カプコン<9697>は、この日(5月8日)、2020年3月通期の連結決算を発表し、売上高が前の期比18.4%減の815億9100万円、営業利益が同25.8%増の228億2700万円、経常利益が同26.2%増の229億5700万円、最終利益が同27.1%増の159億4900万円となり、過去最高益を更新した。
主な販売形態をパッケージ版からダウンロード版に転換したことなどもあって減収となったものの、ダウンロード販売中心の「モンスターハンターワールド:アイスボーン」のヒットに加え、リピートタイトルで利幅が大きいデジタル販売比率の向上等により利益が大きく伸びた。
競争力の源泉である家庭用ゲームソフトの開発、販売に経営資源を集中するとともに、開発人員の増強や開発環境の整備など、開発体制の充実強化に努め、ヒットタイトルを創出。さらに収益構造の見直しが奏功したという。
セグメントの経営成績は以下のとおり。
① デジタルコンテンツ事業
売上高はデジタル販売比率の向上により599億4200万円(同27.8%減)となったが、営業利益については、「モンスターハンターワールド:アイスボーン」やリピートタイトルの寄与などにより241億6100万円(同3.6%増)となった。
「モンスターハンターワールド:アイスボーン」(PS4、Xbox One、パソコン用)が堅調に推移するとともに、採算性が高いダウンロード販売中心の事業展開により、収益アップのけん引役を果した。
また、昨年の「日本ゲーム大賞2019」において優秀賞を受賞した前期発売の「バイオハザード RE:2」(PS4、Xbox One、パソコン用)および同じく「デビル メイ クライ5」(XboxOne、PS4、パソコン用)がユーザー層の拡大により続伸した。
さらに、前々期に発売した「モンスターハンター:ワールド」(PS4、Xbox One、パソコン用)も息が長い売行きを示したことにより、累計販売本数が1,500万本を達成するなど、リピート販売の健闘により利益を押し上げた。
② アミューズメント施設事業
新機軸展開としてオリジナルグッズや限定商品などを取り扱う物販専門店の「カプコンストアトーキョー」を渋谷パルコ(東京都)に出店したほか、「プラサカプコン池袋店」(東京都)および「プラサカプコン藤井寺店」(大阪府)の2店舗をオープンしたので、施設数は40店舗となっている。この結果、売上高は120億9600万円(同9.5%増)、営業利益は12億1100万円(同10.5%増)となった。
③ アミューズメント機器事業
近年、パチスロ機市場は、型式試験方法の変更などにより低迷状態が続いてきたが、今年3月に投入した「新鬼武者 DAWN OF DREAMS」が好調に推移したことにより、予想を上回る販売台数を達成するなど、ようやく底を打つとともに、好転の兆しが出てきた。この結果、売上高は65億3300万円(同90.9%増)、営業利益は20億8500万円(前期は営業損益の赤字26億6800万円)となった。
④ その他事業
その他事業については、主なものはライセンス許諾によるロイヤリティ収入やキャラクターグッズなどの物品販売で、売上高は30億1800万円(同17.2%増)、営業利益は5億4400万円(同32.8%減)となった。
【追記】
過去10年間の業績推移は以下のとおり。
■2021年3月期の見通し
2021年3月期は、売上高が前期比4.2%増の850億円、営業利益が同11.7%増の255億円、経常利益が同11.1%増の255億円、最終利益が同12.9%増の180億円と過去最高を狙う。
会社情報
- 会社名
- 株式会社カプコン
- 設立
- 1983年6月
- 代表者
- 代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 辻本 憲三/代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 辻本 春弘/代表取締役 副社長執行役員 兼 最高人事責任者(CHO) 宮崎 智史
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1524億1000万円、営業利益570億8100万円、経常利益594億2200万円、最終利益433億7400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9697