東映アニメ、9月中間期は増収減益も成長投資を積極化 「VISION2030」に向け国内外114作品に約695億円を投資

木村英彦 編集長
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東映アニメーション<4816>は、本日10月30日、2027年3月期第2四半期(2026年4~9月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比3.7%増の466億1200万円となった一方、営業利益は同8.9%減の151億6100万円、経常利益は同9.6%減の161億8200万円、最終利益は同8.4%減の118億9300万円となった。

・売上高:466億1200万円(前年同期比3.7%増)
・営業利益:151億6100万円(同8.9%減)
・経常利益:161億8200万円(同9.6%減)
・最終利益:118億9300万円(同8.4%減)

 

中国における配信権販売の契約見直しなどが影響したものの、海外での商品化権販売や商品販売事業が好調に推移し、増収を確保した。一方、収益性の高い配信権販売の減少に加え、新作への投資や中期経営計画「VISION2030」に関連する戦略投資の進捗に伴う販管費の増加が減益要因となった。

 

■海外版権や商品販売が好調、売上高は上期として過去2番目の水準

事業別に見ると、映像製作・販売事業は売上高が前年同期比4.9%減の152億4000万円、セグメント利益が同32.0%減の44億2500万円となった。

劇場アニメ部門では、9月公開の「映画名探偵プリキュア!不思議な庭と2人の秘密」が好調に稼働。テレビアニメ部門も「ワンピース」「DIGIMON BEATBREAK」「名探偵プリキュア!」など5作品を放送し、前年同期から新作の放送本数が増加したことに加え、ゲーム向け音声製作も好調に推移した。

一方、海外映像部門では「ワンピース」「ドラゴンボール」シリーズを中心に北米・欧州向けの配信権販売が好調だったものの、中国における一部配信権販売の定例契約見直しが影響した。コンテンツ部門も前年同期に好調だった「ガールズバンドクライ」のBlu-ray・DVDの反動減により減収となった。

版権事業は売上高が同6.0%増の250億8300万円、セグメント利益が同0.3%増の130億1300万円となった。国内では「ドラゴンボール」「ワンピース」のゲーム化権販売が前年同期の勢いに至らなかったものの、海外では「ワンピース」の商品化権販売や「デジモンアドベンチャー」シリーズの商品化権・ゲーム化権販売が好調に推移した。

商品販売事業は「ドラゴンボール」シリーズのショップ事業や「プリキュア」シリーズのEC事業が好調で、売上高は同24.0%増の44億5600万円、セグメント利益は同9.5%増の3億6100万円。その他事業も「プリキュア」「ワンピース」「ワールドトリガー」などの催事が好調に稼働し、売上高は同15.4%増の21億6800万円、セグメント利益は同274.5%増の2億3100万円となった。

会社によると、中国での配信権販売の減少は期初の見通し通りだったものの、これまで取り組んできた地域やIPの多様化、ビジネスの広がりが奏功し、全体では増収を確保した。上期の売上高は過去2番目、営業利益は過去3番目の水準となった。

 

■「VISION2030」の実現に向け、スタジオ・IP・海外事業基盤などへの投資を推進

今回の減益要因のひとつとなったのが、中期経営計画「VISION2030」に関連する戦略投資だ。同社は、世界中の人々を魅了するアニメーションのトップランナーとして進化することを目指し、スタジオ、IP、地域、顧客接点の4領域で成長戦略を進めている。

スタジオ領域では、大泉スタジオや大阪スタジオの強化に加え、ベトナムスタジオの設立準備などを推進。IP領域では、国内外で既存IPの価値を高めるとともに、新たな作品の創出にも取り組む。地域領域では海外事業基盤の強化、顧客接点領域では海外イベントや店舗展開などを通じたファンとのつながりの拡大を図る。

こうした取り組みの一環として、作品ポートフォリオの拡充にも力を入れる。決算補足資料によると、2026年9月末時点での作品投資計

画は、国内市場向けの既存IPが25本・約170億円、世界市場向けの既存IPが28本・約315億円、国内市場向けの新規創出作品が25本・約60億円、世界市場向けの新規創出作品が36本・約150億円。合計114本、約695億円規模となる見込みだ。

特に世界市場向けの既存IPには約315億円、新規創出作品にも約150億円を投じる計画で、既存の人気IPを世界規模で成長させるとともに、新たな収益の柱となる作品の創出を目指す。

具体的な展開としては、2027年2月に配信予定の「THE ONE PIECE」や、海外での大型イベント「ONE PIECE Fest」、ロサンゼルスでの「ONE PIECE MUGIWARA STORE」開設などがある。また、「楽園追放 心のレゾナンス」など新作の展開も予定している。

同社は、施策や作品展開のタイミングによって進捗に濃淡はあるものの、VISION2030の実現に向けて必要な成長投資を継続する方針を示している。

 

■通期予想は利益を上方修正、成長投資を継続へ

2027年3月期の連結業績予想は、10月28日に公表した修正予想を据え置いた。売上高は前期比4.8%増の982億円、営業利益は同14.9%減の264億円、経常利益は同17.2%減の277億円、最終利益は同20.2%減の200億円を見込む。

期初予想との比較では、売上高を1000億円から982億円に引き下げる一方、営業利益は250億円から264億円、経常利益は256億円から277億円、最終利益は181億円から200億円にそれぞれ上方修正した。

・売上高:982億円(前期比4.8%増)
・営業利益:264億円(同14.9%減)
・経常利益:277億円(同17.2%減)
・最終利益:200億円(同20.2%減)
・EPS:97.94円

 

上期は大型作品の納品時期のずれなどを主因に売上高が期初計画を下回った一方、欧米での配信権販売の利益率改善や欧州・アジアでの新規契約先の開拓などにより、営業利益は計画を上回った。下期については外部環境の不透明感を踏まえて期初計画を維持しつつ、期ずれ要因などを織り込んでいる。

上期の利益進捗率は営業利益57.4%、経常利益58.4%、最終利益59.5%と、いずれも通期計画の半分を超えている。

【通期計画に対する進捗率】
・売上高:47.5%
・営業利益:57.4%
・経常利益:58.4%
・最終利益:59.5%

今回の決算では、海外での版権ビジネスや商品販売など既存IPの収益基盤が引き続き機能する一方、新作への投資やスタジオ、海外事業基盤、顧客接点の強化に向けた戦略投資が進んでいることが示された。短期的には利益を押し下げる要因となるものの、同社はVISION2030の実現に向けて事業基盤の強化を優先している。今後、こうした投資を新たな作品の創出や海外市場での収益拡大にどこまで結びつけられるかが注目される。

 

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東映アニメーション株式会社
https://corp.toei-anim.co.jp/ja/index.html

会社情報

会社名
東映アニメーション株式会社
設立
1948年1月
代表者
代表取締役会長 森下 孝三/代表取締役社長 高木 勝裕
決算期
3月
直近業績
売上高936億6900万円、営業利益310億1800万円、経常利益334億6200万円、最終利益250億7000万円(2026年3月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
4816
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