【決算レポート】グリー、第1四半期は『ヘブバン』の落ち着きと投資事業のEXIT減で大幅減益 REALITYはSNSの経験からゲームによる活性化に着手

木村英彦 編集長
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グリー<3632>が11月1日に発表した第1四半期(22年7月~22年9月)の連結決算は、売上高165億9000万円(前四半期比20.6%減)、営業利益15億8400万円(同58.8%減)、経常利益24億2800万円(同55.3%減)、最終利益18億1300万円(同48.5%減)と大幅な減益となった。

・売上高:165億9000万円(同20.6%減)
・営業利益:15億8400万円(同58.8%減)
・経常利益:24億2800万円(同55.3%減)
・最終利益:18億1300万円(同48.5%減)

 

同社では、直近の業績拡大をけん引した『ヘブンバーンズレッド(ヘブバン)』のインターネット・エンタメ事業、投資・インキュベーション事業ともに減収減益となった。セグメント別の状況を見ていこう。


■インターネット・エンタメ事業
・売上高:161億3100万円(同20.6%減)
・営業利益:17億7700万円(同51.0%減)

減収減益だった。好調だった新作『ヘブバン』が引き続き高水準の収益をあげているものの、前四半期との比較では落ち着いてきたことに加えて、『シノアリス』や『アナザーエデン』など前四半期に実施した周年イベントの反動が出たため、としている。

 
■投資・インキュベーション事業
・売上高:4億5900万円(同16.4%減)
・営業損失:1億9300万円(前年同期は2億1400万円の利益)

減収・赤字転落となった。昨今の株式市場の低迷を受けて、投資先のIPOなどEXITの少ない四半期だったという。同社では、「期限の近いファンドの分配が見込めるが、年度内は楽観視していない」と短期的にはこの環境が継続すると見ているそうだ。

 
なお、主なトピックスは以下のとおり。

■『ヘブバン』について
『ヘブバン』は、落ち着きが出てきたものの、セールスランキングで上位をキープしており、想定を上回って推移したという。「メインストーリーの追加やハーフアニバーサリティの実施など盛り上がりを作ることができている」(同社)。

 同時に、IPとして長期的な育成・強化も推進した。リアルイベントの実施とファンコミュニティの活性化、そして大手コンビニとのコラボなど、「層の厚いIPを目指している」。

取締役 上級執行役員の前田悠太氏は、『ヘブバン』のヒットした蓋然性や要因を科学的に分析しつつ、得られたノウハウを現在開発中の新作タイトルに活かそうとしているとも明かした。

開発については、本作以上のクオリティでの演出や表現力が実現でき、そして運用面では多面的なマーケティングと運用の大規模展開を両輪で実施したノウハウを活かすことが可能との考えを示した。

 なお、新作パイプラインについては、本数は開示されていないが、オリジナルIPと他社有力IPタイトルを複数本、企画・開発しているとした。今期中のリリース予定はないとのことで、今年は仕込みの1年となりそうだ。

 
■メタバース『REALITY(リアリティ)』について
『REALITY』についても言及があった。SNS「GREE」の経験からコミュニケーションツールとしてゲームも活用することで成長・拡大させていき、数億人が利用するコミュニケーションプラットフォームを目指していく方針を示した。

同社では、SNS「GREE」の拡大に貢献した『釣りスタ』と同様、釣りゲームを投入することにしたという。これまで長い時間をかけて仕込んでいたコンテンツだったとのことで、新しいマネタイズの方法としても注目しているそうだ。

なお、『REALITY』の収益は開示していないが、すでに収支均衡レベルになっているとのこと。今後はコンテンツの投入や機能追加などを行いながら、プロモーションを通じて成長させていくフェーズが続くとの見方を示した。

グリー株式会社
http://www.gree.co.jp/

会社情報

会社名
グリー株式会社
設立
2004年12月
代表者
代表取締役会長兼社長 田中 良和
決算期
6月
直近業績
売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3632
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