『LINE:ディズニー ツムツム』や『妖怪ウォッチ ぷにぷに』、『#コンパス 戦闘摂理解析システム』などの開発を手がけ、ビッグIPのカジュアルなゲームからノンIPの本格派ゲームまで、多岐に渡ったジャンルでヒット作を生み出してきたNHN PlayArt。
同社では、「プレイしてすぐ楽しいゲームを、本気で突き詰めつづける」を信念にスマートフォンゲームを国内外に展開しており、去る10月にはコーポレートロゴ刷新も行なった。
そのロゴには、NHN PlayArtが掲げているゲームづくりへの想いを体現しているという。
そんなNHN PlayArtで働く折田氏(Studio UP!事業リーダー)、田中氏(ぷにぷに事業部事業部長)、畠山氏(Studio51 プロジェクトリーダー)に、ゲーム開発の魅力やこだわり、チームで動くにあたって重要視していることなど、詳しくお話を伺ってきた。
■三者三様なNHN PlayArtとの出会い
──:まず、皆さんの経歴からお伺いしたいのですが、自己紹介を兼ねて現在の担当分野から教えていただけますか?
折田:Studio UP!というスタジオで、事業リーダーをしています。主な業務は、中長期的な計画の立案や、計画内容をタスク化してから各プランナーの割り振り。それから関係各社との折衝を担当しています。
田中:Studio Hi-WORKSで、ぷにぷに事業部の事業部長をしています。仕事の内容は、年間計画やロードマップを作成し、『妖怪ウォッチ ぷにぷに』を盛り上げていくための戦略を考案することです。
畠山:Studio 51で企画グループのリーダーをやっています。主に『#コンパス 戦闘摂理解析システム』というタイトルのまとめ役をしながら、リアルイベントに関する対応もしています。『#コンパス 戦闘摂理解析システム』に関することを広く担当しているといった感じです。
──:現在のポジションに至るまでの経歴についてもお聞かせください。
折田:ゲームに関わる仕事をするようになったのは、13年くらい前になります。スマートフォンのアプリを開発する会社に所属していて、工数ベースで売り上げをたてる受託開発を脱却するために、ゲーム事業の立ち上げをすることになったんです。それがたまたま上手くいっちゃって、AppStoreでもランキング1位になったりしました。
その頃から本格的にゲームの仕事をしたいと思うようになり、転職を決意してNHN PlayArtに入社しました。最初は新規のゲーム開発企画に携わったのですが、なかなか面白いものができず苦心していたんです。
すると、今担当しているゲームがヒットし始め、プランナーが足りないから手伝ってほしいと声がかかってチームに参加することになりました。リリース後1ヶ月後ぐらいでの話なので、プランナーとしては一番長く携わっています。現在はプランナーを取りまとめる業務をするようになりました。
──:ちなみにNHNに入社されてから何年ぐらいのお話ですか?
折田: 2013年で4月に入社してから1年間チャレンジをさせてもらった後、Studio UP!というスタジオに参加しています。
──:2010年頃は、スマホゲーム黎明期ぐらいかと思いますが、ゲームでもITでも他に選択肢がある中で、スマホゲーム業界を選ばれた理由は何だったのでしょうか?
折田:本当に小さな会社に務めていたので、黎明期だからこそチャンスがあるかなと思ったんです。まだ大手が本格的に参入していないタイミングで、NHNがハンゲームブランドで出していた時期ですね。その時期だからこそ、ゲームを欲しているユーザーが十分に満たされていない状況であり、不慣れな僕が作ったゲームでも受け入れられたのかなと思います。
──:ありがとうございます。続けて田中さんはいかがですか?
