【決算レポート】KLab、第2四半期(4~6月)は『スクフェス』終了など運営タイトル減少で大幅な減収に 大型タイトル4本、運営型カジュアルゲーム3本の開発が進行中
KLab<3656>の2023年12月期の第2四半期(4~6月)決算は、『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』(以下『スクフェス』)が3月にサービス終了となるなど運営タイトルが減少したことなどにより、大幅な減収となった。
なお、経常損益と最終損益の赤字幅が縮小しているのは、為替差益2億5700万円を計上しているためとなる。
売上高24億7800万円(前年同期比41.6%減)
営業損益2億6400万円の赤字(前年同期1億6400万円の赤字)
経常損益700万円の赤字(同2億3400万円の赤字)
最終損益2600万円の赤字(同1億6500万円の赤字)
■売上の減衰傾向は第1四半期から継続する展開に
前回2023年12月期の第1四半期(1~3月)の連結決算を振り返ってみると、運営タイトルが減少したことに加え、『キャプテン翼』の減衰トレンドが継続していることで減収・赤字幅拡大となっていた。
売上に関しては今回の第2四半期決算も同様の傾向が続いた格好だが、オリジナルIP「アオペラ」のマーベラス<7844>への譲渡売上やコラボ支援事業の売上の寄与が四半期推移(QonQ)での赤字幅縮小に寄与したという。
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■『キャプテン翼』は運営体制をあらため立て直しに注力
運営タイトルの動向を見ると、『キャプテン翼』は減衰傾向が継続しているものの、周年イベントが好調に推移し、前四半期比では売上が増加した。
一方、『BLEACH Brave Souls』(以下『ブレソル』)は、7月の周年記念キャンペーン前の買い控えなどもあり6月は軟調に推移したため、前四半期比で売上が減少した。
海外売上高については、『ブレソル』は一定の減衰はありつつも健闘しており、安定的に推移した。一方で『キャプテン翼』の減衰が強く、海外売上高の規模は10億円台まで減少した。
なお、『キャプテン翼』については、運営体制を年初からあらためて立て直しに取り組んでいるとしており、国内外ともに減衰傾向に歯止めがかかるのか、今後の動向が注目される。
■新作は大型タイトル4本、運営型カジュアルゲーム3本などが開発中
新作のパイプラインを見てみると、大型タイトルについては、前四半期から本数に変更はなく、4本が開発進行中となっている。なお、Electronic Arts(EA)との共同開発タイトルは、EAがオランダのアムステルダムで開催したEA SPORTS FCブランドの発表イベント「EA SPORTS FC Clubhouse」において、タイトルが『EA SPORTS FC TACTICAL』となることが正式に発表された。
『EA SPORTS FC TACTICAL』は、現在、オーストラリアなどでオープンベータテストを実施しており、リリースに向けて最終調整中となっている。リリースの目途は「我々から確定的なことを申し上げることはできない」としているが、EA SPORTS FCブランドのコンソールゲームの発売と近しい時期にリリースすることを目標としてプロジェクトを推進しているという。
続いて、運営型カジュアルゲームは、前四半期から1本増の3本が開発進行中だ。同社がプロジェクト化に向けて、2本のオリジナルタイトルのKPIテストを実施中であるほか、子会社のグローバルギアがカジュアルゲームと相性の良いIPを用いたタイトルの企画を進行している。
支援モデルについては、これまでの「ジョジョの奇妙な冒険 黄金讃歌」のIPを用いたタイトルのほか、情報未公開ではあるものの、開発が順調に進捗している2タイトルがプロジェクト化見通しから進行中に移行した。
なお、プロジェクト化見通しに含めていた1本は、同社の役務負担の見直しにより支援モデルからは除外される形となり、進行中に移行した2タイトルも含め、プロジェクト化見通しのタイトルは前四半期比3本減となっている。
■ブロックチェーンゲームは『QAQA』のクローズドα版のテストを実施中
ブロックチェーンゲームは、子会社BLOCKSMITH&Co.が開発を進めている『QAQA』が現在、クローズドα版のテストの実施中となっている。11月下旬ごろにはβ版をリリース予定だという。
『QAQA』は、クイズを活用したファンリレーションマーケティングの実施に向けて参画企業の誘致も行っており、現在は8社が参画することが決定している。
■オリジナルIP「アオペラ」をマーベラスに譲渡
この四半期のトピックは、1つは前述のオリジナルIP「アオペラ」のマーベラスへの譲渡だ。「アオペラ」は、作品のさらなる成長と発展のため、IP開発とメディアミックスにおいて優れた実績を持つマーベラスに譲渡することを決定したとしており、業績への影響は限定的ではあるものの、譲渡代金を売上に計上している。
また、支援モデル事業を発展させ、他社のゲームタイトルとIP作品によるゲーム内コラボを支援する取り組みを新たに事業化したことも大きなトピックだ。直近では、人気アニメ「ノーゲーム・ノーライフ」と『Tales Noir』のコラボなどを支援しており、今後も引き続き案件の積み上げを図っていくという。
■通期業績予想は引き続き非開示
なお、2023年12月期通期の連結業績予想は合理的な業績予想の算出が困難であるため引き続き非開示としている。
会社情報
- 会社名
- KLab株式会社
- 設立
- 2000年8月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3656