新しいゲームを始めるきっかけは「友人・知人からの紹介」が最多 チュートリアルから2時間以内に継続するか判断する人は4割以上 猿楽庁調査

CRESTのチューニング・検証事業を担う猿楽庁は、課金にまつわるユーザー調査を2022年1月に実施し、その結果を公表した。「2021年にモバイルゲームで課金した実績がある」かつ「AndroidもしくはiOSでゲームをプレイしている」全国の10代~60代の男女800人をモニターとして抽出している。全3回にテーマを分けて本調査の結果に基づいた分析・考察を発表しており、第3回となる今回は「ゲームを始めるきっかけ/継続する理由/辞める理由」となる。


<以下、プレスリリースより>
 

・新しいゲームを始めるきっかけとして全ての層で最多を占めたのは「友人・知人の紹介」
・ユーザーの40%以上がチュートリアルから2時間以内にゲームを継続するか判断している
・ミドル層の50%以上がゲームを辞める理由として「イベントのマンネリ化」と回答

調査概要
調査目的:モバイルゲーム市場における課金にまつわるユーザー調査
調査対象:「2021年にモバイルゲームで課金した実績がある」かつ「AndroidもしくはiOSでゲームをプレイしている」全国の10代~60代の男女800人
調査方法:インターネット調査
調査時期:2022年1月11日~1月13日
有効回答者数:800人

 

回答者属性について

「2021年にモバイルゲームで課金した実績がある」
「AndroidもしくはiOSでゲームをプレイしている」
上記2つの条件に該当する10代から60代の全国800人の男女をモニターとして抽出し、 アンケートを実施しました。

1ヶ月あたりの課金額は、 「120~1,000円」と回答するユーザーが370人と最多。 一方で、 3人が「1,000,001円以上」と答えています。 本調査ではこの1ヶ月あたりの課金額から、 回答者を「コア層(50,001円以上)、 「ミドル層(10,001~50,000円)」、 「ライト層(10,000円以下)」と3つの層に分類しています。

 

新しいゲームを始めるきっかけ
「友人・知人の紹介」は2020年から変わらずライト/ミドル層において40%以上、 コア層は50%以上を占めています。 全ての層で最も多いきっかけとなっていることから、 口コミや自身に近いコミュニティの影響力の大きさが見てとれる結果となりました。

次に、 「事前予約媒体のリリース通知」という回答がコア層、 ライト層ともに10%以上増加しました。 新しいゲームと一口に言っても、 有名なゲーム開発会社から個人製作まで、 モバイルゲーム市場では常に数多くのタイトルがリリースされています。 そのため、 ジャンルやゲームの概要がまとめられている「事前予約媒体」のユーザーに対する影響力は大きいといえます。

アプリをダウンロードするためのプラットフォームであるApp StoreやGoogle Playでも、 アプリの予約/事前登録は行われており、 近年ではより多くのタイトルが並んでいます。 それも事前予約からゲームを始めるきっかけを増加させた一因と言えるでしょう。

コア層では、 「テレビCMを見て」と回答したユーザーが15%程増加しています。 以前からゲームアプリのテレビCM自体は展開されていたものの、 関連IPのアニメ放送タイミングや、 深夜等の時間帯を限定してのCM放映が多く、 視聴者層が限られていました。 しかし最近では深夜帯に限らず、 多様な時間帯でCMが流れる状況となっており、 興味があるなしに関係なく様々な層の目に止まるようになってきたことで、 新規ユーザーの獲得にうまく繋がっていると推察されます。

 

新しく始めたゲームの継続判断時期
コア層において「1ヶ月以上」と回答するユーザーが2020年は20%以上であったのに対し、 2021年は0%になりました。 一方で「プレイ最初のガチャ結果」「1時間以上2時間未満」「10時間維持用24時間未満」「7日以上14日未満」と回答するユーザーが大きく増加していることから、 コア層が継続判断をおこなうスパンは非常に短くなっていることがうかがえます。

「プレイ最初のガチャ結果」と回答したユーザーは、 繰り返し最初からプレイして良い結果のガチャを求める、 いわゆる「リセマラ」を行っていると考えられ、 ゲームを継続する判断材料の中では「リセマラが行いやすいか」という事も大きく関わっていると考えられます。

