【インタビュー】「共にゲームで世界中を楽しませていく友達でありたい」…200カ国以上の国々で活躍するIGG 今後の展望と日本展開における狙いとは

昨今のゲーム市場では、市場の垣根がなくなりつつあり、様々な企業が日本市場でも活躍している。近年の東京ゲームショウの出展企業やストアランキングを振り返ってみてもグローバル化は感じられ、2020年はさらにその傾向は進んでいくだろう。
 
そんな中、国内で積極的な姿勢を見せている企業がIGGだ。同社はシンガポールに本社を構え、全世界に拠点を構えるグローバルゲームメーカー。日本国内においても、『ロードモバイル』などストラテジーゲームを中心に配信しており、この秋には東京ゲームショウ2019でも出展している。
 
去る11月にはIGG主催によるネットワーキングパーティも開催され、多くのゲーム、エンタメ企業が集まり、国内からも注目されていることが伺えた。

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今回、ネットワーキングパーティにて来日したIGGのCTOであるMark Zhang氏にインタビューを実施。IGGの強みや同社の活動、国内ではどういった反響があるのか。そして目指している未来について話を伺った。
 

◼︎世界中に拠点とチームを抱えるグローバルゲームメーカーIGG

 

 
IGG
CTO and SVP Global Operations
Mark Zhang 

――:本日はよろしくお願いします。まず初めに、IGGの事業内容についてお教えください。
 
IGGはグローバルで開発拠点と運営拠点を持っているゲーム会社になり、19カ国以上の国々に、開発スタジオを抱えています。設立当時からの考えとして、ゲームやエンターテインメントを地球上のあらゆる人々に届けることを企業理念として掲げており、全世界で20以上の言語や200カ国以上の国々でゲームを配信しています。
  
――:IGGのゲームタイトルの特徴をお教えいただけますでしょうか。
 
IGGではストラテジーゲームに強みがあります。遡ること13年前にPC向けSFゲームでスタートしまして、その後ソーシャルゲームも人気を博し、『ギャラクシーオンライン2』といものをリリースしました。その後モバイルゲームが台頭し、2013年に『キャッスルクラッシュ』、2016年には『ロードモバイル』をリリースしました。
 
 
世界中数億人というユーザーに楽しんでいただいており、AppAnnieからはストラテジーゲーム全世界No.1に選ばれております。設立当初からストラテジーゲームとグローバルにおけるパブリッシング、運営を行ってきたことが現在のIGGの特徴につながっています。
 

――:IGG JAPANとして日本法人を置いた経緯についてお聞かせください。
 
IGGのスタッフは全世界におり、私たちは各地域ごとにチームも築いています。例えば、アメリカやカナダや東南アジアにシンガポール。台湾、日本や韓国といったアジアやスペイン、ヨーロッパなど幅広く展開しています。その目的はローカルマーケットを理解することと、各地域の方々をサポートし、ゲームを楽しんでもらえるようにするためです。
 
 
▲世界各国に広がっているIGGの拠点
 
日本に関して言えば、市場としても成熟していますし、優れた才能を持ったスタッフも多く恵まれています。また、市場の可能性としても注目しています。市場の可能性もまだまだ大きいと考えており、IGGとしても単純に運営をする拠点だけでなくマーケティングや日本における開発に力を入れています。
 
そういった意味では、日本オフィスはIGGのグローバル展開への想いが体現できつつあるオフィスとなります。私たちは「Think Global, Act Local」という考えを持っています。グローバル志向を持ちつつも、ちゃんと各地域のユーザーの気持ちや市場の動きも考えて動こうという考えです。ですので、各国その地域に精通したチームやパートナーを大切にしています。

 

◼︎世界中でゲームを楽しんでもらう上での良き友人でありたい

 
――:パートナーとアライアンスを進めるというのもその一環なのでしょうか。
 
まさにその通りです。「Act Local」というのは、その地域でオフィスを構えて、現地スタッフを雇用するだけでなく、その国におけるメディアや事業者様と組むことも考えています。これまでも日本国内では様々なパートナー企業様とご一緒させていただいたこともあります。グローバル展開をしている企業とのみ組む訳ではなく、その地域のお客様に最適にアプローチできる方法を常に模索しています。
 

