『ヘブンバーンズレッド』公式番組「ヘブバン情報局 Vol.19」の発表内容をレポート! 「計算式変更」の経緯や運営方針、「メインストーリーの制作フロー」についても丁寧に紹介


Wright Flyer StudiosとKeyは、6月30日、『ヘブンバーンズレッド』において、公式YouTubeチャンネルにて公式番組「ヘブバン情報局 Vol.19」を放送した。本稿では、番組内容をレポートとしてお届けしていく。

まずは、本日より楽曲「Burn My Soul」のダウンロード販売が開始されたことを報告。現在、iTunes Storeの売上ランキングでも1位を獲得しており、ユーザーからも好評なようだ。楽曲のダウンロード販売は現在、毎週ペースで行われており、今後7月に販売を予定している楽曲に関しても詳細を公開した。




続いては、7月24日に開催を予定しているリアルイベント「Half Anniversary Party!」の続報を紹介。当日に生放送するYouTubeページを本日公開した。




また、ステージ観覧席の一般販売を7月9日12:00より、ローチケにて販売開始。こちらは抽選受付ではなく先着順となっているため、購入を検討している方は注意したい。



合わせて、物販入場チケットもローチケにて無料で申し込みが可能となる。こちらは7月2日12:00~7月10日23:59が受付期間となっており、応募数が予定を超えた場合は抽選となる。さらに、当日販売するグッズに関しても情報を公開した。なお、イベント内にて販売する全てのグッズは「WRIGHT FLYER STORE」にて後日、販売を予定しているとのこと。






そのほか、「Half Anniversary Party!」のライブビューイングを実施することが決定。北海道、東京、愛知、大阪、福岡と、5都市のイオンシネマにて実施される。チケットは2000円[税込]となっており、7月10日12:00より、ローチケにて先着順にて販売が開始される。



次に、本日より開催している新ストーリーイベント「A Little Tear, Forgotten Memories 小さな涙 忘れられた記憶」と、同日より登場している新スタイル「SS[果てなき慈愛の守護者] 大島一千子」、「SS[ごちゃまぜ忍法大乱闘] 神崎アーデルハイド」、「S[気まぐれのアンニュイ] 菅原千恵」についても実機プレイを通じてキャラの魅力をお届けした。

ストーリーイベントやスタイルの詳細に関しては、下記の関連記事も参考にしていただきたい。

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Wright Flyer StudiosとKey、『ヘブンバーンズレッド』で大島一千子が活躍するストーリーイベント「A Little Tear, Forgotten Memories 小さな涙 忘れられた記憶」を配信開始!



▲交換所では「S[Lollipop Break]大島四ツ葉」が手に入る。

新登場した3キャラのステータスやスキル詳細は以下の通り。





ここからは直近のアップデート情報について。ここでは、6月29日のアップデートで実施された「防御力アップおよび攻撃力ダウンの重ね掛け計算方法の変更」について、改めて経緯と詳細の説明を行った。

今回、等倍率でダメージを軽減するアクセサリ「火門のブレス」を実装したことにより、バトルシステムの初期設計における仕様バグが発覚。複数のダメージ軽減率を足し算で計算すると、複数の効果を重ね合わせることでダメージが1になる必勝法が生まれてしまう。そのため、多くのRPGにおいてダメージ軽減の重ね掛けは掛け算での計算となっている。

例:50%軽減の効果+50%軽減の効果=100%軽減の効果(ダメージが1になる)

そして、問題が起きているという現状を受け入れたうえで、対応をした際に該当するSSスタイルを愛用しているユーザーが攻略上の不利益を被ることがないかを熟考したうえで下記の関連記事にある調整を実施。同運営は、誤った計算式でリリースしてしまったこと、対応がリリースから時間が経ったタイミングになってしまったことを改めて謝罪した。

【関連記事】
Wright Flyer StudiosとKey、『ヘブンバーンズレッド』が6月29日のアップデートで「防御力アップおよび攻撃力ダウンの重ね掛け計算方法の変更」を実施