田中:私は、新卒で入社して以来ずっとこの会社に所属していて、今年で12年目になります。入社後の研修を終えたあとは、1年にも満たないぐらいの期間ではありますが、データ分析系のトレーニングを受けさせてもらったりもしました。
事業部に入ってからはソーシャルカードゲームや、女性向けノベルゲームの開発と運営に携わりました。次に担当することになった戦略ゲームは、リリースできずに解体となってしまいましたが、その後『妖怪ウォッチ ぷにぷに』のチームに参加することになりました。
リリースからまだ1ヶ月も経っていないタイミングでしたので、かなり混乱の最中といった様子でバタバタしていたのを覚えています。それから7年以上『妖怪ウォッチ ぷにぷに』の運営に参加し続けて今に至っています。
──:ありがとうございます。最後に畠山さんの経歴もお聞かせください。
畠山:入社が2007年7月なので、もうすぐ16年になります。前職はガラケーのゲームを作る会社で、NHNが本格的にガラケーのサービスを始めるタイミングで入社しました。その後はスマホゲームにシフトしていき、『#コンパス 戦闘摂理解析システム』が立ち上がった直後、開発にこれから着手するというタイミングで加入しました。2015年の10月ぐらいのことだったと思います。そこから、今も引き続き『#コンパス 戦闘摂理解析システム』に携わっています。
──:業務内容はその頃からあまり変わりないのでしょうか?
畠山:そうですね。企画メンバーが林を含めても2人しかいない状態から始まっていて、今は10人近くいるので、見ている分野は多少変わってきていますが、基本的に『#コンパス 戦闘摂理解析システム』全体を見ながら運営に携わっています。
──:ゲーム開発をしているときに、それぞれどういったところを意識されているのか教えてください。
折田:現在担当しているゲームは、ユーザー数がとても多いタイトルなので、本当にたくさんの幅広い年齢層の方がいます。なので、どの年齢層にも伝わるものになっているか、違和感を持たれる内容になっていないかはすごく気にしています。
扱うモチーフひとつとっても、若い人には理解してもらえるものであっても、ご年配の方には意味が伝わらないというケースがあります。もちろん、ゲーム性や難易度についても、たくさん遊ぶけど上手にできるわけではない人がいたり、短い時間で手応えを求める人もいますから、どんな人でも一定の満足を得てもらうために気にかけています。
田中:『妖怪ウォッチ ぷにぷに』は、わかりやすく作ることを意識しています。面白いというところに到達する前の段階として、まずはわかるというステップを上ってもらうことを大切に考えています。村上からも、わかりやすいように、シンプルにするようにという指摘を受けていて、それを意識しながら作っています。
──:『妖怪ウォッチ ぷにぷに』の見せ方で工夫した実例があれば教えてください。
田中:例えば他作品とコラボした際のアプリアイコンです。以前は、コラボ作品のキャラクターをぷにの形状に変化させてアプリアイコンに載せていました。しかし、アプリアイコンとしては、ぷに化したイラストを使うよりも、原作キャラクターの知名度のあるビジュアルをそのまま使った方が原作ファンの方にもわかりやすいという意見が出ました。そのため、以降は原作キャラクターのビジュアルをそのままアプリアイコンに載せて、何の作品とのコラボであるかわかりやすいようにしています。
──:ありがとうございます。畠山さんが、ゲーム制作において気を付けている点は何でしょうか?
畠山:遊んでくれる人たちがいてこそのゲームだと思っているので、常に反応をイメージしながら作ることを大事にしています。
『#コンパス 戦闘摂理解析システム』の場合、ニコニコ動画のドワンゴさんと一緒に開発しているので、生放送やリアルイベントもかなり重視していて、今年もリアルイベントは10カ所以上で開催しますし、生放送もほぼ毎月実施しています。
『#コンパス 戦闘摂理解析システム』は、リアルイベントを通して、#コンパスを楽しんでいる皆さんの顔が見えるのが大きいと思っています。なので、そこを意識しながら作っています。
──:『#コンパス 戦闘摂理解析システム』のリアルイベント取材では、来場しているユーザーさんの熱量の高さを感じます。あの熱量の高さは、対人戦のゲームだからなのでしょうか?
