【インタビュー】ユーザー獲得広告において独自の運用で最大効率化を図る「ピタッとROAS」…ナイルとカヤックに聞く導入の背景とその成果とは


デジタルマーケティング事業を展開しているナイル株式会社は、2019年5月13日にアプリのユーザー獲得における新たなサービス「ピタッとROAS」の提供を開始した。

「ピタッとROAS」は、独自のシステムと運用ノウハウでアドネットワーク広告の成果を最大化する新サービス。アプリマーケティングの最重要指標となっているROASに焦点を当て、クライアントの広告の最適解を目指す。
 

ピタッとROAS


昨今のスマートフォンゲームにおけるマーケティングでは、ゲームジャンルの多様化、長期運営による最適化、そしてユーザーの獲得においてはアドフラウド(広告詐欺)の対処など高度化してきており、その中で最大の効果を出すことが求められている。

そこで今回はナイル株式会社で広告チームのマネージャーである坂井直人氏(写真左)と、実際に「ピタッとROAS」を活用し、タイトルを運営している面白法人カヤックの飯村智也氏(写真右)に対談インタビューを実施。「ピタッとROAS」の特徴や導入による所感などを語っていただいた。
 
 

■全てが数値化され、アプリプロモーションはより効果が求められる時代へ


――:まずは自己紹介をお願いします。

坂井直人氏(以下、坂井):ナイル株式会社のスマートフォンメディア事業部で広告チームのマネージャーをしており、同時にAppliv Gamesというメディアの責任者も務めています。Appliv Gamesでカヤックさんのタイトルを取り扱っており、「ピタッとROAS」を導入いただく前からのお付き合いになります。
 
飯村智也氏(以下、飯村):カヤックのソーシャルゲーム事業部で、甲子園を目指す野球ゲーム『ぼくらの甲子園!ポケット』のプロモーションを担当しています。プランナーも兼任しており、ゲーム内と外とのズレがないよう意識しながら仕事を行っています。


――:昨今のスマートフォンゲーム市場について、どんな印象をお持ちですか。

飯村:昨年の夏は新規のスマートフォンゲームの立ち上げがあり、ナイルさんにも攻略サイト「Appliv Games」を通じてお世話になりました。ですが、様々な課題があり、そのタイトルも今年の2月にサービス終了となりました。他社でも同時期リリースタイトルでいくつか同じように終了しており、新規立ち上げには難しい市場になってきたと感じています。

その中で『ぼくらの甲子園!ポケット』は今年の9月で5周年を迎えます。息の長いタイトルになってきているので、長年遊んでいただいているユーザーをどう大事にするのかは気にしています。

ただ運営の長いタイトルのWebプロモーションですと、クリック単価の成果でお支払いするCPC広告だとインストール率はメディア毎に予測するしかなく、結果的にCPIで高いコストが発生します。そのため、CPI固定のインストール成果でお支払いする広告に走りがちになる、という印象です。

坂井:これはスマートフォンゲームに限らず、アプリマーケティング全体で見ても同じことが言えますが、広告SDKの進化によりインプレッションから、課金まで、数も率もあらゆる指標が数値化できるようになったことで、成果に対してシビアになってきたという印象です。

広告手段という意味でも、面という意味でも選択肢が豊富にあるため、数値で判断し効果の良いものに寄せていくことが容易にできるようになりました。各アプリディベロッパーーで獲得の相場感覚も1巡回って持てている状況です。少し前ですとROASという概念なんてなかったですからね。

 

坂井:ただ一方でデータを確認しきれていないディベロッパー様も多く、専任のWebマーケターがいないという現状もあるので、その部分で我々がうまくお手伝いできればと思っています。

ユーザーに関しては、自分の好みのジャンルが完全に決まってきたというのは特に感じます。コンシューマー時代、ゲーマーと呼ばれる人はあらゆるジャンルのゲームをプレイしていました。マリオもやれば、レースもやれば、FFもドラクエもやっていたんです。ですが、現在は同じジャンルのゲームだけでも数え切れないほどリリースされています。しかもソーシャルゲームには終わりがない。
 
その中で、全てをプレイするのは課金の面も含めて難しい。どのジャンルにおいても、ジャンルごとのトッププレイヤーが誕生しています。プロゲーマーも少しづつ誕生してきてますが、日本ではまだ生計を立てることができているのはごく1部ですね。ライト層は割りとジャンルを問わず幅広くゲームを触る方は多いのですが、トップ層になるとある程度ジャンルが決まってくるというのが、最近感じるところです。