合わせて、この件に関してユーザーから挙がった一部の質問に関しても回答を示した。

最も多く寄せられた「SSスタイルの下方修正なのか?」という質問に対しては、「厳密に言えば、そういった影響のある修正になる。ただし、これによって変化するSSスタイルの能力が攻略において影響してくることはほぼない」と回答。お知らせでは、多少なりとも影響を受け得るものを全て掲載している。ここに記載されている攻撃力ダウン効果は1ターンのみ効果があるものとなっているため、重ね掛けが可能なシチュエーションは、オーバードライブ中、もしくは複数キャラクターでスキルを1ターン内に使用したときのみとなる。これらの条件を達成したとしても、得られる効果が僅かといこともあり実用的な戦略ではないと言及。今回のSSスタイルの修正によって、
攻略できていた敵が攻略できなくなる、出せていたスコアに届かなくなるとうケースはほぼないと説明した。あくまでも、今回、修正を行いたかったのは基礎的な計算式の部分であるとまとめた。

次に、「今後Aスタイルを有用に使う戦略は塞がれてしまうのか?」という質問について。今回、100%以上のダメージ軽減を実現できたのが「Aスタイルの大島一千子」と「火門のブレス」の組み合わせであったため、先の質問が寄せられた。これに対して、「短期的には戦略に影響を与える形での調整となっており、調整後も88.275%のダメージ軽減が可能な戦略である。ただし、長期的に見ると今回の調整によってレアリティに関わらずさまざまなスタイルを活かす運営が可能となる」と回答。ダメージを軽減することは、RPGにおいて遊びを形作るうえで非常に重要な要素のひとつとなる。例えば、「特定の敵のダメージを軽減できるアクセサリを複数集めて強大な敵に挑む」、「ダメージ軽減のスキルとパッシブスキルを組み合わせて耐久パーティを作る」など、さまざまな遊びを生み出せる余地があるという。しかし、高倍率のダメージ軽減とスキルの組み合わせで容易に100%以上のダメージ軽減が実現できる状態が存在すると、ひとつの戦略で多くのコンテンツをクリアできてしまう。こうした単一の戦略が長期間続くとプレイが作業化してしまい、楽しい遊びとは言い難い状況が生まれることから、コンテンツを制作する側もダメージ軽減という要素を避けながら開発をすることになる。その結果、出せるコンテンツの幅が狭まり、長期的に戦略の幅を狭めた運営をせざるを得ない状況が生まれてしまうと説明した。

今後、長期に運営を続けていく中で、多様なスキルやパッシブスキル、アクセサリなどを届けるために今回の調整を行ったと改めて経緯をまとめた。

最後に、今後のアップデート情報について。「運営方針について」と「ハーフアニバーサリーに向けたアップデート計画」という2点から話を展開した。ここでは、高難易度コンテンツがどのような考え方のもとで作られているかなどについても言及した。

●運営方針について
以前の放送でも伝えられた通り、『ヘブバン』は4つのチームに分かれて並行して開発運用を行っている。人員はその時から30名ほど増え、現在130名規模となっている。



▲こちらは以前の放送で挙げられていた課題点と対応策。今回、改めてこの時から育成が進んでいるのかや、どういったコンテンツが実装されたのかについてデータと共に振り返った。

まずは、アクティブユーザー全体の戦力分布を示したグラフを紹介。


▲グラフの青線が3月末、赤線が6月26時点のデータとなる。育成は順調に進んでおり、約30%のユーザーが戦力12000~13000に到達している。



コンテンツを追加する際は、戦力差が大きく広がってしまうことのないようにパラメータを設定しているという。しかし、プレイ時間や密度に差ができればどうしも戦力差が広がってしまうため、全てのコンテンツを全員に向けて発信することが難しい状況となる。

そこで「広い戦略幅にどう対応していくか」について言及。世の多くのアプリゲームでは、多くの方が同時に楽しめるシステムを作るケースが多いと述べた。例えば、ランキングやPvP、対人コンテンツの拡充などがそれに該当するという。

