【インタビュー】ゲーム&エンターテインメントをグローバル展開するために ~マイクロソフトが提案するAzure CDNやAzure Expressを活用したお客様を「繋ぐ」形づくり~

マイクロソフト独自のコンテンツ配信ネットワークであるAzure Content Delivery Network (CDN)。

Azure CDNは、最高品質のコンテンツ配信サービスを実現するために、パートナーエコシステムと柔軟なマイクロソフトのクラウドプラットフォームを活用して、世界中にクラウドアプリケーションをスケーリングし、すばやく安定的にコンテンツを配信するためのサービスである。

今回、そのAzure CDNにスポットを当てたインタビューを実施。同社でAzure Networkingのテックリーダーを務めるジェイ キム氏に、Azure Networkの概要、ゲームにおけるCDNの利用用途やそのメリット、そしてCDNを通じてのマイクロソフトの強みについて聞いた。

マイクロソフト コーポレーション
Azure Networking Tech Lead – Asia 
Intelligent Cloud | Global Black Belt | Asia
ジェイ キム


 

■Azure CDNや専用線を活用するメリットに迫る


――:本日はよろしくお願いいたします。まずは簡単に自己紹介をお願いします。

韓国生まれで日本に来日してから15年になります。キャリアとしてはNTTコミュニケーションズやボーダフォンなどで、グローバルネットワークサービスやインフラの仕事をしていました。マイクロソフトに入社して4年目になります。

――:マイクロソフトではどのようなお仕事をされているのでしょうか?

Azureの色々なネットワークサービスをお客様に提供しています。マイクロソフトに入る前はお客様など外部で話をする機会はほとんどなく、ミーティングなどで技術的な話をしていましたが、マイクロソフトでは積極的に外に向けて話をする機会も多く、ネットワーク関連セミナーやイベントなどに登壇する機会も増えています。
 
Azureのネットワークの特徴は、他のどのクラウド プロバイダーよりも多い世界55リージョン(データセンター所在する地域)あり(2019年11月末時点)、これにより、IaaS、PaaS、そしてSaaSなどの様々なAzureサービスを届けるために必要なスケールを提供しています。

それからAzure ExpressRouteやVirtualWANなど、ネットワークの中でコネクティビティの分野も担当しています。例えば、お客様がAzureのサービスをお使いいただく際、いかに効率よくストレスなくネットワークを繋いだらよいか、といったことを日々サポートしています。



――:お客さんとAzureの間に立って"繋ぐ"お仕事ということでしょうか?

はい、そうですね。人としても、サービスとしても(笑)。AzureにはLoadBalancerやAzureFirewallなど、様々なネットワークのソリューションがあるのですが、基本的にそれらもサポートしてお客様とAzureを繋ぐお手伝いをしています。

――Azureの接続方法はどういったものなのでしょうか?

マイクロソフトでは現在世界55ヵ所にデータセンターを持っており、サブマリンケーブルという海底ケーブルでアメリカと日本を海の下で繋いでいます。これらを踏まえた上でAzureに接続する方法は3つあります。インターネット、VPN、そしてExpressRouteです。

ここで注目していただきたいのが、ExpressRouteです。これはインターネットではなくクラウドサービスにおける専用線であり、お客様のオフィスからAzureのデータセンターに直接接続されたいという場合に利用いただけます。

帯域は100Gbpsまで専用線として、我々のAzureサービスへの接続回線を提供しています。ExpressRouteを使うと、オフィス間を繋ぐこともでき、オフィスからAzureサービスを使う事も可能です。


――:今回のメインテーマである、AzureのCDNサービスについて教えてください。



上図のように、Azure CDNは、世界中のユーザーへのコンテンツ配信を高速化する(Content Delivery Network)サービスです。

Azure Blob Storage、Webアプリケーション、またはパブリックにアクセスできるWebサーバーからキャッシュすることができ、サーバーの負荷を軽減すると共に、世界各地にあるユーザーからネットワーク的に近いPOP(ポイントオブプレゼンス)を中継するため、快適にWebサービスを利用することが可能になります。


――:Azure CDNサービスの安全性についてはいかがでしょうか?

マイクロソフトのAzure CDNは、Azure Basic DDoSで保護されています。これは標準のサービスで、追加コストなしにマイクロソフトのAzure CDNプラットフォームに統合されています。

Basic DDoSの保護機能は、特に一般的で頻繁に発生するレイヤー7へのDNSクエリフラッド攻撃や、CDNエンドポイントを標的とするレイヤー3および4への帯域幅消費型攻撃も防御する仕組みを持ちます。このサービスは、これまで様々なサービスを大規模な攻撃から保護してきた実績があります。


――:その他にAzureのCDNサービスのメリットはありますか?

Azure CDNは、AkamaiおよびVerizonのサービスと統合されているため、コンテンツ配信ネットワークをまたぐ負荷分散など、ニーズに合ったソリューションを選ぶことができます。

Azure CDNを使用すれば、キャッシュできない動的コンテンツを高速化することができ、読み込み時間の短縮、帯域幅の節約、応答性の向上が可能です。Webサイトやモバイル アプリケーションの開発と管理のほか、ストリーミングメディアやゲームのソフトウェア、ファームウェアの更新プログラム、IoTエンドポイントのエンコードと配信などです。

加えて、今はMixierなどにおけるゲーム実況動画が人気だと思いますが、CDNのような高速化を実現するソリューションがない場合、ゲーム映像、音声、チャットの文字にタイムラグが生まれてしまいます。そのようなメディア系、コンテンツ系のサービスでCDNをお使いいただくことで、画面と音声、文字がしっかりシンクロするような環境を作ることができるのもメリットと言えます。




――:ゲーム開発におけるCDNの利用用途について教えてください。

Azure CDNのサービスはMicrosoft CDN、AkamaiおよびVerizonとの統合により、コンテンツ配信戦略を構築およびカスタマイズが可能です。

グローバル展開したいゲーム会社がいた場合、シンガポールデータセンターではMicrosoft CDN、韓国のデータセンターではAkamai、アメリカのデータセンターはVerizonと分けて利用するという選択肢を選ぶこともできます。

通常このような使い方をしたい場合は窓口が3つになりますが、その3つを1つの窓口として提供することが可能です。もし、韓国のデータセンターで問題があった場合、AkamaiからAzure CDNに切り替えてシンガポール経由でダウンロードすることができるなどのメリットもあります。

もう1つ例を挙げるとすると、ゲーム会社が新しいゲームを全世界で同時にリリースするとします。すると、数百万枚のコピーを迅速に提供することができるソリューションが必要になりなす。

CDNサービスを使用する事により、高速ダウンロードや特殊な機器がなくても、ほぼすべてのデバイスの簡素化されたビデオの共有やストリーミングビデオの配信ができます。SSL、DDoS Protectionなどのセキュリティオプションを選択いただければ、ゲーム配信やゲームのウェブサイトも保護することが可能になります。そしてgeoフィルタリングにより、国、リージョン別のAzure CDNコンテンツを制限することも可能なのです。


――:グローバル展開したいゲーム会社は多いので、そういう意味でCDNの活用は大きなメリットですね。

そうですね。個人的にはCDN、そしてゲーミング、メディア+グローバル展開で色々な場所をネットワークを介して繋ぐ必要があると考えているので、そのときに実はネットワークを通じて様々なことが実現できる、出来ることがさらに広がっていくということをお客様にもっとお話出来る機会が増えればうれしいです。



 
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