――:これまで主にどのようなマーケティングを行ってこられたのでしょうか。

飯村:『ぼくらの甲子園!ポケット』はもうすぐ5周年を迎えるのですが、ギルドバトルというシステム上、新規の定着に時間がかかります。ゲーム性に合うユーザーを獲得できるようフォローしたり、施策としてプレイから7日間でいかに楽しみを感じてもらうかを考えています。ゲーム性が少しニッチ寄りなので継続率が低く、広く網を張ってもなかなか結果に繋がりません。きちんとゲームにマッチするユーザーにリーチしないと、痛い目を見ることになるんです。

野球ゲームですから、人数が減ってしまうとチームを組めず甲子園のリーグに参加できなくなってしまいます。長くプレイされている方も徐々に減っていくので、常に何かを試みてユーザーを獲得する必要があるんです。

弊社では明確にマーケティングという組織がなく、全員がマーケティングの観点を持ちながらそれぞれのポジションで仕事をしており、ユーザーの獲得はナイルさん等広告代理店様にお任せしているという状況です。ナイルさんには一日の継続率のレポートを出していただき、一日後には何人残っているのか、その人たちではいくらとれているのかを随時チェックしているんです。

坂井:カヤックさんには、「ピタッとROAS」という商品がリリースされた瞬間に僕から声をかけさせていただきました。Appliv Gamesでカヤックさんのタイトルの記事を取り上げていたことから付き合いがあり、信頼関係が築けていたんです。そこで昨年、弊社ではAppliv Gamesというメディアチーム以外にも広告のチームがあること、僕が広告チームのマネージャーも担当していることをお伝えし、「ピタッとROAS」のお話を聞いていただきました。

飯村:お話を聞いたタイミング的にも、いい時期でした。3月は春の選抜甲子園があり、いつもよりも多く広告費用の予算をとっていたんです。そこで、新しく何社か試してみようという思いもあり、導入しました。ナイルさんの広告チームの実力は分からないので、結果を見てみないとなんとも言えませんからね。

それから継続しているのですが、ここ数ヶ月のROASは期待通りの値で返していただいています。良い数字なので、ずっと「ピタッとROAS」でいてくれればいいなという気持ちがあります。ただ、ゲームがダメになってしまったら、そもそもユーザーを獲得できてもROASという意味では下がってしまう。完全にナイルさんにおんぶに抱っこではなく、新規ユーザーが良いと感じてもらえるゲームであり続けなくてはいけないと思っています。

 

「ピタッとROAS」が目指すのはアドネットワークの健全化とアドフラウドの排除


――:「ピタッとROAS」は実際どのようなサービスなのかをお聞かせいただけますでしょうか。
 
坂井:「ピタッとROAS」は、「1:アドフラウド対策を行っている」「2:人的とシステムの両面で広告成果を確認している」「3:CPAで成果確定を行なっている」といった3つの特徴があります。正直手間はかかるのですが、ROASやアドフラウドをチェックするためにも毎日細かく見守っています。

お客様からは非常に良い評価をいただいており、一回始めると、他媒体の予算から付け替えをいただくことが多くなってきています。弊社にノウハウのあるCPA設定地点やアドフラウド対策の運用方法などは直接お伝えさせていただければと思います。


ナイルではアドネットワークが誕生して間も無い頃から携わっていて、アドネットワークの健全化を図りたいという想いがあるんです。DSPやアドネットワークは今後もなくなることはないでしょうし、アドフラウドの脅威はより増していくはずです。都度対策を講じているものの、それでも新しい不正の手法で穴を抜けてくるでしょう。

そのためか、最近ではアドフラウドが発生するからからアドネットワークの広告そのものをやらないというディベロッパー様も増えてきています。フラウドを排除する健全な知見があれば、ROASを最大化させることができる広告であることを我々が訴求、啓蒙していきたいんですよ。

飯村:代理店様を比べるときどちらにお任せしようかなと迷うのですが、そのときに運用の仕方やコミュニケーションがポイントになってきます。その点ではナイルさんは安心できますね。最初お話を聞いたときに、かなり人の力を注いでいるなという印象がありました。

坂井:メールの飛び交う量は、圧倒的に多いですね(笑)。効果を出すためには、細かく運用していくしかないんですよね。この規模だからできることであり、逆に大手にはできない運用方法だと思っています。初速で効果が付いてこなくても、デイリーで改善できますから。

飯村:レポートでも、細かな消化予算や、継続率まだ出していただき良い水準で結果が返ってきているのでしばらくお任せしたいです。

 

飯村:他の代理店様に比べてレポートの充実度は多少弱いかなと感じますが、実際すごく量の多いレポートをもらっても読んでいるのは一部のシートだけということもあるんです。結局ここだけ見たいという部分をナイルさんには応えていただいているので、導入されている結果については満足しています。

