【インタビュー】大型クロスメディアプロジェクト『D_CIDE TRAUMEREI』の全貌を3社が明かす! 声優・伊藤彩沙さん演じる毛利玲菜の魅力にも迫る!


サムザップ、ドリコム<3793>の子会社・ブラストレイン、ブシロード<7803>の3社が協業する大型クロスメディアプロジェクト『D_CIDE TRAUMEREI(ディーサイドトロイメライ)』。現在、アニメ放映中でゲームは事前登録を受付中、今後はコミカライズを予定しているなど、クロスメディアで展開されている。そんな本作が、いよいよ9月30日にスマホゲームのリリースを迎える。

そこで本稿では、サムザップの高垣佳晃氏、ドリコムの子会社・ブラストレインの田淵裕基氏、ブシロードの中山雅弘氏、声優で毛利玲菜役の伊藤彩沙さんの4名にインタビューを実施。『D_CIDE TRAUMEREI』の魅力やクロスメディアで展開することになったきっかけ、これからリリースされるゲームの見どころなどを伺ってきたのでその内容をお届けしていく。


▲写真左から、ブシロードの中山雅弘氏、ドリコムの子会社・ブラストレイン・田淵裕基氏、声優の伊藤彩沙さん、サムザップの高垣佳晃氏。


――:まずは皆さんの自己紹介をお願いいたします。

高垣佳晃氏(以下、高垣):サムザップの高垣と申します。サムザップは『D_CIDE TRAUMEREI』のパブリッシングを担当しており、私はそちらでプロデューサーを担当しています。

田淵裕基氏(以下、田淵):ドリコムの子会社のBlasTrain(ブラストレイン)という会社でゲームの開発を行っている田淵と申します。プロデューサー兼ディレクターとして現場の指揮を執りつつ、皆さんと意見を擦り合わせていくのが自分の業務となっています。


中山雅弘氏(以下、中山):ブシロードの中山です。『D_CIDE TRAUMEREI』のプロモーションを含め、メディア展開を行っていて、アニメをメインに担当しております。


伊藤彩沙さん(以下、伊藤):アニメとゲームで毛利玲菜役を演じさせていただいております、伊藤彩沙です。よろしくお願いいたします。


――:最初に、この三社が協力することになったきっかけや、本作の企画が立ち上がった経緯を教えてください。

高垣:最初はブラストレインさんからの持ち込み企画という形で始まりました。企画書を見させて頂いた際、キービジュアルのクオリティが高く、これはぜひ一緒にやりたいというお話になりました。

その後、クロスメディア展開もしたいですねという話になり、ブラストレインさんからブシロードさんへ協業の話を持ち掛けていただきました。弊社としても、その座組ならよりヒットを目指せると思い、3社で協業することになったという流れです。


――:メディアミックスで展開することになったきっかけはどういったところだったのでしょうか?

高垣:昨今はIPタイトルが多いということもあり、その中でオリジナルを作るにはどうしてもゲームだけでは知っていただく機会が少なくなってしまうという懸念があったことから、クロスメディアで展開しようという話になりました。

――:プロジェクトの発端はブラストレインさんだったという話ですが、そもそも『D_CIDE TRAUMEREI』はどのように生まれたのでしょうか?

田淵:前提としてあったのはオリジナルタイトルを作りたいというところで、企画の構想段階からストーリー原案の里見直さんとはお話をさせていただいておりました。

その中で、先ほど高垣さんに仰っていただいた通り、弊社の強みはクリエイティブにあると考えておりましたので、当時のスマホゲーム市場にはあまりなかった「ノスタルジック」をテーマに企画を作りたいというところからスタートしました。



――:他にも多数の企業がある中で、サムザップとブシロードに声を掛けられた理由はどういったところだったのでしょうか?

田淵:その点に関しては、今までの縁が一番大きいです。僕を含め、当時、交渉をしていた人同士もそれぞれに繋がりを持っていました。あとは、この2社なら支援だけではなく、業界的な立場や弊社の強みも分かっていますし、ご協力いただけると力強いと思い、お声掛けをさせていただきました。

――:では、ここからはゲームの中身についてのお話も伺っていきたいと思います。まずは、本作のウリになる部分はどういったところなのかお聞かせください。

田淵:ゲームジャンルとしてはRPGで、ストーリーのテイストは「ノワール・ジュブナイル」というユニークなカテゴリーを打ち出しています。

高垣:「ジュブナイル」という言葉は、少年の成長期のことを指しているのですが、そこに「ノワール(黒)」を入れることで、作中にもホラーやダークな感じを取り入れています。鬱憤が溜まるような世の中で、ティーンがどう成長していくかという部分を表現しています。

ウリとなっているのは、最初のインプレッションにもあった通り、クリエイティブと世界観です。ゲームとしては遊びやすく、クリエイティブやストーリーを全面的に打ち出していこうという形で制作が進行していきました。



田淵:遊んでいて面白いというのはゲームとして当然ですが、プレイ中に居心地が良いゲームというのが本作のウリになっています。実際、先日のCBTでもユーザーの方からそのような感想をいただけたので、狙い通りに仕上がっていると思います。

――:そのほか、CBTの反響はいかがでしたか? 

