KADOKAWA、第1四半期の決算は営業益66%減の32億円…ゲーム事業が『エルデンリング』反動減、出版事業も先行投資の影響

KADOKAWA<9468>は、8月3日、2024年3月期 第1四半期(23年4月~23年6月)の連結決算を発表し、売上高588億3500万円(同8.4%減)、営業利益32億6700万円(同66.0%減)、経常利益61億0100万円(同50.4%減)、最終利益38億4300万円(同49.7%減)だった。

・売上高:588億3500万円(同8.4%減)
・営業利益:32億6700万円(同66.0%減)
・経常利益:61億0100万円(同50.4%減)
・最終利益:38億4300万円(同49.7%減)

出版事業が先行投資の影響が出たことに加え、前年同期に『ELDEN RING(エルデンリング)』で大幅な増収増益となったゲーム事業が大幅な減収減益となった。

 

[出版事業]

売上高は323億8100万円(同1.3%増)、セグメント利益(営業利益)は10億2800万円(同60.0%減)となった。

書籍・雑誌では、米国における直近数年間の急激な需要増の反動による書店の発注抑制・返品増等により、海外事業が減収となった。国内では、新刊点数が増加したものの、市場全体の縮小影響が大きく、減収となった。新刊では、『気になってる人が男じゃなかった VOL.1』、『光が死んだ夏(3)』、『山田くんとLv999の恋をする(7)』等の販売が売上高に貢献した。また、権利許諾収入は増収となった。

費用面では、中長期的な成長を見据えた人員増強、新物流設備への投資等が増加した。

なお現在、さらなる返品削減、製造コスト削減、利益率の向上を目指し、文庫やライトノベル、新書、コミック等のデジタル印刷による小ロット・適時製造を行う書籍製造工場の稼働率を段階的に高めているところ。物流設備についても今夏の稼働開始に向け準備を進めている。

 

[映像事業]

売上高は106億6300万円(同15.2%増)、セグメント利益(営業利益)は14億9700万円(同120.2%増)となった。

アニメでは、『【推しの子】』や『この素晴らしい世界に爆焔を!』など人気タイトルの国内外での配信向け収入及びその他権利許諾を中心に力強く成長した。実写映像では、『わたしの幸せな結婚』が引き続き貢献し増収となった。

 

[ゲーム事業]

売上高は43億800万円(同65.8%減)、セグメント利益(営業利益)は11億5600万円(同82.4%減)となった。

6月に発売したスパイク・チュンソフトの新作『超探偵事件簿 レインコード』が売上高に貢献したものの、前期の『ELDEN RING』の業績貢献が大きかった影響がでた。いわゆる反動減だ。

 

[Webサービス事業]

売上高は54億2700万円(同5.2%減)、セグメント利益(営業利益)は1億600万円(同71.2%減)となった。動画コミュニティサービスでは、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が6月末には130万人となり、前年6月末から減少となったことに加え、投資効果に鑑み一部広告関連サービスを縮小させたことで減収となった。利益面では、この減収影響に加え、「アニメ」、「ゲーム」等の注力ジャンルへのコンテンツ制作費等の費用投下により、減益となった。

 

[教育事業]

売上高は35億3100万円(同7.7%増)、セグメント利益(営業利益)は7億6800万円(同4.5%減)となった。

専門校運営及びオンライン教育のための教育コンテンツ・システム提供等を行っている。クリエイティブ分野の人材育成スクールを運営するバンタンでは、展開地域拡大による生徒数増加や、生徒向け教材販売の貢献により、増収となった。また、インターネットによる通信制高校であるN高等学校・S高等学校等に教育コンテンツ・システムの提供を行うドワンゴは、同校の通学コース向け新キャンパス開設等による生徒数増加を受け、引き続き好調に推移した。

 

[その他事業]

売上高は49億3900万円(同30.1%増)、セグメント損失(営業損失)は8億6400万円(前年同期 営業損失10億2200万円)となった。

IP体験施設の運営では増収となったことに加え、一部事業撤退の効果により営業利益も改善した。MD事業では、フィギュアのラインナップ拡充やオンラインくじの好調が同事業の成長をけん引した。また、その他新規事業では一部サービスの拡大により増収となった。

 

■2024年3月期の業績見通し

2024年3月期の業績は、売上高2511億5000万円(前期比1.7%減)、営業利益178億円(同31.4%減)、経常利益182億円(同31.8%減)、最終利益109億円(同14.0%減)、EPS78.05円を見込む。

・売上高:2511億5000万円(同1.7%減)
・営業利益:178億円(同31.4%減)
・経常利益:182億円(同31.8%減)
・最終利益:109億円(同14.0%減)
・EPS:78.05円

計画に対する進捗率は、売上高23.4%、営業利益18.4%、経常利益33.5%、最終利益35.3%となっている。

・売上高:23.4%
・営業利益:18.4%
・経常利益:33.5%
・最終利益:35.3%

株式会社KADOKAWA
http://www.kadokawa.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社KADOKAWA
設立
1954年4月
代表者
代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
決算期
3月
直近業績
売上高2554億2900万円、営業利益259億3100万円、経常利益266億6900万円、最終利益126億7900万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9468
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