畠山:そういった点もあると思います。リアルイベントでも実際のプレイヤーによる大会は大変盛り上がります。ほかにも、『#コンパス 戦闘摂理解析システム』は、多数のクリエイターに参加してもらっていることが大きいと考えています。絵師さんがヒーローごとに違ったり、ボカロPがヒーローのテーマを作っていたり、キャラクターのモーションアクターを踊り手さんに担当してもらったりしていて、自分の好きなものがゲームの中にあるという作りも『#コンパス 戦闘摂理解析システム』の特徴になっています。自分の好きなものだからこそ熱狂度も上がるのではないでしょうか。
■経歴関係なしに意見可能な風通しの良さ
──:反対に、ゲーム制作において苦労した点があればお聞かせください。
田中:『妖怪ウォッチ ぷにぷに』がリリースされた後、色々な工夫を凝らしながら運営をしていく中で、各パートのスケジュール感をすり合わせることには苦労しました。それぞれのパートで締め切りの認識がズレていることがあったのですが、こういったトラブルが発生するとみんな気持ちよく仕事ができなくなってしまいます。
些細な認識ズレでモチベーションが下がってしまうのは、もったいないです。現在は、共通認識を取れるようにスケジュールを整理整頓していて、気持ちよく仕事ができる環境が作れているので、上手く改善できたケースでもあります。
──:スケジュールを整理するためには、活用したアプリケーションはありますか?
田中:特別なアプリケーションは使わず、Excelを使って手作りしています。どういうステップを踏んで、どういうものが出来上がるのかをはっきりとさせて、そこから逆算して、いつまでに何をしておかないといけないのかを洗い出すことが大切だと思います。
担当分野以外の作業がお互いに見えてくるようになると、思ったより早く決めておかないといけないことも見えてきます。スムーズに業務をパスできるようになれば、先ほどお話ししたようなトラブルは回避可能です。
──:折田さんはいかがですか?
折田:日本発のファンの熱量が高いIPを使ったイベントで、新キャラクターの扱い方に非常に苦労したのが印象的でした。
我々としては人気のあるキャラクターを効果的に使いたいと思ったのですが、そのIPのファンやライセンサーは、これらのキャラクターを平等に扱ってほしいと思っていて、優劣をつけないでほしいという要望をいただきました。
一気に全部出すのはもったいないと思っていたり、イベントのスタートからクリアまでの流れで、どういう順番でキャラクターを見せるべきなのか模索したりと、色々な思惑はあったのですが、この調整には非常に苦労しました。
いざリリースしてみると、ファンの方からも好評でしたし、原作IPのモチーフのものが登場したりと、ファンのみなさんと直接やり取りをして決めたわけではないのに通じ合っているような感覚になりました。苦労はしましたが、得られるものも多い体験だったと思います。
──:他社のIPを扱う際には共通の悩みになりそうですね。
折田:アイコンに描かれているキャラクターの順番や大きさとか、タイトル画面で降ってくるキャラクターにも、このキャラクターはこういう性格だからこの位置でもありえるよねとか、このキャラの横にあると違和感あるよねとか、なぜこのキャラが一番大きいのかといったことをひとつひとつ調整しています。
──:平等に扱わないといけないとい課題はどのようにクリアしていくのでしょうか?
折田:結局は完全に平等には扱えないんです。でも、ちゃんと腑に落ちる要素を見つけることで不満を解消することはできます。例えば、イベントを開催する際に、原作IPのストーリーと同じ順番にすれば、ファンなら腑に落ちますよね。ファンが納得できるような理由付けを考えることで問題を解決に導いていきました。
──:『#コンパス 戦闘摂理解析システム』の開発ではどのような点で苦労しましたか?
畠山:『#コンパス 戦闘摂理解析システム』では、正直あまり苦しいと思うことはありませんでしたね。ゲーム開発という点では、頑張って作ったタイトルの成績が振るわないときが、一番苦しい状況だと思います。僕も、以前に担当したタイトルではそういった経験がありました。
──:『#コンパス 戦闘摂理解析システム』はリアルイベントにも力を入れていますが、ユーザーコミュニケーションは、ゲーム制作と違った気苦労はありませんか?