中山:「続きが気になる」といった反応が多かったことから、ストーリーを楽しんでいただけたという実感はあります。

少し意外だったのは、男女比が半々となっており女性ユーザーが想定より多かったことです。この点に関しては、今後、企画などにも活用していきたいと考えています。

――:ちなみに、伊藤さんも既にゲームはプレイされたのでしょうか?

伊藤:はい、少し触らせていただきました。

――:実際に遊んでみた感想はいかがでしたか?

伊藤:画面を開いた瞬間から映像や音楽が唯一無二の世界観を表現していて、一瞬で引き込まれました。ビジュアルに関しては、繊細な絵画を見ているような素敵な雰囲気に仕上がっています。これは性別や年齢に関係なく、幅広い方が好きになってくれるんじゃないかなと感じています。

中山: アートとしてキャラクターが良い形で評価されているとは感じました。あとテーマソングの「獣の理」に加え、CBTには入っていなかった東京事変さんの楽曲も複数入る予定ですので、その辺りの期待値としても男女ともに、年齢も幅広い世代の方から受け入れられているのかなと思います。

――:開発を進めるうえで苦労した点はございましたか?

田淵:オリジナル作品というところで、世界観をゼロからで構築しつつクオリティを上げなければいけないというところは大変でした。また、弊社としては今回のように多くの会社が関わって開発が進むという経験自体が初めてでしたので、挑戦の連続でした。ただ、連携に関しては、割と柔軟に対応いただく場面が多かったので助かりました。

――:どのような形で連携を図っていたのでしょうか?

中山:基本的にはゲームに関しては共同でチェックしながら、アニメに関してもコンセプトやシナリオなど全て参加していただき、その際に「ゲームの方はこうしよう」というようにメディアの違いの中で、拾えるところは拾って反映していただく形で進めました。

ただ、ゲームとアニメのスケジュール感が全く違うので、その辺はかなり苦労しました。例えば、ゲームなら後から入れられるものもあるので全体の枠組みを先に作ってそれぞれのパートをはめ込むことも可能なのですが、アニメはお話を決めたら絵を描いて声を入れてというベルトコンベア式の感じなので、これを同時に進められたのは皆さんが柔軟に対応してくれたおかげだと感じています。

具体的なエピソードとして、「現実」と「悪夢」の設定はどうなっているのかなど、ゲームでは描かれない部分もアニメでは演出上どういう絵面になるのかを埋めなければいけません。夢世界の「トロイメライ」と夢世界が現実に溢れた「デザリア」という空間、その時に夢を見ている人はどうなってしまうのかという話は、ゲームだけなら作りながら進められるのですが、アニメは最初にそれがないと描き始められません。そういった話を詰めていく期間が2ヶ月近くありました。



高垣:アニメに関しては、後々ゲームで遊んでいただくことを想定して、ビジュアルや性格、アート感など、キャラクターが崩れないことを意識しました。観ていただいた方の期待値を上げられるよう、ゲームを開始する際に既にキャラクターのことを好きという状態で始めてもらえるようになっているのでその点は凄く良かったと思います。

中山:あとは、派手なバトル演出とノワールジュブナイルを表現するストーリーを両立させるのは非常に難しかったです。主人公達の遠いところで起きていた問題が、徐々に身内にも危機が迫ってくる。

『ディーサイドトロイメライ』は特定の熱血主人公の主観で進むストーリーではなく、様々な年代、経歴の違う登場人物達の群像劇なので、視聴者に近い人物に共感できるよう、意識的にキャラクターのモノローグを少なくしているのですが、前半で発していたキャラクターの言葉が後半には自分に返ってくるような事が綿密に組まれていて、最初は否定的な立場だった人物が自分の身に事件が降りかかってきたときにどう決断していくのかという部分を楽しんでいただければと思います。


――:アニメとゲームを分けて作ったのではなく、『D_CIDE TRAUMERE』という全体像を最初に作ったということでしょうか?

