【セミナー】『Fate/stay night』初のボードゲームがAmazonランキング1位を獲得した理由とは? ディライトワークスがボードゲーム制作活動を振り返る

 
ディライトワークスは、8月23日、同社内にて「肉会(MEAT MEETUP)Vol.14 求む!0から作りたいボードゲームディレクター ~アナログゲームユニットキャリア相談会~」を開催した。
 
「肉会(MEAT MEETUP)」とは、ディライトワークスでの仕事に興味を持った人に参加してもらい、情報交換や交流、キャリアの相談を行えるイベントのこと。
 
14回目となる本講演では、アナログゲームユニットのマーケティングプランナー・髙嶋啓明氏、プロデューサー・立山幸介氏、プロジェクトマネージャー・前田佑貴氏が登壇。ディライトワークス内のアナログゲームにおける活動や、ユニット内での仕事内容について紹介した。
 
また、Amazonの「新着ボードゲームランキング」で1位を獲得するほどの人気ぶりをみせた『Fate/stay night』初のボードゲーム『Dominate Grail War -Fate/stay night on Board Game-』(以下、『Dominate Grail War』)について、どのような宣伝活動が行われたかも明らかとなった。本稿では、セミナーの内容についてお届けしていく。
 
【登壇者】

ディライトワークス株式会社
第1制作部 DELiGHTWORKS SWALLOWTAIL Studios
マーケティングプランナー
髙嶋
啓明氏
 
ディライトワークス株式会社
第1制作部 DELiGHTWORKS SWALLOWTAIL Studios
プロデューサー
立山幸介氏
 
ディライトワークス株式会社
第1制作部 DELiGHTWORKS SWALLOWTAIL Studios
プロジェクトマネージャー
前田佑貴氏

 

■ボードゲームカフェ設立からボードゲーム制作に至るまでの活動を振り返る

 
まず髙嶋氏が、これまでのディライトワークス内でのボードゲームに関する活動を説明する。
 

 
2018年3月、スマホやコンソールなどのデバイスに縛られず、自由な発想のインプットを行う目的で、ディライトワークスは社内にボードゲームカフェを設立。現在では、何と300種類を超えるボードゲームを取り揃えるまでに発展している。
 

 
2018年7月からは、業界関係者向けボードゲーム交流会を、月に1度の頻度で開催。第1回目の参加者は53名だったが、現在は1開催で140名を超え、フロア全体が埋まるほどの大規模なイベントに。1周年時点の累計参加者数は、1400名を超えたというから驚きだ。
 

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2018年11月24日と25日、東京ビッグサイトで開催された「ゲームマーケット2018秋」では、満を持してブースを出展。ゲームデザイナー・カナイセイジ氏とのコラボプロジェクト『The Last Brave』(ザ・ラストブレイブ)、2018年度新入社員が研修の一環で制作した『CHAINsomnia~アクマの城と子どもたち~』(チェインソムニア)の2タイトルを発売した。
 



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そして2019年8月3日、『Dominate Grail War -Fate/stay night on Board Game-』(以下、『Dominate Grail War』)を発売。発売日に合わせて「FGO Fes. 2019」ディライトワークスブースにて、体験会を実施。体験会参加者は、両日合計127名もの大人数が集まるほどの盛況ぶりをみせた。



 

■『Dominate Grail War』がAmazonランキング1位を獲得した理由に迫る

 
続いて、3人がアナログゲームユニットの仕事を紹介。前田氏はプロジェクトマネージャーについて「プロジェクトの進行管理はもちろん、ゲームやイラストのデザイン、編集業務の確保などの進捗管理を行う仕事」だと説明する。スケジュールの管理だけでなく、コンテンツの質も高めるという、重要な役割を担っているそうだ。
 

 
マーケティングプランナーの髙嶋氏は、『Dominate Grail War』を例に挙げ、自身の業務内容を紹介。トークイベント進行や宣伝施策のプランニング、ゲームマーケット等の商品宣伝など、役割は多岐に渡っている。


▲2019年3月23日、24日開催の「AnimeJapan 2019」では、ピールオフ企画を実施。会場には約370枚ものステッカーが用意されていたが、開場から40分も経たない内にすべてが剥がされ、ビジュアルが公開となった。
 

▲5月4日~6日開催の「マチ★アソビ vol.22」会場にはマスターの等身大スタンディが並ぶフォトスポットを設置。多くの来場者がフォトスポットでの記念撮影を楽しんでいた。
 

▲5月25日、26日開催の「ゲームマーケット2019春」では、ボードゲームデザイナー・BakaFire氏とのトークイベントを実施。2日間で複数回のトークイベントを行うなど、制作陣の熱意が、多くの商品予約に繋がったと振り返った。
 
プロデューサーの立山氏は、新商品のプロジェクト化と予算管理、新商品製造までの開発パートナーへの営業や契約締結を担当。他にもメディア向け先行体験会を宣伝・広報と共に計画・実施するなど、商品の認知度向上に努めた。その結果、SNSでの反響も高く、Amazonのボードゲーム新着ランキングでは、見事1位を記録した。
 



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アナログゲームユニットのディレクター業務について、立山氏は「プロジェクトのゴールに向かって、最終的に1本のゲームにまとめる仕事」だと話す。『Dominate Grail War』では、ディレクターはパッケージやコンポーネントデザインのディレクション、UI調整なども行っていたと説明した。
 


▲衛宮士郎だけでなく、すべてのマスターがゲームの主人公として活躍する本作。すべてのマスターが同サイズで、『Fate/stay night』の象徴であるセイバーが大きく描かれるビジュアルとなっている。
 

▲時間ギリギリまで調整を重ねたというコンポーネントデザイン。文字の色彩など、直観的なわかりやすさを上げるため、所々に熱量を持ったこだわりが見られる。
 
また、将来的なディライトワークスのアナログゲームディレクターの業務として、新商品の企画提案やオリジナルゲームの開発、ゲームデザインの設計を担ってほしいとも語った。これらの業務を担う存在として、「飽くなき執着心と実行力がある」「社内外関係者の個性も生かせるよう取り組める」「ディライトワークスならではの商品を作れる」人材を、ディライトワークスでは求めているとのこと。
 

 
今後の取り組みとして、立山氏は「ディライトワークスにしかできない商品を作る」「長く遊び続けてもらうための取り組みを行う」「海外市場でも受け入れられる作品にチャレンジする」といった、3つの目標を掲げる。さらに、「ディライトワークスのゲームで交流会が開けるような、コミュニティができるものを作っていきたい」と意気込みを語った。



 
トークセッション終了後の懇親会では、セミナー開催日が「ウクレレの日」(8月23日)だったことにちなみ、「ハワイアンスペアリブ」など、ハワイに関する肉料理が登場。来場者はセミナーの感想やボードゲームに関する話をするなどして、最後まで楽しい時間を過ごしていた。
 
 
 
 
今後のイベントについてはまだ明らかになっていないが、ディライトワークスでは毎回異なるテーマのセミナーが開催されている。今後の詳細については、Peatixにて更新される予定だ。
 

Peatix公式サイト

 
(取材・文 ライター:島中一郎)

 
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企業サイト

 
ディライトワークス株式会社
https://delightworks.co.jp/

会社情報

会社名
ディライトワークス株式会社
設立
2014年1月
代表者
代表取締役 庄司 顕仁
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