【決算まとめ③】ゲーム関連企業32社の7-9月は利益面での好調目立つ KLabとAimingが営業利益10億円乗せ 営業赤字はモブキャストHDなど4社に減少

主要モバイルゲーム企業の2020年7~9月期の決算の決算を引き続き振り返ってみたい。今回は、各社の売上高と営業利益の状況をまとめてみた。

まずは四半期売上高100億円以上の企業をまとめたグラフを見ると、バンダイナムコHD<7832>がQonQで大きく売上を伸ばし、後続との差を大きく広げている。ただ、これは厳密には2四半期前と同水準に戻した形であり、4~6月決算には新型コロナによる活動自粛の影響で、子供向け玩具やアミューズメント、映像音楽などが苦戦していたものが、回復の動きを見せたということになるだろう。

また、この7~9月期は、KLab<3656>が売上高100億円の大台に乗せる形となった。KLabは、既存タイトルの『キャプテン翼』や『ブレソル』が順調に推移したほか、新作『テイルズ オブ クレストリア』が寄与し、売上高は四半期ベースで過去最高を更新している。



次に四半期売上高100億円未満の企業を見ると、アカツキ<3932>が大台乗せギリギリまで迫ったほか、Aiming<3911>が一気に売上高50億円以上のグループに入ってきたことが目立つ。

逆にイマジニア<4644>は、QonQで32%の減収となるなど、落ち込みが目立った。ただ、これは『Fit Boxing』と『メダロットS』のヒットによる特需が一巡したとも取れる推移で、従来の売上水準に戻ったとみることもできるだろう。



営業利益の四半期推移に目を移すと、まずは営業利益10億円以上の企業は、4~6月期の11社から15社と大きく増加した。LINE<3938>とグリー<3632>が大幅黒字転換したことに加え、売上高も好調だったKLabとAimingがここに入ってきた。

特にAimingは、4~6月期の赤字から大幅な黒字転換を達成しており、7月16日に正式サービスを開始したスクウェア・エニックスとの共同開発タイトル『ドラゴンクエストタクト』の貢献度の高さがクッキリと出ていると言えよう。



営業利益10億円未満の企業についても赤字企業が4社にとどまるなど、トータルで見るとモバイルゲーム企業の業績はこの四半期で好推移を見せていたのではないだろうか。大手ゲーム企業などは、新型コロナウイルス感染症の流行と、それに伴う緊急事態宣言の発令による影響が色濃かった前四半期から回復傾向となっていることに加え、この規模のモバイルゲーム企業も新しい生活様式の中でいわゆる巣ごもりによるニーズが継続していると言えるだろう。

ただ、そうした中で苦戦が目立つのは、モブキャストHD<3664>だ。コロナ禍で非ゲーム事業が苦戦していたところに、『エヴァンゲリオンバトルフィールズ』製作委員会を脱退したことによる出資金清算損に加え、新たに『幽☆遊☆白書 GENKAIバトル魂』の再開発に伴い使用できなくなったプログラムの減損損失を計上するなどゲーム事業でもマイナス要因が出てきた。ゲーム事業の明るい話題としては、TVアニメ「盾の勇者の成り上がり」を原作としたスマホゲーム『盾の勇者の成り上がり〜RERISE〜』を発表した盾の勇者の成り上がりプロジェクトに子会社モブキャストゲームスが参画していることだが、今後どのように立て直しを進めていくのか、まずはじっくりと見極めたいところだ。