リセマラは多くの場合ユーザーデータを削除するため、 アプリを一度削除して再インストールするなど、 手間と相応の時間が必要になります。 この手間と時間が長く面倒なものであると、 著しくプレイモチベーションは落ち、 「最初のガチャ結果が納得のいくものにならないから辞める」という判断に繋がっているといえます。 特に、 お金をかけてしっかりプレイすることも視野に入っているコア層ほど、 この先のプレイ継続モチベーションのため、 よりよいガチャ結果を求めてリセマラを繰り返すと思われます。

全体を見ても、 40%以上のユーザーが、 チュートリアルから2時間の間で継続の判断をしていることが分かります。 これは「序盤から面白いと感じるゲームじゃないと継続しない」というスピード感が主流になりつつあり、 かつ、 同時にプレイしているゲームアプリの数も少なくない事から、 限られたプレイ時間の中で、 継続判断にあまり時間を「かけられない(かけたくない)」というユーザー心理が表れているといえるでしょう。

 

新しく始めたゲームを継続する決め手
ミドル層の方では、 「手軽さ」「キャラの魅力」「ストーリー性」がそれぞれ約10%、 「綺麗なグラフィック」「戦闘システム」が15%以上増加しています。 しかし、 2020年の結果から何かの回答が極端に減っているわけでは無いことから、 ミドル層が決め手として考える要素自体が増えていることが分かります。 その中でも特筆すべきは以下の3つです。

キャラの魅力
ストーリー性
綺麗なグラフィック

これらは、 しっかりお金を使ってゲームを楽しむコア層が2020年に重要視していた要素ですが、 2021年にはそのスコアを大幅に下げる結果となっています。 そして、 その流れはミドル層に受け継がれており、 ライト層からミドル層までの課金ユーザーが、 ゲームアプリに求める要素になったと言えるでしょう。

コア層は、 2020年から2021年において以下の項目がそれぞれ10%ほど増加しています。

 

話題性
周りに同じアプリをやっている人がいるか
開発や運営、 広告にお金をかけていそうかどうか

「話題性」と「周りに同じアプリをやっている人がいるか」は、 これらはそれぞれが関連している理由でもあります。 SNSなどで盛り上がる、 自身の周囲でもプレイしている人が多い、 ということから「自分の周辺環境で盛り上がっているか」が、 より重要視されてきています。

次に「開発や運営、 広告にお金をかけていそうかどうか」ですが、 「しっかり開発に予算がかかっている」「運営/広告展開に多くの予算を使っている」というように、 先々へ期待が持てるところでプレイを継続する判断になっていると考えられます。

総じてこの3項目では、 「話題性がありプレイしている人も多そう」「お金をかけてしっかり展開しようとしている」が見て取れる事で、 コア層がお金をかけて遊ぶものとして「長くサービスが続くだろう/簡単にはサービス終了しないだろう」という安心感に繋がり、 根本での継続理由になり得ていると言えるでしょう。


過去、 お気に入りのゲームを辞めたくなった理由
2021年の「過去、 お気に入りのゲームを辞めたくなった理由」のデータでは、 新たに「サービス終了となったため」「運営が変わったため」の2項目を追加しています。

「サービスが終了した」と回答しているユーザーは各層で20%~30%となっています。 多くのアプリがリリースされる中、 2021年は毎月平均15本ほどのアプリがサービス終了しており、 リリースから1年も経たず終了するタイトルも少なくありません。 そのような中でも、 継続してプレイすることを決めたタイトルについては、 最後までプレイしようというユーザーが多いといえます。

「運営が変わった」と回答しているユーザーは、 主にコア/ミドル層で10%ほどが辞めるきっかけとして考えています。 運営元が変わると、 少なからずゲームの内容に影響は生まれます。 より良い形でサービス継続するための運営移管ではあるものの、 その変化や後々変わってしまうだろうという不安から離脱に繋がっていると考えられます。
昨今では運営移管の際、 今後についての説明を丁寧に行うアプリが増えています。 上記のような不安材料を払拭するためのユーザーへの対応が重要と捉えられている傾向と言えるでしょう。

