コナミG、23年3月期決算は事業利益29.5%減の566億円 主力のゲーム事業の減益響く 制作費やプロモーション費用が負担に

コナミグループ<9766>は、5月11日、2023年3月期の連結決算(IFRS)を発表し、売上高3143億2100万円(前の期比4.9%増)、事業利益566億1100万円(同29.5%減)、営業利益461億8500万円(同38.0%減)、最終利益348億9500万円(同36.3%減)と増収減益だった。カジノ関連の事業が増益だったものの、主力のゲーム事業において、ゲームの制作費の償却費やプロモーション費用、研究開発費の増加で減益となったことが響いた。さらにスポーツとアミューズメントも減益だった。

・売上高:3143億2100万円(同4.9%増)
・事業利益:566億1100万円(同29.5%減)
・営業利益:461億8500万円(同38.0%減)
・最終利益:348億9500万円(同36.3%減)

 

(デジタルエンタテインメント事業)

連結売上高は2134億3200万円(前の期比0.7%減)となり、事業利益は530億900万円(前の期比30.6%減)となった。

新しい取り組みとしては、サイコロジカルホラーゲームとして人気を博した「SILENT HILL」シリーズの復活に向け、過去作「SILENT HILL 2」のリメイクを発表した。あわせて、完全新作となる「SILENT HILL: Townfall」、「SILENT HILL f」の制作が進行中であることを発表し、期待の声を数多く得ている。

また、過去に好評だったシリーズ13作品を収録した家庭用ゲーム「Teenage Mutant Ninja Turtles: The Cowabunga Collection」(ティーンエイジ ミュータント ニンジャ タートルズ ザカワバンガ コレクション)を発売し、欧米を中心に好調な推移となった。

さらに、ゲームの世界観の中で地理や経済などを楽しみながら学ぶための教材として学校などの教育機関向けに無償で提供する「桃太郎電鉄 教育版Lite ~日本っておもしろい!~」の導入申し込みを開始し、多くの反響を得ている。

野球振興の取り組みとしては、「2023World Baseball Classic」のグローバルスポンサーとなり、さらに、日本代表「侍ジャパン」をオフィシャルパートナーとしてサポートした。侍ジャパンの選手を登場させるなど、本大会に関連したプロモーションや施策を展開したことで、「プロ野球スピリッツA(エース)」が大変な盛り上がりを見せている。

継続した取り組みとしては、「eFootball」シリーズの最新作「eFootball2023」においてアップデートや施策を重ね、世界的なサッカー熱の高まりとも相まってダウンロード数が6億を突破し、多くのユーザーに楽しまれている。カードゲームでは、遊戯王カードゲーム25周年記念プロジェクトを始動した。配信開始から1周年となった「遊戯王 マスターデュエル」との相乗効果もあり、コンテンツ全体の勢いが増している。

eスポーツでは、日本野球機構(NPB)と共同で「eBASEBALLプロスピA(エース)リーグ」2022シーズンを開催した。また、欧州プロサッカークラブと契約するeスポーツプロ選手による「eFootball Championship Pro2023」を2月より開始している。さらに、国際オリンピック委員会(IOC)主催の「オリンピックeスポーツシリーズ2023」の競技タイトルとして、「WBSC eBASEBALLパワフルプロ野球」が選出され、種目別予選が開始した。

なお、前期においては主力コンテンツのタイトルを順次投入したことによる制作費の償却やプロモーション費用、新たな開発タイトルでの研究開発費の増加による影響があった。

 

(アミューズメント事業)

連結売上高は195億3300万円(前の期比0.1%増)となり、事業利益は27億8200万円(前の期比20.3%減)となった。

アミューズメント施設向けビデオゲームでは、対局しながらキャラクターのリアクションや演出を楽しむことができ、さらに麻雀を覚えたい方向けの安心のサポート機能を備えた麻雀ゲーム「麻雀ファイトガール」が稼働を開始した。

メダルゲームにおいては、家庭用ゲーム「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」のゲーム性をもとにサイコロとすごろくの普遍的な遊びが楽しめるメダルプッシャーゲーム「桃太郎電鉄 ~メダルゲームも定番!~」、シリーズ10周年を迎えた「アニマロッタ」シリーズの最新作「アニマロッタ アニマと星の物語」が順次稼働を開始している。

また、パチスロ6.5号機として、「ボンバーガール」、「戦国コレクション5」を市場に投入した。アーケードゲームをPCやスマートフォンでいつでも楽しむことができるサービス「コナステ(KONAMI AMUSEMENT GAME STATION)」は、第4四半期に「フィーチャープレミアム」シリーズの2タイトルが追加した「コナステ メダルコーナー」を中心に堅調に推移している。

eスポーツでは、音楽とeスポーツを融合させたプロリーグ「BEMANI PRO LEAGUE -SEASON 2-」において、昨シーズンの競技タイトル「beatmania IIDX」に加え、「SOUND VOLTEX」が新たな競技タイトルとなり、アミューズメント施設運営企業によりドラフト会議で選出したプロ選手達が熱い戦いを展開したレギュラーステージやファイナルは、大きな盛り上がりを見せた。

