【TGS2022】TikTok for Business「課金型ゲームにおけるハイブリッド型広告マネタイズとは」セッションレポート。『モンスト』の事例でIAPゲームの広告戦略を紐解く!

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9月15日~18日(一般公開日は17、18日)に開催されたコンピュータエンターテインメント協会(CESA)主催の「東京ゲームショウ2022(TGS 2022)」。

本項では、15日のビジネスデイにTikTok for Businessブースにて実施されたセッション「IAPゲームの広告戦略のイマとミライ、課金型ゲームにおけるハイブリッド型広告マネタイズとは」の模様を届けしていく。

セッションの登壇者は3名。TikTok for Business Japanの井上裕貴氏が進行を担当しつつ、Supership株式会社の中村夏菜子氏、株式会社MIXIの辻野優氏がゲストとして登壇した。

井上氏はTikTok for Business Japanの広告プラットフォーム『Pangle』でデペロップビジネスマネージャーとしてローンチタイミングから携わっており、ゲームデペロッパ―の広告マネタイズの担当者である。

中村氏はパブリッシャー向けアドプラットフォーム『Ad Generation』を運営するSupership株式会社にて、アプリパブリッシャーとのやり取り・サポートを担当している。

辻野氏は株式会社MIXIで『モンスターストライク(以下、モンスト)』の運営に携わっている。『モンスト』では『Ad Generation』と『Pangle』を両方利用して、動画広告視聴による広告マネタイズを取り入れている。

●『Pangle』とは

TikTok for Businessのモバイルアプリ向けアドネットワークPangleは、TikTok for Businessに集まる膨大な広告ニーズに対応した配信サービスを提供し、あらゆるジャンルのアプリ開発者とパブリッシャーの収益化を実現します。

また広告主様には、Pangleのネットワークを通じて、世界の36の国と地域に向けた広告配信を可能にします。自動化された高いパフォーマンスキャンペーンは、より簡単に多くの市場の顧客にリーチでき、ビジネスの成長を加速させます。 詳しくはPangleホームページをご覧ください。

『Pangle』が支持されている理由は以下の通り。
●TikTok for Businessの高いデマンド力
●最先端のアドテクノロジー
●最新のフォーマットの常時提供
●専任の担当者が手厚いサポート
●アプリの価値を守るためのクリエイティブレビューやアドブロックなどのブランドセーフティー機能
●簡単に利用できる管理画面の提供

【関連記事】TikTok for Business「Pangle新機能「アプリ起動時広告」を徹底解説」。収益最大化に必須のサービスとなるか!?

『モンスト』の事例で語られるIAPゲームの広告戦略

今回のセッションのテーマはIAPゲームの広告戦略。ここ数年で大きな動きを見せている動画リワード広告について『モンスト』での事例などを元にトークが交わされた。

数年前にIAPを主軸としているゲームでは広告プラットフォームを取り入れることは珍しいとされてきたが、ここ数年では多くのアプリが広告マネタイズ化を図っていることで注目が集まっている。

まずは、ゲスト2名が現在のアプリ市場の全体の動きについてコメントを述べた。

辻野氏は、現在のアプリ市場は非ゲームが大きく伸びてきており、この状況下でゲームアプリがアプリ内課金を伸ばしていくことは難しいと考えているそうだ。

中村氏は、社内でアプリパブリッシャーとやり取りをする中で、ここ数年でIAPゲームの割合が増えていると感じているそうだ。広告を導入するゲームアプリが増えているだけでなく、運用開始から後々に広告マネタイズを導入することを初期段階から想定している会社も増えているとのこと。

IAPゲームで動画リワードを日常的に視聴するユーザーも増えた影響により、ユーザー全体として広告を視聴することに対する慣れが見えてきているとも話す。

また、近年の広告マネタイズ導入前提で運用が行われているアプリは、ユーザーの広告流入が綺麗に行われており、ユーザービリティへの配慮をしている会社も多いとのこと。

『モンスト』は、以前は課金収益による運用を行っていたが、現在は広告視聴を導入して2種類の収益による運用に切り替わっているそうだ。

辻野氏は当時を振り返り、課金収益のみで運用をしていた頃は広告を導入する発想はそもそも無かったと語る。世界観を壊す不安などもあり『モンスト』には関係ないものと考えていたそうだ。

