【決算レポート】コーエーテクモ、22年3月期は中計前倒し達成 モバイルゲーム活性、有価証券売却益も大きく発生

木村英彦 編集長
/

コーエーテクモホールディングス<3635>の2022年3月通期(21年4月~22年3月)の連結決算は、売上高727億5900万円(前の期比20.5%増)、営業利益345億2700万円(同41.5%増)、経常利益486億9600万円(同23.9%増)、最終利益353億5900万円(同19.7%増)と増収増益となり、いずれも過去最高業績となった。

・売上高:727億5900万円(同20.5%増)
・営業利益:345億2700万円(同41.5%増)
・経常利益:486億9600万円(同23.9%増)
・最終利益:353億5900万円(同19.7%増) 

 ▲2023年3月期は計画。

主力のゲーム事業がモバイルゲームを中心に好調に推移したことに加えて、有価証券売却益が前の期の106億4900万円から234億7100万円と大きく伸びた。中期経営計画の最終年度の利益目標(営業利益300億円、経常利益400億円)を初年度で上回る結果となった。

 

収益の多くを稼ぐ主力のゲーム事業では、モバイルゲームを中心とした「スマホ・ソーシャル」の収益が伸びた。その売上高は41.9%増の354億3000万円となり、ゲーム事業全体の半分以上の売上を稼いでいる状況にある。

 

自社開発タイトル『三國志 覇道』が堅調に推移したほか、IP許諾を行っている『三国志・戦略版』(国内では『三國志 真戦』)のライセンス収益が高水準で推移した、としている。ライセンス収益は、原価が大きくないため、自社でゲームを開発・運用する場合に比べて利益率が高い傾向にある。

さらに、Guangzhou Black Beard Gameにライセンス許諾を行った『新信長之野望』が台湾・香港・マカオ地域で2月より配信が始まった。売上ランキングを見ると、香港とマカオでは当初はApp Storeで首位を獲得したものの、3月以降は順位を落とす場面が目立っている。中国本土での状況も見極めたい。

 

パッケージゲーム(家庭用ゲームソフト)の売上高が同5.6%増の324億7100万円だった。売上の内訳を見ると、高採算性のダウンロード販売が同15.7%増の129億2000万円、パッケージソフトが同1.7%増の178億5100万円と伸びた一方、ダウンロードコンテンツが同15.8%減の17億円と2桁減だった。

パッケージソフトの地域別の販売本数を見ると、国内が79万本増の290万本と伸びたものの、北米が149万本減の243万本、欧州が116万本減の125万本と大きく落ち込んだ。また先ほどダウンロード売上が伸びたと記載したが、ダウンロード販売の本数も78万本増の468万本と伸びた。

 

新作タイトルの販売状況は以下のとおり。

・『ソフィーのアトリエ2~不思議な夢の錬金術士~』20万本
・『真・三國無双8 Empires』28万本
・『STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN』
・『刀剣乱舞無双』

 

また、昨今、家庭用ゲームソフトではリピート販売が大きなカギを握っているが、同社も『仁王2 Complete Edition』など過年度発売タイトルのリピート販売が堅調だったとのこと。新作に比べて単価は落ちるものの、採算性が非常に高く利益の源泉となっている。

今後のリリースタイトルは以下のとおり。

・『信長の野望・新生』7月21日発売
・『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』6月24日発売

 


■2023年3月期の見通し
続く2023年3月通期の業績については、売上高770億円(前期比5.8%増)、営業利益325億円(同5.9%減)、経常利益425億円(同12.7%減)、最終利益315億円(同10.9%減)、EPS191.14円を見込む。

・売上高:770億円(同5.8%増)
・営業利益:325億円(同5.9%減)
・経常利益:425億円(同12.7%減)
・最終利益:315億円(同10.9%減)
・EPS:191.14円

 

同社は、期初では保守的な業績予想を立てることが多いが、今年も例外ではないようだ。新しい中期計画の初年度ということもあり、年度をまたいだ大型タイトルの開発を予定していることや、IP許諾収益を保守的に見込んでいるという。IP許諾に関しては他社の動きに依存するものでもあり、大きく見込みづらいと考えているようだ。

モバイルゲームを中心とするオンラインゲームに関しての見通しの前提は開示されていないが、家庭用ゲームに関しては北米の売上が減少する一方で、日本と欧州、アジアの販売の伸びを見込んでいるそうだ。

 

コーエーテクモホールディングス株式会社
http://www.koeitecmo.co.jp/

会社情報

会社名
コーエーテクモホールディングス株式会社
設立
2009年4月
代表者
代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
決算期
3月
直近業績
売上高784億1700万円、・営業利益391億3300万円、経常利益398億9900万円、最終利益309億3500万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3635
企業データを見る