また、モバイルアプリ「麻雀格闘倶楽部Sp」を使用した「eMAH-JONG 麻雀格闘倶楽部 プロトーナメント」においては、選抜試験等により選ばれた一般プレーヤーと日本プロ麻雀連盟所属のプロ雀士によりハンデなしの熱戦が繰り広げられた。

なお、前期では製品投入時期の違いによる影響があった。

 

(ゲーミング&システム事業)

連結売上高は385億7300万円(前の期比50.5%増)となり、事業利益は51億6900万円(前の期比47.9%増)となった。

スロットマシンでは、北米市場、豪州市場において、複数の賞を受賞している「DIMENSION(ディメンション)」シリーズが引き続きユーザーの注目を集めている。スロットマシン販売においては、「DIMENSION49(ディメンション フォーティーナイン)」が市場で高稼働を維持している。

また、パーティシペーション(レベニューシェア)では、75インチの湾曲したモニターが特徴の「DIMENSION75C(ディメンション セブンティーファイブ シー)」のカジノ施設への導入が拡大している。ゲーミングコンテンツでは、「All Aboard(オール アボード)」が引き続き業界トップクラスの稼働を記録している。

「Fortune Mint(フォーチュン ミント)」や「Ocean Spin(オーシャンスピン)」などのタイトルも市場から高評価を得ているほか、1台の筐体で複数のタイトルから好きなコンテンツを選んでプレーできる「SeleXion(セレクション)」の市場への展開が拡大している。

カジノマネジメントシステムでは、キャッシュレスカジノを実現する「Money Klip(マネークリップ)」など、多彩な機能を充実させることにより、引き続き堅調に推移している。なお、世界的なサプライチェーンの混乱による部材コストの高騰などの影響を受けていたが、様々な原価低減の取り組みにより利益率が回復している。

 

(スポーツ事業)

連結売上高は454億7300万円(前の期比8.4%増)となり、事業利益は4億5100万円(前の期比41.1%減)となった。

スポーツクラブ運営では、施設での安全・安心なサービスの提供に努めた。さらに、新たな運動機会の選択肢として、ユーザーが自身のライフスタイルに合わせて参加できるよう、引き続きオンラインサービスの充実を図った。

また、天井にミラーを設置したピラティススタジオ「Pilates Mirror(ピラティスミラー)」は、8月に「Pilates Mirror 吉祥寺」、12月に「Pilates Mirror 桜新町」、3月に「Pilates Mirror 経堂」と「Pilates Mirror 自由が丘」をオープンし、多くのユーザーに好評を得ている。

資産を持たない形でネットワークを拡大するビジネス形態である受託事業では、これまで培った運営・指導のノウハウや実績を活かして事業を推進しており、新たに神奈川県横浜市、神奈川県秦野市、京都府京都市、福岡県福岡市及び愛知県豊橋市のスポーツ施設の業務受託運営を開始した。

学校水泳授業の受託では、学校側のニーズがより高まっており、日本全国で多くの小中学校に水泳指導業務を提供し、好評を得ている。

こども向け運動スクール「運動塾」では、スポーツを通して体の成長を促するため、スイミング、体操、ダンスなど子供に合った様々な種目を展開しており、新たに磯子(神奈川県横浜市)、川西(兵庫県川西市)、自由が丘、和泉中央の4施設でスイミングスクールを開講した。また、映像とAIを活用して練習効果を向上させる「運動塾デジタルノート」と、コナミスポーツクラブインス

トラクターの指導技術との相乗効果により、より楽しく学び続けられるスイミングスクールの展開を推進した。

なお、前期では、エネルギー価格高騰による光熱費の上昇により大きな影響を受けたが、施設運営の効率化などの対策を実施し、影響を吸収した。

 

■2024年3月期の業績見通し

2024年3月期の業績は、売上高3280億円(前期比4.4%増)、事業利益630億円(同11.3%増)、営業利益600億円(同29.9%増)、最終利益410億円(同17.5%増)、EPS302.45円を見込む。

・売上高:3280億円(同4.4%増)
・事業利益:630億円(同11.3%増)
・営業利益:600億円(同29.9%増)
・最終利益:410億円(同17.5%増)
・EPS:302.45円

コナミグループ株式会社
http://www.konami.com/

会社情報

会社名
コナミグループ株式会社
設立
1973年3月
代表者
代表取締役会長 上月 景正/代表取締役社長 東尾 公彦
決算期
3月
直近業績
売上高3603億1400万円、営業利益802億6200万円、最終利益591億7100万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム(ロンドン証券取引所にも上場)
証券コード
9766
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