井上氏も数年前はIAPゲームを運営する会社に広告の導入を提案していたが、課金マネタイズが順調なことに加え「ゲームの世界観を壊したくないので導入しない」という回答が多かったようだ。

そんな『モンスト』では、『Ad Generation』が導入されている。

『Ad Generation』はアプリやWebサイトに組み込むことでパブリッシャーが広告収益を得られるサービス。従来は広告を導入しているカジュアルゲームや漫画アプリがメイン顧客だったが、ここ数年はIAPゲームのパブリッシャーも増加傾向にあり、導入提案やサポートを手厚く行われているのが評価されているそうだ。

辻野氏からは『モンスト』のマネタイズ戦略についても語られた。

『モンスト』が『Ad Generation』による動画広告を導入したのは2020年3月。導入した目的は、無課金ユーザーの収益化と、起動促進やプレイ促進だ。

動画のリワード広告を導入する際の社内の反応は、前述の世界観の破壊などの理由もあり、かなり不安視する声が多かった模様。ところが、導入を発表した際にはユーザーからは好評の声が多く安心できたと当時を振り返る。

導入の際にはユーザーに受け入れてもらうため、まずは少しずつ導入していくスモールスタートの形を取った。最初はボックス拡張が行えるようになる1ヵ所だけの導入だったが、現在では期間限定も含めると7ヵ所で動画リワード広告が視聴できるようになっている。

ボックス拡張はガチャを引くためのオーブ(ゲーム内通貨)を消費する必要があったが、多くのユーザーはボックス拡張ではなくガチャを優先する傾向があった。そこで、ボックス拡張機能に動画リワード広告を導入してユーザー需要を満たしつつ、広告を視聴してもらうことに成功した。

もっとも気を付けている点は流れる動画広告の質だ。せっかく時間を使って動画を見てくれたユーザーを不快にさせないように、動画の質やロード時間などは注意深く見ているという。動画を見たユーザーが再び動画を見たくなるような形が理想とのことで、広告市場ではそういったサポートがより手厚くなることを今後期待しているとのことだ。

辻野氏は実際に動画リワードを導入した経験として、後から動画広告を導入するアプリ、動画広告を入れる前提で設計しているアプリでは、大きく違う点があるという。

『モンスト』のように運用途中から導入する場合は、既存のマネタイズとカニバリゼーションを起こさないようにしつつ、まずは小さい部分から導入してユーザーさんに慣れてもらうことが大切とのことだ。

中村氏からも、さまざま形態の広告を担当している目線から見て、動画リワード広告がもっとも成長率が高く感じるそうだ。広告市場の観点から見ても『TikTok』や『YouTubeショート』など縦型の動画コンテンツが増えてきており、SNSだけでなく動画リワードにも広告を出稿している会社が増えてきているようだ。

辻野氏はゲームに動画広告を組み込む方法について、現在使われている方法だけでなく、今後はこれまでに無い使用方法が見つかる可能性を秘めているものと考えている。『モンスト』でも、今後どういった形で動画リワード機能を活かしていくのかは考え続けたいと述べた。

中村氏は、モバイル広告ID規制の追い風があり、さまざまなプレイヤーの乱立や統合があり、今後も広告業界は進化を続けると予想している。広告マネタイズを担当する身としても、ユーザーが正しい形で広告を見てもらい、それを経てパブリッシャーが収益を得て円滑な運営が行えることを目指し続けていきたいとのことだ。

最後にゲスト2名から締めのメッセージを経て、本セッションは終了となった。

辻野氏は「『モンスト』は10月で9周年を迎えます。イベントなども控えているのでぜひ楽しみにしていてください」と述べ、中村氏からは「『Ad Generation』はID規制の対応や、動画リワードにグラウンド広告を加えるなど今後も積極的な取り組を続けていくので、ご興味あるパブリッシャーの皆さまはお声掛けください」と述べ、本セッションを締めくくった。