東映アニメ、20年3月期は売上・利益ともに前年並みに　アプリゲームの版権収入は前の期に至らず　海外での映像販売や商品ライセンスがカバー

東映アニメーション<4816>は、5月14日、2020年3月期の連結決算を発表し、売上高が前の期比1.6%減の548億1900万円だった。国内でのアプリゲーム等ゲーム化権の販売が前年同期ほどの勢いには至らなかったことや、新型コロナウィルスの感染拡大で劇場作品の公開が延期になったことで、売上高は前年割れとなった。

営業利益は同2.2%増の160億9400万円だった。収益性の高い海外での映像販売事業や商品化権販売事業が増収となったことが主な要因だ。これに伴い、経常利益が同1.2%増の164億5500万円、最終利益が同0.5%増の114億3700万円と増益となった。

 

セグメント別の状況を見ていこう。

①映像製作・販売事業
劇場アニメ部門では、2019年3月に「映画プリキュアミラクルユニバース」、4月に「東映まんがまつり」、8月に劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」、10月に「映画スター☆トゥインクルプリキュア」、2020年2月に「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」を公開した。新型コロナウイルスの影響による「映画プリキュアミラクルリープ」の公開延期(当初2020年3月20日公開予定、公開時期未定)の影響があったものの、劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」の大ヒットがあったことから、前前の期と比較して若干の減収に留まった。

テレビアニメ部門では、「ワンピース」、「スター☆トゥインクルプリキュア」(2020年2月より「ヒーリングっど ♥ プリキュア」)、「ゲゲゲの鬼太郎」、「おしりたんてい」の4作品を放映した。ゲーム向け音声製作や催事イベント向け映像製作が好調に稼働したものの、前の期に比べ放映本数が減少したことから、ほぼ横ばいとなった。

コンテンツ部門では、前の期にあった「ワンピース」等複数タイトルのブルーレイ・DVD販売の反動減等から、大幅な減収となった。

海外映像部門では、前の期に計上した北米向け映像配信権販売における複数年契約の反動減等があったものの、「ドラゴンボール超 ブロリー」の劇場上映権の販売が北米・中南米で好調に稼働したことやサウジアラビア向けTVシリーズの新規納品に加え、中国向け大口映像配信権の販売本数が増加したことから、増収となった。

その他部門では、国内での映像配信権の販売が好調に稼動したことから、増収となった。

この結果、映像製作・販売事業全体では、売上高は199億2500万円(前の期比2.0%増)、セグメント利益は45億3300万円(同9.3%増)と増収増益となった。


②版権事業
アプリゲーム『ドラゴンボール レジェンズ』や劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」の劇場公開に向けたタイアップ・キャンペーン向け許諾が好調に稼動したものの、前の期にあった複数作品の遊技機大口契約の反動減があったことや、アプリゲーム『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』が好調であった前の期には至らなかったこと等により、減収となった。

海外版権部門では、前の期に好調であった家庭用ゲーム『ドラゴンボール ファイターズ』の反動減等があったものの、全世界で「ドラゴンボール」シリーズの商品化権販売が、最低保証金の計上もあり好調に推移したことから、増収となった。

この結果、版権事業全体では、売上高は297億5100万円(前の期比1.5%減)、セグメント利益は収益性の高い海外での商品化権販売が好調だったことから145億300万円(同1.0%増)と減収増益となった。


③商品販売事業
売上高は44億100万円(前の期比14.8%減)、セグメント損益は700万円の赤字(前の期は1億2900万円の黒字)となった。劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」の劇場公開に向けたタイアップ・キャンペーン向けノベルティグッズや『麦わらストア』が好調であった一方、前年同期好調の『プリキュアプリティストア』の勢いが減じたことや、「ドラゴンボール超 ブロリー」関連の商品販売の反動減等があった。


④その他事業
売上高は9億1100万円(前の期比6.1%減)、セグメント損益は2600万円の赤字(前の期は4200万円の赤字)となった。採算性を重視した催事イベントやキャラクターショー等を展開した。「おしりたんてい」のキャラクターショーが好調に推移した一方、前の期にあった「ドラゴンボール」等の大型催事関連に相当するものがなかったことから、減収となった。


 
続く2021年3月期は、売上高500億円(前期比8.8%減)、営業利益100億円(同37.9%減)、経常利益103億円(同37.4%減)、最終利益70億円(同38.8%減)を見込む。