畠山:リアルイベントでは目の前に#コンパスを楽しんでいる皆さんがいるので、数字ではなく一人ひとりの個人として接することができるのは、苦労以上にやってよかったという思いが勝ります。イベントの安全や時間など、ゲーム開発とは違った注意する点が多々あるので、そういった点はとても苦労しますが、制作会社さんなどと連携をとりながら、ベストを目指して毎回模索しています。
折田:僕は、結構色々と転職を重ねていて、過去に7社ぐらい経験しているんです。学歴が良いわけではないので、そんな大きい会社に勤めてこなかったこともあり、かなり厳しい経験もたくさんしてきました。この会社に来たときは、こんなにも仕事に集中できる環境の会社があるのかと驚きました。
休みが取りやすかったり、スケジュールの調整がしやすかったり、風通しが良くて取締役とも割とフランクに話せる環境なんです。私は直接関係ないですけど、女性社員が出産や子育てで長期休暇を取っても、また同じようなポストで復職するのを見てきました。そういう意味では、本当にゲームのことだけ考えて仕事をできる環境なので、そこはすごく気に入っています。
それと、ちゃんと話を聞いてくれる上司がいてくれるというのもNHN PlayArtの良さだと思います。自分の意見をちゃんと聞き入れてもらえることで、チームに参加している意識が強くなりますから、自分がゲーム制作に携わっているという実感が得られるのはとても大きいです。
──:プライベートへのケアもしっかりしてるんですね。
折田:会社が、プライベートのケアを意識しているかどうかは分からないですが、実際プライベートの時間は増えました。終電で帰らないといけないような状況は、私の今の業務ではほとんどないですし、土日に仕事を持ち帰るみたいなこともありません。実際、私のチームでも男女問わず、子育て中の方も子育てをしっかりしながら仕事に取り組んでもらえているので、間接的にプライベートの時間を充実させられているのかなと思いますね。
──:一方で、田中さんは新卒入社でずっとNHNにおられますが、その目線から見てNHN PlayArtはどんな会社ですか?
田中:他の会社はわからないので自分のイメージになりますが、和やかな感じというか平和な感じがします。学生の頃は、社会人って殺伐としていて理不尽に怒られたりするイメージがあったんですけど、そんな話は全然聞いたことないですし、何かうまくいかないことがあったとしても、ちゃんと理解できるまでロジックで説明してもらえるのがいいと思っています。
──:ちなみに、社内の周りの方とのコミュニケーションはどういった感じで取っているのでしょうか?
田中:今はリモートワークが多いので、対面よりは通話でやりとりすることが多いです。毎朝朝会をして皆の話を聞いたり、プランナーの人とは月1で面談を実施して、それぞれのキャリアアップを考えたり、半期ごとに設定している目標に対してどのくらい進捗しているか聞いたりしています。メンバーの中には副業をやっている人もいて、そのユニークなスキルをどう活かしていけばいいかなど、それぞれの特性に合わせたキャリアアップを一緒に考えています。
──:折田さんもお話ししていたような、メンバーの方々にとっても働きやすい環境がどのチームでも形になっているんですね。畠山さんはNHN PlayArtの特徴はどこだと思いますか?
畠山:個人の裁量が大きい会社だとは思います。先ほどの田中の話のように、やりたいと思ったことをやらせてもらえる会社です。自分自身の成長に合わせて、裁量がさらに増えているとは思います。でも、入ったばかりの頃からやりたいことを伝えればちゃんと聞いてもらえたし、挑戦させてもらえました。もちろん、なんでも自由というわけではなく、その時の会社の方針や上司の意見などを汲み取る必要はありますが、基本的にはやりたいことをやらせてもらえる良い会社だと思っています。
──:リアルイベントやコラボカフェもどんどん提案していけば通るんでしょうか?