▲マーケティングにおいても地域に合わせた展開をおこなっている
 
そして日本の企業様に私たちがお役に立てることと言えば、一つは日本のゲームのグローバル展開にてお手伝いをすることで成功させることです。IGGではグローバルにおいてパブリッシングできる基盤、プラットフォームがすでに形成されていますので、日本国内にあるゲームの世界進出にてお力になれればと思います。
 
もう一つが、日本の優れたIPを活用し、海外向けに新しくゲームを開発していくことです。ここには大きな可能性を感じており、例えば、南アフリカやアメリカ、ヨーロッパ、中東、東南アジアを含めたアジアには数億というユーザーがいるので、コンテンツの価値を大きくさせていく手段は多くあると思います。
 
この2点にはそれぞれがシナジー効果を発揮しやすいと考えており、IGGとしてはグローバルのパブリッシャーとして、日本のIPホルダーとしては優れたIPを提供することでお互いにとって得意な分野を掛け合わせ、新しい可能性を見出せるはずだと考えています。

 
――:東京ゲームショウへの出展やネットワーキングパーティー(以下、NWP)もアライアンスの一環でしょうか。
 
アライアンスにおける取り組みのひとつです。私たちは”友達”となるためにきました。この”友達”というのは必ずしもビジネスパートナーという意味だけではございません。日本の優れたゲームメーカーの皆さんと”友達”になることで、皆さんにとってもグローバル展開を視野に入れた際の良き相談相手、パートナーになれると思います。
 
NWPは仲良くなる機会としてお考えいただきたいと思っています。もちろん色んなシナジーやコラボレーションができれば幸いですが、まずは仲良くなって、その機会が来たらご一緒させていただけるような関係性を築いていきたいと思います。

 
▲NWPの乾杯時も、仕事ではなくまずは美味しい料理を楽しむ仲間でありたいと挨拶していたMark氏
 
――:”友達”という表現は深いですね。ビジネスライクな関係だけでなく、共に「ゲームで世界中を盛り上げる」という想いを持った友でありたいと。
 
おっしゃる通り、”友達”と称した時に、その解釈は広いと思います。あらゆる形での友好関係があると思います。私たちが着目したいのは、片方だけが得するのでなくWIN-WINな関係になることです。
 
IGGでは、すでに多くのグローバルマーケットでの投資や実績を積んでいるので、各地域をご紹介するなど様々なコラボレーションの形があるわけで、相談できる友達でありたいと思います。仕事という形で常に何かが成立しないといけないとは考えていません。このNWPも長期的なお付き合いとして実施しています。
 
 
 
――:確かに、昨今のゲーム市場を鑑みますと、一クリエイターや一企業で成功するのは難しくなってきていると感じます。新しい可能性を見出す土壌づくりということでしょうか。
 
その通りです。スマートフォンが世に出て、いろんなことができるようになりました。世界中の人々とコミュニケーションが容易にとれるようになりましたが、それが必ずしもビジネスでもうまくいくとは限りません。やはりそれぞれの場面にふさわしい会社や組織、チームが必要になります。
 
例えばIGGですと、コンテンツを制作するチームやグローバル向けにデザインができるデザイナーなど、世界中にその地域に合ったタレントがいます。各プロジェクトに合わせてスタッフを組み合わせることでグローバル競争を乗り越えていきたいと思います。
 
例えば、IPチームが日本にいて、シンガポールで開発して、アメリカオフィスと協力して展開していくといった形ですね。世界中にサプライチェーンがありますので、一チームや一企業で勝っていくのは難しいと思います。
 
加えて、今はテクノロジーが進歩しており、コラボレーションがしやすくなっており、IGGにとっても良い時代になったと思います。
 
10年前だと、コラボレーションをすることは難しかったのですが、今では容易に会議や施策を実施できるようになりました。今の世の中はフラットで誰しもがグローバルにつながっています。誰でも勝てる、誰でも機会があるという時代です。地域における有利とか不利がなくなったと言えます。

 
 

