近いもので、タマシイたちについてより深く掘り下げる内容になっている。
▲"月の涙と怪盗団"では、月の涙を手にしたマリーと、怪盗団の面々が登場する。
サイドストーリーは、メインストーリーを進めたり、サイドストーリーをクリアすることで種類が増えていく。『消滅都市』は、多彩なキャラも魅力のひとつとなっているため、タマシイたちへの理解が深まるほど面白さが増してくる。メインストーリーだけでなく、こちらも是非楽しんでほしい。
ここまで『AFTERLOST - 消滅都市』をプレイしてみた感想として、物語体験に非常に特化していることは強く感じられた。バトルは、システムがシンプルになっただけでなく、敵の強さも程よい難易度に調整されている。ゲームを進めていくにあたって強化や進化といったものは必要になるが、序盤は敵に合わせて使用するパーティーを変えたりしなくても問題なく進められている。バトルを頑張ってクリアしたご褒美としてストーリーを読み進められるという感覚ではなく、ストーリーを進めていくなかの演出としてバトルを見守っていくような感覚になる。
もちろん、さらに物語を先に進めていくなかで敵も強くなっていくだろうが、しっかりとタマシイの強化さえしていれば、綿密な攻略は必要なさそうに感じた。『消滅都市0.』をプレイしているユーザーや、プレイしていたユーザーへのユキ視点のフルリメイク作品としてもお勧めできる本作ではあるが、やはり新規ユーザーにも向けた内容となっている。成熟したIPに触れることに気後れしていた人も、まずはここから『消滅都市』の世界に飛び込み、ゆっくりと自分のペースでタクヤとユキの旅路を追体験してみてはいかがだろうか。
(文 ライター:宮居春馬)
■『AFTERLOST - 消滅都市』
(C) WFS
会社情報
- 会社名
- 株式会社WFS
- 設立
- 2014年2月
- 代表者
- 代表取締役社長 柳原 陽太