畠山:リアルイベント当日も、ゲーム開発という立場なら
『#コンパス 戦闘摂理解析システム』は、ドワンゴさんと一緒に進めているプロジェクトなのですが、NHN PlayArtからもリアルイベントの提案をさせていただくことはあります。前提として仕事の分担はしていますが、その壁を飛び越えてユーザーのために言い合える環境ができていると思います。
あとは、開発の人間がユーザーさんの声を拾いながら、イベントやグッズのアイディアを出してくることもあります。本来の業務とは関係のないところでも声を上げていき、それが良いものであればどんどん取り入れていこうという意識が共有されていると思います。『#コンパス 戦闘摂理解析システム』はNHN PlayArtのプロジェクトのなかでも、特にそういった意識が強いかもしれません。
──:チームをまとめるリーダーの人たちが、開発運営にも携わっていることが話しやすさにもつながるんでしょうか?
折田:それはあるでしょうね。ゲームをお金稼ぎの手段としか思ってない人が上司だったりすると、多分こんなに話ができる相手にはならないと思います。ゲームの作り手とプレイヤー目線の話を同時にして、ちゃんと会話が通じる。なんなら現役の視点も持っているというのはこの会社の良いところだと思います。
■スムーズな開発を支えるコミュニケーション
──:皆さんのチームではどういった人たちが活躍されていますか?
折田:とにかくゲーム好きな人が多いです。間違いなく言えるのは、ゲームに関心がなくてなぜか入っちゃった人だと活躍するのは難しいでしょうね。本当にゲームが大好きな人は、熱量を持って積極的に活躍したり、意見交換に加わったりしてくれます。これは間違いありません。
──:自主的に動く人の方がNHN PlayArtだと働きやすいということですね。
田中:積極的に動いている人が活躍していると思います。それぞれが持っているタスクに収まっているだけだと、周りからの「これはできてほしい」という期待までしか応えられません。それを飛び越えて、新しいアイディアを出してみたり、指示がなくても新しい企画案を出して突き進んでいける人。そういった人が活躍できると思います。
──:自分の枠を超えていくためのコツはありますか?
田中:昔の僕は、とにかく何でも上長に確認を取りながら進めていました。新人ならそれが普通だと思うんですけど、ずっと全部を確認していると結局上長の人が判断することになってしまうんです。そこの判断をどんどん奪っていって、自身の責任で判断する領域を広げていこうと思いながらやっていました。
──:畠山さんはいかがですか?
畠山:自発的に動くにあたって、周りからの信用を得ておくことは必要だと思います。信用がない状態で自発的に動いても、理解してもらうのは難しいです。まずは、自分の強みや個性を出せる場所を把握して、そこでは自分が一番だとアピールする事で、そこを軸足に周りの信頼を獲得でき、活躍しやすくなると思います。
──:ゲーム制作はチームで行うものですが、チームで制作にあたるうえで気を付けるべきポイントはどこだと思いますか?
田中:情報共有を早く明確にしておくということです。先ほど話したスケジュールを共通認識にするというのもそうですし、今後のアップデート内容についても企画段階で悩みすぎると、作業に必要な時間を確保できなくなったりするので、アイディアレベルの段階で発信していくようにしています。フィードバックを得ることでブラッシュアップもできますし、デザイナーや開発のメンバー陣にどれぐらいの作業が発生しそうか心構えをもってもらうこともできます。
──:雑談ベースで話していくようなイメージですか?
田中:一対一でやり取りすると皆に情報が届かなくなってしまいます。ある程度人が集まっている場で、今考えていることやアイディアについて意見を交わして、みんなで同じ情報を共有するようにしています。
──:折田さんはいかがですか?
折田:基本的には変わりませんが、僕の場合は情報の流れとしては制作・運営している3社でミーティングを毎週実施しているので、そこで決められた方向性をチーム内のマネージャーに共有し、さらにブレイクダウンしたものを個別のミーティングで共有しながら、内容の精査を進める場も設けています。
──:最後に畠山さんはいかがでしょうか?
