【決算レポート】東映アニメ、21年3月期は史上3番目の売上・利益 『スラムダンク』版権収入好調 22年3月も2大作品の新作映画なく「自力が試される年」に



東映アニメーション<4816>は、5月13日、2021年3月通期の決算を発表するとともに、5月17日に決算説明の動画を公開した。発表した連結決算は、売上高515億9500万円(前の期比5.9%減)、営業利益155億0300万円(同3.7%減)、経常利益160億4000万円(同2.5%減)、最終利益110億6700万円(同3.2%減)と減収減益だった。

減収減益となったのは、新型コロナウイルスの感染拡大による映画興行収入の伸び悩み、商品販売店舗の営業自粛、イベント・催事の中止・延期の影響に加えて、前の期に大ヒットした劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』の反動が出たことによる。

説明にあたった吉谷 敏専務は「『ONE PIECE』と『ドラゴンボール』の新作映画の公開がなく、難易度が高い年だった」と振り返った。

その中でもサウジ向け劇場作品の納品と配信権・アプリゲーム化権の販売好調だったこともあり、減収減益となったものの、過去3番目の売上・利益が確保できたという。これに伴い、全体の売上に占める海外売上の比率が50%を超えて58%に達するなど大きな成果も見られた1年だったという。


・売上高:515億9500万円(前の期比5.9%減)
・営業利益:155億0300万円(同3.7%減)
・経常利益:160億4000万円(同2.5%減)
・最終利益:110億6700万円(同3.2%減)
 


セグメント別の状況は以下のとおり。
 


①映像製作・販売事業
コロナ禍による影響を受けた一方で、収益性の高い海外映像の売上が増加したことにより、売上高は197億6600万円(前の期比0.8%減)、セグメント利益は47億9800万円(同5.8%増)と増益を確保した。

部門別の状況は以下のとおり。

劇場アニメ部門は、売上高が同41.1%減の10億1000万円だった。コロナ禍による影響や、前の期にヒットした劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」の反動減により、大幅な減収となった。コロナ禍により興行収入も伸び悩んだ。

テレビアニメ部門は、売上高が同2.5%減の27億2000万円だった。コロナ禍による影響からテレビ作品の関連事業である催事イベント向け映像製作が低調であったことや、前の期に好調に稼働したゲーム向け音声製作の反動減があった。

コンテンツ部門は、売上高が同4.1%増の5億5300万円だった。劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」のブルーレイ・DVDが好調に稼働したことから、増収となった。

海外映像部門は、売上高が同12.4%増の126億6400万円と過去最高の売上高となった。サウジアラビア向け劇場作品の納品に加え、北米・アジア向け映像配信権の販売が好調に稼働したことから大幅な増収となった。

その他部門は、売上高が同20.1%減の25億1500万円だった。アプリゲーム『聖闘士星矢 ギャラクシースピリッツ』のサービス終了に加え、前の期に好調に稼働した「ワンピース」の映像配信権販売の反動減により、大幅な減収となった。
 


②版権事業
売上高は289億9700万円(前の期比2.5%減)、セグメント利益は142億5700万円(同1.7%減)と減収減益となった。

部門別の状況は以下のとおり。

国内版権部門は、売上高が同13.3%減の132億0700万円だった。「ドラゴンボール」シリーズのゲーム化権販売が一段落したことや、前の期の劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」の公開に向けて好調に稼動したタイアップ・キャンペーン向け許諾の反動減等により、大幅な減収となった。

海外版権部門は、売上高が同8.8%増の157億9000万円だった。巣ごもり需要の恩恵もあり、欧米で「ドラゴンボール」シリーズ、アジアで『スラムダンク』などアプリゲームが好調に稼動したことにより増収となった。


③商品販売事業
売上高は24億6600万円(前の期比44.0%減)、セグメント損失は1億8300万円(前の期は、700万円のセグメント損失)と大幅な減収減益となった。

商品販売部門では、前の期の劇場版「ONE PIECE STAMPEDE」の公開に向けて好調に稼働したタイアップ・キャンペーン向けノベルティグッズ等の販売の反動減に加え、コロナ禍の影響で商品販売店舗の営業自粛を行ったことなどから大幅な減収となった。


④その他事業
売上高は4億4600万円(前の期比51.0%減)、セグメント損失は1億9100万円(前の期は2600万円のセグメント損失)と大幅な減収減益となった。催事イベントやキャラクターショー等を展開した。コロナ禍によるイベント・催事の延期・中止等の影響から、大幅な減収となった。
 


なお、損益計算書は以下のとおり。売上総利益率が42.8%から44.5%に改善したが、利益率の高い海外事業の売上比率が高まったことによるとのこと。販管費については、組織変更に起因して原価に計上していた人件費を販管費に振り替えたこと、テレワーク環境整備のためのソフト・ライセンス料の手数料が増えた。広告宣伝費や旅費交通費は減った。

このほか、営業外損益については、営業外費用については、イベント会場や商品販売店舗の一部撤退・閉鎖に伴う費用が発生し、営業外費用が増えた。特別損失については一部関係会社の減損損失を計上するなど一時費用が発生した。
 


国内版権事業の状況についても説明があった。『ドラゴンボール』のゲーム化権の売上高については前年に及ばなかったものの、各種キャンペーンの効果で底堅く推移したという。他方、『ONE PIECE』のゲーム化権については、各種キャンペーンの効果もあって「わずかだが増収となった」。ゲーム化権については業績に大きな影響を与えるため、引き続き注視したい、とした。
 


海外事業は、コロナ禍による巣ごもり需要の恩恵で、欧米では『ドラゴンボール』、アジアでは『スラムダンク』のアプリゲームの収益が好調だった。
 


 
■2022年3月期の見通し

2022年3月期は、売上高510億円(前期比1.2%減)、営業利益110億円(同29.0%減)、税引前利益113億円(同29.6%減)、最終利益76億円(同31.3%減)を見込む。


・売上高:510億円(前期比1.2%減)
・営業利益:110億円(同29.0%減)
・税引前利益:113億円(同29.6%減)
・最終利益:76億円(同31.3%減)


アプリゲーム化権販売の鈍化や巣ごもり需要の剥落を想定しているという。他方、売上構成による収益率の低下、新規コンテンツの開発・育成、そして既存コンテンツの再活性化のための広告宣伝を行うため、諸経費も増える見通しだ。

「ある程度の結果が読めるだけでなく、プラスアルファが期待できる『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』の新作映画公開がないため、短期的なサプライズは見込みづらい。言い換えれば、当社の基礎体力、自力が試される年になる」とした。

同時に、「2023年3月期からの一段の業績成長に向けて土起こしや種まきや水やりなどは手を緩めず、これまで以上に注力する」。

なお、業績予想の変動要因として、新型コロナについては収束する前提だが、事業に影響を与える可能性があるほか、アプリゲームが想定よりも堅調に推移した場合はプラスに影響する可能性があることをあげた。
 
東映アニメーション株式会社
http://corp.toei-anim.co.jp/

会社情報

会社名
東映アニメーション株式会社
設立
1948年1月
代表者
代表取締役社長 高木 勝裕
決算期
3月
直近業績
売上高515億9500万円、営業利益155億300万円、経常利益160億4000万円、最終利益110億6700万円(2021年3月期)
上場区分
JASDAQ
証券コード
4816
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