ゲーム内行動データに特化した分析プラットフォーム「ThinkingEngine」を提供するThinkingDataは、この日(3月16日)、CARTA HOLDINGS<3688>傘下のCARTA SYNC GAMES(CARTA社)にソリューションを提供したと発表した。CARTA社が運営する「KING OF KINGDOMS」への導入に至った背景やユースケース事例として公開(写真は、株式会社CARTA SYNC GAMES 代表取締役 岡庭 嵩氏(左)と、日本運営プロデューサー 鎌瀧 晋也氏(右))。
◆導入の背景
国外で開発したゲームアプリを運営するパブリッシング事業を行っているCARTA社は開発企業と2人三脚でゲームを運営・改善していく必要があった。ゲームやマーケティングのPDCAサイクルを回す上で、定量数値が共通言語として重要視されていた。
ThinkingEngine導入前は自社開発したダッシュボードに加えて一部の数値の確認には別のツールを併用していた。結果として、共通したダッシュボードを見ていないケースにおけるコミュニケーションコストの発生、データの深掘りを行う場合にエンジニアコストの発生、そして結果としてデータに対する苦手意識の発生などデータに基づくゲーム運営を困難にしていたという。
そのような課題を解決するため、データ取得、蓄積、分析までワンストップで提供できるThinkingEngineが採用されたとのこと。
◆KING OF KINGDOMSについて
KING OF KINGDOMSは、サーバー内のプレイヤー数に上限があり、プレイヤー数に応じてサーバーの数を調整している。そのため、サーバーによってプレイヤーの性質が大きく異なる。例えば、リリース直後に人が多く集まったサーバーとそうでないサーバーとでは課金率やLTV(ライフタイムバリュー)が大きくことなっていることが分かっていた。サーバー別にKPIを細かく分析しながら成功要因を分析し、それを他のサーバーに活かせる知見として活用していくことが重要になる。
◆ソリューション導入後の効果
導入後の効果は、以下の3点が挙げられる。
- 分析コストの低下とスピード感の向上:以前は定点観測しているKPIを深ぼる際は事前に要件定義書をエンジニアに渡して開発してもらう必要があった。そのため、コミュニケーションコストもエンジニアの稼働コストもかかっていた。一方で、ThinkingEngineは見ているダッシュボードに対して自由にフィルターをかけたり、特定ユーザーをセグメント化し分析の切り口に利用するなど、データ分析にあたっての自由度が大幅に増した。
- データからインサイトを発見:データ分析に対するコストが低下した結果、インサイト獲得により多くの時間を割けるようになった。例えば、サーバー別にリリース初日に3日目で比較を行い、強くゲームに関心を持って初日参加したと思われる層とそれ以外で切り分けて分析する。新しいサーバー立ち上げ後想定よりも装備品が売れてなかったことに気づく。そして、月額課金制のバトルパスの利用率や加入後の利用行動からバトルパスの内容を変更するなど様々なインサイトを引き出せるようになった。
- データカルチャーの浸透:メンバーが共通したダッシュボードを見れるようになったこと、好きな切り口でデータを切れることで、職種や国境を超えてこれまで以上にデータドリブンに議論するカルチャーが根付いたとのこと。
◆今後の展望
今後は、職種別に見るべき定量数値をさらにブラッシュアップを行い、役割に応じたダッシュボードを提供していく。集計した数値だけでなくユーザー単位でデータを深く見ていくなどさらなるデータカルチャーの定着とデータを活用したゲームの運営改善に努めていく予定。
この事例に関するインタビュー動画を3月にもWebサイト上に公開する予定。