【決算レポート】スクエニHDは22年3月期では『FF14』課金会員の増加と拡張パッケージ好調で過去最高業績を達成 為替差益や暗号資産売却益も収益押し上げ

スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>は、5月13日、2022年3月通期の連結決算を発表し、売上高3652億7500万円(前の期比9.8%増)、営業利益592億6100万円(同25.5%増)、経常利益707億0400万円(同41.5%増)、最終利益510億1300万円(同89.3%増)となり、過去最高の業績を達成した。

・売上高:3652億7500万円(同9.8%増)
・営業利益:592億6100万円(同25.5%増)
・経常利益:707億0400万円(同41.5%増)
・最終利益:510億1300万円(同89.3%増)

 拡張パッケージを発売した『ファイナルファンタジーXIV』が課金会員数が大幅に増えるなどMMOゲームが好調に推移したことに加えて、前の期に新型コロナの影響を受けた苦戦したアミューズメントの収益が回復した。「その着せ替え人形は恋をする」が大ヒットした出版事業も好調だった。

さらに営業外収益として、円安で為替差益が284.6%増の104億8900万円と大きく伸びたほか、暗号資産売却益29億0400万円の計上したことが経常利益はさらに伸びた。またアミューズメント関連で前の期に発生した特別損失が大きく減ったことも最終利益を押し上げた。

セグメント別の状況は以下のとおり。


○デジタルエンタテインメント事業
売上高は2796億7900万円(同6.0%増)、営業利益は589億6000万円(同16.7%増)となった。

 

■HD(High-Definition:ハイディフィニション)
売上高が同9.8%減の871億円だった。『OUTRIDERS』や『NieR Replicant ver.1.22474487139...』『Marvel’s Guardians of the Galaxy』などを発売したが、大型タイトルを発売した前年に及ばなかった、としている。前年は『FINAL FANTASY VII REMAKE』や『Marvel's Avengers(アベンジャーズ)』などを発売していた。

 ■MMOゲーム
売上高は同56.2%増の622億円と過去最高となった。また第4四半期(2022年1~3月)の売上高が前年同月比で35.9%増の140億円だったことを明らかにした。拡張パッケージを発売した前四半期には及ばなかったものの、過去3番目の売上規模となった。『ファイナルファンタジーXIV』と『ドラゴンクエストX オンライン』の拡張パッケージを発売し、売上が大きく伸びたことに加えて、『ファイナルファンタジーXIV』の月額課金会員数が大幅に増加した、としている。

 ■スマートデバイス・PCブラウザゲーム
売上高は同2.2%増の1303億円だった。収益認識に関する会計基準の適用と会計基準の変更によるものが主な理由としている。むしろ、既存ゲームは弱含みで推移していたとのこと。以前は、AppleやGoogleへの手数料を控除した金額を売上としていたが、今期からユーザーから受け取る金額を売上に計上するようになった。手数料と同額が費用計上されるため、利益への影響は限定的のようだ。

 


○アミューズメント事業
売上高は458億8200万円(同33.6%増)、営業利益20億300万円(前の期は15億6800万円の赤字)と黒字転換した。前の期において、政府の緊急事態宣言発出を受け、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として、国内の店舗を臨時休業とした影響が大きかった。この期は新型コロナの影響は受けたが、前の期ほどではなかった。

 

なお、第4四半期(2022年1~3月)だけをみると、売上高が前年同期比27.8%増の127億円、営業利益が7億円(前年同期は4億円の赤字)と増収・黒字転換した。売上高は2016年4月以降で2番めに高い水準となり、コロナ前の水準を上回った。2022年3月期に入って4四半期連続で営業黒字を計上した。

 
○出版事業
売上高は290億3200万円(同8.2%増)、営業利益は122億2200万円(同4.6%増)となった。デジタル販売が好調だったほか、「その着せ替え人形は恋をする」の大ヒットなどで紙媒体も堅調に推移した、としている。Anime Recorderによると、アニメ放送中である3月25日に累計部数550万部を突破しており、放送終了後には600万部を突破するなど売上を大きく伸ばしているという(詳細はこちら)。

 


○ライツ・プロパティ等事業
売上高は140億0200万円(同48.1%増)、営業利益は39億8000万円(同76.9%増)となった。主として同社グループのコンテンツに関する二次的著作物の企画・制作・販売及びライセンス許諾を行っている。前期は、自社コンテンツの新規キャラクターグッズの販売等が好調に推移した。

 
■2023年3月期の業績予想は未定
2023年3月期通期の連結業績予想については、5月2日に公表したグループの海外スタジオおよび一部IPの売却に係る業績への影響を精査する必要があることから「未定」としている。業績予想の算定が可能となった後、速やかに開示するとのこと。

株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
https://www.hd.square-enix.com/jpn/

会社情報

会社名
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
設立
1975年9月
代表者
代表取締役社長 桐生 隆司
決算期
3月
直近業績
売上高3432億6700万円、営業利益443億3100万円、経常利益547億0900万円、最終利益492億6400万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9684
企業データを見る