ハピネット、ブロッコリー株式を公開買付、完全子会社化を目指す 『うたプリ』『Z/X』共同展開やコンテンツ開発の推進、経営支援の強化などシナジー強化へ

ハピネット<7552>は、この日(4月14日)、ブロッコリー<2706>の株式の公開買付を行うことを明らかにした。買付期間は4月17日から6月13日までの39営業日で、買付価格は1500円(4月14日終値は1026円)。買付株数の下限は323万1500株だが、買付の上限を設けておらず、全株式を取得して完全子会社化を目指すとのこと。ブロッコリーは上場廃止となる見通しだ。また公開買付の対象となるブロッコリーも賛同意見を表明し、株主に対して今回の公開買付への応募を推奨している。なお、買付に際し、ハピネットは、第2位株主のアニメイト、第3位株主のブシロード<7803>との間で公開買付応募契約を締結する旨で合意したとのこと。

両社は、2015年12月より、資本業務提携を行っており、共同での音楽レーベルの立ち上げや、ゲームやグッズの販路拡大、ブロッコリーの保有するコンテンツとハピネットの代理店機能を活用したキャンペーン企画などの新たなビジネス展開、公式ストアの共同運営など、様々な取り組みを行ってきた。

今回、買付を決定した背景として、両社が独立した上場企業であるため、秘匿性の高い情報共有が難しく、経営資源の相互活用にも一定の制約があることからハピネットが想定していた以上に共同で事業展開を行うことが難しかったことをあげた。

特に資本業務提携の大きな目的だった新コンテンツ開発は、企画、映像やゲームの制作、宣伝活動、運営の各段階で専門人材や資金を投入する必要があるるうえ、収益化までに期間を要し、その成否も不確実性が伴う。安定的な収益を求める株主の期待に沿えない可能性があるといった理由から、意思決定に慎重を要し、開発遅延が生じる課題もあったという。

そこで、ハピネットは、こうした課題を解決し、両社のシナジー効果を最大限に発揮するためには、中長期的なビジョンを共有し、一体となって事業展開を行うことが必要であり、そのためには、ブロッコリーが上場企業であるために制約を受けていた、経営資源の相互活用、対象者における経営判断の迅速化及び中長期的な目線での経営が必要であると考え、今回の決定に至った、としている。

なお、完全子会社化に伴い、以下のシナジー効果が期待できると説明している。

 

①意思決定の迅速化による新コンテンツ開発の推進

両社が一体となって事業展開を行うことで、中長期的な視点に立った戦略的意思決定を迅速に行うことができ、新コンテンツの開発をより推進することやエンタテインメント業界の環境変化にスピーディーに対応することが可能となると考えている。

また、ブロッコリーは、自社コンテンツについて、映像や出版、イベント開催等に関する案件については他社に権利を許諾し、業務を委託することでこれまでビジネス展開を行ってきたとのことだが、ハピネットの完全子会社となることで、より一層ハピネットグループの持つ機能を活用し、これまでブロッコリーが他社に委託していた映像や出版、イベント開催等の分野をハピネットグループとして一括して行うことができ、よりコンテンツの魅力・価値を高めることが可能になると期待している。

 

②ブロッコリーが所有する自社コンテンツの展開拡大

ブロッコリーは「うたの☆プリンスさまっ♪」や「Z/X -Zillions of enemy X-」といったコンテンツを所有している。一方で、ハピネットグループは、玩具、映像音楽、ビデオゲーム、アミューズメントといった幅広い領域で事業を展開しており、さらに量販店、専門店、eコマースやコンビニエンスストア等様々な取引先との取引が可能な流通プラットフォームを強みとしている。

そのため、ハピネットグループ及びブロッコリーが一体となってコンテンツビジネスを展開することで、ブロッコリーのコンテンツをより多岐にわたるエンタテインメントとして多くの方にお届けすることが可能となり、コンテンツの新たな楽しみ方の提案、新しい顧客層・流通チャネルの開拓が可能になると考えている。

 

③ハピネットグループの経営資源を活用した事業規模の拡大

ブロッコリーは、今後の成長のための課題について、新規コンテンツ開発への積極的な投資の継続を掲げている。コンテンツの開発においては多くの人的・物的な経営資源が必要となるうえ、コンテンツビジネスは収益化までに期間を要する。加えて、既に保有しているコンテンツの更なる展開拡大もブロッコリーの課題となっており、それらを平行して推進し、更なる事業規模の拡大を目指すためには、ハピネットグループの人的・物的な経営資源を活用することが有効であると考えている。

また、ハピネットがブロッコリーを完全子会社とすることで、情報共有の制約なく人材交流を行うことができ、ノウハウの共有や人材育成、バックグラウンドの異なる多様な人材の相互交流による組織活性化が可能となり、中長期的にハピネットグループとブロッコリーの企業価値の向上に繋がることを期待している。

 

④経営支援体制の強化

ハピネットは、ブロッコリーが営むコンテンツビジネスは収益化までに期間を要することから、中期的な目線での経営が必要であると認識している。ハピネットがブロッコリーを完全子会社とすることで、短期的な利益にとらわれない、中長期的な目線での経営を行うことができると考えている。また、ブロッコリーがハピネットの完全子会社となることにより、より一層ハピネットグループの持つノウハウを活用した戦略立案や投資計画の策定、経営企画、人事、総務といった本社機能の業務の提供等を受けることが可能となり、経営支援体制の強化が可能になると考えている。

株式会社ハピネット
https://www.happinet.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ハピネット
設立
1969年6月
代表者
代表取締役会長兼最高経営責任者 苗手 一彦/代表取締役社長兼最高執行責任者 榎本 誠一
決算期
3月
直近業績
売上高2824億4100万円、営業利益55億7500万円、経常利益58億5300万円、最終利益35億5400万円(2022年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
7552
企業データを見る
株式会社ブロッコリー
http://www.broccoli.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ブロッコリー
設立
1994年3月
代表者
代表取締役社長 鈴木 恵喜
決算期
2月
直近業績
売上高65億6300万円、営業利益2億8300万円、経常利益3億1200万円、最終利益1億6800万円(2022年2月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
2706
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