中山:そうですね。アニメとゲームのキャラが密接にリンクしていることもあって大枠を決めておかなければいけなかったという事情もありました。なので、メディアミックス展開としてよくある、どちらか一方のこの部分を切り取っただけという造りにはなっていません。

高垣:単純にゲームをそのままアニメにしても面白くないよねという話はしました。
時系列的には、島のお話が最初にあって、その後にアニメのエピソードがあるという形になっています。そして、アニメの後の話がゲームへ続くという形になっているのですが、この時系列を整理したうえで、渋谷と島の話をどうやって作り込んでいくかは苦労しました。

田淵:例えば、今、アニメでは古堅蘭堂と天海えるの関係値が築かれた状態で登場していますが、ゲームを始めたばかりの頃は蘭堂がまだナヨっとしています。その辺りの変化は、実際にゲームをプレイして、彼が何を乗り越えてあのようになったかを知っていただければと。

――:その辺りに関しても伺いたいのですが、ゲームはストーリーがどのような形で展開するのか、お話いただける範囲でお聞かせいただけますか?

田淵:舞台を渋谷に絞ったアニメとは異なり、ゲームは舞台を「由良島」という孤島に絞っています。そこに、東京に移住していた主人公の蘭堂が島に戻ってくるというところから話が始まります。その中で、幼馴染だった友達との絆を取り戻しながら、島で起こり始めた異変に巻き込まれていくというような話になっています。

その異変というのがアニメでも描かれている「ウィアード」という存在で、悪夢が現実に出てきたことから、夢を具現化する能力に目覚めた蘭堂たちが戦うことになります。

中山:アニメを見返していただくと分かるのですが、蘭堂は島出身だけど一時、東京にいてまた島に戻ったという話もしています。



田淵:アニメでは渋谷の若者が現代的な悩みを抱えているところが多く表現されていますが、ゲームは島のノスタルジックな雰囲気の中で、渋谷とはまた違った悩みを抱えている若者が表現されています。あとは、アニメよりゲームの方はホラー要素が強めになっていて、かなり怖いシーンもあります。


中山:例えるなら、田舎の祖父母の家に行った時、昼の明るいのどかさと違った、夜のひと気の無さ、暗闇の怖さ。そういった雰囲気の中で悪夢が出てきたり、人の気持ちが変わっていったり、じわじわと迫ってくる怖さがあります。普段はほのぼのとした島で実はいろんなことが起きているというのは、都会の渋谷で起こる怖いというのとは少し違っていて、そこが色濃く出ていると思います。

逆に、アニメは30分の中でドラスティックな事件があり、残虐性や虚無感からくる苦しさ悲しさが強く、その時間軸的にスピード感があるのは都会の悩みなのかなという感じが出るようにしています。

また、アニメの登場キャラもゲームに登場するので、進行上どこから合流してくるのかを楽しみにしていただければと思います。特にアニメの終わり方にはぜひ注目していただきたいです。


――:その怖さが、既に発表されている通り「クトゥルフ神話」の要素を取り入れている部分となっているのですね。

田淵:そうですね、クトゥルフ神話をどう捉えるかという話があり、ゲームの方はいわゆる化け物のように扱っているのですが、アニメでは渋谷にいる人々の中に蔓延る悪意や狂気的な部分をクトゥルフと重ね合わせて表現しているという違いがあります。

――:アニメとゲームが同時進行という話でしたが、ボイス収録についてはどのように進められていたのでしょうか?

中山:アフレコに関しては進行上アニメから始めていただいたので、ゲームがどうなるのか分からず、全体像が見えにくい中の収録だったので声優さんたちは大変だったかもしれません。

伊藤:キャラクターと一緒に進んでいるような感じはありました。アニメのシナリオを毎週いただいて、そこで初めて「そういう意味だったんだ……!」と驚くことや、残酷な展開に「どうなっちゃうの!?」と先が気になることもありました。

――:最初にシナリオを読んだ時の印象はいかがでしたか?

伊藤:キャラクターデザインを初めて見た時にも感じたのですが、ある意味凄く夢がある世界だと思いました。自分を象徴する武器を持って正義のため、夢のために戦うというストーリーにロマンを感じました。その中で、扱う題材が現実的なものだったり、今らしいテーマも入っていてそのバランスが魅力的だという印象を持ちました。

――:実際に玲菜を演じてみていかがですか?

伊藤:龍平(織田龍平)と夫婦漫才のようなやり取りをしている時とか、演じていて凄く楽しいです。ギャルだけど優しいなど、知れば知るほど良いところが分かってきて、玲菜の中にある正義感というものを感じることもできました。

中山:玲菜はあの見た目ですが、身近な人に危険が及んだり、傷ついたりすることを一番心配する役どころでもあります。ギャル感がありつつも、根っこに優しさを持っているという部分があり、今までにない伊藤さんの演技が感じられると思います。

――:収録時に印象に残っているエピソードはありますか?