◼︎グローバル化が進む中でもゲームの楽しさ、コンテンツの可能性を信じていく

 
――:これまでお会いした中で、日本企業の反響はどういった声が多いのでしょうか。
 
ゲーム企業ですと、自社開発の他に他社のゲームもパブリッシングしていることも多く、IGGへも一緒にゲームを開発していきませんかという声を多く受けております。それ以外にも、IPのコラボレーションとして新作を作りましょうという声ももちろん受けております。
 
――:日本企業でもグローバル展開の必要性を感じてきており、そこにIGGの強みがマッチしてきているんですね。
 
日本企業の方々は開発力が強く、私たちはグローバル展開や各地域のノウハウがありますので、それぞれを組み合わせてグローバル展開を図るという形ですね。
 
開発以外にも、すでに日本で展開しているゲームを海外でも配信するという話もあります。お話しした通り、世界中に様々な分野のチームがいるので、色んな組み方や座組みが可能です。相談ベースでも良いのでお気軽にお声がけいただきたいですね。

 
――:今後のスマートフォンゲーム市場はどのようになっていくとお考えでしょうか。
 
モバイルインターネットはすでに成熟していますが、モバイルゲーミングにおいてはまだまだ広がっていくとみています。5GやAR、VRなどのテクノロジーは発展していき、そこにクリエイティビティが加わることで様々な新しいゲームが生まれていくと期待しています。ゲーミングはバーチャルエンターテインメントなので、今後も広がっていく世界です。新しい技術も出てきており、その技術と共にゲームもまだまだ進化していくでしょう。
 
――:その環境の中で、勝ち残るにはどこがポイントになるとお考えでしょうか。
 
我々が目指すのはグローバルでNo.1のゲームデザインができる企業であることです。グローバリゼーションがIGGの根底にある思想ですが、何よりもゲームの楽しさが核にあることが大事だと思います。画質などの表現はテクノロジーの進化で当然向上していくことになりますが、その中でも忘れてはいけないのが、ゲームが楽しいかどうかです。デバイスや技術の進歩があっても、その根本を忘れないことです。
 
 
▲IGGではゲームの楽しさを大事にする”Gamers at heart”という考えも掲げている
 
そして、IPやコンテンツの力を信じています。先日も成田空港に着いた際に、「Welcome to Tokyo 2020」というマリオのキャラクターが入った看板を目にしました。『マリオブラザーズ』というエンターテインメントが日本の玄関口を飾っていますが、30年以上前に私自身もファミコンで楽しんだ作品が今でも通用しているというのは素晴らしいことです。
 
ゲームを通じたエンターテインメントの強さを感じます。テクノロジーは進歩していき、変化することは間違いないですが、その中でもソフト面が核となると思います。ハード面よりもソフト面、コンテンツの可能性を信じることが大切です。

 
――:コンテンツの価値がより一層重要になるわけですね。
 
映画で例えますと、1920年代は音もなくモノクロでしたが、その後に音が加わり、カラーにもなって今では3Dの演出やアニメーションが当たり前になっています。技術はどんどん進歩していきますが、それだけでは意味がありません。そこには脚本やストーリーがないと映画は面白くないのと一緒ですね。
 
――:今後の展開についてお聞かせください。
 
常にオープンな気持ちで向き合っていきたいので、色んな企業様と関わっておきたいです。日本の市場も魅力的ですが、そこからグローバルに目を向けると更なるユーザーや可能性が広がっています。日本のゲームメーカーさんと組んで、海外で成功するお手伝いができればと思います。
 
――:日本の作品がIGGと組むことで、グローバルに広がり、色んな人に愛され、長く愛されるコンテンツにしていきたいと。
 
日本にはすでにグローバル展開されている企業様は多くいらっしゃいますが、グローバル進出においてリソースがないということであれば、ぜひ協力していきたいと思います。グローバル市場は、単純に市場規模が大きいだけでなく、無限の可能性があります。
 
単純な市場規模では日本市場の10倍もある世界市場ですが、コラボレーションすることでそれ以上の可能性を見出すことができるでしょう。新しい市場も生み出すこともできるはずです。そんな無限の可能性に共にチャレンジしていける”友達”でありたいですね。

 
 
――:ありがとうございました。
 





■アライアンスに関するお問い合わせ先

IGG BD&Marketing Manager 担当:森岡 夢信

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