畠山:チームで動く以上、コミュニケーション能力は欠かせません。それと、先ほども話したように、自発的に動ける人であってほしいと思っています。すべてを上長に確認しているとそこがボトルネックになってしまうので、自分で考えて行動できる人にメンバーになってほしいし、Studio 51はそういう組織になっていると思います。
『#コンパス 戦闘摂理解析システム』の開発初期は、仕様書を作っていなかったんです。その当時は、メンバーの数が少ないこともあって、共通認識を作りやすい環境でした。そこで、ひとつひとつ仕様書を作成していると、仕様書待ちの時間がボトルネックになってしまいます。
ゲームは開発を進めていくなかで変わっていく部分も多くありますし、手触り感といった細かいニュアンスの要素もとても多くあります。それを仕様書に反映する時間ももったいないです。最初から仕様書無しで進めるということを『#コンパス 戦闘摂理解析システム』の開発初期で実践していたというわけです。でも、この仕様書無しという体制は、メンバーが自分で考えて自走してくれたから実現できたものだと思っています。
──:皆さん、まだ開発の現場に立たれている身として、今後ご自身がやっていきたいことについてもお聞かせください。
田中:今後も、メンバーが働きやすい環境作りを続けていきたいと思っています。Studio Hi-WORKSでは『妖怪ウォッチ ぷにぷに』、『ドラゴンクエストけしケシ!』という運営中のタイトルの他に、新規タイトル制作のために動いている人がいます。そのための採用活動もしているのですが、採用した人をいきなり新規タイトルにアサインすると、NHN PlayArtの文化を知らないまま新規タイトルの制作にあたることになってしまいます。その前に、まずは運営タイトルのチームを経験してもらい、NHN PlayArtの文化に馴染んでもらうといった役割も担っていきたいと考えています。
畠山:『#コンパス 戦闘摂理解析システム』を、多くの人に長く遊んでもらえる状況を目指していきたいです。『#コンパス 戦闘摂理解析システム』は、ドワンゴさんと協力しながら、独自のIPとしてここまで育てることができたタイトルですし、クリエイターの方々や#コンパスに関わっていただいている人たちは素晴らしい人ばかりですから、大切にしていきたいと考えています。25周年になる頃には僕が定年退職しているでしょうから、そこを目指せるといいのかなと思いながらもあと16、7年……これは半分冗談ですが(笑)。ソーシャルゲームは5年もつタイトルが少ないと言われていますから、立ち上げ当初は5年を目標にしていて、その目標は達成できました。次はまず10年を目指して、長く遊んでもらえるタイトルにしていきたいです。
──:スマートフォンのゲームは、ユーザーさんがいる限り続くものではありますし、どのタイトルとも長く続くことを祈っております。それでは、最後に読者の方々に向けてメッセージをお願いします。
田中:考えて考えて考え抜ける人のエントリーをお待ちしています。ものを作っていくためには、決めなくてはいけないことがたくさん出てきます。無数にある選択肢を様々な条件で絞りこんでいき、ある程度狭まってきたうえで、さらに自分の考えで精度の高い絞り込みをかけて、洗練された判断ができるような力がある方だと嬉しいです。
折田:うちの会社は、おそらくゲームという手段を使って人を楽しませることを本業にしていて、たまたま今はスマートフォンゲームという手段を使っています。そのなかで面白いとは何なのか、なぜお客さんは時間をそこに費やしてくれるのか、それらを徹底的に真面目に考えている会社だと僕は思っています。それに対して、IP、キャラクター、演出、音楽など色々な要素が乗っかってきて、それらすべてに対して本気で考え抜いている会社ですから、そこを一緒に考えてくれる人や、それを楽しんでくれる人と一緒に働きたいです。ビジネスとしてもそこに上手く乗っていきたいと考えています。
畠山:多分、本質的な意味はこれまでにお話しした内容と一緒になってしまうと思うのですが、何でも自分事にできる人に来てもらえるとすごく助かります。ゲームを作ることも、楽しませることも、考え抜くためには自分のこととして物事を捉えて行動することが必要になると思います。ですので、あらゆることを自分事と考えて行動できる人にぜひ来てもらいたいです。
──:本日はありがとうございました。
会社情報
- 会社名
- NHN PlayArt株式会社
- 設立
- 2015年10月
- 代表者
- 代表取締役社長 丁 佑鎭
- 決算期
- 12月