坂井:ありがとうございます。他のお客様からもお声をいただくことがあるのですが、必要なものをレポーティングさせていただくという形をとらせてもらっています。限られた時間の中で優先順位をつけているのですが、時間をそこに割くよりもより成果が出るように配信先を調整したり、アドフラウド対策に力を入れたりを重視しています。今後はレポーティングも充実させていく必要があると感じていますが、現在はより満足してもらうためにあえてミニマムでやらせて頂いてます。


飯村:それもひとつの選択ですね。CPA広告は、数年経っているゲームであればうちどきだなと感じています。予算的にひとつのタイトルで数千万を出そうとすると大変です。新規タイトルであればインプレッションもかかるようなSNS系に出せばいいのかなと思いますね。

坂井:まさにその通りで、リリース後一年以上経過しているアプリが特に適しています。一年以上経ったアプリは国内の広告を一通り行っており、KPIが明確になって獲得のCPIも高騰してくる時期になります。

そうすると、ROASもあいにくくなるんです。「ピタッとROAS」ですと、残存したユーザーにのみ広告費が発生するので、高騰してきたところのアプリとは相性がいい。プラス、正確に分析が進んでいると成果地点が論理的に定まり適切なCPAの地点を設定できるため、ROASがついてきやすいかなと思っています。

飯村:『ぼくらの甲子園!ポケット』は5年も経つので広告運用もある程度感覚値がありますのでCPI、CPA固定のもので予算消化ができるのであればそちらに回します。その方が設定している成果を出すので、インストール数も予測できますし、何人が残って何パーセントプラスがあるというのが見えやすいんです。

逆にゲームの場合は、「春の甲子園」「夏の甲子園」の時期には野球に注目が集まる時期なので、野球ファンの方に知ってもらうためSNS系のプロモーションを強化したりしています。


――:導入にあたり、「ピタッとROAS」はスムーズに行えるものなのでしょうか。

坂井:広告の効果計測SDKが導入されて入れば、大丈夫です。SDKの設定の仕方までサポートをさせていただいたこともあるので、ある程度スムーズに行えます。

飯村:そうですね。弊社ではすでに入っていたので、導入は比較的スムーズでした。その後CPAの調整に関しても、これまでの様々なゲームタイトルの実績を提示していただいたので調整しやすかったですね。また、最低金額も50万円とそこまで高くなかったので始めやすかったです。

坂井:はい。とりあえず試してみるという意味で、最低出稿金額を50万円にしています。


――:最後に読者に向けて、メッセージをお願いします。

飯村:5周年を9月で迎えるにあたり、ゲームでも一層盛り上げていきたいと思っています。ご新規様も遊ぼうと思って手に取って、楽しいと思ってもらえるように従事していきますので、よろしくお願いいたします。

実は最近プランナー業務も行っており、今まで以上に多忙さを感じています。ただ、代理店さんにはそういったところで手をさいていただいているところも期待値としてあります。ある程度大枠のコストと方針はお伝えしつつ、そこから先はレポーティングで見せていただきたいですね。

坂井:「ピタッとROAS」という名の通り、目に見える獲得成果でお返しするのはもちろんですが、世の中に対してアドフラウドに対する知見や対策方法なども周知していきたいんです。「ピタッとROAS」を運用する弊社がアドフラウドを理解し、我々にはこういう手立てがある、というところをみなさんに見せていきたいと考えています。

飯村:弊社もですが、みなさんアドフラウドに頭を悩ませたくないですもんね。アドフラウドは受けていないというレポートが見たい、というところがそもそもあります。アドフラウドとその対策はいたちごっこかもしれませんが、ナイルさんには頑張っていただきたいです。

坂井:あとは、アプリのジャンルによってボリュームがどこまで出るのか分からず、10〜30万円程度の予算消化になるということは事実としてあります。ただ、そもそも定着したユーザーのみに課金するので、デメリットはそこまでありません。よくお話しするお客様に対しては、「導入時、契約関連のお手間だけかけるけれどもお願いします」と伝えると導入してくれるところが多く、一度開始すると継続していただけます。成果にご期待いただき、「ピタッとROAS」を導入していただきたいですね。


――:ありがとうございました。

 

ピタッとROAS

 
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株式会社カヤック
http://www.kayac.com/

会社情報

会社名
株式会社カヤック
設立
2005年1月
代表者
代表取締役CEO 柳澤 大輔/代表取締役CTO 貝畑 政徳/代表取締役CBO 久場 智喜
決算期
12月
直近業績
売上高174億6700万円、営業利益10億2100万円、経常利益10億3800万円、最終利益5億1100万円(2023年12月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3904
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