しかし、『ヘブバン』では、リリースから時間が経ったとしても、いつ遊び始めても楽しめる線のレベルデザインを行っていると説明した。完成されたパッケージ作品のようにコンテンツを蓄積していくという運営方針をとっているという。


▲まずはメインストーリー第一章を通じて育成の基礎を学ぶことができる。第二章からは徐々に「記憶の庭」での育成も重要な要素となってくる。例えば、プレイヤーランクを上げる過程でアクセサリを装備することにより戦力が強化されるといったものがその一例となる。


▲その後はプリズムバトルでキャラのレベルを上げ、記憶の迷宮を進めることで新たな回廊がオープンしたり、より高いレベルのプリズムバトルに挑戦することができる。このサイクルを回すことで、メインストーリー第三章までをクリアできるようになっている。


▲この基本サイクルがより回しやすくなるよう、育成をフォローするコンテンツとして登場したのが「スコアアタック」であると説明。

上記の施策を実施した結果、育成は順調に進み戦力11000を超えるユーザーの割合も大幅に増えた。一方で、既に高戦力帯に分布するユーザーとしてはスコアアタックのトロフィーだけがゲームをプレイするモチベーションとなってしまっていた。



この状況を見越して開発が進められていたのが、最近追加された「アクセサリ錬成」や「オーブボス」を含む記憶の庭の大規模アップデートとなる。ここでは、より自分好みのキャラクターを育成できる『ヘブバン』にというコンセプトのもと、戦力を縦に伸ばすのではなく自由度をもって横に広げていくことができるカスタマイズが可能な状態を作っているという。


▲コンテンツとしてもそれぞれ差別化を図っており、7月中旬に追加される「異時層」では2部隊編成が可能となっている分、これまでとは異なるバトル体験ができるのではないかと紹介した。

上記の一連のアップデートに関しては、高戦力帯の方に向けて線のレベルデザインを横に伸ばしていくことに注力してきたという。

これにより、今後も『ヘブバン』はどんどん高難易度化していくのではないかという不安も挙がっているが、今回のアップデートを行ったことにより、今はまだ高戦力帯に到達していない方もこの先、いつか自分のためになるものを足している期間であると解釈してほしいと伝えた。



さらに、ここからハーフアニバーサリーまでには、対象者を戦力9000以上にまで広げて幅広い施策をバランス良くお届けしていく予定との話だった。続いてのテーマでは、その詳細についても話を展開した。



●ハーフアニバーサリーに向けたアップデート計画
こちらのテーマでは、大きく3つの施策を用意しているという。

一つ目に、「メインストーリー第三章 難易度緩和」を実施する。また、この意図についても説明を行った。

現在の難易度は、毎日育成を進めいるユーザーにとって最もストーリー体験を楽しめるバランスとして提供しているという。しかし、ユーザーの中にはさまざまなプレイスタイルで『ヘブバン』を楽しまれている方がいるため、ここに当てはまらない方も数多くいる。その一例として、次のグラフを紹介した。


▲一日だけのデータではあるが、アクティブユーザーのライフ消費量が0か5で両極端になってしまっていることが分かる。

今回の調整では、必ずしも毎日ライフを消費しない方にとって急に長期間ストーリー体験がストップしてしまわないよう、育成にかかる日数を平均化するための施策となる。以下は4月1日~30日までに『ヘブバン』をインストールしたプレイヤーがメインストーリーの各ボスを倒するまでにかかった日数の平均値を示したものとなる。


▲第三章の中ボスで詰まったユーザーがやや多いため、ここにかかる育成の日数を平均化するために、ボスをはじめとする敵のパラメータを調整していくとのこと。

なお、今回の調整は7月13日に実施を予定している。難易度緩和は、より多くの方が楽しめるよう行う調整ではあるものの、現在のバランスはストーリーを最も楽しめるように自信を持ってリリースした難易度でもあるため、日々育成をしているものの意図的に進行を止めている方などがいた場合は、ぜひ緩和前にチャレンジしてほしいとの想いを伝えた。



