「ホロライブプロダクション」運営のカバーが東証グロースに上場へ　開示された資料から事業内容と成長性をチェック

東京証券取引所は、この日(2月17日)、VTuberプロダクション「ホロライブプロダクション」の運営会社で知られているカバー株式会社の東証グロースへの新規上場を承認した。上場予定日は3月27日で、市場コードは「5253」となる。VTuberプロダクションの上場は、昨年上場したANYCOLORに続く2社目となる。開示された資料に基づいて、事業概要と業績推移、上場に伴って放出する株式数、調達資金と使途をそれぞれみていこう。

【主な内容】
■VTuberプロダクション「ホロライブプロダクション」を運営
■業績：短期間で高い成長を実現
■放出する株式と調達資金の使途

■VTuberプロダクション「ホロライブプロダクション」を運営

同社は、2016年6月に創業し、モーション・キャプチャー技術とアニメルック・アバターを用いて活動するバーチャル・エンターテイナー「VTtuber」のキャラクターIP開発と、VTuberプロダクション「ホロライブプロダクション」の運営業務を行っている。2022年12月時点で71名が在籍する。

創業当初はVR卓球ゲーム「Ping Pong League」のリリースするなどVRゲームの会社だったが、同年9月にVtuberアイドル「ときのそら」が活動を開始し、翌年6月に女性Vtuberグループ「hololive」がスタートし、現在の事業の原型ができあがった。

その後、2019年5月に男性VTuberグループ「HOLOSTARS」が立ち上がり、2020年から海外展開が始まった。20年4月にインドネシア、20年9月に英語圏で女性VTuberグループが活動を開始し、昨年6月には男性VTuberグループが英語圏で活動を開始した。

■業績：短期間で高い成長を実現

全体の売上で最も大きいのは配信/コンテンツで全体の38％を占める。YouTubeでの視聴者のメンバーシップ加入やスーパーチャット、広告収益、楽曲コンテンツの配信収益などとなっている。2022年3月期は、前の期比99.3％増の52億4900万円と大きく伸びた。

このほか、グッズやデジタルコンテンツの販売を行うマーチャンダイジングが同161.6％増の48億3200万円、ライブ/イベントのチケット収入が同170.5％増の22億0300万円、ライセンス/タイアップが同221.5％増の13億7700万円と主要サービスはいずれも大きく伸びた。

主要サービスすべてが前の期比で倍増以上と大きく伸びたことで、22年3月期の売上高は同138.7％増の163億6300万円と大幅増収を達成した。

利益面は、VTtuberへのサポート体制の拡充やライブ/イベント開催費用、グッズ関連費用が増えたほか、事業拡大に伴い地代家賃と人件費が増加した結果、営業利益は同9.2％増の18億5500万円だった。ほか、経常利益は同8.7％増の18億5300万円、最終利益は同1.9％増の12億4400万円だった。

先行費用で伸び悩んだ前期だったが、2023年3月期においては、第3四半期累計(2022年4～12月)段階で、売上高128億0200万円、営業利益17億3400万円、経常利益17億2700万円、四半期純利益12億8100万円となっており、前期実績の9割以上に到達。特に最終利益は前年実績を上回った。

■放出する株式と調達資金の使途

上場に伴い、放出する株は、公募増資150万株、売出し1092万7400株、オーバーアロットメントによる売出し186万4100株となる。調達する手取り概算金は9億5500万円で、新スタジオに設置する配信用機材の設備資金と、IPのコマース展開促進のための運転資金に充当する予定。

なお、現時点での発行想定価格は1株あたり710円となる。上場時の発行済株式は6112万4200株で計算すると、時価総額は433億9800万円となる。