伊藤:バトルシーンが印象的です。その時点ではまだどう動くか分からなかったので、イメージ力を働かせながら演じました。「ここで2発ください」みたいなオーダーがあって、殴って回転してと、かなり激しい動きが多かったので、その都度、音響監督さんに話をお聞きしながら進めました。持っている武器も全員違って、玲菜だったら長い棒を振りかざすので息を長めにとっていたり、キャラによってそれぞれの戦い方があることが印象的でした。



――:実際に完成したものを見てイメージ通りに仕上がっていましたか?

伊藤:想像していた何倍も凄かったです!CGを使ったアニメなので街並みがリアルで、『トロメラ』の世界はドラマや映画を見ているようなオシャレさがありました。

――:これからゲームをプレイされる方に向けて、ここを見てほしいという部分を教えてください。

伊藤:アニメはテンポ良くスピード感がある感じで進んでいたのですが、ゲームでは意外とおっちょこちょいだったり、ギャル感がある方の玲菜が見られるので、それを楽しみにしていただけたらと思います。

――:ファンや視聴者からの反響はいかがですか?

伊藤:「可愛い!」という声をいただけています。玲菜がフィーチャーされている回もあるのですが、友達のことで正義感溢れる彼女の姿を見て、凄く良い子だと好きになってくださっている印象もあります。毎週、実況のツイートなども拝見しているのですが、そこからも皆さんが『トロメラ』の世界にハマってくださっているということを感じています。

――:最後に、本作のリリースを楽しみにしているファンの方々へメッセージをお願いします。

伊藤:改めまして、毛利玲菜役としてこの作品に携わることができて本当に嬉しいです。アニメとゲーム、どちらも同じ『D_CIDE TRAUMEREI』という作品ですが、それぞれの魅力があります。絵やシナリオ、ゲーム性など、色んな部分から本作を楽しんでもらえるようになっていますので、先ほどもお話しした通り、幅広い層の方々に興味を持っていただけると思います。ぜひ『トロメラ』の魅力を沢山の方に知っていただきたいです。

高垣:ノスタルジックな世界観や、そこを表現したクリエイティブが大きな魅力になっています。アニメではCGでスタイリッシュなイメージを持たれたと思うのですが、ゲームでは2Dのイラストによる繊細な表現が魅力になっています。
アニメを見ていない方でもゲームから始めても楽しめますし、ゲームで興味を持っていただいたら、アニメの方もご覧いただけると嬉しいです。ぜひ色んな方にプレイしていただきたいと考えておりますので、『D_CIDE TRAUMEREI』をよろしくお願いいたします。

田淵:CBTではユーザーさんから「ここを改善してほしい」という意見もいただきましたので、そこはしっかりとお応えしていきたいと思っています。他のゲームに比べて良質なホラー体験をしっかりと味わえるゲームに仕上がっていますので、キャラクターたちの成長や活躍と共にその辺りも楽しみにしていただければと思います。

中山:まずはアニメとしてひとつの完結を迎えますが、設定作りを含めアニメのスタッフも関わりながらゲームのお話を一緒に作っていることもあり、最終的には全員集合になってきます。ゲームはホラーな部分や、笑える部分、泣ける部分など、終わりのないストーリーが膨大に盛り込まれていますので、それぞれのキャラクターの喜怒哀楽を見られる作品になっています。ゲームをプレイして、ぜひ『トロメラ』の悪夢に飲まれて欲しいと考えていますので、飽きることなく楽しんでいただけると嬉しいです。

――:本日はありがとうございました。


(取材・文 編集部:山岡広樹)

■『ディーサイドトロイメライ』






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株式会社ドリコム
http://www.drecom.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ドリコム
設立
2001年11月
代表者
代表取締役社長 内藤 裕紀
決算期
3月
直近業績
売上高97億7900万円、営業利益9億300万円、経常利益7億9300万円、最終利益1億400万円(2024年3月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3793
企業データを見る
株式会社ブシロード
http://bushiroad.com/
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会社情報

会社名
株式会社ブシロード
設立
2007年5月
代表者
代表取締役社長 木谷 高明
決算期
6月
直近業績
売上高462億6200万円、営業利益8億8200万円、経常利益18億9800万円、最終利益8億400万円(2024年6月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
7803
企業データを見る
株式会社サムザップ
https://www.sumzap.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社サムザップ
設立
2009年5月
代表者
代表取締役 日高 裕介
決算期
9月
企業データを見る