各層に共通して2021年で最も多い回答は「ゲームに飽きた」です。 2020年と比較して増加傾向にある「イベントのマンネリ化」や「ストーリーがつまらなくなった」も、 「ゲームに飽きたとき」の一因と言えるでしょう。

「イベントのマンネリ化」はミドル層で10%以上増加しており、 ゲームを辞める大きな理由になっています。 一方、 コア層では20%程減少しています。 これはコア層が、 「イベントのマンネリ化」に寛容な傾向にあることが理由として推察できます。 コア層はシステム的に変化のないイベントであっても、 課金してでも上位の報酬を狙い獲得するというプレイモチベーションと、 それを達成した際に充足感や周囲への自慢といった、 ソーシャル性の高い要素を特に重要視するためです。

ユーザーが離脱してしまう理由は多岐にわたりますが、 「ゲームに飽きたとき」や「イベントのマンネリ化」「バグや障害の頻発」など、 開発/運営するうえである程度緩和できるものも多く存在します。 離脱理由の全てを解消することは困難ですが、 対応できるところから少しずつでも解消していく事で運営への信頼感を積み重ねていくことが重要なポイントです。

 

本調査のまとめ
第1回から第3回の全12項目のアンケート結果から、 モバイルゲームユーザーの課金に対する理由や目的において大きなポイントになり得るのは以下の3つです。

早い段階で「魅力」を伝えることが継続に繋がる
始めたゲームをプレイして「継続しよう」と判断する期間としては、 「最初のガチャ結果~7日以内」が非常に多いアンケート結果となっていて、 ユーザーが継続判断するタイミングが非常に早期化しています。 できる限り早い段階で魅力や面白さが伝わる見せ方・仕組みが求められています。
継続したくなる決め手としては、 「手軽さ」「キャラの魅力」「ビジュアル」「ストーリー」がライト・ミドル層で多くの割合を占めていたように、 ゲーム開始直後でこれらの魅力が伝わるような導入が重要となるでしょう。

課金誘導には「目標設定」と「お得感」が重要
課金目的としては「欲しいキャラ/装備を得たい」の回答が多く、 ユーザーはそこに魅力が感じられれば課金意欲となる事がわかります。 その先に、 「キャラ/装備を用いることで、 ゲーム内で何を楽しむことができるのか」という目標設定が重要になります。 ガチャで排出されるキャラ/装備の魅力を創出した上で、 セールのタイミングやお得感の表示、 適切な価格設定など、 ユーザーが気持ちよくお金を使える環境作りも課金誘導に繋げる大きな要素になっているとうかがえます。

離脱理由の多くは「飽き」に関連する
「飽き」の中には「イベントのマンネリ化」や「ストーリーがつまらなくなった」も含まれており、 長く運営を続ける中では避けられない問題でもあります。 「新しく始めたゲームを継続する決め手」の中で、 「開発や運営、 広告にお金をかけていそうかどうか」が多く回答されているところを分析すると、 「しっかりと適切な対応を行ってくれる運営」が求められているとも言えるでしょう。

「辞めたくなった理由」では「バグや障害の頻発」の回答も少なくありませんでした。 「飽き」「バグや障害の頻発」のどちらにしても、 開発/運営を行う上で、 少しずつでも進捗や変化が見えるような対応が先々への期待や信頼感に繋がり、 離脱を抑える結果となり得ます。

課金を促しつつ継続してプレイしてもらうには、 作品そのものの面白さやクオリティに加え、 様々な工夫が必要となります。 しかし、 ゲーム自体のコンセプトや方向性、 遊ばせたい/課金させたい目的が、 目指すところとズレていてはどのような施策も有効的に働きません。 今回の調査で「最も長くプレイしているゲーム」「最も課金したゲーム」で上位となったタイトルは、 それら施策が的確に噛み合った好例と言えるでしょう。

株式会社HIKE(ハイク)
https://hike.inc/

会社情報

会社名
株式会社HIKE(ハイク)
設立
2018年3月
代表者
代表取締役 三上 政高
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