▲「メインストーリー第三章 難易度緩和」の目的。

二つ目の施策は「基本衣装SSスタイルにアビリティ追加」。詳細は以下の通りで、SSスタイルが持つ専用スキルを育成できる新規ツリーを追加する。最大の特徴はツリーを最後まで進めたときに可能となる「ジェネライズ」で、これにより専用スキルを他のスタイルでも使用することができるようになるという。こちらは7月中旬の実装を予定している。



この施策により、戦力に依らず編成自由度を広げてより戦略性の高いゲームを目指していくとの話だった。


▲「基本衣装SSスタイルにアビリティ追加」の目的。

最後に三つ目の施策として「限界突破の器」を追加することを発表。

現在、限界突破を行うためのアイテムとして「万能スタイルピース」が存在しているが、配布量を増やしても勿体なくて中々使えずに溜めこんでしまう人もいるのではないか(※俗にいうラストエリクサー症候群)。そうした事態が起きた場合、直接的な戦力の底上げにも繋がらないため、この問題を解決するために新たに追加されるシステムが「限界突破の器」であるという。こちらの要素は8月中旬の実装を予定している。



限界突破の器は、毎週更新されるミッションをクリアして器に力を溜めていくというもの。溜まった力は好きなSSスタイルに注ぐことができ、これを行うことでSSスタイルの限界突破をすることができる。なお、器の力は200%がMAXとなっておりそれ以上は増えないため、溜まったらどんどん力を注いで限界突破を進めてほしいとの話だった。また、「万能スタイルピース(Rank SS)」もこれまで通りのペースで入手できるとのこと。


▲「限界突破の器」の目的。時間をかければ必ず強くなれるゲームにしていき、より多くのプレイスタイルの方に楽しんでほしいと述べた。

なお、他にもいくつか動いている施策があるため、準備ができ次第、7月14日の生放送や、7月24日の「Harf Anniversary Party」でお伝えするとのこと。

番組の最後には「メインストーリーの制作フロー」についても紹介。



▲濃い線で囲まれている矢印は麻枝准氏が、線なしの矢印はWFSが主に担当しているという。

全ての素材を繋げた段階で、フルボイス作品ではあまり見られない工程である「通しチェック&ブラッシュアップ指針の決定」を行っている。両社で改善点の洗い出しを行うことによって制作に時間はかかってしまうものの、この工程があることによって体験価値が大きく変わるため、『ヘブバン』では必ずこのタイミングで時間を設けるようにしていると説明した。

また現在、メインストーリー第四章前編はQA(品質保証)の直前まで進んでおり、最終調整も終盤に差し掛かっているという。声優陣の追加ボイス収録も完了しているとの話だったので、引き続き楽しみに待ちたい。

最後に、こういった開発の内情まで赤裸々に明かしている意図に関して、ゲームについて語り合うにあたって、開発・運営がどういった設計思想やデータに基づいて運営を行っていくのかということを開示することでより楽しく会話できる環境を提示できればとの想いがあることを明かした。


運営方針や調整の意図について、今回の放送で伝えられた部分に関しては本記事でもなるべく詳細にまとめさせていただいたが、ゲームをプレイするユーザーにとっては非常にデリケートな話でもあるため、同運営からのゲームに対する想いが伝わるという部分も含め、お時間・興味のある方は、ぜひ一度、本放送のアーカイブをチェックしてほしい。



次回は7月14日20時より「ヘブバン情報局 Vol.20」の放送を予定している。


(文・編集部:山岡広樹)



■『ヘブンバーンズレッド』


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株式会社ビジュアルアーツ(Key)
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会社情報

会社名
株式会社ビジュアルアーツ(Key)
設立
1991年3月
代表者
代表取締役 馬場 隆博
決算期
6月
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株式会社WFS
https://www.wfs.games/

会社情報

会社名
株式会社WFS
設立
2014年2月
代表者
代表取締役社長 柳原 陽太
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